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【関連動画】『2001年宇宙の旅』の遠心機へ降りるシーンの特撮解説動画

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 役者が手前の通路を通っているときは遠心機を右回転させ、役者が遠心機に乗った瞬間に遠心機の回転を止め、通路を左回転させる・・・という理解でいいんでしょうか。キューブリックは合成による画質劣化を嫌がり、ありとあらゆるアイデアとテクニックを駆使して、なるべく合成をしない「一発撮り」をしていたそうですが、このシーンだけはどうやって撮ったかはわからないままでした。ちなみにアイデアはトニー・マスターズによるもので、キューブリックさえもこのトリックを理解するのに苦労したそうです。  ディスカバリー号の操縦室でボーマンとプールがありえない角度で立っているシーンは鏡を使い、宇宙遊泳や緊急エアロック、HALのメモリ室などの無重力シーンは垂直にセットを建て、真下から真上にカメラを向けて撮影したそうです。遠心機はセットが縦に二分割できるようになっていて、その合わせの隙間の上にカメラのドリーを乗せてぐるぐる回る映像が撮影されました。隙間にはゴムがついていてカメラの支持棒が通り過ぎると自然に塞がれるようになっていました。  わかってしまえば非常にシンプルで原始的ですが、それにしてもよくこんなトリックを思いつきますね。

【オマージュ】キューブリックファンなら知っておきたい『ターミネーター2』の正しいの鑑賞の方法

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 キューブリック・フォロワーでもあるジェームズ・キャメロンが1994年に監督、公開した傑作SFアクション映画『ターミネーター2』ですが、キューブリック作品のオマージュ(したと思われるシーンも含む)がいくつかありますのでそれをご紹介します。  まず、ターミネーターがショットガンをバラの花束の箱に隠していたシーン。これとほぼ同じシーンが『現金に体を張れ』にもあります。  主人公のジョニーが競馬場にショットガンを持ち込んだのもシュワちゃんと同じ方法でした。ちなみに『ターミネーター2』の主題歌を担当したのが「ガンズ・アンド・ローゼス(銃とバラ)」。こことも繋がっていますね。  シュワちゃんがサラにスカイネットの攻撃の正確さを機械的に説明するシーン。「正確無比」は「a perfect operational record」。  同じ台詞は『2001年宇宙の旅』にも登場。HALが自身の正確さを機械的に説明するシーン。訳は「完全無欠」ですがセリフは全く同じの「a perfect operational record」。  ダイソンの自宅で子供がラジコンカーで遊ぶシーン。これはこのローアングルを見れば一目瞭然、『シャイニング』のこのシーンを思い出します。  ラジコンカーで遊んでいたダイソンの息子の名前は「ダニー」でした(笑。ここ、キューブリックファンなら笑うところですね。  瀕死のダイソンが爆弾の起爆装置を握っているシーン。このアングルとアップの顔は・・・  同じく『シャイニング』でハロランがダニーのシャイニングを受け取るシーンにそっくりです。これも意識したのか偶然なのか・・・。上記の「ラジコンカー」の確信犯っぷりから偶然とは考えにくいですね。  以上ですが、こんな穿った見方をしなくても『ターミネーター2』は十分楽しめる傑作映画です。TVオンエアも何度かされていますし、レンタルでも置いていない店はないと言えるほどの定番作品ですが、「もう何度も観てるよ」という方は、こんな楽しみ方をしてみるのも一興かと思います。ぜひ、一度お試しあれ。 追記:2021年8月20日

【プロップ】『2001年宇宙の旅』でフロイド博士がオリオン号で観ていた映像に登場したGMのコンセプトカー「Runabout」

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判別しにくいが、車のシルエットがRunaboutであることがわかる。車の外観のロングショットはデトロイトで撮影された。 GM(ゼネラル・モータース社)が1964年に発表したコンセプトカー「Runabout」 カップル(夫婦?)が語り合うシーン。この映像はロンドンで撮影された。 上記のシーンの撮影風景。椅子はセットで運転席や外の風景はリアプロジェクションのように見える。 Runaboutのフロントパネル。上記の映像と酷似している。 Runaboutのリアに大判カメラ(バイテン?)を突っ込んで撮影中のスタッフ。『ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ』より キューブリック邸にあった資料を保管しているロンドン芸術大学の「スタンリー・キューブリック・アーカイブ」で展示された『2001年…』の資料にも、「Runabout」の写真が残されている。 Another 3-wheeled concept car by GM is the “Runabout”. The vehicle had a front wheel that could turn 180 degrees to allow parking in the tightest of spots and the rear end of the car contained two detachable shopping trolleys with wheels that would fold away when the trolley was parked in the vehicle. The Runabout had space for 2 adults in the front and 3 children in the rear. The vehicle was first presented at the General Motors Futurama Exhibit in 1964 at the New York World’s Fair.  GMのもう一つの3輪コンセプトカーは「Runabout」です。車両には180度回転可能な前輪があり、車後部には停車したときに折り畳まれる車輪付きの取り外し可能な2つのショッピングカートが収納されていました。Runaboutには、前部座席に2人の大人、後部座席背面に3人の...

【リリース情報】クライテリオン版BD『バリー・リンドン』、キューブリックが指示したアスペクト比1.66でリリース

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Barry Lyndon (The Criterion Collection)(Amazon)  一体今までの混乱は何だったの? と言いたくなりますが、やっと正しいアスペクト比1.66のヨーロッパビスタでリリースされました。  キューブリックは『現金に体を張れ』から『バリー・リンドン』まで、ヨーロッパビスタの1.66で視聴されることを念頭に映画製作をしてきました(例外は『スパルタカス』とシネラマの『2001年宇宙の旅』)。しかし状況はキューブリックの希望とは異なり、アメリカンビスタ(1.85)がヨーロッパビスタを押しやって業界標準の地位を築いてしまいました。仕方なくキューブリックは『シャイニング』から、TV放映やビデオ化を睨んで撮影はスタンダード、上映はその上下をトリミングしてヨーロッパビスタとアメリカンビスタ両方に対応できるフォーマットで映画製作を行いました。なぜならビスタサイズでフィルム制作してしまうと、テレビのスタンダードサイズ(1.33)に収まりきらず、勝手に左右をバッサリカットしてオンエアされてしまう可能性があったからです(あの時代の映画のTV放映ではそれが当たり前で、切れると読めなくなるタイトルやスタッフロールなどは無理やり長体変形をかけてオンエアしていました)。  キューブリック逝去後、テレビはワイド(1.78)が標準になったため、「ビスタサイズのフィルムの左右をバッサリカットしてオンエア」という問題はなくなり、上映サイズ(ヨーロッパビスタ・アメリカンビスタ)≒ワイドテレビサイズでの視聴が当たり前になりました。それに対応して『シャイニング』以降のワイドTV対応のDVD/BDはピラーボックス(左右の黒い帯)はありません。しかしヨーロッパビスタでの上映のみを想定していた『現金…』(BDは日本未発売)『突撃』(BDは日本未発売)『ロリータ』『博士…』『時計…』『バリー…』のDVD/BDには1.78と1.66のサイズ差を埋めるピラーボックスがなければなりません。それが守られていなかったのは『バリー…』のBDだけでしたが、今回のクライテリオン版の登場で、やっとそれが果たされたというわけです。  一時期行方不明と言われていたマスターが見つかったなど、事の詳細はプレスリリースがないので不明ですが、マスターから4Kスキャンされたという画質も見本映像を観る限り期待できそ...