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【関連記事】イラストレーター、フィリップ・キャッスル(スタンリー・キューブリック監督作品のポスターデザイナー)へのインタビュー

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フィリップ・キャッスルがキューブリックから送られた『フルメタル・ジャケット』のヘルメットを着用している はじめに 〈中略〉  フィリップ・キャッスルはイギリスのイラストレーターで、スタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』や『フルメタル・ジャケット』の象徴的なポスターの制作で最も広く知られていますが、ケン・ラッセルの『ボーイフレンド』、ティム・バートンの『マーズ・アタック』、ジャック・ニコルソンの『ゴーン・サウス』なども制作しています。また、アルバムカバーのアートワークも手がけていて、デヴィッド・ボウイの『アラジン・セイン』、パルプの『ヒズ・ナ・ハース』、メトロノミーの『ナイツ・アウト』、ローリング・ストーンズの『イッツ・オンリー・ロックンロール(バット・アイ・ライクス・イット)』やポール・マッカートニーの『ウィングス』ツアー、さらに広告キャンペーンのポスター、本の表紙、イラストなど数え切れないほどのアルバム・ジャケットのアートワークも手がけています。私は連絡を取り、フィリップの自宅を訪ねました。元気で物腰の柔らかいフィリップは、時間を惜しまず、思いがけず40年以上にわたる彼の素晴らしい作品のアーカイブを撮影することができました。彼は紅茶を淹れてくれ、キューブリックが『フルメタル・ジャケット』のデザインのために彼にコンタクトをとった経緯から話を始めました。 第一部:キューブリックとの対面と『フルメタル・ジャケット』のデザインについて スティーブ・メプステッド :こんにちは、私の名前はスティーブ・メプステッドです。私はここでフィリップ・キャッスルと話をしています。フィリップの人生と仕事について話をするためにお伺いしたのですが、歴史を振り返る前に、フィリップは近いうちにギャラリーでの展覧会のための仕事をいくつか控えているようですね? フィリップ・キャッスル :フィリップ・キャッスルです。2つのギャラリーが興味を示していて、どちらも私に声をかけてきました。どちらも実現しそうな気がしています。『時計じかけのオレンジ』関連の展示は今年中に、もうひとつは来年末になると思います。だから、これ以上やることがあるとすれば、2つ目のショーのためにやることになるでしょうね。最初の展示は、『時計じかけのオレンジ』のアーカイブと、販売用のプリントを展示する予定です。そして、『時計じ...

【BD/4K UHD】ワーナーより『バリー・リンドン』4K UHD+BDセット2025年12月24日発売決定!!

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バリー リンドン 4K UHD + ブルーレイ セット [Blu-ray](Amazon)  【DISC1】 本編: 約185分 ディスク仕様:   4K ULTRA HD(片面3層) 本編: 2160p Ultra High Definition 本編サイズ: ヨーロピアンビスタサイズ/16×9LB 音声: 1. DTSHDMA 5.1ch:英語 2. DTSHDMA 2.0ch:英語 字幕: 1. 日本語 2. 英語(SDH) 字幕翻訳: 高瀬鎮夫 【DISC2】 本編: 約185分 ディスク仕様:  ブルーレイ(2D)(片面2層) 本編サイズ: スクイーズビスタサイズ/16×9FF 音声: 1. ドルビーデジタル  5.1chEX:英語 字幕: 1. 日本語 2. 英語(SDH) 字幕翻訳: 高瀬鎮夫 (引用: ワーナーブラザース公式サイト )  正直「やっとか・・・」との思いはぬぐえません。ワーナーはBD版発売時にキューブリックの意図通りのヨーロッパビスタサイズの1.66(1.78表示で左右にレターボックス)という仕様にせず、16:9のフル表示で発売して世界中のファンから不評を買っていました。おまけにオープニングロゴをメタル仕様にする改悪までしでかす始末。それを改善したのが後発のクライテリオン版でしたが、残念ながら日本語字幕は未収録。それもあって買い控えをした方にとって、このワーナー版のリリースは心待ちにしていたものなのです。  今回、その問題アリアリのBDとセットで4K UHD版が発売されるわけですが(最悪のBD版との比較をしやすくしてくれたワーナーさんに感謝!とでも言っておきましょう)、残念ながら音声はキューブリックが意図したモノラルは未収録です。モノラル音声版はDVDの初版を入手するしかなさそうです(詳細は こちら )。クライテリオン版の5.1chはアシスタントだったレオン・ヴィタリの監修でしたが、ワーナー版はその表記がないので不明です。加えてクライテリオン版にはあった関係者インタビューなどの特典映像ディスクは未収録になります。まあでもこれは発売元が違うので仕方ないですね。  クライテリオン版の見本動画は こちら にありますが、おそらくこれと同等な品質でのリリースになると思われます(そうですよね?ワーナー...

【原作小説】Amazon Kindleにサッカレーの小説『バリー・リンドン』が新訳で登場。しかも398円の超破格値!

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バリー・リンドン: アイルランド落ちぶれ貴族の波乱万丈の生涯 (Amazon)  状態にもよりますが、当時460円の角川文庫版・深町眞理子訳の小説『バリー・リンドン』が4000円程度からとプレミア化している現在、なんとAmazon Kindleに19世紀堂書店より『バリー・リンドン: アイルランド落ちぶれ貴族の波乱万丈の生涯』として登場しています。しかも読み放題のkindle unlimited加入なら無料、購入でも398円と破格の安さ!  では、その新訳のデキはどうなのかというと、比較は以下の通り。 第1章 我が家系と家族優しき情熱の影響を受ける 情熱  アダムの時代以来、この世で起こった災厄のほとんどには、 必ずと言っていいほど女性が関わっている。 我 がバリー家が家系として存在し始めた時(それはアダムの時代にほぼ近いほど古く、 誰もが知るように高貴で由緒ある家柄である)から、 女性たちは我が一族の運命に多大な影響を与えてきた。  ヨーロッパ中で、 アイルランド王国のバリー・オブ・バリューグ家の名を知らぬ紳士はいないだろう。 グウィリムやドジエの記録にもこれほど有名な家名は見当たらない。 世慣れた者として、私は靴磨きの下僕同然の系図しか持たない成り上がり者たちの高貴な血統主張を心底軽蔑し、 アイルランドの王族の末裔だと吹聴する同胞たちの自慢話を嘲笑するが、 真実を述べるなら、 我が家系はこの島で最も高貴であり、おそらく全世界でもそうであった。 戦争、裏切り、 時の流れ、 祖先の浪費、 古い信仰と君主への忠誠によって、今は 取るに足らないほど縮小した我が家の所領も、かつては驚くほど広大で、アイルランドが現在よりはるかに繁栄していた時代には多くの州を包含していた。 私は紋章にアイルランド王冠を掲げたいところだが、それを称し陳腐化させている愚かな詐称者があまりにも多い。  女性の過ちがなければ、 今頃私はその王冠を戴いていたかもしれない。 あなたは疑いの目を向けるだろう。 なぜ不可能だと言える?もしリチャード2世に膝を屈した腰抜けどもではなく、勇敢な指導者が我が同胞を率いていたなら、 彼らは自由の身となっていたかもしれない。 残忍なならず者オリバー・クロムウェルに対抗する決然たる指導者がいたなら、 我々は永遠にイギリスの軛を振り払えたはずだ。 しかし僭称者に対抗するバ...

【ブログ記事】カンヌ国際映画祭のカンヌ・クラシックで『バリー・リンドン』が4Kで上映

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 ライアン・オニールとマリサ・ベレンソンが主演を務めるスタンリー・キューブリック監督による、ウィリアム・メイクピース・サッカレーの18世紀の古典小説『バリー・リンドンの回想録』は、繊細で颯爽とした悪党の栄枯盛衰を描いた作品。アイルランドを追われたハンサムな若者レドモンド・バリー(オニール)は、決闘でイギリス軍将校を殺害したためアイルランドを追われ、プロイセンで兵士、スパイ、そしてヨーロッパのエリート層の間でギャンブラーとして一攫千金を夢見る。彼は名前を変え、富を求めて貴族(ベレンソン)と結婚するが、求め続けた成功はついに果たせない。 アカデミー賞4部門受賞:撮影賞、美術賞、衣裳デザイン賞、作曲賞 監督:スタンリー・キューブリック 製作年:1974年 製作国:イギリス、アメリカ 上映時間:184分 (引用: カンヌ映画祭公式サイト )  2025年5月23日、カンヌクラシックスのクロージング作品として上映された『バリー・リンドン』はクライテリオン社による新しい4K修復版で、35mmのオリジナルカメラネガの4Kスキャン、撮影時の正しいアスペクト比1.66:1で上映、サウンドはオリジナルの35mm磁気トラックから作成されたそうです。  上映当日、主演の一人であるマリサ・ベレンソンが登壇。映画はキューブリックとファンにはおなじみの映画評論家ミシェル・シマンに捧げられました。 4K版はクライテリオンから7月に4KUHDでリリースされる ことが決まっていますが、残念ながら日本語字幕はなし。まあなくても内容は知っているし困らないのですが、特典映像はないと困ります。ワーナーは出す気あるのでしょうか?でなければ『午前十時の映画祭』あたりでの上映を期待したいですね。

【スペシャルレポート】国立映画アーカイブで上映された35mm版『バリー・リンドン』を鑑賞してきました。

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上映会場入口で当時のポスターがお出迎え  2023年1月15日、12時から東京・京橋の国立映画アーカイブ小ホールで上映された、35mm版『バリー・リンドン』を鑑賞してきました。  アスペクト比はキューブリック指定のヨーロッパビスタで、もちろんワーナーロゴもソウル・バスがデザインした当時のものです。フィルムの状態は傷や汚れが目立つ箇所もあり、色彩の退色もありました。もちろんこれらは「公開当時のフィルムで鑑賞しているという価値」を感じさせるもので、むしろメリットと言えます。そんなことを感じながらフィルムで見続けていると、映像ソフトやTVオンエア、配信時の不自然なまでの「彩度上げ」に猛烈な違和感を感じるようになってきました。特に、画面自体が発光する液晶テレビでの視聴は、『バリー・リンドン』の古色蒼然とした空気感を台無しにしているように思えます。  もちろん、作品は作品自体を視聴していただかない限りは価値がないものなので、お手軽に過去の名作を視聴できる現在の環境は喜ぶべきことではあります。ですが、薄型フルHDテレビ普及時(2010年代)にあった「過度な鮮明映像競争」は映像ソフト、特にBDに悪い影響を与え、元ネガの色調を過度に「彩度上げ」に補正してしまい、その作品の本来の価値を損ねているように感じます。この『バリー・リンドン』でもそれは同じで、本作のBDは色調の不自然さはもちろん、アスペクト比がキューブリックの意図したヨーロッパビスタではなく16:9でトリミング、オープニングロゴも雰囲気をぶち壊すメタリックデザインと、とても「作品愛」を感じさせる商品ではありません。  その「過度な鮮明映像競争」の反省からか、現在は元ネガの色調を尊重するという方向にシフトしています。それは日本未発売のクライテリオン版『バリー・リンドン』の評判の良さからも伺えます。ただ、このクライテリオン版は日本語字幕未収録なので、マニアな方以外にはなかなかオススメづらい商品ではあります。であれば、まだブラウン管テレビでの視聴を想定していた頃のDVDの方がお勧めできるでしょう。解像度は720ピクセルですが、フルサイズのネガサイズで収録されていて、色調もBDほど極端な「彩度上げ」ではありません。DVD版にはデジタルリマスター前と後のバージョンがありますが、もちろんお勧めはデジタルリマスター版です。中古市場で安価に...

【考察・検証】原作小説『バリー・リンドンの幸運(The Luck of Barry Lyndon)』のあらすじと映画版の違いを検証する

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絶版になっている角川文庫のサッカレーの小説『バリー・リンドン』(Amason) ●小説『バリー・リンドンの幸運』のあらすじ  (自称)上流だが没落貴族の家系に生まれたレドモンド・バリーは気性が荒く、喧嘩っ早い性格だった。父親が病死するとますます生活に困窮するようになったが、プライドだけは高かった。15歳のバリーは年上の従姉ノーラに激しい恋心を抱くが、ノーラは子供扱いして相手にしない。そのノーラに求婚してきたのはイギリス軍の将校ジョン・クィン大尉だった。ノーラ家の借金の返済を申し出たクィン大尉にバリーは激しい嫉妬心を燃やし、決闘しろと迫る。その結果はクィン大尉の死亡だった。事が表面化する前にバリーは母親の金を手にダブリンへ逃れるが、そのダブリンで詐欺師夫婦にまんまと所持金全額を詐取される。無一文になったバリーは日銭を求めて仕方なくイギリス軍に入隊、大陸に渡る船に乗る。そこで巨漢のトゥールと喧嘩になり、同じ船内で決闘の立会人をしていたフェイガン大尉と再会する。フェイガンからクィン大尉の死はバリーを村から追い出すための狂言だと聞かされ、バリーは激怒しつつも犯罪者にならなかったことに安堵した。  大陸に渡ったバリーはミンデンの戦いに参加するが、軍隊の中で後見人となってくれていたフェイガン大尉が戦死する。バリーは軍隊のみすぼらしくて野獣のような生活に嫌気が差し、重傷を負ったフェイケナム中尉が担ぎ込まれた農家で、傷により気の触れた中尉と入れ替わることを企てる。その策略に農家の娘リシェンが協力した。フェイケナムの身分証明書を手に偽の中尉となったバリーだが、プロセイン軍の大尉にあっという間に見破られ、乱闘の末取り押さえられてしまう。囚われの身となったバリーはプロセイン軍の捨て駒の兵士としていくつか戦いに参加させられる。そこでもなんとか生き残り軍功も挙げた。戦争が終わると所属の連隊はベルリンに駐屯する。バリーは隊長であるポツドルフ大尉に取り入り部下になり、同じアイルランド人であるシュヴァリエ・ド・バリバリを監視するように依頼される。バリバリは行方不明だった伯父であることに気づいたバリーは伯父と結託し、伯父は甥を密航させる手配をしてベルリンから逃げ出す。二人はドレスデンで合流、賭博師としてピッピ伯爵と共謀し大金をせしめるが、ピッピに売上金を持ち逃げされる。二人は今度はマニ伯爵に狙いを定...

【インスパイア】TVアニメ 『ダンス・ダンス・ダンスール』第5話『死ね、ねーだろっ』で、「上半身は『バリー・リンドン』、下半身は『時計じかけのオレンジ』」というセリフが登場

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「上半身は『バリー・リンドン』」 「下半身は『時計じかけのオレンジ』」 「俺ってとってもスタンリー・キューブリック!」 「・・・と思えばこの衣装もむしろカッコイイと言えるだろう」   要するに、白粉と衣装が『バリー・リンドン』っぽくて、白いタイツとシューズカバーが『時計じかけのオレンジ』のブーツとパンツっぽいという話なんですが、調べてみるとこのセリフ、原作準拠でした。中学生がキューブリック(特に『時計…』)を観ているというのもなかなかですが、作者が映画好きなんでしょうね。と、なるとこの作品の元ネタは『リトル・ダンサー』でしょう。  公式サイトは こちら 。

【ブログ記事】『バリー・リンドン』BD版オープニングの改悪、4K UHD版では元に戻してくれますよね?ワーナーさん!

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 ワーナーが権利を持つキューブリック作品で、まだ4K化されていないのが『アイズ ワイド シャット』『ロリータ』とこの『バリー・リンドン』なのですが、『バリー・リンドン』のBDはとにかく評判が悪いのです。その理由は本来ヨーロッパビスタ(1.66)であるはずのアスペクト比を16:9で収録してしまっているということはもちろん(『キューブリックに魅せられた男』でレオン・ヴィタリが疲弊しきっているのは、この件で世界中のファンから叩かれまくったから)、オープニングでワーナーのロゴをオリジナルからメタルロゴに差し替えてしまったこともあります。  上記動画をご覧になれば一目瞭然。キューブリックはワーナーロゴのアニメーションに合わせて『サラバンド』をスタートさせています。それがBD版では台無しに。なんでワーナーはこんなことをしてしまったのか全く理解に苦しむのですが、それほどまでにこのメタルロゴ、デキが良いですかね? ちなみにオリジナルの1970年代のワーナーロゴをデザインしたのは、あのソール・バスです。『シャイニング』の広告デザインで、キューブリックにさんざんダメ出しされたソール・バスです(詳しくは こちら )。この旧ワーナーロゴが特別素晴らしいとは思いませんが(ソール・バスはデザイン史を語るときに外せない重要なデザイナーですので誤解ないようにお願いいたします)、オリジナルを尊重するという姿勢は絶対に忘れないでほしいですね。

【関連記事】『バリー・リンドン』のライアン・オニール、伝説的映画監督スタンリー・キューブリックについて語る

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1970年頃のライアン・オニール( wikipedia - Ryan O'Neal )  〈前略〉 —『バリー・リンドン』を何度も見直すのは楽しいですか?  私はいつも再見しているわけではないよ!。でも、みんなが覚えていてくれるのは嬉しいね。 —どのように覚えているのですか?  試練としてだね!まだ誰にも言われたことがないのか?自分を彼に委ね、いつか彼が自分を解放してくれることを願ってたね。1年半(の仕事)かかったよ。 —その若さで、このような偉大な監督のもとで働けたことは良かったのではありませんか?  ああ、私は持続性があったからね。演じることができたんだ。彼はたくさんのテイクを撮ったよ。代役を立てないんだ。照明に時間がかかるんだ。だから、彼が火をつけるまでに、新しい仕事のリズムを学ぶことができたんだ。 —キューブリック監督はたくさんの蝋燭の明かりを光源として使っていました。その分、火をつけるのは簡単だったのでしょうか、それとももっと複雑だったのでしょうか?  そうだな、時には蝋燭が全部溶けて100本必要になったこともあったよ。テイクが取れないと新しい蝋燭から始めなければならなかったんだ。キャンドルは芯が3本あるので、吹き消すのが大変だった。私は全部消えるまで吹き消すのを手伝ったもんだよ。 —誰かが『バリー・リンドン』を「ほとんど何も起こらない映画」と評しましたが、それは正確には正しくありません。戦闘シーンやケンカはありました。何もない映画だと思いましたか?  そうだな、それは鋭い質問だね。私にとっては平穏ではなかったよ。彼らは私を削り取っていったよ。彼(キューブリック)が何をするつもりなのか分からなかった。私は1年間、映画を観なかった。観るに耐えない状態だったんだ。そして、自分が何を観たのかよくわからなくなった。とてもユニークな作品だ。スタンリーは愛すべき男で、みんな彼を愛してたよ。私たちは彼に夢中だった。彼が望むことは何でもやってみようとした。俳優だけでなく、みんながそうだった。彼は私たちの神様だったんだよ。 —彼はあなたに多くのことを期待したと言われていますが、彼自身はそれ以上に多くのことを期待していました。  まずは音響の仕事、そして演出と手一杯だったよ。彼は逝ってしまった。彼が死ぬとは思っていなかった。彼は永遠に生き続けると思っていたんだ。 —何...

【関連動画】1976年の第48回アカデミー賞で『バリー・リンドン』が衣装デザイン賞を受賞する動画

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 第48回アカデミー賞で『バリー・リンドン』が衣装デザイン賞を受賞した受賞式の動画がありましたのでご紹介。  ノミネートされた5作品『バリー・リンドン』(ミレーナ・カノネロ、ウルラ=ブリット・ショダールンド)、『四銃士』(イヴォンヌ・ブレイク、ロン・タルスキー)、『ファニー・レディ』 (レイ・アガーヤン、ボブ・マッキー)、『魔笛』 (カリン・アースキン、ヘニー・ノーレマルク)、『王になろうとした男』 (イーディス・ヘッド)が順番に回転ステージでパフォーマンスで紹介されるという演出がいいですね。プレンゼンターはジェニファー・オニールとテリー・サバラス。それにしてもミレーナ・カノネロが若い!まだ30歳ですからそうなのですが、『バリー…』のコスプレとつけぼくろがキュートです。  今年のアカデミー賞は悪い意味で話題になりましたが、例のコメディアンのジョークがハリウッドではジョークとして通用しているというのが驚きです(殴った方への批判の多さから)。これがジョークなら本当の悪意がどのくらい酷いのか・・・。キューブリックがハリウッドの悪意から距離を置きたいと考えたのも無理ないですね。

【ブログ記事】まるで『バリー・リンドン』なフリーフォント「HONORIA」

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 『バリー・リンドン』のフォントは既製の同一フォントはなく、おそらくキューブリックがオリジナルで作らせたものだと思います。ですので雰囲気が似たフォント(例えばSouvenir Light)で我慢するしかなかったのですが、フリーフォントとしてついに「HONORIA」が登場しました!ただし大文字しかなく、数字も用意されていません。また、装飾系のアルファベットは異字体として収録されていますので、異字体に対応していないアプリケーションだと表示できないかもしれません。  まあでも組んでみると割とそれっぽいので遊べますね。ただ、著作権的には限りなく黒に近いですので、公式な書類などには使わない方が賢明だと思います。あくまで私的使用の範囲内でお楽しみください。このフォントで自分の名前を組んでみると、まるで自分が高貴な方ような気がしてきますよ(笑。  ダウンロードは こちら からどうぞ。そのほかのキューブリック作品使用フォントは こちら 。

【関連記事】史上最年少アカデミー賞女優テータム・オニールの人生を壊した父と薬と性暴力【毒家族に生まれて】

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『ペーパームーン』で共演したライアン&テータム・オニール  ーわずか10歳でオスカー像を手にしたハリウッドの天才子役は父の嫉妬と薬物に狂わされた  子役として華々しい経歴を持つ人物が、その後落ちぶれていく例は枚挙に暇がない。ハリウッドにおけるもっと有名な「堕ちた子役」といえば、テータム・オニールを置いて他にいない。10歳にしてオスカー像を手にした天才少女が、両親の堕落した生活と薬物、そしてレイプによって滅茶苦茶にされ、40年かけメンタルヘルスを取り戻した物語。 〈以下略〉 (引用元: ELLE/2021年10月15日 )  「テータム・オニールの人生を壊した父」とは、『バリー・リンドン』で主役を演じたライアン・オニールのことです。この記事ではいかにそのライアンが人格破綻者だったかを赤裸々に記述していますが、「毒家族シリーズ」と銘打たれているように、「毒親は継承されてしまう可能性がある」という観点からも非常に興味深い記事です。  キューブリックファンにとってライアン・オニールは「キューブリックのこだわりに振り回された俳優の一人」という認識ぐらいしかなく、長引く撮影に「娘のテータムが病気なんだ、帰らせてくれ」と懇願したという話から、てっきり良き父親なのだとばっかり思っていました。ところがこの記事はそのイメージを完全に覆すものです。まあ、素行が悪そうな雰囲気はキューブリックのドキュメンタリーに登場した際になんとなくは感じていましたが、ここまで酷いという認識はありませんでした。  ハリウッドがいかにドラッグと暴力にまみれているか、もしくはそれらがすぐ手の届くところにある場所なのか、ということを知識として知っていてもなかなか実感は沸かないものです。これを読むとキューブリックが映画製作に集中したいがためにハリウッドから距離を置き、イギリスに住み続けたというのもよく理解できます。それからもうひとつ、キューブリックは自作の主演俳優とは作品完成後も何らかの交流(電話が主だった)があるのが常(たとえトラブルになったとしても)だったのですが、ライアン・オニールとは一切そういう話がありませんでした。こんなに悪評まみれなら、キューブリックはそれを知っていたでしょうから、ライアンを避けるのは当然ですし、ライアンも薬と女に溺れるあまり、キューブリックと交流しようという考えなど微塵もなかっ...

【考察・検証】キューブリックはなぜ『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンの撮影で、人工光を使用しないことにこだわったのか?を検証する

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Barry Lyndon(IMDb)  『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンは一切人工光(照明装置)使わず、すべて蝋燭の光だけで撮影したことはよく知られていて、よく語られます。ですが、実際は当時存在しなかった高輝度の蝋燭を特注で作らせたり、レフ版をつかって室内全体に光をいきわたさせたりと、多少「ズル」をしたことはあまり知られていません。単純に撮影の手間だけを考えればこれらは補助光を使えば済む問題ですし、実際蝋燭のシーン以外、例えば昼間の室内のシーンでは照明を使用しています(詳細は こちら )。  ではなぜキューブリックは、「ズル」をしてしまえば18世紀の夜の室内の「完全再現」ではなくなるとわかっていながら、蝋燭の光だけで撮影することにこだわったのでしょうか?それは以下の2つの理由が考えられます。 (1)人工光が存在しない時代が舞台であれば、それを「再現」する照明であるべきだと考えていたから。  『バリー・リンドン』が製作されていた時代、具体的には1970年代半ばに至っても「アメリカンナイト」(夜のシーンを昼間に撮影し、NDフィルターをかけて夜に見せかける)で撮影された映画が一般的でした。自然光(に見えるライティングで撮影する)主義者であるキューブリックは、その「嘘臭さ」「不自然さ」を嫌っていて、映画業界に一石を投じるつもりでこの「蝋燭光だけでの撮影」にこだわったのです。それは 「【関連記事】『エル・ノルテ 約束の地』の監督、グレゴリー・ナヴァが語った「キューブリックと働いた日々」」 記事でのグレゴリー・ナバ監督の証言が全てです。キューブリックは「いいかげん嘘くさくて不自然な照明はやめるべきだ」と業界にメッセージを発信したかったのです。 (2)「蝋燭光だけで撮影された作品」というキャッチコピーで観客の関心を惹きつけ、興行成績に寄与できると考えたから。  これはキューブリック本人がそう語ったソースはありませんので、管理人個人の推察になります。『バリー…』が興行的に苦戦することは、ナポレオン映画『ワーテルロー』の失敗から折り込み済みでした。だからこそ宣伝効果を狙ってオスカーを欲しがったのだし、この「蝋燭光だけで撮影」という触れ込みもその宣伝効果を狙ったであろうことは十分考えられます。キューブリックの思惑は見事に的中し、この「蝋燭光だけで撮影」というのは当時盛んに宣伝され、話...

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その2:カメラ、照明、ズーム、トラッキングショット、蝋燭の光のみでの撮影について]

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酔いつぶれた将校の役で出演しているジョン・オルコット(左) ( 「その1」 より) ーアメリカン・シネマトグラファー誌:このカメラ(アリフレックス35BL)の印象を教えてください。 ジョン・オルコット:素晴らしいカメラだと思います。私にとってはカメラマンのためのカメラですが、それは主に光学システムが非常に優れているからです。光学システムの中には、他のシステムよりもはるかに誇張されたトンネル効果(映像の周辺暗く中心部が明るい映像)が得られるものがあります。先日、映画館にいるような気分になれるという理由で、長いトンネル効果を好む人物に出会ったことがあります。個人的には実際の映像で隅々まで見える方が好きですね。それができるのはアリフレックス35BLだけだと思います。このカメラのもう一つの特徴は、文字通り指先で絞りのコントロールができることです。一般的なカメラよりもはるかに大きな目盛りがついているので、細かく調整することができます。この機能は、スタンリー・キューブリックと仕事をするときには特に重要です。彼は、太陽が沈もうが沈むまいが撮影を続けたがります。『バリー・リンドン』では、バリーが幼い息子に馬を買い与えるシーンで、太陽が出たり入ったりしていました。これに対応しなければなりません。太陽が入ってきたからカットする、というような古い考え方はもう通用しません。 アリフレックス35BLで撮影するキューブリック ーその代わり、撮影中に絞りの開き具合を変えて乗り切ろうとするわけですね?  そう、だからこそアリフレックス35BLにはメリットがあるのです。絞りの調整が他のカメラよりも細かいので、実際に撮影しながら光の変化に対応できるのです。一般的なレンズでは、1つの絞り値と次の絞り値の間に大きな距離はありません。アリフレックス35BLのレンズでも実際にはそうではありませんが、外側のギア機構がスケールを大きくしているため、より正確な調整が可能になっています。1/4インチの動きが1インチの動きになるようなものです。 ー本作でのズームレンズの使用については?  ああ、そうですね。かなり使いました。アンジェニューの10対1ズームをアリフレックス35BLで使用し、エド・ディジュリオのシネマ・プロダクツ社製「ジョイスティック」ズームコントロールを併用しましたが、素晴らしいものでした。これは非常に重...

【関連記事】『バリー・リンドン』のサントラにも参加した、2021年10月11日に逝去したアイルランドの民族音楽バンド「ザ・チーフタンズ」のリーダー、パディ・モローニのインタビュー

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クイン大尉とノラのダンスシーンに使用された『パイパーズ・マゴット・ジグ』 【インタビュー】ストーンズと共演、キューブリック映画にも参加!生ける伝説、ザ・チーフタンズの偉大な歴史を辿る 〈前略〉 ──それが今では、日本を含めて世界中の人びとが熱心にアイリッシュ・ミュージックを聴いていますね。またロックやポップスにも、ケルト音楽のテイストを感じさせるものは少なくありません。これはまさに、ジャンルを超えて世界中のミュージシャンと共演してきたチーフタンズの功績なのでは?  たしかにこの半世紀で、状況はかなり変わったよね。1つには、僕らはラッキーだったと思う。人柄も才能も備えたメンバーと巡り会えたし、トラッド畑以外のミュージシャンも僕らのアンサンブルに興味を持ってくれた。60年代後半にはローリング・ストーンズのミック・ジャガーがアルバムを他のメンバーに薦めてくれたし。  ジョン・ピールというBBCの名物DJは、ザ・チーフタンズの曲をビートルズやストーンズと同じ扱いでかけてくれたんだ。あと、これもやっぱり1975年だけど、スタンリー・キューブリック監督の映画『バリー・リンドン』に参加したのも大きかったな。僕らの曲が劇中で大々的に使用され、作品はオスカーで4部門を受賞した。そうやって世界の多くの人が、アイルランド伝統音楽の素晴らしさや懐かしさを知ってくれたんだ。 〈以下略〉 (引用元: Quetic/2017年10月12日 )  2021年10月11日、アイルランドの民族音楽バンド「ザ・チーフタンズ」のリーダーであり、唯一のオリジナル在籍メンバー、パディ・モローニが逝去いたしました。そのパディの来日時のインタビューがありましたのでご紹介。  ザ・チーフタンズは『バリー・リンドン』のサウンドトラックに『愛のテーマ』『パイパーズ・マゴット・ジグ』『海の乙女』の3曲を提供しています。結果、アカデミー賞歌曲賞を受賞(受賞者はレナード・ローゼンマン)するのですが、そのことが「ザ・チーフタンズにとって大きかった」と語ってくれているのはとても嬉しいですね。  故人のご冥福をお祈りいたします。

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その1:ロケーション撮影、フィルター、照明、ネガフィルムについて]

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ポラを確認するジョン・オルコットと、ファインダーを覗くキューブリック スタンリー・キューブリック『バリー・リンドン』の撮影について (1976年のインタビュー) 〈前略〉 ーアメリカン・シネマトグラファー誌:スタンリー・キューブリックとは3本の映画で仕事をしていますね。『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』そして今回の『バリー・リンドン』です。その関係について教えてください。 ジョン・オルコット:私たちは非常に親密な関係にあり、その関係は『2001年宇宙の旅』から始まりました。私はジェフリー・アンスワースのアシスタントをしていましたが、ジェフリーが最初の半年で辞めてしまったので、私が引き継ぐことになりました。つまり、スタンリー・キューブリックが私に有名になるきっかけを与えてくれたのです。私たちの仕事の関係が緊密なのは、撮影に対する考え方がまったく同じだからです。本当に見解の一致した撮影をしています。 ー『バリー・リンドン』の事前計画段階ではどうでしたか?  例えば蝋燭の明かりのように、写真的なアプローチや効果の可能性を試すことが多かったです。実は『2001年…』の後にスタンリーが『ナポレオン』の撮影を計画していたときにも、蝋燭の明かりだけで撮影しようという話があったのですが、その頃は必要になる高感度レンズを持っていませんでした。また『バリー・リンドン』の撮影準備では、オランダの巨匠たちの絵画に見られる照明効果を研究しましたが、少し平面的な印象を受けたので、横からの照明を足すことにしました。 ー『時計じかけのオレンジ』と『バリー・リンドン』両作品をキューブリックの元で撮影しましたが、この2つの作品の撮影スタイルは明らかに異なっています。この2つの撮影を比較して、そのスタイルの違いをどのように表現しますか?  『時計じかけのオレンジ』では、より暗く、よりドラマチックなタイプの撮影が行われていました。この作品は1980年代(※1990年代の間違い?)という先進的な時代を舞台にした現代的な物語ですが、実際にはその時代が特定されているわけではありません。その時代では、非常に冷たく、荒々しい撮影のスタイルを必要としました。一方、『バリー・リンドン』は『時計じかけのオレンジ』に比べて絵画的で、光と影の表現がよりソフトで繊細なものになっています。私の考えでは、『バリー・リン...