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【関連動画】『アイズ ワイド シャット』に使用されたリゲティのピアノ曲『ムシカ・リセルカタ』全曲の演奏動画

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 『アイズ ワイド シャット』で使用されたリゲティのピアノ曲『ムシカ・リセルカタ』(動画では『ムズィカ・リチェルカータ』)は「II」ですが、この動画の説明文によると「Mesto, rigido e cerimoniale / 悲しげに、粗く儀礼的に」とあります。11曲全曲通して聴くとそこまで難解な印象はありません。実はこの曲、1曲目が2音、2曲目が3音・・・というように使う音が増えていき、最後に12音全部使うというアイデアで構成されているのです。1曲目はドミナント(ラ)のみ弾き、最後にトニック(レ)を弾いて「今まで聴いていたのはドミナントだったのか!」と驚くという曲。2曲目は『アイズ…』で使われた曲ですが、まずはファとファ#の2音だけ使い、いきなり「ソ」を突っ込んでくるという曲。リゲティはこれを「スターリンの胸に突き刺すナイフ」と語っています。3曲目はC(ドミソ)とCm(ドミbソ)を繰り返すことによって諧謔性を表しているそう。あとはとてもわかりやすい解説動画がありましたので、 こちら をご覧ください。絵画でも詩でも古戦場(!?)でもなんでもそうですが、知識があって摂取するのと、なくて摂取するのでは全然違いますね。ぜひ生演奏を聴いたみたいものです。  ところでこの曲、サントラCDではドミニク・ハーランとクレジットされているのですが、それはピアノ演奏したのがドミニク(ヤン・ハーランの次男)というだけであって、作曲したのはリゲティです。誤解を招きやすい表記なので間違わないようにしましょう。

【名曲】トライ・ア・リトル・テンダネス(Try a Little Tenderness)

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キューブリックがローリー・ジョンソンに依頼してアレンジした『博士…』バージョン この曲を一躍有名にしたオーティス・レディングのバージョン スリー・ドッグ・ナイトのバージョン ロッド・スチュワートのバージョン  『博士の異常な愛情』のオープニングに使用された『トライ・ア・リトル・テンダネス』は様々なアーティストにカバーされていて、上記の他にビング・クロスビー、フランク・シナトラ、クリス・コナーなどもカバーしているようです。  歌詞は「男を若い女に取られた女性には、少しだけ優しく慰めてあげたらいい」という内容でとても思いやりに満ちた美しいラブソングなのですが、それを爆撃機の空中給油のシークエンスにかぶせるというセンスがいかにもキューブリックです。  この空中給油はよく性的な意味合いで語られる事が多いのですが、歌詞を読む限りもっと純粋で、切なく優しい歌ですね。エンディングで流れる『また会いましょう』もラブソングと簡単に語られてしまっていますが、これも別れの切なさの歌です。つまり、この曲はエンディングの伏線であり、対にもなっているのです。この手法はキューブリックが好んで使っていて、『突撃』の『ラ・マルセイエーズ』→『忠実な兵士』、『フルメタル…』の『ハロー・ベトナム』→『黒く塗れ』と同じです。  他の手法としては、劇中のキーになる曲を再度エンディングに使う(『2001年…』『時計…』『シャイニング』)、オープニングとエンディングが同じ曲(『バリー…』、『アイズ…』)と計3パターンに分類できます。この辺りの考察も今後記事にまとめたいと思います。

【名曲】ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)

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 『突撃』のオープニングで流れるフランス国家。よく「過激な歌詞」という話を聞くので wiki を見てみると・・・確かに過激。『突撃』はフランス軍の腐敗を扱った作品ですので、もちろんキューブリックはこの歌詞の意味を知った上で、皮肉としてオープニングに使ったのでしょう。  映画ではキューブリックのブロンクス時代の旧友、ジェラルド・フリードによってマーチにアレンジされたバージョンが使用されています。キューブリックはフランスや親仏国での上映が困難にならないように、パーカッションによる別の音楽も用意していたのですが、残念ながらその努力は実を結ばなかったようで、結局フランスやスイスでは上映禁止、ベルリンのフランス区域でも上映が禁止されたそうです。

【名曲】憎いあなた/ナンシー・シナトラ(Nancy Sinatra - These Boots Are Made for Walkin')

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  1966年に発表されたフランク・シナトラの娘であるナンシー・シナトラによるヒット曲。同年のビルボード・チャートで第1位を獲得した。歌詞の内容は「憎いあなた」などと可愛らしいものではなく、「ブーツは歩くためにあるものよ。その内あなたをこのブーツが踏みつけて行くかもね」とかなり挑発的で過激、浮気している男を懲らしめる内容になっている。まさにこのシーンの売春婦の挑発的な歩き方そのものだ。  『フルメタル・ジャケット』後半のベトナム・パートの最初のシーンで流れるこの曲。パイルの自殺シーンでジリジリとした緊張感を強いられていたところで、ここで一気に緊張が緩む。原作小説ではジョーカーとラフターマンがPX(米軍購買部)から映画館に行くシーンから始まるが、それではメリハリが弱いと感じたのか、売春婦とのくだらないやりとりを頭に持ってきている。

【名曲】ロリータ・ヤ・ヤ(Lolita Ya Ya)

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サントラ収録のオリジナル・バージョン 日本でもおなじみベンチャーズ・バージョン 謎なシェリー・ウィンタースのバージョン  『ロリータ』のテーマ曲として書かれたこの曲、映画用オリジナル曲としてはキューブリック作品中最大のヒット(アビゲイル・ミードが書いた『フルメタル・ジャケット』はサントラ収録用楽曲なので厳密には映画用オリジナルとは言えない)だったようで、様々なアーティストのカバー音源が残されています。  有名どころでは日本でもおなじみのベンチャーズ、ザ・クレバーズ、オーケストラ・デル・オロ、そして最大の謎バージョンなのが『ロリータ』の母親役だったシェリー・ウィンタースが歌ったもの。どういう経緯でこのバージョンが残されたのか知りませんが、なんともまあ珍妙な味わいですね。  因にこの曲にネルソン・リドルと並んでクレジットされているボブ・ハリスとはプロデューサーのジェームズ・B・ハリスの実弟です。どうやらハリスがキューブリックに頼んで採用してもらったそうです。

【名曲】ジェルジュ・リゲティ/レクイエムII キリエ(Gyorgy Ligeti - Requiem II Kyrie)

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 『2001年宇宙の旅』の進化のテーマ曲が『ツァラトゥストラはかく語りき』なら、モノリスのテーマ曲はこの『レクイエムII キリエ』でしょう。モノリスが登場したシーン(400万年前の地球、月面のTMA-1発掘現場、木星衛星軌道上)には必ずかかっています。(最後の白い部屋のモノリスは『ツァラトゥストラ…』のみ)  ジェルジュ・リゲティ作曲のこの『レクイエム』ですが『イントロイトゥス』、『キリエ』、『ディエス・イレ』、『ラクリモーザ』の4つのパートに別れていて、『2001年…』で使用されたのはこの『キリエ』の部分。全曲は ここ で聞けますが、是非全曲通して聴いていただきたい。キューブリックは『2001年…』以降、『シャイニング』と『アイズ…』で好んでリゲティを採用していますが、それも頷けるほど声楽隊の圧倒的な声量と比類なき個性的なメロディで強烈な印象を残します。圧巻です。

【名曲】アラム・ハチャトゥリアン/ガイーヌのアダージョ(Aram Khachaturian - Gayane's Adagio)

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 『2001年宇宙の旅』でジュピター・ミッションのパートの冒頭で使用されたアラム・ハチャトゥリアン作で、ロジェストヴェンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団の演奏によるもの。ディスカバリー号とその船内生活のシークエンスで叙情的、悲劇的に流されている。  このガイーヌのアダージョ、4幕によるバレエ曲だそうで、旧ソ連の共産主義思想の色彩がかなり強い。あらすじからいろいろ深読みはできそうですが、まずはこの探査旅行が悲劇的であるとの印象を与えたくて使用したと考えるのが順当でしょう。超有名な『剣の舞』もこのガイーヌの中の一曲。この曲があまりにも有名になりすぎてしまった事に関して、ハチャトゥリアン本人は「こうなると知っていたらこの曲は書かなかったよ」とぼやいていたそう。  でも『2001年…』ってこのあたりから眠くなるんですよね。で、気がついたら「ハル!ハル!」と叫ぶボーマンの声で目が覚めると。何度この失敗をしたことか(笑。

【関連動画】スー・リオン/ターン・オフ・ザ・ムーン(Sue Lyon - Turn Off The Moon)

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スー・リオンによるオリジナルの『ターン・オフ・ザ・ムーン』。邦題は『お月さま、あっちを向いて』 プリミティブズによるカバーの『ターン・オフ・ザ・ムーン』  1962年に『ロリータ』のロリータ役でブレイクしたスー・リオンですが、勢い余ってこんな曲をリリースしています。当時シングルで発売された映画のテーマ曲『ロリータ・ヤ・ヤ』のB面に収録されたこの曲(映画では使用されていない)、アメリカン・ポップス風味に単調なメロの繰り返し、しかもどうあがいても歌唱力があるとは言えない、微妙なボーカルが絡むなんとも味わい深い楽曲に仕上がっています。  公開当時15歳だったリオン嬢を想いつつ、ニンマリしながら楽しむべきなのでしょうが、2012年になって、80年代後半に活躍したイギリスのギター・ポップ・バンド、プリミティブズがカバーしたのにはびっくり。しかもシングルカットまで。こっちはビート感あるポップ・ロックになっていてなかなか。しかしトレイシー・トレイシー、年取りましたね。21年ぶりのフルアルバムだそうですから無理もないですけどね。

【名曲】ジョニー・ライト/ハロー・ベトナム(Hello Vietnam - Johnny Wright)

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Kiss, me goodbye and write me while I'm gone   Good, bye, my sweetheart, Hello Viet, nam. America has heard the bugle, call And you know it involves us, one an all I don't suppose that war will ever  end There's fighting that will break us up again. Good bye, my darling, Hello Viet nam A hill to take, a battle to be won Kiss me goodbye and write me while I'm gone Good bye, my sweetheart, Hello Viet nam. A ship is waiting for us at the dock America has trouble to be stopped We must stop Communism in that land Or freedom will start slipping through our hands.    I hope and pray someday the world will learn That fires we don't put out, will bigger burn We must save freedom now, at any cost Or someday, our own freedom will be lost. Kiss me goodbye and write me while I'm gone Good bye, my sweetheart, Hello Viet nam. さようならのキスをしておくれ、手紙を書くよ さようなら恋人、こんにちはベトナム アメリカは進軍ラッパ聞いた それは私たちのすべてを巻き込むのです 戦争は終わることはないでしょう また私たちを別つ戦争です さようなら最愛の人、こんにちはベトナム 戦いに勝つために丘を占領します さようならのキスをしておくれ、...

【関連動画】映画『アレクサンドル・ネフスキー』の『氷上の戦い(The Battle of the Ice)』

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 1938年公開のセルゲイ・エイゼンシュテイン監督のソビエト映画『アレクサンドル・ネフスキー』。高校時代、この映画で使用されたセルゲイ・プロコフィエフ作曲『氷上の戦い(The Battle of the Ice)』という曲をいたく気に入ったキューブリックはサントラLPを購入、それから何度も、何度も、何度も、何度も聴いたものだからついに妹のバーバラが発狂、怒ってキューブリックの頭でこのLPを割ってしまったという、なんともキューブリックらしいエピソードが微笑ましい(?)この曲ですが、映画の該当シーンの動画がYouTubeに上がっていたのでご紹介。  こんな曲を何度も聴かせられれば、バーバラじゃなくったってキレちゃいますよね。その頃キューブリック一家はアパート住まいだったのでこの音楽から逃れようがなかった筈ですし。この動画をリピート再生して当時のバーバラの気持ちを追体験してみるのもいいかも。確かに今で言う「中毒性」がありますね。

【名曲】威風堂々(Pomp and Circumstance March)

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威風堂々 1番 威風堂々 4番  『時計じかけのオレンジ』では、1番の中間部が内務大臣の刑務所視察の時、4番の中間部がアレックスのルドビコ研究所入所時に使われています。1番の中間部をエルガー自身が『希望と栄光の国』として編曲し、「イギリス第2の国歌」「イギリス愛国歌」と呼ばれる程親しまれているそうです。こういった経緯からこの曲はかなり保守的、愛国的な意味合いが強い事が分かります。キューブリックはそれを承知の上でこの曲を「国家主義の権力の象徴」のようにあえて皮肉っぽく使っているのですね。  そういえばたまにこの『時計…』が描く未来世界を「共産主義国家」と勘違いされている評を見かけます。オーウェルの『1984』と混同されているのかも知れませんが、明らかに「国家主義・全体主義的国家」ですね。そうでないとこの皮肉の意味が失われてしまいます。作家が属するグループが弱者の救済を標榜している点や、作家という職業を考えてみても、こちらが「共産主義者の反体制過激派グループ」でしょう。アレックスが風呂に入っている間に、作家が電話で話している口調が共産主義者っぽくなっているのも皮肉が効いていて笑うところなんですけどね。  キューブリック自身も 「アンソニー・シャープが演じた大臣は、明らかに右翼の人物だ。パトリック・マギーの作家は左翼の狂人だ。「一般人は指導され、制御され、強要されなければならない」と彼は電話に向かって熱弁する。「彼らはより安楽な生活のためにその自由を売り渡すだろう!」 (引用:ミシェル・シマン著『キューブリック』) と、ミシェル・シマンのインタビューで語っています。  まあでも国家主義も共産主義でも突き詰めて行くと違いが分からなくなる・・・とはよく言われる話ですが。キューブリックはどちらの思想にも与していないので、『博士…』の頃「どちら側からも攻撃された」と愚痴っていました(笑。そのキューブリックが共産主義丸出しの『スパルタカス』を撮ったんですからね、よく我慢したものです。

【名曲】幻想交響曲 第五楽章(Symphonie Fantastique〈Songe d'une nuit du Sabbat〉)

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 『シャイニング』のオープニングで使用されたのはウェンディ・カルロスによるアレンジ版ですが、上記はオリジナルの第五楽章です。作曲は17世紀に活躍したフランスの音楽家エクトル・ベルリオーズ。  第五楽章の『怒りの日』(3:30から)のパートが印象的にアレンジされていますが、この『幻想交響曲』、ベリオーズ自身の実体験を元にし、アヘンを吸いながら作曲したそうで、作者自身によって解説がされています。それによると、失恋により服毒自殺しようとしたがかろうじて一命をとりとめ、やがて新しく恋をする。だが失恋するのではという恐怖から彼女を殺害し、殺人罪で断頭台で死刑になり悪魔や魔女と響宴を繰り広げる・・・という内容。この第五楽章はこの「悪魔との響宴」の部分でタイトルは「ワルプルギスの夜の夢」。その狂気じみた激しい曲調はまさに『シャイニング』にぴったりですね。

【名曲】マスケッド・ボール(Masked Ball)

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 イギリス出身の女流ビオラニスト、ジョスリン・プークによる『マスケッド・ボール』、つまり『仮面舞踏会』というタイトルのこの曲、『アイズ ワイド シャット』で例の怪しげな儀式のBGMでナイチンゲールが演奏しているように使用されていますが、バックには意味不明な言語が流れています。これは聖書のヨハネ13、34章をルーマニア語を逆から詠唱した物だそうです。  まあ、また陰謀論者がいろいろ難癖をつけてきそうではありますが、これは純粋に劇伴音楽と考えてよさそうですね。キューブリックは『アイズ…』では具体的な宗教色、とくにユダヤ教を想起させないように腐心しています。そこで具体的な宗教を想起されにくい、意味不明言語と混沌としたメロディのこの楽曲を使用したのではないでしょうか。  アルバム『Flood』(1999)にはリミックス・ロング・バージョン収録です。このアルバムの『アイズ…』使用曲では他に『ミグレーション』がリミックスで収録されています。この曲は前作『Deluge』(1997)で既発表済で、こういった事実を繋ぎ合わせると『ミグレーション』を気に入ったキューブリックがプークに映画での楽曲使用をオファーし、プークは『アイズ…』用に『ナヴァル・オフィサー』、『ザ・ドリーム』、『マスケッド・ボール』を書き下ろし提供、その内『マスケッド・ボール』を自身のアルバムに再録した、という経緯が想像できます。  プークはその後映画のサントラ関係の仕事が多くなったようです。キューブリックと仕事をするというのはこういう事なんですね。その影響力、絶大です。

【名曲】モリー・マローン(Molly Malone)

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 『時計じかけのオレンジ』でホームレスがアレックスたちにリンチされる時に歌っていた歌がこの『モリー・マローン』。アイルランド・ダブリン市民の愛唱歌だそうで、かなり広く歌われているみたいです。特にアイルランド出身のアーティストでは定番曲となっているらしく、シンニード・オコナー、U2なんかもカバーしてますね。  1970年代当時、アイルランド人がロンドンでどういう立場だったかは詳しくは知らないのですが、政情不安だったアイルランドから隣国のイギリスに移民が流入し、そのいくらかはホームレスになっていたのかもしれません。それにアイルランド人といえば大酒飲みのイメージがありますし。  歌詞も簡単なのでワンフレーズくらい憶えてアイリッシュ・パブで歌ってあげたらウケるかも。ただ、どこでこの歌を知ったかは・・・言わない方か賢明かと思いますが(笑。

【考察・検証】『シャイニング』とジョン・レノンの『インスタント・カーマ』

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 キューブリックの映画版では単なる超能力、テレパシー程度の描写しかなく、あまり重要視されなかった『シャイニング』という概念について主に原作の観点から考察してみました。  スティーブン・キング自身が公言しているように、この「シャイニング」という言葉はジョン・レノンの『インスタント・カーマ』の歌詞「Well we all shine on  Like the moon and the stars and the sun(そうさ私たちは輝けるさ、月のように、星のように、そして太陽のように)」が着想源です。「カーマ」はサンスクリット語で「業」を意味しますが、業の概念が分からないキリスト教圏の人間であるキングは、このカルマという言葉を「因果」と解釈しています。つまり小説『シャイニング』で語られる、オーバールック・ホテルに集う人間たちが積み重ねて行った悪行、「負の因果の繰り返し」の事です。そのカルマ(負の因果)に対抗できる唯一の(キリスト教的な)聖なる光がダニーの持つ「シャイニング」だとキングは理解し、小説のアイデアの中心に据えたのです。  この『インスタント・カーマ』の歌詞を、なるべく『シャイニング』の世界観に準じ、ダニーの視点で訳してみました。 お手軽な因果がパパを狙っている パパの頭の中に入り込もうとしてる よくよく自分自身を見つめないと すぐに死はやってくるよ いったい何を考えているの 愛を笑いとばして いったいどういうつもりなの それはパパ次第なんだ お手軽な因果がパパを狙っている パパの顔をじっくりとのぞき込んでる 愛する人のことをよく考えて 人類に生まれたことを楽しんで 世界には色々あるんだってことを知って バカみたいだと笑ってもいいから いったいどういうつもりなの そうだよ、パパは確かに スーパースターだよ そうさ、ボクたちは輝けるんだ 月のように、星のように、そして太陽のように そうさ、みんなが輝ける さあ、みんな! お手軽な因果がパパを狙っている パパを完全に打ちのめす みんな仲間だってことに気がついて 僕たちはどうしてここに存在しているんだろう 苦痛や恐れで生きているんじゃないんだ パパならどこにでも行けるのに どうしてそんなところにいるの こっちに来て、みんなで分かち合おうよ そうさ、ボクたちは輝けるんだ 月のように、星のように、そして太陽のよう...

【名曲】ホ短調 三重奏曲 作品100/フランツ・シューベルト(Piano Trio in E Flat, Op.100 / Franz Schubert)

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 『バリー・リンドン』で『ヘンデルのサラバンド』</a>と同じくらい繰り返し用いられた主題曲のひとつ。フランツ・シューベルト最晩年の曲のひとつで1828年にウイーンで書かれたもの。暗く、悲壮感が漂っていますがそれもそのはずで、この時すでにシューベルトは死に至る病(腸チフスとも梅毒とも言われている)に冒されてました。  1828年といえば『バリー…』の時代設定の18世紀と時代が違ってしまいます。実はキューブリックは作中の使用楽曲全て18世紀の音楽でまかなおうとし、片っ端からレコードを聴いたそうですが、どうしても思ったような「悲劇的でロマンティック」な曲が見つけられず、仕方なく19世紀に書かれたこの曲を採用したそうです。

【名曲】バッド・バッド・シング(Baby Did a Bad Bad Thing)

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 『アイズ ワイド シャット』で採用された1995年発表のクリス・アイザックの『バッド・バッド・シング』。キューブリックがこんなブルージーな曲を採用したのに驚きましたが、オリジナルのPVを観るとなるほど、これはエロいですね。劇中でも予告編でも使用されたこの曲、撮影時にも雰囲気を盛り上げるために流されていたそうで、そういえばキッドマンがおしりを振る仕草はリズムを取っているように見えます。  ブルース、と書きましたがジャンルはロカビリーだそうです。まあロカビリーはブルースやR&Bの白人的解釈ですから間違ってはいないですが、ヘアスタイルはそういえばロカビリーですね。俳優としても有名だそうです。

【名曲】忠実な兵士(Der Treue Husar)

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 『突撃』のラストシーンで捕虜の少女が兵士に向かって涙を流しながら歌っていた歌。原曲は歌詞が12番まであって、機械翻訳にかけたところ「忠実な騎兵に恋人がいたが、重い病気の恋人を残し彼は外国に向かい・・・」といったかなり悲劇的な内容です。ただ、この曲はいくつかバージョンがあるらしく、上記のような明朗快活なマーチのアレンジや、ジャズ・アレンジで演奏していたりしています。また、あの『また会いましょう』のヴェラ・リンが『Don't Cry My Love』として翻案していますが、歌詞はかなりアメリカンなラブソングとなっています。映画のエンディングでもマーチバージョンが使われています。  ドイツ・サッカーが好きな方にとってはFCケルンのアンセムでもあるみたいです。ケルンはこの曲の作詞者カスパル・カール・フォン・ジョセフミュリウスの出身地だからでしょう。こういった事情を知るとドイツではかなりメジャーな楽曲だということが伺えます。  もちろんこの『突撃』で歌っている少女はキューブリックの三番目の奥さんクリスティアーヌ・スザンヌ・ハーラン。「少女」と言ってますがこの時すでに20代半ばで子持ちのバツイチでした。キューブリックがCMに出ていた彼女に一目惚れしたというのも有名な話ですね。

【名曲】夜のストレンジャー(Strangers in The Night)/フランク・シナトラ

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 『アイズ ワイド シャット』で使用されたフランク・シナトラの名曲『夜のストレンジャー』ですが、あまりこの曲について語られていないようなので少し考察を。劇中で使用されるのはインストルメンタルバージョンですが、このメロディを聴いてこの歌詞を思い浮かべない人はいないでしょう。「夜に出会った知らない者どうしが恋に落ち、熱い抱擁とダンスを踊る。知らないものどうしだから恋は上手くいった」という内容のラブソングです。  ただ『アイズ…』ではとても皮肉な使われ方をしています。そう、例の乱交パーティーの後のダンスシーンです。これでは見知らぬもの同士の恋などというロマンチックさの欠片も無く、まさしくタイトル通り「奇妙な人たちの夜」になってしまっています。仮面を被り、顔を見せない代わりに全裸でチークしているわけですからね。でも、ある意味では正しいかも知れません。「知らないもの同士だから恋(セックス)は上手くいった」わけですから。(キューブリックってこういうダブルミーニングが本当に好きですね)この事だけでも『アイズ…』が挑発的で皮肉に満ちた物語であることが良くわかりますね。

【名曲】ジョニーが凱旋するとき(When Johnny Comes Marching Home)

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 『博士…』でコング少佐のB-52のシークエンスには必ずかかっているマーチ。なんだか勇ましいようで、ちょっと腰砕けな感じもあり、なんだか微妙ですが、それもそのはず  19世紀後半に勃発した南北戦争の北軍の帰還兵を迎えるために、アイルランド出身の作曲家パトリックがアイルランドの古い反戦歌“Johnny I Hardly Knew Ye”からメロディーを用いて新たに詞をつけたものとされている。マーチ曲は勇ましく、テンポのいいものが多い。しかし、これは南北戦争という悲惨な内戦を歌っているものなので、悲壮感の漂う曲となっている。 ( 引用:ジョニーが凱旋するとき/Wikipedia )  だそうです。まあ、単機で敵のICBMサイトに突っ込むわけですからそれは悲壮ですよね。上記のバージョンはけっこう力強くていい感じ。あえてああいう風にアレンジしたのはキューブリックが意図的にしたのでしょう。なにせ核爆弾投下→全世界滅亡で、凱旋する故郷なんて存在する訳ないですからね。