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【関連書籍】ザ・スタンリー・キューブリック/キネマ旬報社編

 キネマ旬報社によるキューブリック本。初版が1981年と古い本だが、現在ではオークションや古書店で容易に入手可能。内容は当時最新のキューブリック映画だった『シャイニング』までとなっていて各論者による個人的な評が多いが、キューブリック本人のコメント集は貴重で資料性も高い。安価で入手できるなら持っていて損はない。

【関連記事】米Yahoo!が「死ぬ前に見たい映画100」をリストアップ

 米Yahoo!が3月22日、「死ぬ前に見たい映画100」という映画史上の名作リストを発表した。  同サイトの編集スタッフが熱い議論の末に選りすぐった順不同のリストとのことだが、アメリカ映画偏重ではなく、世界的な名作が適度にちりばめられている。日本映画からは「羅生門」「七人の侍」「もののけ姫」の3本が入り、監督別の最多はスティーブン・スピルバーグ監督作の5本だった。2000年以降の作品が「花様年華」と「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のみと、クラシックな名作がズラリと並んだ。  「エイリアン2」は? 「タクシードライバー」は? 「ファイト・クラブ」は? 「千と千尋の神隠し」は? と思われる向きも多いだろうが、映画ファンを自認するなら当然見ておくべき名作映画ベスト100になっている。 Yahoo!選出「死ぬ前に見たい映画100」(英語題のABC順、カッコ内は製作年&監督名)は以下の通り。 「十二人の怒れる男」(1957、シドニー・ルメット) 「2001年宇宙の旅」(1968、スタンリー・キューブリック) 「大人は判ってくれない」(1959、フランソワ・トリュフォー) 「8 1/2」(1963、フェデリコ・フェリーニ) 「アフリカの女王」(1952、ジョン・ヒューストン) 「エイリアン」(1979、リドリー・スコット) 「イヴの総て」(1950、ジョセフ・L・マンキウィッツ) 「アニー・ホール」(1977、ウッディ・アレン) 「地獄の黙示録」(1979、フランシス・フォード・コッポラ) 「アルジェの戦い」(1967、ジッロ・ポンテコルボ) 「自転車泥棒」(1948、ビットリオ・デ・シーカ) 「ブレードランナー」(1982、リドリー・スコット) 「ブレージングサドル」(1974、メル・ブルックス) 「欲望」(1966、ミケランジェロ・アントニオーニ) 「ブルーベルベット」(1986、デビッド・リンチ) 「俺たちに明日はない」(1967、アーサー・ペン) 「勝手にしやがれ」(1959、ジャン=リュック・ゴダール) 「戦場にかける橋」(1957、デビッド・リーン) 「赤ちゃん教育」(1938、ハワード・ホークス) 「明日に向って撃て!」(1969、ジョージ・ロイ・ヒル) 「カサブランカ」(1942、マイケル・カーティス) 「チャイナタウン」(1974、ロマン・ポランスキー) ...

【音楽家】ボブ・ハリス(Bob Harris)

  『ロリータ』でサウンドトラックを担当した作曲家。実は『現金に体を張れ』から『ロリータ』までキューブリックと共に「ハリス・キューブリック・プロ」を立ち上げ、キューブリックのプロデューサーを買って出たジェームズ・B・ハリスの実弟で、ハリスがキューブリックに頼み込んで採用してもらったとの事。  1925年9月27日アメリカ・ニューヨーク出身。2000年2月13日死去、享年74歳。

【スタッフ】ダルトン・トランボ(Dalton Trumbo)

  『スパルタカス』の脚本家。有名なハリウッド・テンの中の一人。共産主義者の疑いを掛けられてハリウッドを追放されたが、実際にアメリカ共産党員だった。  トランボの掲げた理想的な平等社会を目指した革命家という脚本は、人間を善悪の二元論で描写したがらないキューブリックとはソリが合わず、結局キューブリックが折れる形で監督するハメになる。その鬱屈した思いは次作『ロリータ』で盛大に皮肉られている。  主な参加作品は『潜水艦SOS』(1937)、『恋愛手帖』(1940)、『新妻はお医者さま』(1941)、『奥様は魔女』(1942)、『夫は還らず』(1943)、『東京上空三十秒』(1944)、『緑のそよ風』(1945)、『拳銃魔』(1950)、『火星探険』(1950)、『不審者』(1951)、『その男を逃すな』(1951)、『カーニバルの女』(1954)、『軍法会議 』(1955)、『テキサスの死闘』(1958)、『カウボーイ』(1958)、『果てしなき夢』(1959)、『栄光への脱出』(1960)、『ガン・ファイター』(1961)、『脱獄』(1962)、『いそしぎ 』(1965)、『ハワイ』(1966)、『フィクサー』(1968)、『ホースメン』(1971)、『FTA』(1972)、『ダラスの熱い日』(1973)、『追憶』(1973)、『パピヨン』(1973)、『新・ローマの休日』(1987)、『オールウェイズ』(1989)など。ハリウッド追放中に変名で書いた『ローマの休日』(1953)でアカデミー脚本賞、『黒い牡牛』(1956)で原案賞を受賞し、『ジョニーは戦場へ行った』(1971)では脚本のほか監督も担当している。  1905年12月9日アメリカ・コロラド州モントローズ出身、1976年11月10日死去、享年70歳。

【関連書籍】ザ・キューブリック 知られざる秘かな愉しみ方/モノリス1・2・3編

  キューブリック逝去に便乗して出版された質の悪い便乗本。内容は悪意に満ちていて読むに耐えない。この本は編者として「モノリス1・2・3」なる名称があるが、実質的には本書の半分を執筆している尾之上浩司氏と望月明日香氏が中心になってまとめられたと考えてよさそうだ。両氏のキューブリックに対する論考の是非はここでは問わないが、この日本で出版された最悪のキューブリック本に執筆者として名前を連ねているという名誉はここで強調しておきたいと思う。いかに最悪かは、この巻頭を飾る言い訳がましい一文をお読みになれば、本書がいかなる意図を持って企画されたかご推察いただけるかと思う。  「英米映画界を代表する天才、スタンリー・キューブリック監督。われわれに残してくれた名作の数々は、時代を超えて人々を魅了し、輝き続けています。本書は、そんな彼の作品群を、従来の形式張った語り口とは違う手法で論評してみようと企画されたものです。よっていたずらに故人の名誉や故人の作品を傷つけたり、不用意に揶揄する意図はいっさいありません。本書が、果敢で職人気質、ユーモアにあふれた才人、キューブリック監督の新たな側面を理解する一助になれば、と願ってやみません。心より、スタンリー・キューブリック監督のご冥福をお祈りいたします。1999年8月 本書スタッフ一同」  折角なのでその名誉あるスタッフのお名前を次に全て列記したい。 執筆者:尾之上浩司、望月明日香、ドリー・蛇臼、佐藤良平、佐藤正美、柿本 玲 発行人 的場康樹(現アイブックコミュニケーションズ代表取締役)  因に版元であるフットワーク出版なる会社は既に存在しない。