【考察・検証】撃ち抜かれた少女の肖像画が象徴するものとは
『ロリータ』のラスト、ハンバートがキルティを狙った際に撃ち抜かれた少女の肖像画。このシークエンスの持つ意味は、そのものズバリ「少女偏愛との決別」でしょう。この時点でハンバートはドロレス(ロリータ)を少女偏愛の対象としてではなく、一人の女性として愛していた事を自覚していたのですから、キューブリックはそのハンバートの意思を分かりやすい形で視覚化したのだと思います。この手法は形を変えて『アイズ…』でも繰り返していましたね。この時は銃弾ではなく「ファック!」という台詞で撃ち抜いています。その対象はトムであり、観客自身ですね。キューブリックはよく恋愛物は苦手と言われますがそんなことはありません。ちゃんと男女の愛の姿を表現してみせています。かなりシニカルで皮肉に満ちてはいますけど。