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【ブログ記事】スケジュールも予算も守れず、際限なくテイクを繰り返すキューブリックは「無能監督」か?

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Stanley Kubrick(IMDb)  キューブリックは『時計じかけのオレンジ』以降の作品を全てワーナー・ブラザースの資金提供で製作していますが、それはワーナーが映画の内容と予算とスケジュール管理をキューブリックに一任するという、映画監督としては「破格の条件」を提示していたからで、例えば脚本や撮影中のラッシュフィルムを見せる見せないや、初号試写などもキューブリックの裁量で自由にできました。つまりワーナー側からすれば「キューブリックのやることに一切口出しできない」という、かなり不利な条件を呑んでいたということになります。それは裏を返せば「キューブリック作品は必ず利益を生む」という信頼であり、そしてキューブリックはほとんどの作品でその信頼(利益を出すこと)に応え続けていました(『バリー・リンドン』はかなり厳しかったようですが)。これは現在においてもスタジオ側がこれだけ映画監督に裁量権を与えることはなく、非常に稀有な例と言えるもので、この点を理解しておかないとキューブリックの映画製作のスタンスを完全に見誤ってしまいます。  例えば「テイクを際限なく繰り返すのは監督があらかじめビジョンを確立していないから」「スケジュール管理ができていない監督なんて無能」という批判です。これは、スタジオ側(出資側)に映画製作の権限を握られている場合には当てはまりますが、キューブリックの場合には当てはまりません。なにしろ何をどう撮ってどれだけ時間をかけるかはキューブリックの自由なわけですから、予算とスケジュールに縛られる一般の映画監督とは立場が全く異なるわけです。確かに監督がその作品のビジョンをあらかじめ確立しておき、予算やスケジュール通りに撮るというのは優秀な監督の条件ではありますが、それは予算やスケジュール、もっと言えば出資者側の(映画の内容に立ち入る)横槍にも振り回されるということであり、それはもう作家ではなく単なる専門職ということになってしまいます。つまりその認識だと「優秀な映画監督」とは「優秀な専門職人」であると言っているのと同義です。  もちろんどんな映画監督でも専門職人ではなく「作家」でありたいと努力しているとは思いますが、出資者側の権限が強い映画界では「ただの専門職」に成り下がってしまっているのが現状です。そんな映画界の悪しき常識の範疇でしかキューブリックを語れない(また...

【関連記事】スタンリー・キューブリックが『シャイニング』の制作中に住んでいた英国の邸宅が900万ドルで売りに出される

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キューブリック一家が居住していた当時のアボッツ・ミード  まさにセントラルキャスティングから出てきた物件です。  スタンリー・キューブリックがかつて住んでいたハートフォードシャーの邸宅―彼が『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』などの作品を制作した場所―が、約900万ドル(12億円)という破格の価格で売りに出された。  アボッツ・ミードとして知られる8ベッドルームの英国邸宅は、ロンドン郊外エルストリーのバーネット・レーンに位置している。金曜日に送られた不動産会社からのリリースによると、サヴィルズが販売している。   ニューヨーク生まれの故キューブリックは1965年にこの土地を購入し、14年間をそこで精力的に制作活動に費やしました。そして1999年に亡くなりました。  エルストリー・スタジオのすぐ近くにあるおかげで、この隠遁生活を好む映画監督は、緑豊かな2エーカーの敷地を離れることなく、制作や編集から特殊効果の開拓まで、あらゆる作業を管理することができました。  「豊かで多様な歴史を持つ素晴らしい住宅を数多く販売できることは、私たちにとって大変幸運なことです。しかし、映画撮影のロケ地として使われた場合を除き、これほど映画制作と直接的なつながりを持つ物件は稀です」と、サヴィルズ・リックマンスワースのオフィス責任者、スティーブン・スペンサー氏は声明で述べています。   スペンサー氏はさらに、「エルストリー・スタジオに近いことがキューブリック氏とその家族にとって完璧な拠点となりましたが、キューブリック氏は自宅で多くの仕事をし、スタジオ内で彼の並外れた作品群のうち4本の映画のあらゆる側面を注意深く管理していました」と付け加えました。 (引用: THE NEW YORK POST/2025年5月23日 )  キューブリックが『2001年宇宙の旅』〜『シャイニング』の制作中に住んでいた英国の邸宅「アボッツ・ミード」が900万ドル(約12億円)で売りに出されているそうです。内装は当時と変わっていると思いますが、記事には室内写真がいくつか。それに当時はプールはなかったはず。  キューブリックはそれまでたびたび映画製作のためロンドンは訪れていましたが、あくまで拠点は自身の出身地であるニューヨークでした。(ハリウッドが嫌で舞い戻ってきていた)。で...

【関連記事】ルック誌1948年5月号に掲載された「カメラマン スタンリー・キューブリック」の紹介記事

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ルック誌1948年5月号に掲載 19歳にしてベテランカメラマンとなったスタンリー・キューブリックは、若さを熱意で補う  コロンビア大学の著名な教授陣や役員たちは、押し付けられることに慣れていなかった。では、この10代の下っ端の若者が彼らに何をすべきかを指示されるとはどういうことなのか?  経験豊富なカメラマンなら誰でもそうであるように、スタンリー・キューブリックは自分が何を望んでいるのかを正確に知っていた。要人たちのいらだたしいつぶやきも、この物静かで茶色い目をした若者を動揺させることはずっと前からできなかったのだ。2週間、スタンリーは大学のキャンパスで仕事に精を出し、25ページから33ページにかけてドン・ウォートンの記事に掲載されているコロンビアの素晴らしい写真記事を撮影した。  19歳のスタンリーは、ルック社の写真スタッフとして2年の「ベテラン」である。そして、1946年にブロンクスの高校を卒業する前から、彼は実直に撮影した写真をルック社に売っていた。  スタンリーがスタッフに加わると、同僚の写真家たちは、彼が仕事に集中していることにすぐに気づいた。友好的な協力の精神で、彼らは「スタンリーを育てる会」を結成し、スタンリーに鍵、メガネ、オーバーシューズ、その他の雑多な小物を忘れないように注意するよう呼びかけた。  この緩やかに組織された顧問団の微妙な影響により、この若者の服装の好みも明らかに変化した。かつては10代のトレードマークであるサドルシューズ、ラウンジジャケット、スポーツシャツを好んで着ていたスタンリーは、今ではグレンチェックのビジネススーツと白いシャツを好んでいる。  しかし、写真への熱意は変わらない。余暇にスタンリーは映画撮影法を試し、ドキュメンタリー映画を制作できる日を夢見ている。  この若者はこれからも鍵を忘れるかもしれないが、写真に関しては、スタンリーは成長するのに助けを必要としないのだ。  この頃からキューブリックはキューブリック、ですね。天才と言われる人は誰しもそうだと思いますが、キューブリックも集中力と観察力がずば抜けていました。その反面、鍵を忘れるなど簡単な行動でポカをしてしまう、というのも天才肌の人でよく聞くエピソードです。  服装についてはキューブリックは無頓着だったので、周りの大人が言うことを素直に訊いていたのでしょう。天才肌だが素...

【ブログ記事】11人の映画監督がスタンリー・キューブリックを語る

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「キューブリック作品1本は、他の誰かの映画の10本に匹敵します。キューブリック作品を観るのは山の頂上を見上げるようなものです。見上げながら『どうしたらあんなに高い所に登れるのだろう』と思うのです」〜マーティン・スコセッシ 「この人には沢山傑作があるけど、この作品(『バリー・リンドン』)はローソクの明かりで感度の良いフィルムと特別なレンズで撮影したらしいんだ。それが素晴らしい、とても綺麗な画面でね。成功しているからね、その試みが」〜黒澤明(引用:文藝春秋編『夢は天才である』) 「スタンリー・キューブリックは私の大好きな映画監督の一人です。彼は私のキャリアの初期にとても名誉なことをしてくれて本当に励みになりました。私は『エレファント・マン』の制作中、イギリスのリー・インターナショナル・スタジオの廊下に立っていました。『エレファント・マン』のプロデューサーの一人、ジョナサン・サンガーがジョージ・ルーカスと一緒に仕事をしていた何人かの男たちを連れてきて、「彼らが君に話があるそうだ」と言いました。私は「わかりました」と言いました。彼らは「昨日私たちはエルストリー・スタジオにいて、キューブリックに会いました。彼と話していると、彼は『今夜私の家に来て、私の好きな映画を観ないか?』と言いました。私たちは「それはいいね」と言いました。私たちは上階に行き、キューブリックは『イレイザーヘッド』を見せてくれました」その瞬間、私は安堵し、幸せになることができたのです」〜デビッド・リンチ 「『2001年宇宙の旅』のカットを見れば、この大きな飛躍がわかります。それを実現するには実に膨大な自信が必要です。自分の作品でそのようなことをやりたいのか? はい。でも、私にはそんな自信はないと思います。だからこそ、スタンリー・キューブリックはただ一人しかいないのです。彼は真似できない存在だと私は信じています。でも、インスピレーションを受けることはできます。その自信を持てるよう、インスピレーションを受けることはできるのです」〜クリストファー・ノーラン 「彼は偉大な監督だが、まだ偉大な映画を作っていない。私が彼に見るのは、彼のすぐ前の世代の偉大な監督、つまり(ニコラス・)レイや(ロバート・)アルドリッチなどが持っていない才能だ。おそらくそれは彼の気質が私に近いからだろう」〜オーソン・ウェルズ 「スタンリー・キュ...

【関連動画】スピルバーグが1999年の71回アカデミー賞で述べたキューブリックへの賛辞

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He wanted to take us places we could never have imagined, and so he imagined them for us.He is Stanley Kubrick. He died before he could witness the century he had already made famous with 2001: A Space Odyssey.Stanley wanted us to see his movies absolutely as he envisioned them. He never gave an inch on that.He dared us to have the courage of his convictions, and when we take that dare we’re transported directly to his world and we’re inside his vision. And, in the whole history of movies there’s been nothing like that vision… ever. It was a vision of hope and wonder, of grace and of mystery.It was a gift to us, and now it’s a legacy. We will be challenged and nourished by that as long as we keep the courage to take his dare, and I hope that will be long after we’ve said our thanks and our goodbyes.  彼は想像もできなかった場所に私たちを連れて行きたかったので、私たちのためにそれらを創り上げました。彼の名はスタンリー・キューブリックです。  彼は『2001年宇宙の旅』ですでに有名になった世紀を目撃する前に亡くなりました。スタンリーは私たちに自身の映画を自分が思い描いたとおりに観てもらいたいと考えていました。彼はそれについては一歩も譲りませんでした。彼は私たちに自分の信念を...

【関連書籍】スタンリー・キューブリック監督が登場するタイムトラベルSF小説『ピノキオは鏡の国へ』を読みました

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著者の津田ゆうじ様よりご提供いただきました。ありがとうございました  黒木探偵に持ち込まれた「私を探しますか?」と微笑むスマホ映像の美少女。同じ顔の少女が大正時代の古い写真の中にもいた。二つの時代に同じ少女。この謎から、全てが始まる。意図を持って刷り込まれる映像の「魔」。仕組まれた洗脳装置は映画だった。映像が、人々を最悪の世界へコントロールする。映画オタクの天才美少女、蟻亜三久がその謎に挑む。相棒は、前作『ピノキオは死を夢みる』のゾンビ男、火野時生。あのスタンリー・キューブリックが映画に隠した謎。様々な映画に隠された洗脳装置。そして巨悪は…第三帝国の男。映像に潜むマインドコントロールを暴け。二人は時空を超え、究極のゲームに挑んで行く。 (引用: 『ピノキオは鏡の国へ 』津田ゆうじ 著(Amazon) )  おおまかにプロットを説明すれば「JKがゾンビ男とコンビを組み、タイムマシンを駆使して世界を救う話」となるでしょうか。時代も場所もあちこちに「飛び」、その「飛んだ先」での大活躍で二人は世界を(日本を)救おうとするのですが・・・そう簡単にはコトは運ばず、ありとあらゆる試練が行く先々で待ち受けています。いわゆるタイムトラベルものとして、タイムパラドックスは当然絡んできますし、歴史上の人物も続々登場します(ナチスドイツの面々は特に)。その登場人物の中にキューブリックがおり、「スタンリー・キューブリック監督に現代のJKが会いに行く」というくだりがあります。  実はこの小説、全編に映画の引用や解説(裏話)が散りばめられていて、その種類も古今東西かなりの分量があります(映画ファンなら楽しめます)。で、その解説に一番文章を割いていたのがキューブリックなんですね(著者は大ファンなのだそう)。もちろんキューブリックとJKが会った、などという事実はなく完全な創作なのですが、虚実取り混ぜた「会談シーン」はファンならニヤニヤできること請け合いでしょう。  最近話題になったクリストファー・ノーランの『オッペンハイマー』でも問題提起されていたように、この小説の中心には「核問題」があります。それはプロローグからも示唆されているし、核を巡るまるでスパイ小説のようなスリリングな展開(もしナチスドイツが核兵器を手に入れていたら)もあって、読むものを飽きさせません。  読み終わって感じたのは「アニメ化す...

【関連記事】「彼はプロジェクト全体を消し去った」・・・スタンリー・キューブリックが誰にも読ませたくなかった本が出版へ

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 完璧主義者であったスタンリー・キューブリック監督。彼の映画の欠点についてあえて論じた評論が出版されることになった。  映画史に残る名作の数々を監督した容赦ない完璧主義者スタンリー・キューブリックは、1970年、自身の映画の欠点を論じた本の出版を阻止するため、法的措置を取ると脅すほど批判に敏感だった。『スパルタカス』や『2001年宇宙の旅』の監督は、この本の著者と出版社に対し、出版を阻止するために「徹底的に戦い」「あらゆる法的手段を駆使する」と警告した。そして、彼の死後25年経った今、キューブリックが誰にも読ませたくなかった本が、半世紀以上遅れて出版されようとしている。 〈以下略〉 (引用: The Guardian.com/2024年4月21日 )  1970年といえばキューブリックは『ナポレオン』の企画を通そうと必死になっていた頃です。キューブリックはこの『ザ・シネマ・オブ・スタンリー・キューブリック』の出版には自分の了承が必要であると契約に明記しており、それを行使したとのことです。記事中ではこの本のどこにキューブリックが「容認できない」とNGを出したのか明確にはわかっていませんが、おそらく『ロリータ』に関しての部分では?とのこと。その内容は 「あまりにも多くの点で、原作を浪費し、貧しくし、ありきたりにし、その複雑さ、ニンフェティズム、エロティシズムを奪っている」 と批判していますが、著した当人は 「脚色された映画版は、原作小説に対する無意味な裏切りだと思った。しかし、私はキューブリックの他の作品のほとんどに大きな賞賛を表明している」『2001年宇宙の旅』を 「偉大な業績 」とし、キューブリックの1957年の第一次世界大戦映画『突撃』を 「酔わせるような洗練された映像の映画 」と評している。 と困惑気味です。  キューブリック研究者のフィリッポ・ウリビエリ氏(管理人は彼の協力者の一人です)によると 「キューブリックの弁護士とニールの出版社とのやりとりを読むと、非常にショッキングだ・・・キューブリックは自分の映画を賞賛する本を望んでいたが、ニールの本はそうではなかった。それまでの彼の映画は、特にニューヨークでは批判的な批評家もいたが、肯定的に評価されていた。だから、彼は完全に肯定的な本を必要としていた」「キューブリックの映画について非常に正確で偏りのない見方を提供...

【関連記事】スタンリー・キューブリックの映画で最も高い興行収入を記録したトップ10

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 スタンリー・キューブリックは監督業で13本の長編映画を撮っただけですが、そのほとんどが今日名作として語り継がれており、映画全体に与えた影響は否定できません。特に晩年の数十年間は、この13本がすべて47年のスパンで公開されたように、彼は臆することなくじっくりとプロジェクトに取り組んみました。キューブリックは決して大衆受けする映画や大作を作りたがりませんでしたが、それでも彼の作品のほとんどは興行的に成功を収めました。  以下は、彼のフィルモグラフィーの中で最も興行収入を上げた10作品です。最初の3作品(『恐怖と欲望』『非情の罠』『現金に体を張れ』)は興行収入のデータを見つけるのが難しいため、基本的に除外しています。同様に彼の初期の映画は、彼の後期の映画ほど興行収入に関するデータが多くなく、合計値は分かりやすくと考えインフレ調整されていません。いくつかの数字は疑ってかかるべきですが、できるだけ簡潔かつ単純に、ここにスタンリー・キューブリックのトップ10を提示します。 〈以下略〉 (引用: COLLIDER.com/2024年2月7日 )  前文にある通り、インフレ調整なしに単純に興行収入成績順に並べただけだそうです。まあでも「だいたいそんな感じなんだろうな」というのはわかりますね。1位は意外かもしれませんが、1999年頃になると新興国や途上国でも映画が気軽に観られるようになったことと、トム様人気の影響が大きいのではないでしょうか。それを考えると1968年公開で2位の「稼ぎ」は凄いと思います。 では、順位をどうそ。 10位:『突撃』 興行収入:120万ドル 9位:『ロリータ』 興行収入:920万ドル 8位:『博士の異常な愛情』 興行収入:920万ドル 7位:『スパルタカス』 興行収入:1,700万ドル 6位:『バリー・リンドン』 興行収入:3,150万ドル 5位:『シャイニング』 興行収入:4,730万ドル 4位:『時計じかけのオレンジ』 興行収入:1億1,400万ドル 3位:『フルメタル・ジャケット』 興行収入:1億2000万ドル 2位:『2001年宇宙の旅』 興行収入:1億4,600万ドル 1位:『アイズ ワイド シャット』 興行収入:1億6,210万ドル

【関連商品】スタンリー・キューブリック公式『Stanley Kubrick Store』の配送地域が全世界に拡大。日本からも注文OK

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 日本ではあまり知られていませんが、2019年に公式が運営するECサイトがオープンし、キューブリック作品のアイテムを販売していたのですが、配送地域に日本が含まれていなかったため、これまで積極的に記事にしていませんでした。ですがついに全世界への配送が可能になったようです(日本への配送は£9.97)。  『Stanley Kubrick Store』と銘打ったこの公式ECサイト。今のところ扱う作品は『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』のみです。また版権・肖像権の問題からかデザインも映画のシーンの流用ではなく、オリジナルで起こされているものが多いので、その点を微妙に感じるかもしれません。それでもキューブリック存命中は頑なに自作の商品化を拒んでいたわけですから、進歩は進歩ですね。  過去、様々なファッションブランドがキューブリックコラボアイテムを発売してきましたが、最近は鳴りを潜めています。日本のブランドではサンキューマート、GU、ユニクロが低価格でキューブリックコラボを発売して話題になりました。公式が充実してしまえばそういったコラボが実現しにくくなってしまうのかもしれませんが、ぜひまた各ブランドさんには再度のコラボをお願いしたいですね。  『Stanley Kubrick Store』は こちら 。

【ブログ記事】1999年3月7日スタンリー・キューブリック監督の逝去に当たり、当ブログ(当時個人ホームページ)に寄せられたファンの追悼メッセージ集

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 1999年3月7日、スタンリー・キューブリック監督は突然スターチャイルドになってしまいました。その時の衝撃は今でも忘れることはできません。以下のメッセージはその突然の訃報に接し、急遽設けた追悼用の掲示板(BBS)に書き込まれたファンのメッセージです。これらは全てをプリントアウトし、ワーナーブラザーズに郵送させていただきました。ワーナーからは「遺族に伝えたいと思います」という内容の丁寧なお礼のメールが届いたことを、当時のホームページ上でご報告させていただいた記憶があります。  それから24年が過ぎた現在、キューブリックをリアルタイムで知る方達が鬼籍に入りつつあります。それと入れ替わるようにキューブリックをリアルタイムで知らない世代(存命時には生まれていたが、存在を知ったのが逝去後)が「リアルタイム世代が知っているキューブリック像とは異なるイメージ」を語るようになってきました。もちろん現在キューブリックは存命していないので、存命当時の「生きているキューブリック像」を彼らは語りようがないのですが、それもこれも「悪しきキューブリック伝説(デマ)」が、(アクセス集めを目的に)あまりにもネットに流布され続けたためだと危惧しております。  この「当時のファンの追悼メッセージを公表する」という試みは、そんな「悪しきキューブリック伝説」を少しでも訂正したいという意図があります。もちろんお名前は伏せ字にさせていただいておりますが、メッセージの内容の著作権は書き込まれた方ご本人にあります。もし「メッセージを公表しないでほしい」という方がいらっしゃいましたらご一報ください。削除対応させていただきますので。  なお、管理人のログ管理がズボラであったため、全メッセージを保存できていなかったことをお詫びいたします。本当はこの2~3倍くらいあったのですが・・・。申し訳ございません。 3月7日に亡くなった、スタンリー・キューブリックについてご記帳ください。 (※掲示板の設置日:1999年3月9日) ------------------------------------------------------------------------ (無題) 投稿者:k***** 投稿日:03月09日(火)19時44分39秒  ショックです。 監督が創造する近未来がとても好きでした。 いつみても新...

【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』公開直後のキューブリック本人によるラストシーンのネタバレコメント

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"What happens at the end of the film must tap the subconscious for its power. To do this one must bypass words and move into the world of dreams and mythology. This is why the literal clarity one has become so used to is not there. But what is there has visceral clarity. It is for this reason that people are responding so emotionally. The film is getting to them in a way they are not used to. Obviously, in making the film we had to have some specifics in order to design, build and shoot. This has no value to the viewer even if he thinks otherwise."Here is what we used for planning:"In the Jupiter orbit, Keir Dullea is swept into a star- gate. Hurtled through fragmented regions of time and space, he enters into another dimension where the laws of nature as we know them no longer apply. In the unseen presence of godlike entities, beings of pure energy who have evolved beyond matter, he finds himself in what might be described as a human zoo, created from his own dreams and...

【関連記事】キューブリックに直接会ってインタビューを敢行した数少ない(唯一?)の日本人、映画評論家の河原畑寧(かわらばた・やすし)さんが逝去されました

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ジェローム・アジェルの『メイキンク・オブ・2001年宇宙の旅』の原書(左)と訳本(右)  映画評論家の河原畑寧(かわらばた・やすし)氏が4日、肺がんのため死去した。88歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻、設子さん。  東京大学卒業後、1957年に読売新聞社入社。69年から映画評を担当し、カンヌを始めとする数多くの国際映画祭も取材した。94年の定年退職後は映画評論家として活動。2017年に日本映画ペンクラブ賞と「映画の日」特別功労章を受けた。著書に「映画への旅」がある。 (引用: 読売新聞/2023年2月07日 )  キューブリックファンには馴染み深い、映画評論家の河原畑寧さんが逝去されました。故人のご冥福をお祈りいたします。  河原畑さんといえば、ジェローム・アジェルの『メイキンク・オブ・2001年宇宙の旅』(上記画像)で唯一紹介されている日本人の評の執筆者として有名です。初公開時に作品の本質を見事に言い当てているのはさすがですね。この件に関して、同じくキューブリックファンには忘れらない映画評論家の石上三登志氏は「当人は(掲載の事実を)知らなくて僕が教えた」「悔しかったよ、もう。笑」と羨ましがっていました。  その河原畑さんは、キューブリック本人に直接会ってインタビューを敢行した数少ない(唯一である可能性も)日本人です。そのインタビューはイメージフォーラム1988年6月号に掲載されています。キューブリックが河原畑さんのインタビューを受ける気になったのは、『メイキング…』での好意的な評が影響したのではないかと想像しています。キューブリックは意外と評価や評判を気にする人なので。  河原畑さんのような「『2001年…』リアルタイム世代」が次々に鬼籍に入るのは年代的にしかたがないこととはいえ、とても寂しい限りです。現在の若い映画ファンはキューブリックをリアルタイムで知らないせいか、神格化するか鬼畜扱いするかの二極化が進んでいるような気がします。私たちのような「キューブリックリアルタイム世代」がなるべく正しいキューブリック像を伝え、残していくことはますます重要になってくるでしょう。河原畑さんのお力には及ぶべくもないですが、私もソースに基づいた正しい情報発信を肝に銘じつつ、河原畑さんへの感謝と哀悼の意を表したいと思います。

【関連記事】スタンリー・キューブリックがすべてのシーンで30回以上のテイクを重ねた理由はこれだ

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撮影中に俳優と話し合いながらシーンを決めていくキューブリック。 Stanley Kubrick(IMDb)  スタンリー・キューブリック監督の狂気の沙汰には、何か意図があるのだろうか?  スタンリー・キューブリックは完璧主義者だという噂が業界内で広まっていました。キューブリックに「自分は完璧主義者だと思うか」と問えば、おそらく彼はそのレッテルを拒否しながら嘲笑うでしょう。  キューブリックが求めていたのは、1つのシーンの完璧さのために何度も撮影することではありませんでした。それは、彼の監督としての手法でしかありません。俳優の演技を引き出すために何度も何度もテイクを重ねる監督の話を聞いたことがありますが、キューブリックの手法は本質的にそれです。 〈中略〉  キューブリック監督が何度もテイクを重ねるのも、あるシーンから何を得たいかを見出した結果です。漠然としたイメージはあっても、テイクを重ねることで、ストーリーやカメラワーク、俳優の演技に肉付けがされることをキューブリックは見出していました。  キューブリック監督は、自分が何を伝えたいかを追求する一方、何がベストかを考える監督ではなく、キャストとスタッフが協力してシーンを成立させることを望んでいました。キューブリック監督は、俳優たちに選択肢を与えず演技を発展させるよう促しましたが、自分が何を望んでいるかを明示することはありませんでした。なぜなら、彼は俳優やスタッフの技術を形成する方法を知っているとは思っていなかったからです。  何度も撮影することは、キューブリックが 「完璧なショット 」にこだわる残酷な監督であることを意味するものではありません。むしろ彼は、最初の数ショットでは存在しなかったような、成熟して非凡なものに発展するようなテーマやアイデアを構築したかったのです。  監督は、シーンを何度も撮影することで、最初は気乗りしなかった俳優から多くのことを引き出すことができます。俳優にとって、ほとんど指示なしにテイクを重ねるのはフラストレーションがたまるものですが、その中で自然にセンスが働くような感覚やエネルギーを見つけることなのです。  もし、プロジェクトでうまくいかないシーンがあったら、怖がらずに、自分が正しいと感じるまで何度もテイクを試してみてください。そうすれば、あなたのストーリーに必要なエネルギーや、キャストの演...

【関連記事】関係者が語る「偉大なる熱血映画小僧」スタンリー・キューブリックのエピソード集

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Stanley Kubrick(IMDb)  〈前略〉 レオン・ヴィタリ (『バリー・リンドン』『アイズ ワイド シャット』俳優、『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』パーソナルアシスタント、『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』キャスティングディレクター):スタンリーが引きこもりだという話ですが、彼は家に閉じこもりがちでしたが、時々外に出て買い物をするんです。一流の映画監督で、自分で買い物をする人がどれだけいるでしょうか? ラリー・スミス (『アイズ ワイド シャット』撮影監督):スタンリーが世捨て人であるというのは誤解です。確かに初対面の人に対しては少しシャイでしたが、それも長くは続きませんでした。何か興味のあることを見つけて、その人とコミュニケーションが取れれば、それでいいのです。スタンリーは、いろいろなことに広い視野を持っていました。彼はインテリであることは間違いないです。父親は医者でしたが、スタンリーは独学で勉強しました。本を読み、政治、宗教、スポーツなど、あらゆることについて自分の意見を述べることができました。また、スタンリーはとても温厚な面も持っていた。私が彼の家の台所に行くと、彼はコーヒーを淹れてやってきて、「トーストとか、何か食べるかい?」と言って手で取り出して、テーブルの上に叩きつけて、焦げたパンくずを取り除くんです。「ナイフでバターを塗ろう」と言うんです。コーヒーもこぼれるし、散らかり放題。僕にとっては、それが最高なんです。「スタンリー・キューブリックが紅茶とトーストを作ってくれているんだ!」と思ってね。そういう些細なことの大切さは、その人が亡くなって、もう二度とできないんだということが分かって初めて分かるんです。 ケン・アダム (『博士の異常な愛情』『バリー・リンドン』プロダクションデザイナー):スタンリーは、『バリー・リンドン』のすべて、あるいはそのほとんどを、自宅のあるエルスツリーから文字通り30マイル圏内で撮影することを望んでいたのです。当時、『時計じかけのオレンジ』は大成功を収めていましたが、彼は脅迫状をたくさん受け取っていて、遠くのロケ地に行くことに少し抵抗があったのです。私はその計画がうまくいくとは思えないと彼に言いました。彼のこの問題に対する姿勢には非常にイライラさせられま...

【ブログ記事】キューブリックが予測した「トンデモ未来」と、意外なその素顔

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Stanley Kubrick(IMDb)  「10年以内に、死者の冷凍保存は米国だけでなく、世界中で主要な産業になると思います。想像力のある投機家たちには、投資の分野としてお勧めします」 「おそらく2001年までに達成されるかもしれない最大のブレークスルーは、人間が老いをなくすことができるかもしれないという可能性です」 「洗練された3Dホログラフィックテレビや映画ができ、全く新しい形の娯楽や教育が考案されるかもしれません」 「脳をタップし、自分が恋愛や冒険の主人公になるような鮮明な夢体験にいざなう機械ができるかもしれませんね。もっと進んだレベルでは、同様の機械があなたに直接知識をプログラムすることも可能です。この方法では、たとえば、流暢なドイツ語を20分で簡単に学ぶことができるかもしれません」 「私は2001年までに、肉体的、精神的、遺伝的に悪影響のない化学物質が考案され、心に翼を与え、現在の進化的な能力を超えて知覚を拡大できると信じています。2001年までに魅力的な薬が入手可能になるはずで、それをどう使うかが重要な問題になるでしょう」 「ピルによって半ば妻帯したいわゆる性革命は、さらに拡大するでしょう。薬物によって、あるいは潜在的な超能力の機能を研ぎ澄まし、あるいは機械的に増幅することによって、それぞれのパートナーが同時に相手の感覚を体験することが可能になるかもしれない。あるいは、最終的には、男性と女性の成分が曖昧になり、融合し、交換された多形の性的存在になるのかもしれない。新しい性体験の領域を開拓する可能性は事実上無限です」 「遠い将来、半知能のロボットとコンピュータのサブカルチャーが進化し、ある日突然、人間を必要としなくなることも考えられなくはないでしょう」 (引用元: Openculture.com/2022年4月19日 )  『2001年宇宙の旅』における未来予測の正確性は度々話題になりますが、それは映画に協力したIBMをはじめ各企業がその時点から予測し得る、またその頃開発していた技術から推測されたものです。もちろん映画で採用する・しないの判断はキューブリックが行ったので、その知的、美的判断力は褒め称えるべきですが、アイデアや開発そのものまでキューブリックの功績だとして語ってしまうと、「それは違う」ということになります。  上記に挙げたのは引用記...

【ブログ記事】キューブリック作品の映像が、隙のない完璧なものに見える理由

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この洗練された完璧な映像たちはキューブリックの独断と命令によって得られたものではない  おそらくかなり多くの人が誤解(アマチュアだけでなく、いわゆる映画評論家や解説者と言われている人たちまで)していることに「どうしてキューブリック作品の映像は完璧で、隙がないように見えるのか?」があります。大多数の人はキューブリックは完璧主義者なので、自分の頭の中に描いたイメージを極限まで追い求めた結果であると考えていますが、それは「完全に誤解」です。  キューブリックが多テイクなのは有名ですが、その「多テイク」を語る際に忘れがちなのが、カメラマンやカメラ助手(フォーカス・絞り担当者、動作担当者)、プロップ(小道具)担当者や照明担当者などの撮影スタッフの存在です。つまり彼らスタッフにとって、同じシーンを繰り返し撮影するということは、それだけ映像の完成度を上げる絶好の機会だということです。ワンショット目よりも20ショットめの方がそのシーンのコツを掴み、カメラ動きも洗練されます。加えてその度に構図や照明の微調整もなされ、映像の完成度も上がっていきます。もちろん全てのことに関し、キューブリックは口うるさく干渉しますが、それは「ああしろ、こうしろ」というものではなく、「あっちの方がいいかな。こういうやりかたもあるかも」と、俳優やスタッフとアイデアを出し合いながら練り上げて行ったものなのです。つまりキューブリックの撮影現場は「トップダウン的な手法」ではなく「錬金術的(トライ&エラーを繰り返す)な手法」と言えるでしょう。  キューブリックの関連書籍を読むと、多くの俳優やスタッフがこの「錬金術的な手法」について、「自分の技術や才能を搾り取られる」という表現をしていることに気づきます(そしてヘトヘトになる。笑)。とにかくキューブリックはしつこくて諦めが悪いのです。何度も何度もショットを繰り返し、無駄を削ぎ落とし、そのシーンの最適解を見つけようとする・・・その結果、完璧で隙のない映像が得られるわけですが、その映像だけ観た観客や視聴者は「キューブリックは完璧主義者である」という刷り込みから、勝手に「キューブリックがトップダウンで命令した結果」と思い込み、それをネット上あちこちで触れ回る、という状況に陥っています。まあ一般の視聴者がそう誤解するのは仕方ないにしても、それなりにフォロワーを抱えている...

【関連動画】1999年3月21日、第71回アカデミー賞でスティーブン・スピルバーグが述べたキューブリックへの弔辞と謝辞

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  その人は、私たちが想像もつかないような所に連れて行こうとして、私たちのために創り出してくれました。その人の名はスタンリー・キューブリックです。  彼は『2001年宇宙の旅』で有名になった次の世紀を見届けることなくこの世を去りました。スタンリーは自分の映画を絶対に自分の思い描いたとおりに観て欲しいと願っていて、そのためには彼は一歩も譲りませんでした。そしてその勇気に応えることができたなら、私たちは彼の世界へ直接連れて行かれ、彼のビジョンの中に入り込むことができたのです。映画の歴史上、あのようなビジョンは他にありませんでした。それは希望と驚異、優美さと神秘のビジョンでした。それは私たちへの贈り物であり、そして今、遺産となったのです。  彼の挑戦を受ける勇気を持ち続ける限り、私たちはその挑戦と糧を得ることができるのです。そしてそれは私たちが感謝と別れを告げた後も、ずっと続いていくことを私は願っています。 -スティーブン・スピルバーグ  キューブリックが1999年3月7日に逝去してから半月後に行われたアカデミー賞におけるスティーブン・スピルバーグのスピーチです。  キューブリックはアカデミー監督賞も作品賞も獲っていない、というは有名な話ですが、キューブリックが受け取ったオスカーは『2001年…』の特殊視覚効果賞で、これも一部門にエントリーできる人数は3人までとアカデミーに言われ、仕方なく自分の名前を記入した、という経緯です。  記入すべきその4人とはウォーリー・ヴィーヴァース、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン、トム・ハワードですが、それぞれ特撮全般、HALのアウトプット画面とスターゲート・シークエンス、モデル製作と複雑な合成過程の管理、高精細フロントプロジェクションシステムの構築と、この4人のうち誰一人として欠くことのできないスタッフであることは言うまでもないでしょう。たとえそういう事情があったとしても、キューブリックが代表でオスカーを受け取ってしまったことはその後に遺恨を残し、特にダグラス・トランブルはたびたび不満を表明していました。でもそれも「もういいんだ」とキューブリックの亡骸の前で涙を流したので、心中穏やかに旅立てた(2022年2月7日に逝去した)のではないでしょうか。  キューブリック冷遇の理由で考えられるのは、巨大産業である映画製作をイギリスで...

【ブログ記事】クリスマスを祝うキューブリック夫妻の写真~キューブリックの宗教観やユダヤ人観、私生活など、プライベートついてのまとめ

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クリスマスを祝うキューブリック夫妻。キューブリックはユダヤ教の一切の宗教的行事には関心がなかった。妻のクリスティアーヌはナチスに近い家系のドイツ人なので、普通にキリスト教徒だったと思われる ●宗教観について  キューブリックはユダヤ人でありながら、宗教には関心がなかったことが知られていて、「たまたま両親がユダヤ人だっただけ」と語っていたという話さえあります。上記のクリスマスを祝うキューブリック夫妻の写真は1980年代に撮られたもので、長女カタリーナが公開したものです。ただ、クリスマスを祝っているからといって、キューブリックがキリスト教に改宗したわけではないと思います。フレデリック・ラファエル著『アイズ・ワイド・オープン』によると、キューブリックは「キリスト教徒たちがどう感じるかなんて、私たち(ユダヤ人)に何がわかる?」というキューブリックの発言の記述があります。また有名な話として『シャイニング』の原作者、スティーブン・キングとの電話での会話で「地獄を信じない」「死後の世界があるなんて楽天的な考え方」」と発言したそうです。端的に言えば「一切の宗教を信じないリアリスト」と言えるでしょう。とはいえ、クリスマスプレゼントの風習を非常に楽しんでいたそうなので、クリスマスを「単なる季節行事」として捉えていたのだと思います。 ●ユダヤ人差別について  宗教としてのユダヤ教には無頓着でも、人種としてのユダヤ人差別には敏感に反応していたようです。前述の『…オープン』にも反ユダヤ主義に関する記事に憤る姿の記述があったり、ハリウッド時代には「ユダヤ野郎」などの蔑視の言葉を投げかけられることもあったようです。また、妻のクリスティアーヌによると「彼はタフだった。ニューヨーク時代のひどい仕打ち(人種差別のこと)に慣れていたのかも」と発言しています。この件についてはナチスによるユダヤ人迫害を扱った『アーリアン・ペーパーズ』の企画が実現していれば知ることができたのですが、残念ながら中止になってしまいました。最近になって「ユダヤ人としてのキューブリックとその作品」というアプローチがなされるようになり、2016年にサンフランシスコで開催された『スタンリー・キューブリック展』は現代ユダヤ博物館で開催されました。また『Stanley Kubrick: New York Jewish Intellectua...

【関連動画】「The Beauty Of」という映像の美しい映画を採り上げたYouTubeチャンネルで紹介されたキューブリック作品の4K動画

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 YouTubeに「The Beauty Of」という映像の美しい映画を採り上げたチャンネルがあるのですが、そこで紹介された『スタンリー・キューブリック』『突撃』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』の動画をご紹介。  どの動画も編集されていますが、その編集には異論はあろうかと思います。ですが、4K映像で観るキューブリック作品はとても美しいですね。ネット環境やマシンスペックが許す限りですが、ぜひ4K映像(歯車マークから選択できます)でご堪能ください。

【配信情報】キューブリックのドキュメンタリー『ライフ・イン・ピクチャー(A Life in Pictures)』がYouTubeで現在無料公開中

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 スタンリー・キューブリック:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>「ライフ・イン・ピクチャー」  謎に包まれた巨匠スタンリー・キューブリックの生涯とキャリアを探求する貴重なドキュメンタリー映画。ナレーションはトム・クルーズ。数々の写真や映像作品、ホームビデオなどの資料や、キューブリックの作品に携わったスタッフやキャストの証言によって、如何にして彼が歴史に残る偉大な名作を残したか、その作家性や独自の視点に迫る。『2001年宇宙の旅』の原作者アーサー・C・クラークをはじめ、ニコール・キッドマン、ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、マルコム・マクダウェル、マシュー・モディーン他キューブリック作品出演者、スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、ウッディ・アレン、シドニー・ポラックら名監督など、豪華メンバーのインタビューによって明かされるキューブリックの知られざる真実がここにある。 ※2001年2月にベルリン国際映画祭で初上映。その後DVD発売やTV放送が各国でされた作品。 監督/製作:ヤン・ハーラン 製作:2001年 本編:約142分 出演:スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、ウッディ・アレン、シドニー・ポラック、アーサー・C・クラーク、トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、マルコム・マクダウェル、マシュー・モディーン 他 ナレーション:トム・クルーズ  2001年のDVDボックスに特典として初収録されて以来、BDボックスやBS、CSなどでオンエアされてきた名作ドキュメンタリー『ライフ・イン・ピクチャー(A Life in Pictures)』が現在YouTubeで無料公開中です。長さは2時間22分と長尺ですが、キューブリック全作品を網羅し、映画に捧げたその生涯を紹介し、数多くの関係者のインタビューを収録したのですから、どんなに長くても観る価値はあります。というか、これを観ずして「キューブリック」を語ってはいけないレベルだと思います。ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたいと思っています。