【撮影・技術】ニードルドロップ(Needle Drop)
映画のBGM等で新規作曲・録音せず、既存曲を使用すること。すでにレコードになった音源に針を落とすイメージからこう呼ばれるそうです。キューブリックは『博士…』以降「ニードルドロップ」が多くなり自作の代名詞にもなってますね。キューブリックはそれについて、
「我々は現代音楽からアヴァンギャルドの作品まで、膨大な量の既成のオーケストラ音楽から選ぶことができる。既成の音楽を使うと、編集の初期の段階で音楽を使った実験ができる。時には音楽に合わせてシーンをカットすることもある。これは人物が普通に立ち居振る舞う通常のシーンでは簡単にできないことだが」
「音楽の大部分は映画ができてから選んだが、最初から決めてあったものもある。何故その曲を選んだかを言う事はちょっと難しい。アイデアが浮かぶ、それを試してみる、ある程度のところで適切だと決定する。これは実質的に映画づくりのありとあらゆることに関係するが、運とイマジネーションと趣味の問題だ」
(引用:『イメージフォーラム増刊 キューブリック』)
なんて言ってますが、撮影や編集の段階から音楽を使った様々な実験をしたい、音楽も含め全てこちらでコントロールしたい。という事でしょう。
この「ニードルドロップ」という言葉、レコードが一般的でなくなった今では死後かもしれませんが、ちょっとノスタルジーで心地よい響きです。意味さえ分かればイメージしやすいですから、そのうち一般的になるかも知れませんね。