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【関連記事】マルコム・マクダウェルが『時計じかけのオレンジ』で主演したがっていたミック・ジャガーとビートルズについて語る

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 〈前略〉  『時計じかけのオレンジ』公開50周年を迎えたゲストのマルコム・マクダウェルは、ミック・ジャガーがこの映画に出演したかったことや、ポール・マッカートニーがマクダウェルの別の作品『レイジング・ムーン』の音楽を担当しそうになったことなどを語りました。 〈中略〉  マクダウェルは、ジャガーと映画とのつながりや、シンガーが 『時計じかけのオレンジ 』の主演を望んでいたことについて、次のように話しています。「俺たちは昔、友達だった。ニューヨークでつるんでいたんだ。当時はアンディ・ウォーホルとかの〈ダチ仲間〉だったんだ。ある晩、セントラルパークの東側にある誰かのアパートでたむろしていたんだ。ジャガーが『時計じかけのオレンジ』でアレックスを演じたいというので、窓際の席に座って話していたんだ。キューブリックがこの作品を手に入れる前に、ミック・ジャガーとストーンズが(『時計…』を)やりたがっていたんだ!」。すごい、それは見てみたい!  その晩、マクダウェルはイタリアの聴衆に他の2つのことを話した。「ミック・ジャガーは私にこう言ったんだ、マルコム、50歳でこれをやるなんて考えられない!」マクダウェルはストーンズのリードボーカルの動きを真似て言った。「50? それで、今、彼らはどうなっているんだ?80? ファンタスティック!」。その夜、セントラルパークの暗い空間を見て、ミック・ジャガーはジョン・レノンが住んでいたダコタ・ビルの方を指さした、とマクダウェルは回想している。「そして彼は私に『王様はあそこに住んでいる』と言ったんだ。その瞬間、もちろん彼らはジョンが何であるかを知り、彼が王であることを知った。『それでおしまいだ』とね」。  ビートルズと同じくリバプールで育ったこの俳優も、グループとの付き合いは長い。まだシルバー・ビートルズと呼ばれ、カバーばかり歌っていた頃の彼らのステージを、地元で何度も見たことがあるのだ。「ガールフレンドに連れられて見に行ったんだ。私は、人前で話す人があんなに下品な言葉を使うのを聞いたことがなかったので驚いた。でも、何度も何度も足を運んだ。もちろん、彼らはレノンとマッカートニーという、当時のモーツァルトだ。そして彼らの音楽は、今も発売当時と同じように人気がある」。マクダウェルの息子の一人であるシンガー、ベケット・マクダウェルが演奏したビートル...

【関連動画】宇宙飛行士がベルクロの靴を履いて宇宙ステーションを歩く『2001年宇宙の旅』のワンシーンを再現

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  国際宇宙ステーション司令官サマンサ・クリストフォレッティは、映画『2001年宇宙の旅』の象徴的なシーンを再現したコスプレで、ベルクロの靴を履いて登場しました。 (引用:動画説明文)  『2001年宇宙の旅』の製作・公開時にはアポロ計画が進行中であり、そのアポロ宇宙船も、月着陸船も、内部は狭くてただ座っていることぐらいしかできなかったため、人間が無重力空間でどういう動きをするのか、また、どういう動作が効率的なのはわかっていませんでした。  それがわかるのは1970年代に始まったアポロ残債消化計画(と言ったら言い過ぎ?)の「スカイラブ計画」からで、サターンロケットの胴体部分を宇宙ステーション(実際は巨大な人工衛星)に流用、その広い内部で活動する宇宙飛行士の姿が撮影されてからでした。  以上のような経緯から、『2001年…』で予想されていた無重力空間においてベロクロ(グリップシューズ)を使った徒歩によるによる移動より、単に空間を泳ぐ(壁などを蹴って浮遊する)方が効率的とわかり、この動画でも最後の方でその方法で移動しています。つまり「キューブリックやスタッフ、関係者は未来予測を間違ってしまった」んですね。  『2001年…』は未来予測の正確さもよく話題に登りますが実際は間違いも多くあり、あまり過剰に賛美するのは危険だと思います。ですが、このように現役の宇宙飛行士が時間とお金をかけ、わざわざ映画のワンシーンを再現してくれるほどのリスペクトを集めているという点において、たとえ間違いがあったとしても、やはり「偉大な作品」という評価は揺るぎないと思いますね。

【関連記事】キューブリック版『シャイニング』に対するスティーブン・キングの言い分

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Stephen King(wikipedia) 〈前略〉 デッドライン:『シャイニング』は大好きな本の1つでした。初めてキューブリックの映画を見たとき、本を読みながら想像していたものと違うなと感じたのを覚えています。でも、何年も何度も見ているうちに、あの映画の壮大な映像の素晴らしさがわかってきて、だんだん好きになっていったんです。当初は、あまり感動していなかったんですね。キューブリック監督は非常に偏屈な監督で、作家と共同作業をするようなタイプには見えませんが、このことはあなたの記憶にどのように残っているのでしょうか? スティーブン・キング:スタンリーと事前に電話で話したのですが、彼が本の中に自分の方法を見つけようと、手を伸ばしているのが感じられたのを覚えています。幽霊がいるならば、死後の世界がある、私たちはただ死ぬだけでなく、前に進むのだという前提があるということですから。そして私は、「キューブリックさん、地獄はどうなんですか?」と言ったんです。向こうで長い沈黙があり、彼はとても硬い声でこう言いました。「私は地獄を信じない」。でも、もし幽霊がいるとしたら、彼らは悪者にされるのと同じくらい、「光の中に入ってくる 」可能性が高いと私は思います。パトリック・スウェイジ主演の映画『ゴースト/ニューヨークの幻』を覚えていますか? デッドライン:はい、もちろんです。 スティーブン・キング:そこでは幽霊は本当は私たちの味方なんだけど、死ぬという体験が彼らを狂わせたのと同じようなものなんだ、という感じがしました。とにかく、『シャイニング』は美しい映画だと思うし、見た目も素晴らしいし、前にも言ったように、エンジンの入っていない大きくて美しいキャデラックのようなものです。そういう意味で、公開当時、多くの批評はあまり好意的ではなく、私もその一人でした。当時は黙っていましたが、あまり気に入ってなかったんです。 デッドライン:今はどうですか? スティーブン・キング:あの映画では、ジャック・トランスというキャラクターには何の文脈もありませんので、私も同じように感じています。全く文脈を描いていない。ジャック・ニコルソンを初めて見たとき、彼はホテルの支配人であるアルマン氏のオフィスにいたんですが、そのとき彼はネズミのように狂っていたんです。彼はますますおかしくなっていくんです。本の中では、彼は自分...

【関連記事】「私は彼を映画人として尊敬しています」『フルメタル・ジャケット』のマシュー・モディーン、キューブリックを語る

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Matthew Modine(IMDb)  〈前略〉 —スタンリー・キューブリック監督と『フルメタル・ジャケット』を製作することは、どのようなことだったのでしょうか?  私は彼を映画人として尊敬しています。そして、一人の男性として、父親として、夫として、彼を知ることになったのです。彼はおそらく、私がこれまで一緒に仕事をした中で最も自立した映画人だったと思います。彼は20ヵ月間働き続けても経済的に存続できる方法を考え出したのです。彼がしたことは探求し、実験することができる環境を作ることでした。彼はよく「何テイクやったのか?と聞かれるのが滑稽だ」と言っていました。彼はこう言いました。「モーツァルトに『ヴォルフガング、あなたのコンチェルトにはいくつの音があるのか?』と言われるのを想像してみてくれ。あるいはピカソに『あの絵は何画なんだ?』と。それはとても失礼なことで、誰が気にするんだ? 結果にこそ興味があるはずだろう?」 —『フルメタル・ジャケット』は、あなたが最も誇りに思っている映画ですか?  誰も見たことのないような子供たちも、私は大好きなんだと思います。アラン・パーカー監督の『バーディ』は大好きです。あれは役者として並外れた経験でした。また、『アラバマ物語』を1962年に映画化したプロデューサー、アラン・パクラとは、アルバート・フィニー主演の『オーファンズ』という映画で一緒に仕事をしたことがあります。私は彼との仕事がとても好きで、マイク・フィギス監督の『明日にむかって…』に出演したのは、純粋に彼ともう一度仕事をしたかったからです。彼は本当に生きる喜びを持っていて、いざ仕事をしようとするととても集中し、準備をしていて、これまで一緒に仕事をしたどの俳優とも違うのです。おそらく次に比べるなら、もう一人の紳士である『運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した』で一緒に仕事をしたイアン・マッケランでしょう。 〈以下略〉 (引用元: The Guardian/2022年11月13日 )  マシュー・モディーンはキューブリックに対して、いつも肯定的な発言ばかりではありませんでした。ギリギリまで判断を先送りしテイクを際限なく繰り返すキューブリックのやり方、特に拘束時間の長さにはかなり苛立ちを感じていたようです。インタビューにある「一人の男性として、父親として、夫として」とは、『フルメ...

【考察・検証】キューブリックが多テイクなのは、ルック社カメラマン時代にルーツがあるのでは?という考察

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1949年、ルック社カメラマン時代のキューブリック。 Stanley Kubrick(wikipedia)   キューブリックが映画監督になる以前は報道カメラマン(正確には写真誌カメラマン)だったのは有名な話です。当然ですが使用するカメラはムービーカメラではなくスチールカメラで、主にローライフレックス(詳しくは こちら )を好んで使っていて、写真集『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』(詳しくは こちら )に掲載されている正方形の写真は、ほぼローライで撮影されてものと考えて良いでしょう。  スチールカメラマンが被写体を撮影する際、それがヤラセであれ、ドキュメントであれ、ワンカットしか撮影しないということはありません。必ず複数テイク撮影します。理由は「その瞬間」のベストを求めてということもありますが、絞りを変えてみたり、ライティングやアングル、レンズやフィルターを変えてみたりと技術的な問題もあるからです。キューブリックはルック社時代に「ブツ撮り」もしていますが、どんな簡単な撮影でも露出を変えて数カットは撮影しています。  もちろんキューブリックの存命時はデジカメはありませんので、写真の仕上がりはフィルムの現像が終わり、ベタ焼き(フィルムを大きな印画紙に並べて現像すること。現在で言うところのサムネール)を見るまでは判断できません。この段階になって複数のテイクの中からベストのテイクを選び、ネガを印画紙に大きく焼き付けて、そのプリントを印刷に回すというのが写真誌制作のプロセスになります。  以上のように、キューブリックにとって撮影とは「数多くテイクを撮ってベストのカットをチョイスする」というのは「当たり前の行為」だったのです。ところが映画を撮り始めた当初はテイク数は多くありませんでした。キューブリックは「最初の頃は映画界の古い慣習に従うしかなかった」という旨の発言をしていますがそれだけではなく、予算も時間も限られる中、スチール写真のように「複数テイクを撮ってベストのカットをチョイスする」という行為が現実的に、立場的に難しかったのだと思います。  それが変化するのは『ロリータ』の頃からです。『スパルタカス』で業界内で一定の地位を確保し、それまでの借金生活(パートナーのハリスにお金を借りて生活してい...

【ブログ記事】ダイソーのプチブロック3キットで『2001年宇宙の旅』のスペースポッドとHAL9000を作ってみた

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 以前 こちら の記事でプチブロックで『シャイニング』の双子の少女を作った記事を書きましたが、今回はその第二弾です。そしてなんと『2001年宇宙の旅』のスペースポッドとHAL9000の2作品。300円(税別)で2作品ですからコスパはいいですね。では早速レシピをご紹介。 【準備するもの】 「宇宙飛行士」 ・ほぼ全てのブロックを使用。 「パンダ」 ・笹の緑のブロック以外のほぼ全てのブロックを使用。 「新幹線シリーズ~N700系先頭車両」 ・ほぼ全てのブロックを使用。 【作り方】  以下の画像をご参照ください。スペースポッドは透明黒のパーツを使ってポッドの窓の凹部分を表現しました。操縦席はジョイントパーツで表現しました。ライトは透明クリアを、HALの目は透明赤を使っています。  HALは本体の裏側がパーツの都合でガタガタになってしまったので、余り物の白のブロックを有効活用して囲み込んで、ディスカバリー号の壁面を表現しました。  ディテールの作り込みは上記の画像を参考に、それぞれのアイデアでトライしてみてください。別途赤や黄色のパーツを用意してボーマンを操縦席に乗せたり、プールをポッドのアームに乗せたりと(笑、自由な発想でお楽しみください。 2025年9月15日追記:使用したプチブロックは店頭販売終了している場合があります。ご了承ください。

【関連記事】スタンリー・キューブリックがすべてのシーンで30回以上のテイクを重ねた理由はこれだ

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撮影中に俳優と話し合いながらシーンを決めていくキューブリック。 Stanley Kubrick(IMDb)  スタンリー・キューブリック監督の狂気の沙汰には、何か意図があるのだろうか?  スタンリー・キューブリックは完璧主義者だという噂が業界内で広まっていました。キューブリックに「自分は完璧主義者だと思うか」と問えば、おそらく彼はそのレッテルを拒否しながら嘲笑うでしょう。  キューブリックが求めていたのは、1つのシーンの完璧さのために何度も撮影することではありませんでした。それは、彼の監督としての手法でしかありません。俳優の演技を引き出すために何度も何度もテイクを重ねる監督の話を聞いたことがありますが、キューブリックの手法は本質的にそれです。 〈中略〉  キューブリック監督が何度もテイクを重ねるのも、あるシーンから何を得たいかを見出した結果です。漠然としたイメージはあっても、テイクを重ねることで、ストーリーやカメラワーク、俳優の演技に肉付けがされることをキューブリックは見出していました。  キューブリック監督は、自分が何を伝えたいかを追求する一方、何がベストかを考える監督ではなく、キャストとスタッフが協力してシーンを成立させることを望んでいました。キューブリック監督は、俳優たちに選択肢を与えず演技を発展させるよう促しましたが、自分が何を望んでいるかを明示することはありませんでした。なぜなら、彼は俳優やスタッフの技術を形成する方法を知っているとは思っていなかったからです。  何度も撮影することは、キューブリックが 「完璧なショット 」にこだわる残酷な監督であることを意味するものではありません。むしろ彼は、最初の数ショットでは存在しなかったような、成熟して非凡なものに発展するようなテーマやアイデアを構築したかったのです。  監督は、シーンを何度も撮影することで、最初は気乗りしなかった俳優から多くのことを引き出すことができます。俳優にとって、ほとんど指示なしにテイクを重ねるのはフラストレーションがたまるものですが、その中で自然にセンスが働くような感覚やエネルギーを見つけることなのです。  もし、プロジェクトでうまくいかないシーンがあったら、怖がらずに、自分が正しいと感じるまで何度もテイクを試してみてください。そうすれば、あなたのストーリーに必要なエネルギーや、キャストの演...