【撮影・技術】ニードルドロップ(Needle Drop)

 映画のBGM等で新規作曲・録音せず、既存曲を使用すること。すでにレコードになった音源に針を落とすイメージからこう呼ばれるそうです。キューブリックは『博士…』以降「ニードルドロップ」が多くなり自作の代名詞にもなってますね。キューブリックはそれについて、

 「我々は現代音楽からアヴァンギャルドの作品まで、膨大な量の既成のオーケストラ音楽から選ぶことができる。既成の音楽を使うと、編集の初期の段階で音楽を使った実験ができる。時には音楽に合わせてシーンをカットすることもある。これは人物が普通に立ち居振る舞う通常のシーンでは簡単にできないことだが」

 「音楽の大部分は映画ができてから選んだが、最初から決めてあったものもある。何故その曲を選んだかを言う事はちょっと難しい。アイデアが浮かぶ、それを試してみる、ある程度のところで適切だと決定する。これは実質的に映画づくりのありとあらゆることに関係するが、運とイマジネーションと趣味の問題だ」

(引用:『イメージフォーラム増刊 キューブリック』)

なんて言ってますが、撮影や編集の段階から音楽を使った様々な実験をしたい、音楽も含め全てこちらでコントロールしたい。という事でしょう。

 この「ニードルドロップ」という言葉、レコードが一般的でなくなった今では死後かもしれませんが、ちょっとノスタルジーで心地よい響きです。意味さえ分かればイメージしやすいですから、そのうち一般的になるかも知れませんね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】キューブリック版『シャイニング』でオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体とは

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【関連記事】1972年1月30日、ザ・ニューヨーク・タイムス紙に掲載されたキューブリックのインタビュー

【関連記事】音楽を怖がってください。『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『アイズ・ワイド・シャット』・・・巨匠キューブリックが愛した恐怖クラシック

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』に登場する予定だった宇宙人のデザイン案を検証する

【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』と「アイドル」に親和性?『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされた女性アイドルのPVやMVのまとめ

【関連動画・関連記事】1980年10月24日、矢追純一氏によるキューブリックへのインタビューとその裏話

【関連記事】早川書房社長の早川浩氏、アーサー・C・クラークと一緒に『2001年宇宙の旅』を鑑賞した思い出を語る

【パロディ】『時計じかけのオレンジ』のルドヴィコ療法の被験者にさせられたアニメキャラのみなさまのまとめ