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【関連動画】公式が制作した『シャイニング』のドキュメンタリー『Shine On - The Forgotten Shining Location』がキューブリックの誕生日に公開される

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  スタンリー・キューブリック公式が制作した『シャイニング』のドキュメンタリー『Shine On - The Forgotten Shining Location』が、キューブリックの誕生日7月26日に公開されました。内容はエルスツリー・スタジオに現存するセットの痕跡を辿る内容で、登場人物はキューブリックの長女カタリーナ、義弟でプロデューサーのヤン・ハーラン、美術監督のレスリー・トムキンスです。  あれから40年以上の月日が流れた現在、広大だったエルスツリー・スタジオも敷地を切り売りしなければならないほど経営が思わしくないらしく、『シャイニング』のセットとして使った部屋はたまたま残っていただけに過ぎないようです。しかもキッチン、食糧倉庫、ボイラー室のみという寂しいもの。すぐそばにあった『2001年宇宙の旅』を制作したボアハムウッドMGMスタジオも今は跡形もなく、時代の趨勢を感じずにはいられません。  ちなみにジャック・ニコルソンがタイプラターを打っていたテーブルはキューブリック邸に、237号室のバスルームのバスタブはヤン・ハーラン家にあるそうです。映像にはありませんが、ほかにもカーペットや衣装の一部はアシスタント兼運転手だったエミリオ・ダレッサンドロが貰い受けていたり、タイプライターはキューブリックの三女ヴィヴィアンが使っていたりと、『シャイニング』のために購入されたプロップは当時のスタッフが分けあって持って帰っちゃったみたいですね。  それもこれもキューブリックは手に入るプロップは全て当時購入できた既製品を使うよう指示したからなのですが、それがオーバールック・ホテルが「本物」に見えた要因(セットを知って驚いたものです)でもあるし、キューブリックらしいこだわりのなせる技だな、とつくずく思います。そのキューブリック曰く「欲しいものは金を払っても手に入るかどうかわからないが、金を払わないと絶対に手に入らない」・・・ごもっとも。

【関連記事】「グリーンマイル」「シャイニング」「キャリー」スティーブン・キング作品の映像化の裏側は?

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  テキサス州オースティンで開催されたファンタスティック映画祭(9月22日~29日)に、興味深いドキュメンタリー映画が出品された。タイトルは「King on Screen(原題)」。テーマは“ホラーの帝王”スティーブン・キングの映像化作品だ。今回、監督を務めたダフネ・ベビールが単独インタビューに応じてくれた。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki) 〈中略〉  キングは、自身の原作を基にした映画「シャイニング」(スタンリー・キューブリック監督)を毛嫌いしていた。その理由のひとつは、キングにとって、原作小説がとても個人的な作品だったから。キング作品の読者も、ストーリーを変更したキューブリック監督の映画版に対して、公開当初、拒否反応を示していた。やがて、キング自身も不満をあらわにし、自らテレビのミニシリーズ「シャイニング」を手がけることになった。  「原作は、キングにとって(まるで)我が子のように感情的な絆を持った存在。彼は、フィルムメイカーの(思い通りの)脚色のために、映画化権を与えていました。映画版『シャイニング』が自由な解釈と方向性をとり、そこに満足できなかった事実を突きつけられたことで、キング自身の方法によって、作品を修復したかったのだと思います。キングの作品が成功していなかった時代について、『King on Screen(原題)』で語っているパートを見てみると、キングの視点がわかるはず。テレビ版「シャイニング」を脚色することができたのは、自らの原作に近いから。キングの脚色では、主人公ジャック・トランス(映画版ではジャック・ニコルソンが演じた役)が正気を失っていくさまを、視聴者が完全に感じ取ることができると思います。キャラクターの進化(=変化)を探求する時間があるため、ミニシリーズで描いた点も良かったと思います」 〈以下略〉 (引用元: 映画.com/2022年10月4日 )  スティーブン・キングはジャック・ニコルソンのキャスティングに際して「彼だと最初から狂っているように見える」と批判し、自身が監修を務めたTVドラマ版ではスティーブン・ウェバーをキャスティングしました。ですが、キングの言葉を引用するなら「彼だと最後までいい人に見えてしまう」という結果になってしまいました。つまり「いい人が狂った演技をしているだけにしか見えない」ということ...

【ブログ記事】NHK『映像の世紀~バタフライエフェクト~映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突』で紹介されたプロパガンダ映画『ユダヤ人ジュース』とキューブリックとの「接点」

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 2022年9月5日22時からOAされた『映像の世紀~バタフライエフェクト~映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突』に、ナチス・ドイツが製作したある映画がごく一部ですが紹介されました。それはユダヤ人を悪役に仕立て上げた悪名高きプロパガンダ映画『ユダヤ人ジュース』です。監督はファイト・ハーラン。そのハーランの姪はクリスティアーヌ・スザンヌ・ハーラン。つまりキューブリック三番目の妻、クリスティアーヌ・キューブリックです。キューブリックはファイト・ハーランに会ったことがあるそうですが、その際に「あの時は従うしかなかった」と語ったそうです。もちろんそれが本心であるかどうかは知ることはできませんが、キューブリックはユダヤ人。本音を言うはずはないでしょう。  今回の『映像の世紀~バタフライエフェクト』にはキューブリックが影響を受けたセルゲイ・エイゼンシュテインも登場しています。番組では「モンタージュ」と呼ばれていますが、わかりやすく言えば編集テクニックのことです。キューブリックは「編集は映画製作の唯一のユニークな局面」「編集に先立つ全てのことは編集用のフィルムを作り出す作業でしかない」と語るほど編集の重要性(と編集作業がいかに大好きか)を語っています。その理由はこの番組でも取り上げられています。つまり編集によってその映像の主旨をいかようにでも捻じ曲げることができるからです。  番組は再放送やNHK ONEのアーカイブなどで視聴できる可能性があります。興味のある方はその機会にぜひ。

【関連動画】ドキュメンタリー『ピーター・セラーズ・ストーリー』のキューブリック関連部分の動画

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 1995年、イギリスBBCの『アリーナ』で放映されたドキュメンタリー、『ピーター・セラーズ・ストーリー』のキューブリックに関する部分のみ抜きだした動画です。ピーター・セラーズ邸の裏庭のテニスコートでクリスティアーヌとペアでテニスをするキューブリック(相手はプロデューサーのジェームズ・B・ハリス)というレアなシーンも面白いですが、セラーズとカメラマンのウィージーとのやりとりが録音されているテープは貴重です。『博士…』のストレンジラブ博士の口調は、当時キューブリックが映画のスチール撮影に招聘していたウィージーの口調を真似たものですが、何故かこの事実はあまり知られていなくて、未だにキッシンジャーがモデル(キューブリックもセラーズもキッシンジャーを見たこともなかったのにも関わらず)などという間違った認識が広まったままになっています。  他にはクリスティアーヌが「特徴的」と語っていたキューブリック独特の足の組み方も映像で確認できますね。クリスティアーヌはそれがよほど印象的なのか、死去直後にそれを『スタンリーの思い出』という絵の中に描いています。

【関連記事】スタンリー・キューブリックの長年のプロデューサーが『ルーム237』を酷評し、『アイズ ワイド シャット』をお気に入りのキューブリック映画に挙げる

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Jan Harlan(IMDb) 「Room 237」を見ましたか?  ああ、なんてバカなんだ。もちろんそう思ったよ。気に入らないという話ではない。ただ馬鹿げている。つまり、(この 映画監督は)明らかにキューブリックが死ぬまで待っていたんだ。こういうことは何度も彼に起こったし、偽の月面着陸をしたという話もそうだ。これは彼が死んでからしかできなかった。人は虫けらのようにやってきて、墓から訴訟できない奴を利用する。いずれにせよ、私はそういうことは気にしない。 (引用: Indiewire/2014年3月31日 )  『時計じかけのオレンジ』以来キューブリック作品に長年プロデューサーとして参加し、義弟でもあるヤン・ハーランが例の『ROOM237』についてインタビューに応えています。ヤンは「何も解明しない陰謀説オタク映画」「明らかにキューブリックが死ぬのを待っていた大バカだ」「墓から出て来れない者を利用している」と批判のオンパレードです。  しかし、あえて私は苦言を言いたい。インタビューでも言及されている「偽の月面着陸」とはこの『オペレーション・ルーン』を指しているのでしょうが、その番組に姉(キューブリックの妻クリスティアーヌ)と一緒に嬉々と出演していたのはあなたでしょ?と。そんなあなたにこの『ROOM237』を批判する資格があるのかと。自作の権利を頑までに守り、TVのオンエアや広告、果ては上映館の壁の色まで口うるさく介入していたキューブリックの遺志を尊重し、あなたの言う「何も解明しない陰謀説オタク」からキューブリック作品を守らなければならないあなたと姉が、どうして『オペレーション・ルーン』などというくだらない番組に出演してしまったのか。その安易な行動がその「大バカども」に免罪符を与えてしまった責任ををどう考えているのか。とことん問いつめたくなります。  映画であれ、写真であれ、絵画であれ、音楽であれ、小説であれ、創作活動をした経験のある方ならよく理解できると思いますが「自作」というものは自分にとって我が子のように愛おしいものです。それを陰謀ごっこの道具にされ、あまつさえ金儲けのダシに使われるのを気にしなかったり、自作は嫌だけど他人の作品なら笑って許せる、という人は創作者でもクリエーターでもなく単なるカネの亡者、守銭奴です。その低レベルなゴミ自称芸術家たちはここに晒してあり...

【DVD】『ア・ライフ・イン・ピクチャーズ』(原題:A Life in Pictures)

  とにかく、この豪華な出演者を見て欲しい。キューブリック・ファンならそのインタビュー姿が拝めることができるだけでも貴重な人物が多いということが、すぐ理解できるだろう。その上、惜しげもなく挿入されているキューブリック秘蔵のプライベート映像(幼少の頃や、イギリス移住後の一家の映像)や貴重なスチール写真(ルック社時代の報道写真も)、そして『2001年…』や『フルメタル…』などのメイキングシーン…。さすが製作・監督が身内(キューブリックの義弟)だけあって、内容はとても充実していて素晴らしいものに仕上がっている。そして、たったワン・シークエンスだが、キューブリック初のドキュメンタリー『拳闘試合の日』や、まぼろしの処女作『恐怖と欲望』のフィルムまで収録されている。  インタビュー・シーンが多く、長さも2時間22分もあるが、全く飽きさせない一級のドキュメンタリーに仕上がっている。「これを観ずしてキューブリックは語れない」そう断言しても良い程の良質のドキュメントだ。