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キューブリック一家が居住していた当時のアボッツ・ミード

 まさにセントラルキャスティングから出てきた物件です。

 スタンリー・キューブリックがかつて住んでいたハートフォードシャーの邸宅―彼が『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』などの作品を制作した場所―が、約900万ドル(12億円)という破格の価格で売りに出された。

 アボッツ・ミードとして知られる8ベッドルームの英国邸宅は、ロンドン郊外エルストリーのバーネット・レーンに位置している。金曜日に送られた不動産会社からのリリースによると、サヴィルズが販売している。 

 ニューヨーク生まれの故キューブリックは1965年にこの土地を購入し、14年間をそこで精力的に制作活動に費やしました。そして1999年に亡くなりました。

 エルストリー・スタジオのすぐ近くにあるおかげで、この隠遁生活を好む映画監督は、緑豊かな2エーカーの敷地を離れることなく、制作や編集から特殊効果の開拓まで、あらゆる作業を管理することができました。

 「豊かで多様な歴史を持つ素晴らしい住宅を数多く販売できることは、私たちにとって大変幸運なことです。しかし、映画撮影のロケ地として使われた場合を除き、これほど映画制作と直接的なつながりを持つ物件は稀です」と、サヴィルズ・リックマンスワースのオフィス責任者、スティーブン・スペンサー氏は声明で述べています。 

 スペンサー氏はさらに、「エルストリー・スタジオに近いことがキューブリック氏とその家族にとって完璧な拠点となりましたが、キューブリック氏は自宅で多くの仕事をし、スタジオ内で彼の並外れた作品群のうち4本の映画のあらゆる側面を注意深く管理していました」と付け加えました。

(引用:THE NEW YORK POST/2025年5月23日



 キューブリックが『2001年宇宙の旅』〜『シャイニング』の制作中に住んでいた英国の邸宅「アボッツ・ミード」が900万ドル(約12億円)で売りに出されているそうです。内装は当時と変わっていると思いますが、記事には室内写真がいくつか。それに当時はプールはなかったはず。

 キューブリックはそれまでたびたび映画製作のためロンドンは訪れていましたが、あくまで拠点は自身の出身地であるニューヨークでした。(ハリウッドが嫌で舞い戻ってきていた)。ですので『2001年宇宙の旅』もプリプロダクションはニューヨークで行なっていたのですが、大規模になるであろう撮影はロンドンのMGMスタジオで行う予定だったので、1965年の夏、ロンドンに引っ越します。MGMスタジオや記事にあるエルスツリー・スタジオもロンドン北部にあり、そこには映画スタジオや制作会社の関連施設が集中していたので、その近辺に家族と一緒に住み着くのは当然の成り行きでした。ですがそのことは次作『時計じかけのオレンジ』で、脅迫が自宅にも及ぶようになり、家族を巻き込むことになってしまいました。以来キューブリックはプライバシーに神経質にならざるを得なくなります。

 その騒ぎも一段落し、『バリー・リンドン』『シャイニング』の制作期間は当地で過ごし、1979年に約20kmほど北に離れたチルドウィックベリーに引っ越し、そこを終の住処とします。その理由はアボッツ・ミードが手狭になったためですが、記事の写真を見ると確かにそこまで広くはないようですね。

 以下の動画は長女のカタリーナが2015年にこの邸宅を訪問した時の動画です。自動翻訳で観ることができます。映画の編集したガレージや内部の映像も登場。自宅兼事務所にしては意外に狭くいのがよくわかります。門柱に記念プレートが埋め込まれていますが、現在もそうなのかは不明です。


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