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  キューブリック逝去に便乗して出版された質の悪い便乗本。内容は悪意に満ちていて読むに耐えない。この本は編者として「モノリス1・2・3」なる名称があるが、実質的には本書の半分を執筆している尾之上浩司氏と望月明日香氏が中心になってまとめられたと考えてよさそうだ。両氏のキューブリックに対する論考の是非はここでは問わないが、この日本で出版された最悪のキューブリック本に執筆者として名前を連ねているという名誉はここで強調しておきたいと思う。いかに最悪かは、この巻頭を飾る言い訳がましい一文をお読みになれば、本書がいかなる意図を持って企画されたかご推察いただけるかと思う。

 「英米映画界を代表する天才、スタンリー・キューブリック監督。われわれに残してくれた名作の数々は、時代を超えて人々を魅了し、輝き続けています。本書は、そんな彼の作品群を、従来の形式張った語り口とは違う手法で論評してみようと企画されたものです。よっていたずらに故人の名誉や故人の作品を傷つけたり、不用意に揶揄する意図はいっさいありません。本書が、果敢で職人気質、ユーモアにあふれた才人、キューブリック監督の新たな側面を理解する一助になれば、と願ってやみません。心より、スタンリー・キューブリック監督のご冥福をお祈りいたします。1999年8月 本書スタッフ一同」

 折角なのでその名誉あるスタッフのお名前を次に全て列記したい。

執筆者:尾之上浩司、望月明日香、ドリー・蛇臼、佐藤良平、佐藤正美、柿本 玲
発行人 的場康樹(現アイブックコミュニケーションズ代表取締役)

 因に版元であるフットワーク出版なる会社は既に存在しない。

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