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11月, 2021の投稿を表示しています

【関連記事】マイナビニュース会員による「宇宙が舞台のおすすめ映画20選」のアンケート結果が驚きの順位

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2001: A Space Odyssey(IMDb) 宇宙が舞台のおすすめ映画20選 - ラストフロンティアでのロマンが満載 民間の有人飛行も行われるようになったものの、まだまだ宇宙には解き明かされない謎が多く残されています。最後のフロンティアとして、宇宙は古くから多くの人々を魅了してきました。 そんな魅力的な舞台である宇宙は、映画のテーマにも最適。宇宙を舞台にした映画は数多く制作されています。そのジャンルも、スペースオペラから人間ドラマ、アクション、ホラー、コメディと多岐にわたり、名作も多数存在しています。 今回は、マイナビニュース会員の男女516名にアンケートを実施し、おすすめの宇宙をテーマにした映画について聞いてみました。 Q.あなたが人におすすめしたいと思った宇宙をテーマとした映画はありますか? 『はい』(62.8%) 『いいえ』(37.2%) 調査の結果、約3分の2にあたる63%近くの人がおすすめしたい宇宙映画があると回答しました。さらに、おすすめの宇宙映画を教えてもらったところランキングは以下の通りになりました。 〈中略〉 5位『2001年宇宙の旅』  スタンリー・キューブリックによる、華麗なる映像で描かれた宇宙叙事詩。猿人の進化から、人類の宇宙への旅、人工知能の暴走、木星でのモノリスとの邂逅などが先鋭的な映像で描かれる。まさにSF映画の金字塔という呼び名にふさわしい一作。 出演/ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダニエル・リクター 監督/スタンリー・キューブリック 公開年/1968年 ・「AIの暴走がこれからの世界では実際に起こりそうな感じがして、一種の警告のような感じがする」(66歳男性/その他/その他・専業主婦等) ・「未来を想像してわくわくした」(59歳男性/輸送用機器(自動車含む)/営業関連) ・「スケールやテーマが壮大」(57歳男性/その他/その他・専業主婦等) 〈以下略〉 (引用: マイナビニュース/2021年11月22日 )  うーん、なかなかオールドSFな順位でちょっとした驚きです。マイナビニュースとは就活・転職サイト「マイナビ」が運営するニュースサービスですが、回答しているのは「就活中」ではなく「転職中」の層が多いんでしょうね。回答例を見ると中年~シニア層ばかりです。おそらくこの結果はサイト運営者も予...

【パロディ】洋楽パロで有名なNHKの番組『ハッチポッチステーション』の再編集版『2001年(2004年)夢中の旅』のオープニングがやっぱり『2001年宇宙の旅』だった件

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 ある方面では非常に有名な、NHKの子供向け番組『ハッチポッチステーション』。動画説明文によると、2001年の元旦に放送された再編集版が2004年に再放送されたものだそうです。だから2004年という中途半端な数字なのに『2001年宇宙の旅』のパロディがオープニングなんですね。  2018年に公開され、大ヒットしたクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の影響もあってか、この『ハッチポッチステーション』の洋楽パロ(GUEENの『犬のおまわりさん』)が再び脚光を浴びたのも記憶に新しいですが、そもそもこの再編集版自体が「エド・サリバン・ショー」のパロディだし、「ヒッチコック劇場」も飛び出すわで完全にお子さまなんか相手にしていません(笑。  この番組で八面六臂の大活躍を見せているグッチ裕三さんですが、ギターはちゃんと弾けないようです(が、それっぽく頑張っています)。ですが、そういう点は差し引いても「童謡×洋楽」のマッシュアップは現在聴いても完成度が高い。個人的には前述した『犬のおまわりさん』もそうですが『あのこはだレイラ』『母さんのうた』『いっしゅうかん』、この動画にはありませんが『おうまの親子』あたりが好み。でも、『山口さんちのツトムくん』(What's going on→いつが都合いいの?)の衝撃度には及ばないかも。世界No.1クラスの大名曲をこんな風にしてしまう大暴挙なんて、いったい誰が思いついたのでしょう?(笑。それらパロディの密度に比べると、オープニングの『2001年…』のパロディはストレートすぎてイマイチですね。まあ、どちらにしても当時のお子さまはポカーンだったと思います。

【関連記事】史上最年少アカデミー賞女優テータム・オニールの人生を壊した父と薬と性暴力【毒家族に生まれて】

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『ペーパームーン』で共演したライアン&テータム・オニール  ーわずか10歳でオスカー像を手にしたハリウッドの天才子役は父の嫉妬と薬物に狂わされた  子役として華々しい経歴を持つ人物が、その後落ちぶれていく例は枚挙に暇がない。ハリウッドにおけるもっと有名な「堕ちた子役」といえば、テータム・オニールを置いて他にいない。10歳にしてオスカー像を手にした天才少女が、両親の堕落した生活と薬物、そしてレイプによって滅茶苦茶にされ、40年かけメンタルヘルスを取り戻した物語。 〈以下略〉 (引用元: ELLE/2021年10月15日 )  「テータム・オニールの人生を壊した父」とは、『バリー・リンドン』で主役を演じたライアン・オニールのことです。この記事ではいかにそのライアンが人格破綻者だったかを赤裸々に記述していますが、「毒家族シリーズ」と銘打たれているように、「毒親は継承されてしまう可能性がある」という観点からも非常に興味深い記事です。  キューブリックファンにとってライアン・オニールは「キューブリックのこだわりに振り回された俳優の一人」という認識ぐらいしかなく、長引く撮影に「娘のテータムが病気なんだ、帰らせてくれ」と懇願したという話から、てっきり良き父親なのだとばっかり思っていました。ところがこの記事はそのイメージを完全に覆すものです。まあ、素行が悪そうな雰囲気はキューブリックのドキュメンタリーに登場した際になんとなくは感じていましたが、ここまで酷いという認識はありませんでした。  ハリウッドがいかにドラッグと暴力にまみれているか、もしくはそれらがすぐ手の届くところにある場所なのか、ということを知識として知っていてもなかなか実感は沸かないものです。これを読むとキューブリックが映画製作に集中したいがためにハリウッドから距離を置き、イギリスに住み続けたというのもよく理解できます。それからもうひとつ、キューブリックは自作の主演俳優とは作品完成後も何らかの交流(電話が主だった)があるのが常(たとえトラブルになったとしても)だったのですが、ライアン・オニールとは一切そういう話がありませんでした。こんなに悪評まみれなら、キューブリックはそれを知っていたでしょうから、ライアンを避けるのは当然ですし、ライアンも薬と女に溺れるあまり、キューブリックと交流しようという考えなど微塵もなかっ...

【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』の主要特殊撮影スタッフ、コン・ペダーソンの功績とその後

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『2001年宇宙の旅』BDの特典映像『“2001年”の神話』でのコン・ペダーソン 『2001年宇宙の旅』で作業中のコン・ペダーソン  キューブリックがアカデミーに特殊視覚効果賞をノミネートする際、アカデミーに「1つの部門にエントリーは3人まで」と言われ、代表者である自分の名前を提出、いざ受賞が決まるとダグラス・トランブルが不満の意を表明した、というのはよく知られたエピソードです。そのキューブリックは、特殊効果で重要な役割を果たしたスタッフは4人で、その順番はウォーリー・ヴィーヴァーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン、トム・ハワードとしてエンドクレジットに入れました。この順番にペダーソンはトランブルの元上司だったので、部下に、しかもぺーぺーの若造に追い抜かれた形になるのは屈辱感を覚えたかもしれません。現にペダーソンは現場で実力と影響力を増すトランブルに対して、嫉妬ともとれる「言いがかり」をつけています。ですがその後、トランブルの功績の大きさを認める発言をしているので、ある程度「わだかまり」は解消されたのでしょう。(詳細は書籍 『2001:キューブリック・クラーク』 で)。  ペダーソンは1964年のニューヨーク世界博覧会のために制作された、シネラマ短編映画『To the Moon and Beyond』の特殊効果を担当し、キューブリックに引き抜かれて部下のダグラス・トランブル(トランブルは押し掛け女房的にイギリスに渡った)と共に『2001年…』に参加しました。担当は模型制作やスターゲート用のイラスト制作などでしたが、模型撮影を含む全ての特撮部門の管理責任者を任され、複雑な特殊撮影工程を完璧に管理するという、どちらかというとそちらの面での功績が大きかったようです。その後映画界からCM界に転身し、1971年にロバート・エイブルと共同で「ロバート・エイブル&アソシエーツ(RA&A)社」を設立、CG(コンピューター・グラフィックス)を大胆に導入した全く新しい映像表現で、CM界に一大センセーションを巻き起こします。そのCG表現(を模したアナログ的な手法も含め)のルーツは『2001年…』であったこと、そしてその現場で管理責任者をしていたペダーソンの経験がなければ、なし得なかったであろうことは間違いありません。それは以下の動画『ロバート・エイブルの世界』を観ても一目...

【考察・検証】キューブリックはなぜ『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンの撮影で、人工光を使用しないことにこだわったのか?を検証する

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Barry Lyndon(IMDb)  『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンは一切人工光(照明装置)使わず、すべて蝋燭の光だけで撮影したことはよく知られていて、よく語られます。ですが、実際は当時存在しなかった高輝度の蝋燭を特注で作らせたり、レフ版をつかって室内全体に光をいきわたさせたりと、多少「ズル」をしたことはあまり知られていません。単純に撮影の手間だけを考えればこれらは補助光を使えば済む問題ですし、実際蝋燭のシーン以外、例えば昼間の室内のシーンでは照明を使用しています(詳細は こちら )。  ではなぜキューブリックは、「ズル」をしてしまえば18世紀の夜の室内の「完全再現」ではなくなるとわかっていながら、蝋燭の光だけで撮影することにこだわったのでしょうか?それは以下の2つの理由が考えられます。 (1)人工光が存在しない時代が舞台であれば、それを「再現」する照明であるべきだと考えていたから。  『バリー・リンドン』が製作されていた時代、具体的には1970年代半ばに至っても「アメリカンナイト」(夜のシーンを昼間に撮影し、NDフィルターをかけて夜に見せかける)で撮影された映画が一般的でした。自然光(に見えるライティングで撮影する)主義者であるキューブリックは、その「嘘臭さ」「不自然さ」を嫌っていて、映画業界に一石を投じるつもりでこの「蝋燭光だけでの撮影」にこだわったのです。それは 「【関連記事】『エル・ノルテ 約束の地』の監督、グレゴリー・ナヴァが語った「キューブリックと働いた日々」」 記事でのグレゴリー・ナバ監督の証言が全てです。キューブリックは「いいかげん嘘くさくて不自然な照明はやめるべきだ」と業界にメッセージを発信したかったのです。 (2)「蝋燭光だけで撮影された作品」というキャッチコピーで観客の関心を惹きつけ、興行成績に寄与できると考えたから。  これはキューブリック本人がそう語ったソースはありませんので、管理人個人の推察になります。『バリー…』が興行的に苦戦することは、ナポレオン映画『ワーテルロー』の失敗から折り込み済みでした。だからこそ宣伝効果を狙ってオスカーを欲しがったのだし、この「蝋燭光だけで撮影」という触れ込みもその宣伝効果を狙ったであろうことは十分考えられます。キューブリックの思惑は見事に的中し、この「蝋燭光だけで撮影」というのは当時盛んに宣伝され、話...