【考察・検証】撃ち抜かれた少女の肖像画が象徴するものとは

 『ロリータ』のラスト、ハンバートがキルティを狙った際に撃ち抜かれた少女の肖像画。このシークエンスの持つ意味は、そのものズバリ「少女偏愛との決別」でしょう。この時点でハンバートはドロレス(ロリータ)を少女偏愛の対象としてではなく、一人の女性として愛していた事を自覚していたのですから、キューブリックはそのハンバートの意思を分かりやすい形で視覚化したのだと思います。この手法は形を変えて『アイズ…』でも繰り返していましたね。この時は銃弾ではなく「ファック!」という台詞で撃ち抜いています。その対象はトムであり、観客自身ですね。キューブリックはよく恋愛物は苦手と言われますがそんなことはありません。ちゃんと男女の愛の姿を表現してみせています。かなりシニカルで皮肉に満ちてはいますけど。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【ブログ記事】1999年3月7日スタンリー・キューブリック監督の逝去に当たり、当ブログ(当時個人ホームページ)に寄せられたファンの追悼メッセージ集

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】『フルメタル・ジャケット』の幻のシーン「生首サッカー」は真実か?を検証する

【TV放映情報】NHK BSプレミアムシネマで2月26日(水)午前0:05より『フルメタル・ジャケット』オンエア決定

【上映情報】「午前十時の映画祭15」で『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』上映決定!!

【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2019年11月22日更新)

【関連記事】『2001年宇宙の旅』1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。その先見性に驚く

【ブログ記事】11人の映画監督がスタンリー・キューブリックを語る

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その1:ロケーション撮影、フィルター、照明、ネガフィルムについて]

【考察・検証】「フィクション」を「ドキュメント」するカメラマンの眼