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【関連記事】スタンリー・キューブリックは『シャイニング』でどのようにエレベーターに血を溢れさせたか?

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 スタンリー・キューブリックの1980年の傑作ホラー映画『シャイニング』には、幽霊のような双子の少女から身も凍るような犬男まで、スクリーンには今日まで映画ファンの悪夢に染み込むような恐ろしい映像があふれている。  しかし、伝説の映画監督自身があまりに怖くて、撮影当日にオーバールック・ホテルのセットにいられなかったシーンがある。それは象徴的な「血のエレベーター」シークエンスだ。エレベーターのドアがゆっくりと開き、粘着性のある赤い液体が壁や家具、カメラのレンズに至るまで溢れ出す静止画の、象徴的なシーン「血のエレベーター」である。  このシーンは、映画の中で何度も繰り返されるほど効果的に不気味なもので、ワーナー・ブラザースはこのシーンをまるごと『シャイニング』の予告編の一つとして流した。そして、一度フィルムに収めると、キューブリックは喜んで何度も何度も繰り返し観たという。  しかし、彼の長年のパーソナル・アシスタントであるレオン・ヴィタリは、厳格な監督として知られる彼が、撮影当日にいかにスタッフに撮影を任せていたかを今でも覚えている。「スタンリーはそれを見る気になれなかったんだ」と、ヴィタリはYahoo Entertainmentに明かしている。「僕らがセットに入ったとき、スタンリーは『見張っていて、何かあったら言ってくれ』と言ったんだ。そして、出て行ってしまったんだ!」  はっきり言って、キューブリックは血液恐怖症ではなかった。ヴィタリの説明によると、映画監督が恐れたのは、多くの準備を必要とした重要なシーンがひどく失敗する可能性を見ることだったのだ。  「血の質や色をできるだけ自然にするために、何週間も何週間も費やしました」と、現在70歳のヴィタリは言う。「赤すぎてもいけない。何百ガロンもの血を流すわけですから、その濃さも重要です。エレベーターのようなものに大きな圧力がかかると、気をつけないと吹き飛んでしまうから」。  大がかりなスタントが失敗することに、彼がどれほど神経質になっていたかを考えると、キューブリックがそもそもなぜエレベーターに血液を入れるというアイデアを思いついたのか、疑問に思うのは当然だろう。それは原作に忠実(スティーブン・キングが愛する1977年の小説)でありたいということではない。この小説の中でキングがオーバールックのエレベーターに詰め込んだのは、パ...

【考察・検証】「シャイニング・カーペット」の柄の意味を考察する

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ダニーを取り囲むように蜂の巣のデザインが施された「シャイニング・カーペット」 次のカットではセットで撮影されていて、明らかにカーペットのサイズや向きが違う。キューブリックはこのカットの矛盾を承知の上で上記映像をわざわざ別の場所で撮影している。  『シャイニング』の舞台であるオーバールック・ホテルの内装はマジェスティック・ヨセミテホテル(旧アワニー・ホテル)を参考にデザインされましたが、必ずしも「完全コピー」ではありませんでした。その最たるものが廊下に敷き詰められた、一般的に「シャイニング・カーペット」と呼ばれる六角形の柄をあしらったカーペットです。これはオリジナルデザインではなく、インテリアデザイナー、デービッド・ヒックスがデザインした「ヒックス・ヘキサゴン」という柄を無断でコピー(剽窃)したものであることは この記事 でご説明しましたが、このようにキューブリックが意図的に改変したものは、何がしかの意味や意図を込めたのでは?と疑ってみるのがキューブリック作品を考察する上での常道と言っていいでしょう。  ではまず、なぜ六角形なのか?という点ですが、これはご紹介した上記記事では、以下のような指摘がなされています。 ・色彩が幻想的で鮮やかな印象のため、何かの前兆の印象を与えるから ・このグラフィックパターンは、キューブリックが用いる「シンメトリーな一点透視」に効果的で、ドラマチックな視覚感覚と廊下の延長効果をもたらすから ・ヘックス(六角形)の意味は「呪いまたは悪意のある願い」であり、したがってホテル内の邪悪を象徴するから ・カーペットの六角形をキューブリックが好むチェスと戦争ボードゲームのマス目に結びつけることができるから ・六角形の「六」が「シャイン(輝き)」という第六感を象徴するため どれもありそうな指摘ですが、管理人はどの指摘も見逃している重要な点があると考えます。それは「色」です。この赤やオレンジや茶色を配したカラーリングは、ベースになったヒックス・ヘキサゴンにはありません。これはキューブリックが指示してこのカラーリングにしたと考えるべきです。  そして、この黄色・オレンジ・茶色の配色と六角形のパターンを見ていて気づくことがあります。それは原作小説に登場する「蜂の巣」です。屋根裏からジャックが見つけた蜂の巣をダニーに見せたところ、死んでいるはずの蜂がなぜか生き返...

【アーティスト】『シャイニング』に登場した六角形柄のカーペットをデザインしたインテリアデザイナー、デービッド・ヒックス

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1970年代に活躍したイギリスのインテリアデザイナー、デービッド・ヒックス 「シャイニング・カーペット」が印象的に登場したダニーのミニカー遊びのシーン  『シャイニング』に登場した六角形柄のカーペット、ファンの間では「シャイニング・カーペット」と呼ばれるものですが、これは1960年代にインテリア・デザイナーであるデービッド・ヒックスがデザインした「ヒックス・ヘキサゴン」で、キューブリックが「勝手に」コピーしたものでそうです。以下がそのソースです。  しかし、ヒックスは『シャイニング』の撮影に協力していませんでした。「ヒックス・ヘキサゴン」 カーペットは、1980年に『シャイニング』がリリースされる前の1960年代に作られたもので、オーバールック・ホテルに登場するカーペットは、映画のためのものでも、撮影用にデザインされたものでもありません。 アシュレイ・ヒックス(インテリア、テキスタイル、カーペットのデザイナーとしても非常に成功したデービッドの息子 )は、グラフィックデザインの伝説的な存在で、映画愛好家でもあるMike Dempseyのブログに、父親の仕事について興味深いコメントを残しています。 「私の父はキューブリックのために働いたことはありません。私はキューブリックがヒックスのカーペットを『シャイニング』のためにコピーしたことを、父が自慢のひとつに思ってくれていたらいいのに、と思っています。」 (引用: Checkmate! The story behind Kubrick’s carpet in The Shining revealed/2017年11月 )  キューブリックは映画で使用するプロップやインテリア、衣装などはよく既存のものを使いますが、それは手早く、そして手広く選択肢を用意したいという理由からだと思われます(例えば『時計…』でアレックスの部屋のベッドカバーは当時売られていた既製品)。その上で、どうしても気にいるものがなければ、オリジナルでデザインさせるという手法を採っていたようです。実際はどうだったかはわかりませんが、例えばキューブリックがカーペーットや壁紙のカタログからこの「ヒックス・ヘキサゴン」のデザインを知り、それを気に入ってオーバールック・ホテルのカーペットデザインに採用した、という経緯が想像できます。著作権意識の薄かった1970年代ならで...

【セット】ロジック・メモリー・センター(Logic Memory Center)

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 『2001年宇宙の旅』でボーマンがHALの機能停止の為に赴いた部屋。無数のソリッド・ステート・論理ユニットで構成されていて、ボーマンが抜き取ったのは認識フィードバック、自我補強、自動思考のユニット(小説版による)。HALの高等中枢回路だけを切断し、ディスカバリー号の航行・制御に必要な自動管理システムは残しておくのがボーマンの目的だった。その際にHALが歌った『デイジー・ベル』については こちら 。

【セット】ピクチャーフォン(Picture Phone)

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 ベル株式会社がデザインし『2001年…』に提供したTV電話。20世紀には未来ガジェットとして定番のアイテムでしたが、21世紀の現在、技術的には完全に実用化レベルなのにそんなに普及していないのはご存知の通り。理由は・・・言わなくてもわかりますよね。  このピクチャーホンで話し相手になっている女の子はキューブリックの三女、ヴィヴィアンなのは有名な話ですが、全然落ち着きがないせいかカメラがヴィヴィアンを追いかけています(笑。まあこれは対人センサーとカメラが同期していて人物の動きを自動的にトレースする機能が付いている・・・と脳内補完しておきましょう。

【セット】『シャイニング』のカーペット(Shining Carpet)

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 『シャイニング』で登場する印象的な柄のカーペット。原作では蜂の巣が邪悪な霊の象徴として登場するので、映画化の際にそれをモチーフに迷路の暗喩も含めてデザインしたもの、と解釈しています。

【言葉】STOP

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 『アイズ ワイド シャット』で謎の男がビルを伺う横に掲げられていた一時停止の標識。終始無言の男がビルに向けて「詮索はやめろ」と警告しているように見えます。そして思わずビルが手にした新聞には「生きているだけで幸運」ですからね。意味が分かって観ると面白い演出です。

【セット】237号室(Room 237)

 『シャイング』で、女の幽霊が出る部屋。小説版では217号室だったが、映画で外観として使用されたホテル「ティンバー・ライン・ロッジ」の希望により、実在しない237号室に部屋を変えた。ちなみにスティーブン・キングが原作を修筆中に滞在した「スタンリー・ホテル」での部屋番号は原作そのままの217号室。このホテル、実際に幽霊が出ると評判らしく・・・。勇気のある方は宿泊してみてはいかがでしょう?管理人はもちろん遠慮しておきます(笑。

【セット】ゴールドルーム(The Gold Room)

 『シャイニング』に登場するホテルの宴会場の名称。幽霊達が社交パーティーを開いているシーンは、怖いというよりどこかユーモラスだ。客の一員としてキューブリックの三女、ビビアンが出演(ジャックが座るスツールの左側のソファに座っている右側の黒い服の女性。長いパイプを持っている)している。

【セット】コロラド・ラウンジ(Colorado Lounge)

  『シャイング』でジャックが主に過ごすオーバールックホテルのラウンジ。実はエルスツリー・スタジオ内に建てられたセット。外から差込む外光は自然光を模して照明を大量に外から当てていたとのこと。そのせいもあって、雪に閉ざされる話なのに現場はずいぶんと暑かったのだとか。役者もスタッフも大変です。

【セット】血のエレベーター

  『シャイニング』で、予告編にも使用された血が噴き出すエレベーター。原作では、誰もいないのに動き出すという設定だったが、それだでは映像的に面白くないと判断したのか、映画では血まみれにしてしまった。予告編でもこの映像が使用されたが、タイトルロールが通常とは逆に下から上へと流れていくのが微妙に気持ち悪い。

【セット】生垣迷路(maze)

  『シャイニング』で、オーバールック・ホテルの裏側にある生垣の迷路。原作では生垣の動物が動き出して襲ってくるのだが、そんな物を映像化しても陳腐になるだけ、と描写を拒否したキューブリックが「ジャックの精神が錯乱していく暗喩にもなる」と代わりに採用した。  ジャックの狂気は生垣迷路の模型の中にウェンディとダニーの姿を見る(霊の視点がジャックの視点と同化する)事から始まり、最終的にはその迷路の中で凍死し、心身ともに霊(ホテル)と同化する事で終わる。迷路の暗喩はホテル内部もそうであり(ウェンディがホテルを案内された際「まるで迷路ね」と感想を漏らす)、カーペットの柄にもそれは反映されている。  生垣迷路を無事脱出したウェンディとダニーが、最終的にホテルからも脱出できたのは当然だし、ジャックがダニーの単純なトリックに気付かず凍死したのも当然の帰結。物語は始まった時から「仕組まれて」いて、「仕組まれた」通りに終わる。『シャイニング』とはそういう物語なのだ。

【セット】ペンタゴン最高作戦室(War Room)

  『博士の異常な愛情』に登場するペンタゴンの最高作戦室(ウォールーム)ですが、もちろん当時、米軍からは何の協力も得られなかったので、キューブリックとデザイナーのケン・アダムが想像でデザインしたものです。  で、何かに似てると思いませんか?そう、これはカジノなんかによくあるボーカーのテーブルを模しています。まあ、今考えれば割とベタなネタですが、公開当時(冷戦の最中で、キューバ危機の数年後)の世界情勢じゃ、全然洒落になってませんよね。

【セット】白い部屋(White Room)

  ルイ王朝風だ、いやロココ調だとなにかと問題になる『2001年…』の白い部屋ですが、そのインテリアがいつの時代のものかはさして問題ではなく、重要なのはここが「ホテルの部屋」(もしくはホテルの部屋を模したもの)であるということです。ここがホテルの部屋である事はその調度品やバスルームを見れば理解できるし、撮影現場の写真にははっきりと「HOTEL Room」との記述がります。では、なぜ「ホテル」なのでしょうか?  それは、動物園を想像してみれば良いでしょう。人間は動物園の檻に動物を入れますが、動物にとって檻はどのように認識されているのでしょう?食事と寝床とトイレが用意され、しかも常に清潔に保たれている。外敵が襲ってくる心配もない。それはまさしく動物にとって「ホテル」と言えるのではないでしょうか?  クラークの小説版には「ホテルの部屋を模したもの」である事が明解に説明されています。それによると、月面のモノリスが地球のTV番組をモニターして地球人の生活環境や習慣を熟知。その知識を元にこのホテルの部屋を作り、ボーマンを迎え入れたと説明されています。(ボーマンが部屋を調べた際、引き出しが開かなかったり、本は背表紙だけの見せ掛けなのを発見するくだりは結構スリリング)。ボーマンは部屋に備え付けの天井TVに映し出されたドラマのワンシーンに、自分が今いる部屋と同じデザインのホテルの部屋が登場しているのを発見し、その真実を知ることになりました。  しかし、キューブリックはインタビューで「人間動物園のような環境」「彼自身の夢と想像から作られた」と説明し、「ホテル」とは説明していません。それは、ホテルにしては広すぎる部屋(カメラを自由に動かしたいキューブリックが、わざと大きめなスイートルームを作らせたのかもしれない)であること、ネタばらしである「ホテルの部屋」と言いたくなかったなどの理由が考えられます。  いずれにしても、この部屋がホテルの部屋であることは間違いありません。異星人(もしくは「科学的に定義された神」)よって作られたこの(偽物の)ホテルの部屋に招待されたボーマンは、加速度的に老いてゆき、死に、そしてスターチャイルドとして再生します。  ちなみにダグラス・トランブルによると、この部屋にはモデルがあり、それはロンドンの最高級ホテル「ザ・ドーチェスター」だそうです。

【セット】無重力トイレ(Zero Gravity Toilet)

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  『2001年…』で、アリエス1B宇宙船に備え付けてあるトイレ。 フロイドが便意を催しトイレに行ったはいいが、あまりの操作の複雑さに困惑してしまう…というオチ。クラークによると、キューブリックは最初から冗談のつもりでこのシーンを作ったらしい。以下はその操作マニュアル。 ●無重力トイレ〈使用の前に指示書をよく読んでください〉 1)トイレは標準ゼロGタイプです。 必要に応じて 「システムA」又は「システムB」を選ぶことができます。 表示はトイレ内にあります。「システムA」の場合はレバーを押し下げてください。 するとダルクロン除去器が下の溝にセットされます。 粘着性の縁を締め、大文字の 「X」 と書かれた接合部に排出ホースをしっかりと固定してください。 接続部の1インチ下の銀色の輪が しっかりと接続されるまでひねってください。 2)トイレの準備ができました。ソノヴァッククレンザーは口の上の小さいスイッチよって作動します。安全のため、二つのオレンジ色の線が合うように、最初の位置まで後方に輪を戻し、外してください。後部の真空容器にダンクロン除去器を置き、青いボタンを押して作動させます。 3)「システムB」の操作盤は壁の反対にあります。赤いスイッチを押して、尿吸引器をセットします。これは青い手動ボタンを押せば、手動で上下に調整することができます。口は自動的に開きます。使用後は緑のボタンを押してください。蒸発器が作動し、尿吸引器が収納されます。 4)ドアの上にある緑の出口ライトが点灯したら、トイレを出てください。もし赤いライトが点灯している場合は、洗面所の装置が正しい位置でなく、安全ではありません。ドアの右手の「スチュワーデス呼び出しボタン」を押してください。スチュワーデスは外側のコントロールパネルから、すべての装置を正しい位置に戻します。緑の出口ライトが点灯したら、トイレを出てください。ドアはきちんと閉じてください。 5)超音波シャワーを使う場合は、最初に服を脱いで、服ラックにすべての服を置いてください。すぐ下のキャビネットにあるマジックテープ室内履きを履きます。シャワー室に入り、コントロールパネル右上の「シャワーシール」ボタンを押すと、下の青いライトが点灯します。調節ダイヤルでお好みの水量を選び、超音波シャワー作動レバーを押し下げて、通常のようにシャワーを浴びてくだ...

【セット】コロバ・ミルクバー(Korova Milk Bar)

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 『時計じかけのオレンジ』に登場するサイケなバー。店内にある裸の女性の像が麻薬入りのミルクの自動販売機になっていて、お金を入れてペニス型のレバーを倒せば、胸の先からミルクが出る仕掛けになっている。また、裸の女性のテーブルを製作したのは、『2001年宇宙の旅』でスターチャイルドを製作したリズ・ムーア。