【台詞・言葉】ブラーニー・ストーン(Blarney Stone)
『ロリータ』でハンバートとロリータが車内で交わす会話で、ロリータが「ブラーニー・ストーンにキスしたことある?」と尋ねるシーンがあります。これはアイルランドのブラーニー城にある「ブラーニー・ストーンにキスすると雄弁になる」という言い伝えがあり、このシーンの直前にロリータとハンバートは寝てしまっている事から「あなたは雄弁にその事を話す人?」とハンバートに暗に問いかけているのです。
ただ「カンの鈍い」ハンバートはそれに気付かず「いいや、いつかしてみたいと思っている」と間の抜けた返事をします。それに対しロリータは次にはっきりと「ママに今日の事言うの?」と訊くが今度も「言う?何を?」と返され、あきれたロリータは「知ってるでしょう?アレよ」と答え、やっとハンバートはこの会話の意味に気づきます。
こういった会話一つにも、ロリータの小賢しい性格とハンバートの鈍い性格が表現されているのですが、ブラーニー・ストーンの予備知識のない者にとってはちょっとハードルが高いですね。