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【関連記事】『フルメタル・ジャケット』で名をはせたヴィンセント・ドノフリオ、長編映画監督に初挑戦!

 スタンリー・キューブリック監督の映画『フルメタル・ジャケット』で名をはせ、その後も映画『メン・イン・ブラック』や映画『ザ・セル』に出演して活躍し、さらにテレビドラマ「LAW & ORDER クリミナル・インテント」でもお馴染みのヴィンセント・ドノフリオが、初の長編監督作品に挑戦した映画『ドント・ゴー・イン・ザ・ウッド / Don't Go in the Woods』(原題)について語った。  同作は、インディ系のロックバンド5人組が、誰にも邪魔されずに音楽製作をしようと森林に囲まれた小屋に泊まったが、ある日、突如グルーピーが彼らを邪魔しに現れてから、奇妙なことが起こり始めるというホラーベースの作品になっている。だが全編には、ホラーだけでなく、コメディ要素とミュージカル要素も含まれている個性的な作品に仕上がっている。  ミュージカルとホラーを交錯させる過程で困難だった点についてヴィンセントは「ミュージカルとホラーを交錯させることは、ある意味で破壊的な行為なんだ。それはホラーは、徐々に緊張感を保ちながら、それ(テンション)を一挙に爆発させるが、ミュージカルだといきなりマックスのテンションになってしまう。だから難しいんだ。そのため、どうやったら交錯できるか考えたときに、まずはほとんど俳優経験のない人たちをキャスティングして、彼らにはあくまでストーリーを伝えるだけのフラット(平たん)な演技をさせて、それとは逆にミュージカルの部分を強調させていくことで、ホラーと共存させたんだ」と興味深い手法について語った。  撮影について「撮影はわずか12日間で、予算も840万くらいだった。ただ、ミュージカルのシーンがあるために、音響だけにはお金をかけたつもりなんだ! 音が悪いと見る気にならないからね。それと、ほとんどのCGは友人に任せることで格安の予算で、製作することができたんだよ」と、まるで独立系映画のゲリラ撮影のようだったそうだ。またヴィンセントは、これまで数多くの優秀な監督と共に仕事をしてきたのに、なぜようやく監督する気になったのか、との質問に「確かに、これまでいろいろなアーテイストと仕事をして多くの刺激を受けてきたが、テレビや映画の俳優の仕事で、もの凄く忙しくて、ゆっくり時間を取って製作できなかったんだ」と理由を明かした。  このようないろいろなジャンルが交錯する...

【スタッフ】原田眞人

  映画監督・俳優・字幕翻訳家。『フルメタル・ジャケット』で戸田奈津子氏の和訳に納得しなかったキューブリックはそれを拒否、代わりに字幕の翻訳を担当したのが原田で、本作が字幕翻訳家デビューとなった。主な監督作品は『さらば映画の友よ インディアンサマー』('79)、『おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!』('86)、『さらば愛しき人よ』('87)、『ガンヘッド』('89)、『金融腐蝕列島〔呪縛〕』('99)、『金融腐蝕列島〔呪縛〕』('99)、『突入せよ! あさま山荘事件』('02)、『魍魎の匣』('07)、『クライマーズ・ハイ』('08)、『わが母の記』('12)。俳優としての出演作は『ラストサムライ』('03)。  1949年7月3日、静岡県沼津市生まれ

【トリビア】ナーダック・ブレフェスク提供/ストレンジラブ博士、または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか/マクロ・ギャラクシー・メテオ映画

 なんとも長ったらしいですが、これが脚本の草稿段階での『博士の異常な愛情』のタイトルでした。キューブリックと原作者のピート・ジョージで考えたらしいですが、これからも分かるように「宇宙人が滅びた地球を見つけて、発掘した情報を元に作った映画」という当初のアイデアを反映したものになってます。さすがのキューブリックもこれは悪ふざけがすぎると思ったのか、結局このアイデアはボツになって現在の形になりましたが、この「宇宙人視点で映画を創る」というアイデアは次作『2001年…』で実現することになります。しかも配給は「マクロ・ギャラクシー・メテオ」ではなく「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー」でしたね。

【小説家】アルトゥール・シュニッツラー(Arthur Schnitzler)

 『アイズ ワイド シャット』の原作、『夢小説(夢奇譚)』の作者。他の著作は『アナトール』、『輪舞』など。それぞれ1921年、1950と64年に映画化されている。尚、『夢小説』は舞台はウィーンで年代は19世紀末だったため、場所はニューヨーク、時代は20世紀末、馬車はタクシーに、性病はエイズに翻案され映画化された。  1862年オーストリア・ウィーン生まれ、1931年没。

【台詞・言葉】ブラーニー・ストーン(Blarney Stone)

  『ロリータ』でハンバートとロリータが車内で交わす会話で、ロリータが「ブラーニー・ストーンにキスしたことある?」と尋ねるシーンがあります。これはアイルランドのブラーニー城にある「ブラーニー・ストーンにキスすると雄弁になる」という言い伝えがあり、このシーンの直前にロリータとハンバートは寝てしまっている事から「あなたは雄弁にその事を話す人?」とハンバートに暗に問いかけているのです。  ただ「カンの鈍い」ハンバートはそれに気付かず「いいや、いつかしてみたいと思っている」と間の抜けた返事をします。それに対しロリータは次にはっきりと「ママに今日の事言うの?」と訊くが今度も「言う?何を?」と返され、あきれたロリータは「知ってるでしょう?アレよ」と答え、やっとハンバートはこの会話の意味に気づきます。  こういった会話一つにも、ロリータの小賢しい性格とハンバートの鈍い性格が表現されているのですが、ブラーニー・ストーンの予備知識のない者にとってはちょっとハードルが高いですね。