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『ペーパームーン』で共演したライアン&テータム・オニール

 ーわずか10歳でオスカー像を手にしたハリウッドの天才子役は父の嫉妬と薬物に狂わされた

 子役として華々しい経歴を持つ人物が、その後落ちぶれていく例は枚挙に暇がない。ハリウッドにおけるもっと有名な「堕ちた子役」といえば、テータム・オニールを置いて他にいない。10歳にしてオスカー像を手にした天才少女が、両親の堕落した生活と薬物、そしてレイプによって滅茶苦茶にされ、40年かけメンタルヘルスを取り戻した物語。

〈以下略〉

(引用元:ELLE/2021年10月15日




 「テータム・オニールの人生を壊した父」とは、『バリー・リンドン』で主役を演じたライアン・オニールのことです。この記事ではいかにそのライアンが人格破綻者だったかを赤裸々に記述していますが、「毒家族シリーズ」と銘打たれているように、「毒親は継承されてしまう可能性がある」という観点からも非常に興味深い記事です。

 キューブリックファンにとってライアン・オニールは「キューブリックのこだわりに振り回された俳優の一人」という認識ぐらいしかなく、長引く撮影に「娘のテータムが病気なんだ、帰らせてくれ」と懇願したという話から、てっきり良き父親なのだとばっかり思っていました。ところがこの記事はそのイメージを完全に覆すものです。まあ、素行が悪そうな雰囲気はキューブリックのドキュメンタリーに登場した際になんとなくは感じていましたが、ここまで酷いという認識はありませんでした。

 ハリウッドがいかにドラッグと暴力にまみれているか、もしくはそれらがすぐ手の届くところにある場所なのか、ということを知識として知っていてもなかなか実感は沸かないものです。これを読むとキューブリックが映画製作に集中したいがためにハリウッドから距離を置き、イギリスに住み続けたというのもよく理解できます。それからもうひとつ、キューブリックは自作の主演俳優とは作品完成後も何らかの交流(電話が主だった)があるのが常(たとえトラブルになったとしても)だったのですが、ライアン・オニールとは一切そういう話がありませんでした。こんなに悪評まみれなら、キューブリックはそれを知っていたでしょうから、ライアンを避けるのは当然ですし、ライアンも薬と女に溺れるあまり、キューブリックと交流しようという考えなど微塵もなかっただろうことは容易に想像できますね。

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