投稿

ラベル(台詞)が付いた投稿を表示しています

【台詞・言葉】ハートマン軍曹語録の中で最も汚い言葉、「頭ガイ骨マ●コ」ってどういう意味?

イメージ
 数あるハートマン軍曹語録の中で、最上級で汚い言葉がこの「頭ガイ骨マ●コ」だと思うのですが、たいていの人の反応は「なんだよ頭ガイ骨マ●コってwww」という軽いものだと思います。でもこれ、どういう意味(状態)かご存知の方は、かなりのマニアかそういう方面に詳しい人だと思います。かくいう管理人もだいぶ後になって知りました。内容が内容だけにこのブログで意味を書くのは憚られますので、 こちら を参照してください。いずれにしても「非常に強い侮蔑の表現」であることはまちがいないですので、日常生活では使わないようにしましょう(使うことないですけど。笑)。  さて、知ってしまった以上、このシーンで笑うと「えっ?この人意味知ってるの?」ということになってしまうのでお気をつけください。意味を知らず、語感だけで笑うと誤解の元にもなりかねません。また、キューブリックに「言葉の汚さが出ていない」と戸田奈津子氏が翻訳を降ろされた件ですが、この部分についてだけは戸田氏に同情します。さすがに・・・ねえ・・・これを女性に訳させるのはちょっと酷ですよね。

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

イメージ
あーあ、英語字幕でも「●ィファニー」って書いちゃってますね・・・ …つまりこういうことです。 Private Pyle, you had best square your ass away and start shitting me Tiffany cuff links … or I will definitely fuck you up! ケツの穴を引き締めろ! ●ィファニーのカフスボタンのクソをひねり出せ! さもないとクソ地獄だ!!  ●ィファニーにしてみれば風評被害も甚だしいですが、よくこれでクレームがきませんでしたね。日本ではさすがにまずいということなのか「ダイヤ」と訳されていますが、面白さから言えば断然「●ィファニーのカフスボタン」です。キューブリックは日本語の語彙に罵倒語・侮蔑語が少ないことに驚いたそう(これは他でもよく言われています)ですが、こういう一捻りを加えた、いうなれば「高尚な罵倒語」(こんな言い方があるのかどうかは知りませんが)が味わえるのも『フルメタル・ジャケット』の醍醐味。もし「●ィファニー」の話題を振られたら「朝食を?」と答えるより、「ひねり出すクソ?」と答える方が「ああ、この人は映画スキルが高い人だな」と思われる ワケがありません !!●ィファニーに憧れる日本全国全女子を敵に回したくなければ、くれぐれもこの話題には触れないようにしましょう(爆。

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

イメージ
 オープニングに続けてのハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーンの全セリフと、その邦訳です。訳は映画監督の原田眞人氏、出典は『フルメタル・ジャケット』DVD版字幕から採録しました。リズミカルで含蓄・示唆に富んだ麗しき罵倒語の数々をお楽しみください(笑。 <HARTMAN> I am Gunnery Sergeant Hartman, your Senior Drill Instructor. From now on, you will speak only when spoken to,  and the first and last words out of your filthy sewers will be "Sir!" Do you maggots understand that? 訓練教官のハートマン先任(ガナリー)軍曹である 話し掛けられた時以外口を開くな 口でクソたれる前と後に“サー”と言え 分かったか ウジ虫ども <RECRUITS> Sir, yes, sir! <HARTMAN> Bullshit! I can't hear you. Sound off like you got a pair. ふざけるな!大声出せ! タマ落としたか! <RECRUITS> Sir, yes, sir! <HARTMAN> If you ladies leave my island, if you survive recruit training, you will be a weapon, you will be a minister of death, praying for war. But until that day you are pukes! You're the lowest form of life on Earth. You are not even human fucking beings! You are nothing but unorganized grabasstic pieces of amphibian shit! 貴様ら雌豚が おれの訓練に生き残れたら 各人が兵器となる 戦争に祈りをささげる死の司祭だ その日まではウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ  貴様らは人間ではない 両生動物のクソをか...

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

イメージ
 小説の英語版『時計じかけのオレンジ』の巻末に掲載されていた「ナッドサット言葉辞典」を和訳したものに、映画版で追加使用された言葉を「※」で表記しました。★の言葉が映画版で使用されたものです。表記は「原語(日本語表記)|英語での意味(その和訳)」です。ロシア語などの言語のルーツは省略いたしました。尚、小説版に比べて映画版での採用が少ないのはキューブリックが使いすぎて観客が引いてしまうのを危惧したためです。抜けや誤植など間違いなどありましたらBBSでご指摘ください。その際は「誠に恐縮アピ・ポリ・ロジー」。 A Appypolly loggy(アピ・ポリ・ロジー)|Apology(お詫び)★ B Baboochka(バブーチカ)|Old woman(老女) Baddiwad(バッディワッド)|Bad(悪い) Banda(バンダ)|Band(ギャング) Bezoomy(ビズムニー)|Mad(狂った) Biblio(ビブロ)|Library(図書館) Bitva(ビトバ)|Battle(戦い) Bog(ボッグ)|God(神様)★ Bolnoy(ボルノイ)|Sick(病気) Bolshy(ボルシャイ)|Big(でかい)★ Bratchny(ブラッチニー)|Bastard(クソ野郎) Bratty(ブラッティ)|Brother(兄弟・友達) Britva(ブリトバ)|Razor(カミソリ)★ Brooko(ブロッコ)|Belly(腹) Brosay(ブロショイ)|Throw(投げる) Bugatty(ブガティ)|Rich(豊かな) C Cal(カル)|Shit(クソ) Cancer(ガン)|Cigarette(タバコ) Cantora(キャントラ)|Office(事務所) Carman(カーマン)|Pocket(ポケット) Chai(チャイ)|Tea(紅茶)★ Charlie(チャーリー)|Chaplain(牧師) Chasha(チャシャ)|Cup(カップ) Chasso(チャソー)|Guard(守る) Cheena(チーナ)|Woman(女) Cheest(チェースト)|Wash(洗う) Chelloveck(チェロベック)|Fellow(男・人) Chepooka(チープカ)|Nonsense(ナンセンス) Choodessny(チューデセニー)|Wonderful(素晴らし...

【台詞・言葉】白人の呪い・白人の責務(White Man's Burden)

イメージ
   『シャイニング』のバーシーンでジャックがロイドにバーボン・オン・ザ・ロックを作ってもらいながら呟く台詞ですが、訳では「酒は白人の呪いだ、インディアンは知らん」となっています。しかし、調べてみるとイギリスの作家で詩人のラドヤード・キップリングが1899年に詠んだ詩『White Man's Burden(白人の責務)』を指しているようです。以下はその詩と訳になります。 The White Man's Burden Take up the White man's burden -- Send forth the best ye breed -- Go bind your sons to exile To serve your captives' need; To wait in heavy harness On fluttered folk and wild -- Your new-caught, sullen peoples, Half devil and half child. Take up the White Man's burden -- In patience to abide, To veil the threat of terror And check the show of pride; By open speech and simple, An hundred times mad plain. To seek another's profit, And work another's gain. Take up the White Man's burden -- The savage wars of peace -- Fill full the mouth of Famine And bid the sickness cease; And when your goal is nearest The end for others sought, Watch Sloth and heathen Folly Bring all your hope to nought. Take up the White Man's burden -- No tawdry rule of kings,...

【台詞・言葉】アン=マーグレット(Ann-Margret)

イメージ
 『フルメタル・ジャケット』でロックハート大尉から友軍の深刻な被害の報告を受けた後に、ジョーカーが「それじゃアン=マーグレットは中止?」と聞き返します。この攻撃の前にロックハートからアン=マーグレットの取材をするように指示されていたのでジョーカーは皮肉を込めてそう言ったのですね。  そのアン=マーグレット。全く知らなかったので少し調べてみましたが、あのエルビス・プレスリーとも恋仲だった歌手兼女優だそうで、上記の『バイ・バイ・バーディー』やエルビス映画『ラスベガス万才』が有名だそう。もちろん実際にベトナムにも慰問に訪れていてます。そしてなんと、ザ・フーのロックミュージカル『TOMMY』のあのキチ●イママがアン・マーグレットだったとは!全然気にしていませんでした。因にこの『TOMMY』、フーのメンバーやエルトン・ジョンはもちろんですが、今ではすっかりいいおじいちゃんのエリック・クラプトンの怪しい教祖姿や、まだ髪の毛が若干多めなジャック・ニコルソンなんかも楽しめます。機会があれば是非どうぞ。  話が逸れましたが原作にはないこの台詞、キューブリックが何故アン=マーグレットに言及したかは不明ですが、コメデェンヌとしての彼女のイメージがこの深刻な状況に全くそぐわない事から、より皮肉が効いて良い、と判断したのかもしれませんね・・・まあ、キューブリックが単に彼女を気に入っていたからかも知れませんけど。

【台詞・言葉】私たちは心が広い(We're both broad-minded)

イメージ
 『ロリータ』でジーンがハンバートにこう問いかけるのは、いわゆる「夫●交換(ス●ッピング)」を指しての事でしょう。「大学教授で作家でもあるあなたと同じように、私たちも進歩的文化人なのでこういった〝革新的な〟関係も結べますよ」という意味ですね。もしくはそういった人たちが集まっているダンス・パーティーなので、その場にいるキルティも進歩的文化人である、と示すためでしょう。ただハンバートは思想的にも性的にも「勘が悪い」ので、その真の意味になかなか気づかない・・・という図式が『ロリータ』では繰り返されます。  こういった「進歩的思想」に対する皮肉や、性的暗喩は表現を検閲機関に大幅に規制されたキューブリックのせめてもの抵抗なのですが、その意図をちゃんと理解して鑑賞するなり批評するなりして欲しいですね。その意味ではキューブリック作品の中では一番誤解され、冷遇されているのがこの『ロリータ』ではないか、そう考えます。

【台詞・言葉】クロンカイト(Cronkite)

イメージ
 『フルメタル・ジャケット』でロックハート中尉がテト攻勢の概略をジョーカー達に説明する台詞で「TVも勝ち目のない戦争と呼ぶ気らしい」とあるが、実際の台詞は「クロンカイトも勝ち目のない戦争と呼ぶ気らしい」だ。  そのウォルター・クロンカイトとはCBSイブニングニュースの有名なアンカーマンで、この台詞は実話に基づいてる。  ケネディ政権時代の1960年代前半にアメリカが本格介入したベトナム戦争に対して当初は客観的な立場からの報道を続けていたものの、南ベトナム解放民族戦線による南ベトナムへの攻撃「テト攻勢」が行われた直後の1968年2月に「民主主義を擁護すべき立場にある『名誉あるアメリカ軍』には、これ以上の攻勢ではなく、むしろ交渉を求めるものであります」と厳しい口調で発言して戦争の継続に反対を表明、アメリカの世論に大きな衝撃と影響を与えた。これを知らされた当時の大統領ジョンソンは、「クロンカイト(の支持)を失うということは、アメリカの中産階級(の支持基盤)を失うということだ(If we've lost Cronkite, we've lost Middle-America)」と嘆いたという。その後保守派の多くもベトナム戦争の継続に懐疑的になり、この直後にジョンソンは2期目の大統領選への出馬断念を発表するに至った。 (引用: wikipedia/ウォルター・クロンカイト )  つまりキューブリックは有名なこの「クロンカイト・リポート」に言及する事により、戦争がいかにメディアによって左右されるものなのかを暗に示しているのだ。それを単に「TV」と訳したのはクロンカイトを知らない日本人に配慮したものだと想像できるが、そういった「配慮」がこの『フルメタル・ジャケット』という作品のテーマ、コンセプトを見えにくくしているのもまた事実だ。  「メディアを操る者が思想を語れば、それはすなわちプロパガンダである」報道カメラマン出身のキューブリックはそれを身を以て知っていた。「映画」というメディアを操るキューブリックは、戦争を淡々と描写する事に終始し、反戦・好戦など一切の思想性を拒絶している。そして「戦争とはマクロ的には権力者(マスコミや一般大衆も含む)の欺瞞であり、ミクロ的には銃弾のごとく浪費される人命である」とシンプル且つ冷徹に告発するのみにとどめ、そこから先の「思想」は受...

【台詞・言葉】閉所恐怖症(Cabin Fever)

イメージ
「閉所恐怖症」で狂ったジャックがウェンディに詰め寄る名シーン。ウェンディ役のシェリーはニコルソンの迫真の演技に完全に参ってしまっている  『シャイニング』でグレイディが患ったとされた神経症。しかし実際はホテルに巣食う悪霊達がもたらしたものだった。やがてジャックも同じ症状に蝕まれ、最後に狂気が爆発する。  因に原語の『Cabin Fever』は「小屋の発熱」という意味。つまり小屋のように狭い場所に長くいると発熱症状を起こしてしまう、という事から閉所恐怖症を指す言葉になった。「キャビン・フィーバー」はホラー映画のタイトルにもなっている。

【台詞・言葉】木星計画(Jupiter Mission)

 『2001年宇宙の旅』で、月面のモノリスが発信した怪電波が木星(小説版では土星)に向けて発信されていた事が判明したため、ディスカバリー号を調査のために木星に向かわせる事となったミッション名。  小説版では映画版とは異なり、「木星計画」の名の下に進められていた木星有人探査計画が急遽変更、調査対象が土星に変更された事になっている。元々原案ではモノリスは木星ではなく土星の衛星ヤペタスに存在する予定だったが、当時の特撮技術では土星の輪を説得力ある映像にする事ができず、やもなく目的地が木星に変更になった。  その後HALの反乱に遭いクルーは殆ど死亡、ただ一人残されたボーマンはスターゲートに吸い込まれて行方不明に。ディスカバリー号は無人のまま、木星の衛星イオの重力に引かれてイオに落下するという事態になってしまう。それらの経緯は小説『2010年宇宙の旅』、映画『2010年』で描かれている。  結論から言えば「木星計画」は4人の死者(内一名は遺体未確認)と一人の行方不明者を出し、何の成果も得られず(地球側にはボーマンが何を見たのか伝わっていない)大失敗に終わった、と言えるだろう。

【台詞・言葉】私も踊りは好きじゃないわ(I don't like dancing either very much)

イメージ
 『ロリータ』のダンスパーティーのシークエンスで、ジェーンがハンバートに向かってこう言うのですが、実はジェーンを演じたダイアナ・デッカーはTV等で活躍したミュージカル歌手兼女優で、50年代に こんな ダンサブルで軽快なブギを歌っています。つまり、歌手で有名なダイアナが「私も踊りは好きじゃない」と真顔で言うのは「笑うところ」なんですね。うーん、当時の流行や背景を知らないと、ちょっとこれは厳しいです。  しかしまあハンバート氏、熟女にモテまくってますね。でも自身は強烈なロリータ・コンプレックス(少女偏愛者)なので全く眼中になし。ここも笑う所、です(笑。

【台詞・言葉】私のクイーンを取るの?(You're going take my queen?)

イメージ
 『ロリータ』でハンバートとヘイズ婦人がチェスをしながら交わす会話。「私のクイーンを取るの?」と訊ねるヘイズ婦人にハンバードが「そのつもりですが」と応えます。それは「私の女王様(ロリータ)を取るの?」という問いかけに対し、そのつもりだというハンバートの本音を表しています。そこにロリータが現れるのはその意味を強調するために登場させたのでしょう。そしてハンバートは「それは利口じゃない」と言いながら結局クイーンを奪ってしまいますが、これも「利口じゃない」事件でロリータをハンバートに奪われてしまうヘイズ婦人のその後を暗示しています。  こういった暗喩や皮肉(そのほとんどは性的なもの)が数多く『ロリータ』には存在しますが、これはヘイズ・コード(検閲)を避けるためのキューブリックの苦肉の策でした。そういう事に気を付けながら『ロリータ』鑑賞すれば、より一層面白く感じられる筈です。(・・・というか、あまりにも気づかれていない)それもないまま低評価をされてしまっているというのであれば甚だ残念と言うほかありません。

【台詞・言葉】ローレンス(Lawrence)

イメージ
「アラビアのロレンス」と「駆逐艦チャールズローレンス」  『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹がレナード・ローレンスに向かって、「名前が気に喰わん、ローレンスはオカマ野郎か水兵の名前に決まってる!」と決めつけてますが、この意味を調べてみました。  まず「オカマ野郎」ですが、これは「アラビアのロレンス」ことトーマス・エドワード・ロレンスを指しているものと思われます。当時ロレンスが同性愛者だったという噂があり、映画『アラビアのロレンス』でもそれを示唆するシーンがあります。また軍曹がローレンスという名前について「気品ある名前、王族か?」と言っていますが、それはこのトーマス・エドワード・ロレンスが実際に貴族の家柄の出身であったため、こう質問しているのでしょう。  次に「水兵の名前」ですが、これはチャールズ・ローレンスを指しているのだと思います。チャールズ・ローレンスは旧日本軍の真珠湾攻撃で戦死した水兵の名前で、それに因み、1943年2月16日に護衛駆逐艦のネーム・シップとして命名されました。  つまり海兵隊にとって「ローレンス」とはイギリス陸軍の英雄や、アメリカ海軍の有名な戦死者とその艦名を連想させる「嫌な名前」なんですね。だからハートマン軍曹は「名前が気に喰わん!」と噛み付いているのでしょう。  因に原作では「レナード・プラット」といういかにもどん百姓でマヌケな名前になってます。それを「レナード・ローレンス」に変えたのはこの罵詈雑言を使いたかったリー・アーメイが、キューブリックに進言したのかも知れません。海兵隊の訓練教官だったアーメイは実際にこの罵倒ネタを使ったことがあった可能性もあります。どちらにしても、いかにもハートマンらしい皮肉に満ちた罵詈雑言ですね。

【台詞・言葉】来週の水曜日に(See you next wednesday)

イメージ
   映画監督のジョン・ランディスが好んで自作の劇中に登場させた言葉。元ネタは『2001年宇宙の旅』でプールの誕生日のビデオ通話で通話を切る際に言うセリフ。なぜランディスがこの言葉を好んだかは・・・謎です。

【台詞・言葉】いいや、俺はスパルタカスだ(No, I'm Spartacus)

イメージ
 『ロリータ』でハンバートが屋敷でキルティを見つけ「お前がキルティか?」と詰めよるとキルティが「いいや、俺はスパルタカスだ。奴隷の解放にでも来たのか?」と答えたこの台詞、これは前作『スパルタカス』がキューブリックにとってまさに奴隷同然の扱いだった事に対する当てこすりになっています。また『スパルタカス』の代表的な台詞「私がスパルタカスだ(I'm Spartacus)」を酔っぱらって自堕落な姿をしたピーター・セラーズに言わせる事によって、この台詞がいかに嘘くさく偽善まみれであったかを皮肉っているようにも見えますね。キューブリックにとって『スパルタカス』がどういうものであったのか・・・よっぽど腹に据えかねていたんでしょう。

【台詞・言葉】諸君、ケンカをしてはいけない。ここは最高作戦室だ!(Gentlemen. You can't fight in here. This is the War Room!)

イメージ
 『博士の異常な愛情』で、タージドソン将軍とデ・サデスキー大使の間で始まったケンカを戒めるマフリー大統領の台詞。一般的に『博士…』の名台詞としてよく取り上げられるものの一つなのですが、字幕だと面白さがイマイチ伝わりません。  それは原文を当たれば分かります。つまりけんかは「Fight」最高作戦室は「War Room」なので、意訳すれば「諸君、戦争してはいけない!ここは戦争部屋だ!!」と矛盾した言葉で争いを戒めようとする大真面目な大統領が可笑しいという意味なのです。  キューブリックは『博士…』について「字幕スーパーだと面白さが削がれる映画」と評しています。この台詞はその最たるものかもしれませんね。

【台詞・言葉】あっちはジョン・ウェイン?こっちは僕?(Is that you, John Wayne? Is this me?)

 『フルメタル』でジョーカーが呟く皮肉なのですが、字幕じゃちょっと意味が伝わらないですね。ジョン・ウェインは西部劇や戦争映画のヒーロー役で有名ですから、偉そうなハートマン軍曹を揶揄しているのは分かるのですが。で、いくつかの訳を見て回って自分なりに意訳してみた結果「つまりあなたがジョン・ウェイン?それとも僕かな?」が一番しっくり来る感じです。高邁な理想の兵士像を掲げたり、高圧的な態度で新兵に兵士のあるべき姿を説くハートマンを見て、「ジョン・ウェインみたいにカッコいいじゃねぇか。それとも俺たちにそうなれって言うのか?」と上官に嫌みを言っている訳です。そりゃ鉄拳制裁食らいますよね。  原作では上記の台詞はジョーカーでなく、カウボーイがジョーカーに向かって呟きます。それに対してジョーカーはジョン・ウェインの声帯模写で「この映画には、うんざりさせられそうだぜ」と返します。そしてカウボーイがカウボーイハットで軽くジョーカーの太ももを叩く、と続きます。この「ジョーカーは声帯模写が上手い」という設定は映画では採用されていません。まあ、演じたマシュー・モディーンが上手くできなかっただけなのかもしれませんが。

【台詞・言葉】私がスパルタカスだ!(I'm Spartacus!)

 この一連のシークエンス、とても偽善的で嘘くさく、安っぽいヒロイズムが横溢しているので絶対キューブリックが撮りたくなかったんじゃないかと想像していたのですが、やっぱり脚本のダルトン・トランボが当時の赤狩りに対し、共産主義者は他人を巻き込まず、連帯が強い姿を示すために採用したようです。  その後、共産主義の理想は崩壊し今ではすっかりギャグの域に到達。ナチズムもそうですが、一元的な理想主義は今から見ればタチの悪い冗談としか思えません。その理想主義の成れの果てが弾圧と粛正と殺戮ですからね。君たちは奴隷側ではなくホントはローマ側でしょ?とツッコミたくなります。  ジョン・マルコヴィッチの『Color Me Kubrick』の邦題『アイ・アム・キューブリック!』はここからの引用だと思いますが、このシークエンスを主導したのがキューブリックでないのなら、この皮肉なタイトルも的外れ、という事になります。配給会社はもっと調べてからにすればよかったですね。

【台詞・言葉】黒んぼ定食(Chicken and Watermelon)

イメージ
 『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹がスノーボールに対して罵倒する「聞いて驚くな、スノーボール!うちの食堂では黒んぼ定食は出さん!!」の「黒んぼ定食」ですが、元の台詞は「フライドチキンとスイカ」となっています。これはフライドチキンとスイカは昔奴隷で貧乏だった黒人が食べていた一般的な食べ物という偏見があって、それを使ってハートマンは侮蔑しているのです。ただ「フライドチキンとスイカ」だと日本人には分からないので「黒んぼ定食」と訳したのでしょう。日本人的には「部◎用に粟〈あわ〉と稗〈ひえ〉は置いていない!!」ぐらいのもの凄い差別用語。その前に「黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん。すべて平等に価値がない!」と言い切ってますからある意味正しく有言実行です。  ちなみになぜ「スノーボール」かというと、「スキン顔、名前は?」(「scumbag」なので本当は「名前は?糞野郎」ぐらいの汚い言葉)と聞かれ、明らかに黒人なのに「ブラウン二等兵です」と答えたものだからジロジロ見て、馬鹿言え!お前はどう見てもブラック(黒人)だろう?なのにブラウン(茶色)と名乗るならいっそのこと「白」ということにしてしまえ!!という意味で「ふざけるな!本日より貴様は雪玉(雪のように白くて玉のように丸い頭)二等兵だ!!どうだ、気に入ったろ?」と皮肉っているのです。それを分かって観ると・・・とっても面白いですね。笑っちゃいけないと分かってはいるのですが(苦笑。

【台詞・言葉】牡蠣〈カキ〉と蝸牛〈カタツムリ〉(Oysters and Snails)

 『スパルタカス』でクラサスとアントナイナスの同性愛を示唆しているとカットされた風呂場のシーンで語られる例え。クラサスは自分の身体をアントナイナスに洗わせながら「牡蠣は食うのか?」「蝸牛は?」「牡蠣を食うのは美徳で蝸牛は悪徳か?」「味覚と食欲は違う、故に徳とも関係ない」などとねっとり語っているので示唆どころかそのまんまです。さすがリアルでもホモ(正確にはバイセクシャル)だったローレンス・オリビエ、演技とはとても思えません。  まあこのシーンがないと、クラサスがスパルタカスに激しく嫉妬し憎悪を向ける理由が、アントナイナスとバニリアの両方に愛されたからだという説明の片方が欠けるわけで、それなりに重要ではあります。その意味では完全なオリジナルプリントが残っていない状態で、しかもオリビエは既にこの世を去っていたというハンデにも関わらず復活させた関係者(特にクラサスの台詞をアフレコしたアンソニー・ホプキンス)の努力には頭が下がります。