【考察・検証】撃ち抜かれた少女の肖像画が象徴するものとは

 『ロリータ』のラスト、ハンバートがキルティを狙った際に撃ち抜かれた少女の肖像画。このシークエンスの持つ意味は、そのものズバリ「少女偏愛との決別」でしょう。この時点でハンバートはドロレス(ロリータ)を少女偏愛の対象としてではなく、一人の女性として愛していた事を自覚していたのですから、キューブリックはそのハンバートの意思を分かりやすい形で視覚化したのだと思います。この手法は形を変えて『アイズ…』でも繰り返していましたね。この時は銃弾ではなく「ファック!」という台詞で撃ち抜いています。その対象はトムであり、観客自身ですね。キューブリックはよく恋愛物は苦手と言われますがそんなことはありません。ちゃんと男女の愛の姿を表現してみせています。かなりシニカルで皮肉に満ちてはいますけど。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】キューブリック版『シャイニング』でオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体とは

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【関連記事】1972年1月30日、ザ・ニューヨーク・タイムス紙に掲載されたキューブリックのインタビュー

【関連記事】音楽を怖がってください。『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『アイズ・ワイド・シャット』・・・巨匠キューブリックが愛した恐怖クラシック

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』に登場する予定だった宇宙人のデザイン案を検証する

【関連動画・関連記事】1980年10月24日、矢追純一氏によるキューブリックへのインタビューとその裏話

【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』と「アイドル」に親和性?『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされた女性アイドルのPVやMVのまとめ

【関連記事】早川書房社長の早川浩氏、アーサー・C・クラークと一緒に『2001年宇宙の旅』を鑑賞した思い出を語る

【パロディ】『時計じかけのオレンジ』のルドヴィコ療法の被験者にさせられたアニメキャラのみなさまのまとめ