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【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

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幸か不幸か両者のコラボレーションは実現しなかった  ニック・メイソンは「ピンク・フロイドとキューブリックとの関係は「不穏」だった」と語った。  ニック・メイソンは、1971年の映画『時計じかけのオレンジ』で、ピンク・フロイドの『原子心母』の使用を許可するように頼んできたとき、映画監督のスタンリー・キューブリックとの取引で「嫌な思いをした」と認めました。  この事の顛末のほとんどは、キューブリックがロジャー・ウォーターズに電話し、フロイドの音楽を使いたいと言った話が中心です。キューブリックは『原子心母』をどう使うかをはっきりさせず、彼が好なようにその組曲を使用する権利を保持したかったのです。それはウォーターズにとって納得できるものではありませんでした。ウォーターズはキューブリックに言いました。「そうだ、使わせない」。 〈以下略〉 (引用元: ULTIMATE CLASSIC ROCK/2018年8月24日 )  キューブリックが『原子心母(組曲)』を『時計…』のサントラに使用したいとオファーし、拒否されたというエピソードは こちら ですでに記事にしていますが、もしロジャー・ウォーターズがこのオファーを受け入れ、それが現実になったとしていたらどうなっていたか・・・現在のウォルター(現ウェンディ)・カルロスによるサントラが強烈すぎるので、なかなか想像できないですね。  劇中のレコード店でのシークエンスにはこの『原子心母』が2カ所に映り込んでいます。キューブリックがわざと置いたものなのか、それとも単なる偶然か。ただ『2001年…』のサントラは目立つのでわざと置いたものでしょう。  では、その『原子心母』をどうぞ。 原子心母(Atom Heart Mother) 1)父の叫び (Father's Shout) 2)ミルクたっぷりの乳房(Breast Milky) 3)マザー・フォア(Mother Fore) 4)むかつくばかりのこやし(Funky Dung) 5)喉に気をつけて(Mind Your Throats, Please) 6)再現 (Remergence)  ちなみにどうでもいい話ですが、管理人はシド・バレット在籍時のピンク・フロイドの方が好きです。また、1988年の来日公演にも参戦しましたが、肝心のロジャー・ウォーターズはメンバーと仲違いしていて不在でした...

【アーティスト】『シャイニング』に登場した六角形柄のカーペットをデザインしたインテリアデザイナー、デービッド・ヒックス

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1970年代に活躍したイギリスのインテリアデザイナー、デービッド・ヒックス 「シャイニング・カーペット」が印象的に登場したダニーのミニカー遊びのシーン  『シャイニング』に登場した六角形柄のカーペット、ファンの間では「シャイニング・カーペット」と呼ばれるものですが、これは1960年代にインテリア・デザイナーであるデービッド・ヒックスがデザインした「ヒックス・ヘキサゴン」で、キューブリックが「勝手に」コピーしたものでそうです。以下がそのソースです。  しかし、ヒックスは『シャイニング』の撮影に協力していませんでした。「ヒックス・ヘキサゴン」 カーペットは、1980年に『シャイニング』がリリースされる前の1960年代に作られたもので、オーバールック・ホテルに登場するカーペットは、映画のためのものでも、撮影用にデザインされたものでもありません。 アシュレイ・ヒックス(インテリア、テキスタイル、カーペットのデザイナーとしても非常に成功したデービッドの息子 )は、グラフィックデザインの伝説的な存在で、映画愛好家でもあるMike Dempseyのブログに、父親の仕事について興味深いコメントを残しています。 「私の父はキューブリックのために働いたことはありません。私はキューブリックがヒックスのカーペットを『シャイニング』のためにコピーしたことを、父が自慢のひとつに思ってくれていたらいいのに、と思っています。」 (引用: Checkmate! The story behind Kubrick’s carpet in The Shining revealed/2017年11月 )  キューブリックは映画で使用するプロップやインテリア、衣装などはよく既存のものを使いますが、それは手早く、そして手広く選択肢を用意したいという理由からだと思われます(例えば『時計…』でアレックスの部屋のベッドカバーは当時売られていた既製品)。その上で、どうしても気にいるものがなければ、オリジナルでデザインさせるという手法を採っていたようです。実際はどうだったかはわかりませんが、例えばキューブリックがカーペーットや壁紙のカタログからこの「ヒックス・ヘキサゴン」のデザインを知り、それを気に入ってオーバールック・ホテルのカーペットデザインに採用した、という経緯が想像できます。著作権意識の薄かった1970年代ならで...

【上映情報】『2001年宇宙の旅』の日本での上映記録のまとめ

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ファンにはおなじみ、初公開時のポスター ●特別試写(MGM) 1968年4月9日(シネラマ) ※テアトル東京にて上映 ●プレミア上映(MGM) 1968年4月10日(シネラマ) ※テアトル東京にて上映 ●初公開(MGM) 1968年4月11日~9月18日(シネラマ/70mm) ※全国のロードショー館などで公開されたが、宇宙旅行を前面に押し出した一般家族向けとして宣伝されたため、多くの観客が内容についていけず困惑する事態が生じた ●凱旋興行(MGM) 1969年3月1日~4月4日(シネラマ/70mm) ※全国のロードショー館などで公開された。前回の公開の反省からか内容に即した大作SF物として宣伝された。前年の話題作だったが上映期間の短さからどの上映館も長蛇の列だったという 〜いわゆる「初公開」とは以上の期間までで、以下はリバイバル上映、再上映、企画上映、イベント上映、単館上映となる ●目黒区民センター上映(ココモシネテーク SF映画研究シリーズNo.1) 1976年2月25日(35mm?) ●リバイバル上映(CIC) 1978年10月28日~(シネラマ/70mm/35mm) ※1978年から1984年にかけて70mmや35mmで全国の数多くの映画館で上映された ※テアトル東京(1981年閉館)や大阪OS劇場(1991年閉館)などのシネラマ館でシネラマ上映された ●『2010年』との併映(CIC) 1985年5月11日~6月27日(35mm) ※続編である『2010年』と同時上映のため、インターミッションが省略された ●大阪OS劇場「さよならフェスティバル」(CIC?) 1991年2月4日~2月5日(シネラマ/70mm?) ●ニュープリント版(ヘラルド) 1995年2月3日~3月2日(35mm) ●京都みなみ会館「スタンリー・キューブリックの世界」(?) 1997年6月15日~6月21日(35mm) ※『ロリータ』『博士の異常な愛情』『現金に体を張れ』も上映 ●横浜シネマベティ(?) 2000年4月8日~28日(35mm) ●新世紀特別版(ワーナー) 2001年4月7日~5月18日(35mmの上映で70mmの1:2.2を再現) ●千日前OSスバル座「さよならフェスティバル」(ワーナー?) 2006年9月22日 (35mm?) ●新宿バルト9上映(ワーナー) 2007年2...

【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』の「人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)」パートの完全解説

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  映画レビューSNSサイトフィルマークスで『2001年宇宙の旅』のレビューを読んでいると、SF映画だから宇宙シーンから始まるだろうという先入観からか、最初の「人類の夜明け」パートで戸惑ってしまってそのまま集中力を切らしたまま鑑賞を終え、結局「難解」という結論に至ってしまう、という事例を見つけることができます。それもこれもキューブリックが映像重視の方針からナレーションを外してしまったからなのですが、実はこのパートがどういう意味なのかは「全て映像で説明」しています。ファンにとっては単なる蛇足でしかないと重々承知しつつ、新たな鑑賞者に向けてそれを解説してみたいと思います。尚、当然ですがネタバレしていますので、この記事は鑑賞後にお読みください。  「人類の夜明け」と題されたパート。太古の地球、おそらくアフリカ大陸であろう風景から物語は始まります。  茫漠とした砂漠に残された人類の祖先である猿人の骨。このように猿人たちは滅亡の淵に立たされていました。  猿人たちは草を食し、かろうじて命を繋いでいる状態です。バクと草を奪い合う始末です。  夜、猿人たちは寝ぐらで聞きなれない音に神経を尖らせています。  朝起きてみると目の前に「新しい岩(モノリス)」が屹立しています。明らかに人工物であるそれが一体なんなのか、誰がそれを置いたのか、一切の説明はありません。  初めは威嚇するも、好奇心を抑えられなくなった猿人はやがてモノリスに恐る恐る手を伸ばします。これは年老いたボーマンがベッドからモノリスに手を伸ばすラストシーンの伏線になっています。  月と太陽を背にするモノリス。このカットでモノリスは太陽がトリガーとなって動く装置であること、第二のモノリスが月にあることを示唆しています。ちなみに月面のモノリスも太陽がトリガーになっていることを示す同様のカットがあります。  何気なく骨を拾ってみる猿人。彼はやがて何かを思い出します。  それはモノリスに触ったことでした。このカットは「難解だ」「退屈だ」と散々の評価だったプレミア公開の後に、キューブリックが猿人の「気づき」にモノリスが関係していることを明確に示すため、急遽付け加えたものです。  骨を道具として使うことに気がついた猿人。「武器」という解釈もありますが、あえて「道具」としています。理由は後ほど。  肉食を覚え、飢餓を脱した猿人。...

【インスパイア】欅坂46 『Student Dance』のMVの衣装が『時計じかけのオレンジ』な件

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 アイドル+『時計じかけのオレンジ』と言えば、以前 こちら をご紹介しましたが、また随分とメジャーなアイドルが採り上げて来ました。  管理人はアイドルに関しては語るべき知識はまるでないので、ノーコメントとさせていただきますが、キューブリックファンとして言うなら、いつもと同じく「きっかけはどうであれ、キューブリック作品の認知が広がればそれはそれで嬉しい」です。キューブリックファンには今更な話ですが、欅坂ファンの方々のために元ネタの動画も貼っておきますので、興味があればぜひ映画もご覧ください。 2018年8月6日追記:歌詞を読むと「学校という管理社会に閉じ込められた私たちのアンチテーゼ」という内容で、そこから「時計の盤面の上で学校生活のワンシーンを踊る」というMVになったようです。つまり「管理社会」「アンチテーゼ」「時計」といったワードが『時計じかけのオレンジ』に結びついた、ということですね。