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【関連動画】2種類あるDVD、BD、UHD BD収録の『2001年宇宙の旅』オリジナル劇場予告編

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特別版(初版)DVDのみに収録の 『ツアラ…』のみバージョン ほとんどのDVD、BD、UHD BDに収録のナレーション入りバージョン   現在のDVDやBD、UHD BDに収録されている「オリジナル劇場予告編」というのは2種類あり、ひとつは1分51秒の『ツアラ…』のみバージョン、もうひとつは3分27秒のナレーション入りバージョンです。おそらく前者は公開前にキューブリックが本人が編集したもので、後者は公開後に理解不能者が続出したためにMGMが編集し直したものではないか、と予測しています(詳細をご存知の方は何卒ご教授を・・・)。  ところが困ったことに、後者のナレーション入りバージョンは 1998年に発売された初のDVDである「特別版」 にしか収録されていないんですね。しかもこのDVDにはクラークの特別講演の映像も収録されています。ですので、『2001年…』の特典映像を全て入手しようと思ったのなら、このDVDを外すわけにはいかないのです。  DVD自体は中古市場で安価に出回っていますので入手は難しくありませんが、画質はリマスター前でよろしくないですし、クラークの講演など熱心なファンかマニア以外にはあまり興味はないかもしれません。ですが「全部入り」で発売された4KのUHD BD版にも収録されていませんので、やはり一応は所有しておきたいですね。

【関連動画】ソニー公式がアップロードした『博士の異常な愛情』の字幕付き予告編

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 特別版DVDやBDに収録されている『博士の異常な愛情』の予告編に字幕を付けた動画をソニー公式がアップしていましたのでご紹介。  この予告編を制作したのは、オープニング・シークエンスも担当したパブロ・フェロ。キューブリックは当初アーサー・リプセットにオファーしていたのですが断られてしまったために、当時CMディレクターをしていたパブロ・フェロにオファー。ものの見事にキューブリックの期待に応えたのでした。BGMやナレーションは『Dr. Strangelove and the Fallouts: Love That Bomb』が使用されています。  ところで予告編最後の「月曜日、もしくは再来週の木曜日。もしくは日、水、金、火、土曜日に見てください」ってどういう意味なんでしょう・・・?当時のギャグか何かなんでしょうか?謎です。

【関連動画】激レア!!『時計じかけのオレンジ』1973年のTVスポット

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  これはすごい!よくこんなの残っていましたね。1973年にTVスポットとして使用された16mmフィルムなのですが、30秒に収めるために予告編の後半部分がカットされています。途中「R指定」というナレーション(多分)が入るのもレア。タイトル画像にもR指定と明確に表示されていて、公開当時物議を醸した映画であることが伺えます。下記の劇場版の予告編と比べてみると編集具合がよくわかりますね。

【関連動画】『フルメタル・ジャケット』の日本版劇場用予告編

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 現在DVD等に収録されているのはオリジナルの公式予告編ですので、この日本版予告編映像のソースはどこからのものでしょうか。キューブリック作品はVHSを始めLDなど様々なメディアで映像ソフト化されていますので、それらのいずれかに収録されていたものかも知れません。もしくはどなたかがたまたま録画しておいたのが残っていたとコアか。ナレーションは内海賢二氏のようです。

【関連動画】『スパルタカス』のオリジナル劇場予告編

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 『スパルタカス』のオリジナル劇場予告編で日本語字幕付きの動画がアップされていましたのでご紹介。ソースはスタンダードのアス比や、映像の荒さ、懐かしいフォントから推察するにVHSでしょうか。見ての通りキューブリックの「キューの字」も出てこない予告編ですが、いかにも当時のハリウッドの大作映画ありがちな大げさなナレーションや、ヌルいカット割りを見る限り、キューブリックが編集したものではなさそうです。同じ映像は特典としてDVD等にも収録されています。

【関連記事】ウェス・アンダーソン監督を直撃、話題作『グランド・ブダペスト・ホテル』とは?

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 ウェス・アンダーソン監督が話題作『グランド・ブダペスト・ホテル』について語った。  本作は、一流ホテル、グランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュ、グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)と、彼を慕うベルボーイのゼロ・ムスタファ(トニー・レヴォロリ)が繰り広げる冒険を描いたドラマ。常連客マダムD(ティルダ・スウィントン)と関係を持ったグスタヴは、彼女の殺人事件と遺産争いに巻き込まれるが、自らの誇りとホテルの威信を守るため、ゼロと共に奔走する。ビル・マーレイ、ウィレム・デフォー、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナンなどが共演している。 〈中略〉  衣装デザインは、スタンリー・キューブリック作品のミレーナ・カノネロで、セットの外観もキューブリック作品をほうふつさせる。「おそらくこれまで僕が製作した全作品は、何かしらキューブリック映画に影響を受けて撮影したものばかりだ。好きな作品や好きな監督から学んだことは、映画製作上では問題解決にもなってくれている」と大のキューブリックファンでもあることを明かした。 (引用: シネマトゥデイ・ニュース/2014年3月13日 )  『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』に参加し、『バリー…』と『炎のランナー』『マリー・アントワネット』でアカデミー賞を獲得したミレーナ・カノネロが衣装デザインですか。肝心の映画ですが上記の予告編を観ればなるほど、キューブリックの影響大ですね。

【オマージュ】『ゼロ・グラビティ』(Gravity)

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 映像作品としてのクオリティが高く、しかも大ヒット。加えてアカデミー賞の7冠(監督賞、視覚効果賞、撮影賞、音響編集賞、録音賞、編集賞、作曲賞)を受賞したこの作品ですが、全編に『2001年宇宙の旅』のオマージュが込められているので有名です。  まず、サンドラ・ブロックが宇宙空間に放り出されるシーン。これは『2001年…』でフランク・プールがスペース・ポッドに突き飛ばされるシーンにそっくりです。そのサンドラが宇宙服を脱いで体を丸くシーンはスターチャイルドを想起させますし、何よりラスト、サンドラが海岸で立ち上がるシーン。これは極端なローアングルである事から猿人が骨を砕くシーンを意識したようにも思えます。ストーリーを極力シンプルにし、映像に暗喩を込める手法はキューブリックの常套手段でしたが、そういった手法さえもオマージュしています。その意味は色々深読みできそうですが、だからと言って『2001年…』と比較するのはかなり無理があります。  まず映像としてのインパクトを強めるため、無茶な状況を作り過ぎです。事故の一連のシークエンスなどありえなさ感が酷いです。また、大気圏再突入の手段があまりにも現実離れしていて興醒めです。いくら中国製のカプセルが「優秀」だとしてもこれには失笑しました。  この作品のシチュエーションが現実世界の延長線上であるなら、ストーリーにリアルな「説得力」なければ、いくら映像がリアルでも「絵空事」にしかなりません。逆に近未来の空想物語を極力リアルに描こうとした『2001年…』方が説得力があります。つまりこの作品が「地球という重力下で如何に人類は存在し得ているか」という深遠なテーマを追求したいなら映画『アポロ13』のような極力リアルな事故の状況を設定しなければ、その意味は薄れてしまうという事です。  もちろん、エンターテイメントとして観客を退屈させる訳にはいきません。なるべく刺激的な映像をこれでもか!と続けなければたちまち観客は飽きてしまいます。でも、その解消方法に安易に「派手な事故」や「ありえない脱出手段」を用いるのは監督や脚本家の才能の欠如を意味します。他に観客の興味を引き続ける手段はいくらでもあります。映像でここまでできるならもっと徹底的にシチュエーションのリアルさを追求して欲しかった、というのが本音です。  正直、この作品でテーマ性や哲学を語るにはストーリ...

【関連動画】『時計じかけのオレンジ』の予告編の日本語版と英語版

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 観る者に強烈なインパクトを残す『時計じかけのオレンジ』の予告編ですが、その日本語版になります。単純に英語版のテキストを日本語に置き換えただけですが、ニコニコのコメントではフォントの評判が悪いようです。  まあこの時代、フォント(書体)の数は限られていて、ゴシック系で太めのものってなかったんじゃないでしょうか。バランスも悪くて確かにダサいですが、この時代の広告や出版物を見ても同じようなものなので、逆に「味」として楽しんで欲しいですね。

【インスパイア?】さよならジュピター(Bye Bye Jupiter)

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 いやもうね、宇宙船のデザイン画や参加したスタッフのそうそうたるメンバーを見たとき、「やっと日本にも世界に誇れるSF映画が誕生する!」と興奮し、期待したものです。その結果はというと暗澹たるもので、当時の映画ファン、SFファンを絶望の淵に叩き込んで踏みつけて、そのプライドを木っ端微塵に打ち砕くものでした・・・。  この『さよならジュピター』のプロット、木星を太陽化するアイデアは『2001年宇宙の旅』の続編『2010年』に、宇宙開発を促進する事業者と過激な自然保護団体の対立は『コンタクト』に似ているんですよね。そういった要素を上手くまとめればひょっとしたら傑作になった可能性があるだけに非常に残念です。(原作はそれなりに評価されているそうです。)  上記の予告編を観れば一目瞭然、『2001年…』や『スター・ウォーズ』の影響は明白です。でも同年に公開された『2010年』との差は歴然としていて、SFとは全くかけ離れたユーミンの歌も痛々しい限り。この日本で実写SF映画に期待するのは金輪際止めてしまおうと決意させるのに十分な代物でした。「2001年を超えてみせる!(by 小松左京)」・・・ああ悪い冗談ですね。

【関連動画】キューブリックが編集した『アイズ ワイド シャット』の予告編

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  『アイズ…』の予告編は数種類ありますが、キューブリックが編集したのは上記動画のみです。実はこの撮影、トム・クルーズとニコール・キッドマン、そしてキューブリックだけの3人で行ったそうで、撮影の際には雰囲気を盛り上げる為に、セットでも同じように『バッド・バッド・シング』が流されました。よく見るとキッドマンの腰を振る仕草はリズムを取っているようにも見えますね。  キッドマンはこの一連の撮影についてインタビューで  「スタンリーは映画の中の二人の性生活が、実際の私たちの性生活であるかのように見せようとしていて、挑発的だった。でも私たちは気にとめなかった。明らかにそれは私たちではなかった」 (引用: MAASH/2012年10月25日 ) と答えています。つまり観客のノゾキ趣味を理解した上で、わざとそれを煽るような予告編を作ったのです。そしてその挙げ句、最後に突きつけた台詞が「ファック」ですからね。本当に底意地の悪い監督です(笑。

【ブログ記事】『ROOM 237』をネタバレさせ、そのくだらない正体を暴く

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 当ブログで『ROOM 237(ルーム 237)』を散々「金儲け主義者のデタラメ陰謀論映画」とこき下ろしていますが、何故観てもいないのにそう断言できるのか、それを説明したいと思います。  管理人が当ブログの前身であるキューブリックのファンサイト『CataComB』を立ち上げた1998年、『ROOM 237』という『シャイニング』の海外のファンサイトがあるのに気が付きました。内容はマニアとおぼしき連中が、よってたかって『シャイニング』の映像を解析、さまざなま矛盾点や意匠からメッセージをこじつけ、それをネットで披露しあって遊ぶ、という趣旨のサイトだったと記憶しています。  『CataComB』で海外の良質なサイトを紹介するリンクページを設けていた関係上、こういった海外のサイトの内容には注意を払っていました。有益な情報が集まるサイトならともかく、こういった「隠謀論ごっこ」で遊ぶサイトは無益だと判断し、リンクページには載せませんでした。(ある時期は載せていたかも知れません。なにせ昔の話なので記憶が定かじゃないですが、手元に残っている最終ログには掲載がありませんでした。)つまり公開される『ROOM 237』とは、元々はマニアがネット上で『シャイニング』をネタに隠謀論を披露し合うサイトだったのです。もちろんそれに根拠や証拠など必要ありません。本人たちもそれを承知の上での、単なるお遊びですから。  では何故そんなデタラメなサイトが映画化されたのでしょう。これは推察ですが、原因は例の『オペレーション・ルーン』にあると思います。フランスのTV局が製作し、2003年のエープリールフールに放送したこのジョーク番組は大きな話題になり、世界中でオンエアされました。日本でも『ビートたけしの世界はこうしてダマされた!?』で短縮版ですが取り上げられています。この成功を目の当たりにした出資者が二匹目のどじょうを狙ってネタ探しをしたであろう事は想像に難くありません。その出資者が目をつけたのがネットで隠謀論ごっこをしていた『ROOM 237』だった、という訳です。  しかも『オペレーション…』には大きな「免罪符」が備わっています。それはキューブリックの遺族、妻のクリスティアーヌと義弟のヤン・ハーランが出演し、この隠謀論に加担してしまっているのです。(もちろん最後にネタばらししていますが)つまり、キューブ...

【オマージュ?】ハリウッド版『GODZILLA(ゴジラ)』の予告編

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 いきなりジェルジュ・リゲティの『レクイエムII キリエ』が流れ出してびっくり。どこかにモノリスが登場するのかと思いきや・・・最後に登場したのは日本でもおなじみのあの「背びれ」でした。前回のローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』はかなり評判が悪かったですが、今回は監督がゴジラ・ヲタのギャレス・エドワーズだそうで、ずいぶんと期待が集まっているみたいです。  でも何故『レクイエム…』を使ったんでしょう?オリジナルの日本版コジラは水爆実験の結果誕生した怪獣ですが、今回はひょっとして宇宙から飛来した生命体という設定?原発事故が収斂していない日本では、興行に支障があるので設定を変えたとか?まあ、これは観てからのお楽しみでしょうね。

【関連動画】ワーナー公式『時計じかけのオレンジ』の新しい予告編

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   なんだかネタバレしまくってますが、ブルーレイディスク発売に合わせて再編集された新しい予告編です。今風にカッコ良くは編集されていますが、やはりオリジナルにはかないませんね。

【関連動画】アーサー・リプセット『ベリーナイス、ベリーナイス』

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 キューブリックが賞賛し、影響を受けたカナダ人の映像作家アーサー・リプセット。カナダ国立映画製作庁が製作、リプセット監督して第34回(1961年)アカデミー賞短編映画賞にノミネートされた作品がこの『ベリーナイス、ベリーナイス』です。  ファンだったキューブリックはリプセットに『博士の異常な愛情』の予告編製作をオファー。しかしリプセットはそれを断ります。それならばとキューブリックはパブロ・フェロに予告編の製作を依頼しますが、上記の動画と比べてみれば一目瞭然、リプセットの影響は明白ですね。  時代は1960年代初頭。こういった見るものの神経を刺戟する斬新な映像はやがてドラッグと結びつき、「サイケデリック・カルチャー」として60年代後半に全盛期を迎えるのですが、その中心には「映像と音楽の融合」という「トレンド」がありました。キューブリックはそのキャリアの初めからセリフに頼らない斬新な映像表現を劇映画に持ち込もうと悪戦苦闘していたので、キューブリックの志向とトレンドが合致したのがこの時代、ということになります。  以前 ここ で『薔薇の葬列』が『時計じかけのオレンジ』に影響を与えたかどうか微妙だ、という記事を書きましたが、『博士の異常な愛情』にしても『2001年宇宙の旅』にしても『時計…』にしても当時の最先端トレンドであるサイケデリック・カルチャーを抜きには語れません。それを無視して「似ている・似ていない論」を展開しても何の説得力もないのは当然と言えます。影響を受けつ、与えつしていたキューブリック、リプセット、パブロ・フェロはその当時のトレンドリーダーだったのですから。

【関連作品】サイレント・ランニング(Silent Running)

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 『2001年宇宙の旅』のスターゲートなどの特撮で一躍有名になったダグラス・トランブル</a>初の監督作。登場人物も少なく、派手な戦闘シーンもない地味な作品。主題歌がジョーン・バエスというところや、地球の環境破壊や植物保存計画など当時のエコロジー/ユートピア思想~現在のエコ運動とは異なり、ヒッピー文化や共産主義、新興宗教などが入り組んだ過激な思想。公害問題が先進国で深刻化した70年代、原始回帰や自然回帰の思想に共鳴した当時の若者が、自給自足の自由な生活を夢見たコミューン(生活共同体)を形成し生活を始めた。しかし便利な現代社会に慣れっこになっていた若者に農業は厳しすぎ生活は困窮、やがて私利私欲や物欲、利害の対立がはじまりコミューンは崩壊、運動は急速に衰退する。その一部はエコテロリストに変節したり、一部で資本主義の現実を受け入れつつ細々と活動を続けている~の影響が色濃い作品。  B級カルトSFとして有名な作品で一部では高い評価もあるが、今観返すと「自らの理想の崇高さを鑑みれば多少の殺人、破壊もやむを得ない」という当時のエコ思想の過激さの一端が覗けて興味深い。もちろん主人公の純粋さやひたむきさに惹かれる部分はあるのだが、それをリリシズムで片付けてしまうにはあまりにも稚拙で短絡的だ。実のところ監督のトランブルのスタンスもよく分からない。エコロジーに共鳴していたのか、批判的なのか、単に当時のトレンドに迎合しただけなのか、それともその全部なのか・・・。いずれにせよ1970年代のアメリカのリアルな「空気」は伝わってくる作品ではある。  因に植物ドームやラストシーンは某有名アニメの元ネタと言われている。  『2001年…』で実現できなかった土星の輪の映像化を実現した、という意味でキューブリックファンにも馴染みが深い作品。その『2001年…』ではアカデミー賞のトロフィーをキューブリックに持っていかれたが、今年長年の映画界への貢献を讃えられ、ロカルノ国際映画祭でビジョン賞を授与された。

【関連作品】『1984』(Nineteen Eighty-Four)

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 ジョージ・オーウェルの傑作小説の二度目の映画化。(映像化は三度目。初の映像化は1954年にピーター・カッシング主演でTVシリーズ)文字通り1984年に公開され話題になった。キューブリックとの関連は本作のロケがベクトン・ガス工場跡地で行われた事。廃墟などのシーンをよく見ると『フルメタル…』との共通の建物や瓦礫を見つける事ができる。因にロケはこの『1984』の方が先だった。  この原作の影響力は凄まじく、ディストピア系作品にはことごとく影響を与えている。それは文学だけに留まらず、音楽、映像、CM、ゲームまで幅広い。もちろんバージェスの『時計じかけのオレンジ』も例外ではない。20世紀に書かれた小説で、傑作を挙げるとするならば必ず名前が挙がる小説であるし、そういった意味でも原作は必読に値する。  映画化の一度目は1956年の白黒作品で、アメリカ公開版では原作を改竄し、スミスがビッグ・ブラザーに抵抗の意志を示して終わる。これについてオーウェルの遺族は批判している(オリジナルの英国版が最近DVD化されている)。二度目の映画化の本作ではかなり原作に忠実で、世界観も丁寧に映像化されている。ただし、原作のボリュームに対して尺が足らず、駆け足な上にかなりのエピソードが省かれている。そのため映画だけでは権力者が純粋に権力を行使し、維持するシステムを理解するには至らない。そういう意味では原作未読の視聴者にはかなりハンデがあるだろう。  主役はこういった悲惨な役にはこの人しかいない、と断言できるジョン・ハート。監督は本作がデビュー作となるマイケル・ラドフォード。党の高級官僚オブライエンを演じたリチャード・バートンにとって、本作が遺作となった。  ここには絶望しかない。いや、そんな生易しいものでなく、絶望に希望を見いだして終わるという圧倒的に絶望が勝利する世界が描かれる。そのあまりにも救いのないストーリーのためか、日本では未だにDVD/BD化されていない。これだけ世界的に影響力がある小説の映画化作品なのに、鑑賞するには中古のVHSをどこかしらから入手しなければならないという状況は異常と言わざるを得ない。関係各位には早急なDVD/BD化を望む。

【インスパイア】コンタクト(Contact)

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 ジョディ・フォスター主演のファースト・コンタクトをテーマにしたSF映画。原作は天文学者で作家のカール・セーガン、監督はキューブリック・フォロワーのロバート・ゼメキス。  キューブリックへの直接の言及は、主人公エリーが乗り込む宇宙機を「ポッド」と呼んでいるくらいですが、異星人(地球人の上位的存在)と神や宗教の関係や、異星人を描写しない異星人の描き方。異星人のメッセージを受信し、それを頼りに未知の旅に出る・・・というプロットなど、共通点は数多く存在します。  実質カール・セーガン版『2001年宇宙の旅』と言っても差し支えないくらいですが(カールは当然意識していたはず)テーマは似通っていてもその描き方はまさしく対照的。どちらがどうという事はありませんが、キューブリック作品にはないヒロイズムやヒューマニズム満載の描写は感情移入しやすいし、わかりやすいという意味ではこういうのもありだと思っています。  トンデモ北海道(笑 は日本人としては残念ですが、良作の割に認知度や評価が低いのが気になります。ファースト・コンタクト物としては『2001年…』『未知との遭遇』『エイリアン』と並んで外せない作品なので、未見の方には是非鑑賞をお薦めします。

【企画作品】パフューム ある人殺しの物語(Perfume: The Story of a Murderer)

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 1985年に出版され、世界中で1500万部を売り上げたと言われているドイツ人作家、パトリック・ジュースキントによるベストセラー小説の映画化。キューブリックも映画化を検討したが実現しなかった。脚本は『2001年宇宙の旅』にアシスタント・ディレクターとして参加していたアンドリュー・バーキンが担当している。紆余曲折を経て、2006年(日本では2007年)にドイツ・フランス・スペイン合作映画として公開された。

【パロディ】『ルールズ・オブ・アトラクション』の予告編

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  2002年公開の映画『ルールズ・オブ・アトラクション』の予告編がまあまあ『時計じかけのオレンジ』の予告編なのでご紹介。  こういった「若者暴走系」の映画には『時計…』のイメージがよく合いますね。これからもこうしてあちこちでパクられていくんでしょう(笑。

【考察・検証】キューブリックのキャリアの分水嶺となった『ロリータ』

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「How did they ever make a movie of "LOLITA"」のキャッチコピーが登場する『ロリータ』の予告編  キューブリックは「お金にうるさい監督」だった事は数々の証言から明らかになっています。自宅で株取引をしていたという証言や、『バリー・リンドン』ではロウソクの数さえ気にしてノートに付けさせたり、キューブリックの側近だったレオン・ヴィタリは「彼は芸術家だったがビジネスマンでもあった」と答えています。  キューブリックは何故お金にこだわったか?もちろん贅沢な暮らしがしたかった訳ではありません。キューブリックは自主制作で映画を始めました。なので映画製作の資金集めの苦労は痛い程よく分かっていました。キューブリックは身なりに構わず、高級車や装飾品には目もくれず、自宅にはプールさえありませんでした。要するに持てるお金の全てを映画製作につぎ込んでいたのです。  それは『突撃』のラストをハッピーエンドにし、映画を当てようと試みたり、自分の名前が宣伝されればそれで構わないと『スパルタカス』では脚本のクレジットに載せるよう進言してみたり、芸術家らしからぬその言動からも伺えます。そんなキューブリックが『ロリータ』に目をつけたのは、誰もがその題材ゆえに尻込みするこの映画化を成功させ「自分は稼げる監督だ」という事を示したかったのではないでしょうか。メジャー4作目の本作は、大ヒットした前作『スパルタカス』(1960)の記憶も新しい1962年に公開になっています。小説『ロリータ』はその内容から全世界で物議を醸していました。その『ロリータ』を映画化し公開できれば多大な興行収入が見込めたのです。(『ロリータ』のキャッチコピーは「我々は如何にして『ロリータ』の映画化を成し得たか?」でした)キューブリックは処女作『恐怖…』で自分の芸術性に拘るあまり興行的に大失敗し、あげくには場末のポルノ映画館に二束三文で売られるという苦い経験をしています。つまりキューブリックにとって興行成績は映画製作の自由度に直結するのです。だからキューブリックはこの『ロリータ』までは自分の芸術性を抑え、数々の妥協をしてでも興行成績に拘ったのです。  何故そう言えるのか、その理由はキューブリックの思惑通り大ヒットした『ロリータ』の後、ハリウッドの出資者の信頼を確実な物した、と判断した...