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【考察・検証】スターゲート・シークエンスの「マインドベンダー」シーンに登場する、謎のダイヤモンド型の物体の正体を検証する

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謎のダイヤモンド型の物体が登場するスターゲート・シークエンスの一場面 シーンタイトル「マインドベンダー」と記されたサスコカード   スターゲート・シークエンスに登場する謎のダイヤモンド型の物体、これは「異星人」「UFO」「スターゲートの一部」など様々な解釈がされています。このシーンには「マインドベンダー」というタイトルがつけられていて、それは残されたサスコカードで確認できます。「マインドベンダー」とは「複雑で理解するのが難しいことがら、催眠術師」という意味だそうですが、その響きから当時世界中で流行していたいわゆるサイケデリック(ドラッグ)・カルチャーの影響を強く感じさせます。では、このマインドベンダーのシーンに登場する、光り輝くダイヤモンド形の正体は一体なんなのでしょう?まず、ジェローム・アジェル編『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』には以下の記述があります。  キューブリックの「幻覚剤(マインドベンダー)」効果。スリット・スキャン映像は3フィートの高さの回転しているリグに取り付けられた多面スクリーンに投影し、7つのダイヤモンドが現れるまで繰り返した。(引用:ジェローム・アジェル編『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』)  このシーンの制作に関わったダグラス・トランブルはもう少し詳しく、以下のようにコメントしています。 The most complex aspect was a shot dubbed the ‘mindbender,’ which combined seven octahedrons arranged in the top half of the frame and the slit-scan process. Trumbull said, “We had exhausted the slit-scan, shooting vertically and horizontally, so I came up with the idea of shining the light onto Plexiglas to create this kind of pulsating effect. Each [octahedron] had four visible sides, each needing 3 passes, so as you c...

【プロップ】『2001年宇宙の旅』でアンテナ故障予知のワイヤーフレームのアニメーションは、実は本当にワイヤーフレームだった件

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HALのモニタに表示されたワイヤーフレーム「偽」CGアニメーション 撮影中(テストの可能性も)のアンテナ アンテナのネガフィルム。8×10に見えます。たとえ「賑やかし」映像でも手は抜きません アンテナの針金模型を制作するトランブル  この事実を初めて知った時は衝撃的でした。キューブリックの逝去前から「『2001年宇宙の旅』は一見最先端の撮影技術を駆使しているかのように見えるが、実はかなりの部分が手作業(力技)で、それを恐ろしく時間をかけ、かつ高品質でそれを行っている」と言われていたのですが、近年明かされるその「手作業」の部分にはいつも驚かされます。  このアンテナユニットのワイヤーフレームCGアニメーションもその一つで、実は文字通りアンテナユニットをワイヤー(針金)で作って白く塗り、それを自由台座の上に据え付けてコマ撮り撮影し、ネガファイルムを作成したそうです。言われてみれば動きが微妙に手作りアニメーションっぽいですね。  このアニメーションを製作したのはあのダグラス・トランブル。トランブルの『2001年…』における八面六臂の活躍ぶりは凄まじく、キューブリックが『2001年…』で重要な役割を果たした特撮マン4人の内の一人に挙げるのも納得です。ただ、ご本人はアカデミー賞視覚効果賞の受賞をキューブリックに持って行かれたことにかなり不満だったそうですが。  でもそのトランブルに、ツァラトゥストラ演奏付きのオープニングの映像を観せて「これでいいかな、それともやりすぎかな?」と客観的な評価を仰ぐキューブリックがいい。トランブルは「素晴らしいと思います。僕は好きですよ、これでいってくださいよ」と応えたそうですが、このエピソードひとつとってみても、キューブリックがトランブルの才能を高く評価していたのが伺えますね。