【撮影・技術】ドリーショット(Dolly Shot)

 キューブリックが好んだ撮影方法のひとつ。カメラをドリー(台車)に乗せて動かしながら撮影する方法。台車の下にレールを敷く場合もある。広義にはカメラを移動させながら撮影する方法の全般を指すが、キューブリック作品の場合、ステディカムやクレーン撮影と区別するため、「台車を使った撮影」の意味で使われる場合が多い。

 キューブリック作品で有名なのは『現金に体を張れ』のアパートのシーン。壁を突き抜けて横に移動しながら俳優の動きを追っている。また『バリー・リンドン』の戦闘時の行進シーン、『フルメタル・ジャケット』のラストシーンでは集団で一方向へ歩いていく部隊を平行移動するドリーショットで撮っている。『時計じかけのオレンジ』のオープニングは奥から手前の引きのドリーショットで、この時は台車だけでレールは敷かずに撮影された。

 上記動画は『突撃』でドリーショットを使用しているシーンが連続して登場する。塹壕内ではまるでステディカムのように滑らかなカメラ移動に驚かされる(当然この頃はまだステディカムは存在しない)。キューブリックはこの映像が撮りたいために、史実とは異なり塹壕を台車が通れる幅に広げたという。続いての突撃シーンではキューブリックお得意の平行移動によるドリーショットだ。これらのシーンはカメラマン出身のキューブリックのこだわりが遺憾なく発揮されたまさしく「GREAT SCENE」と呼ぶにふさわしい。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【関連記事】ジム・モリソンとドアーズがシネラマドームで『2001年宇宙の旅』を観た夜

【関連商品】『2001年宇宙の旅』のHAL 9000のようなデザインのファズ・ペダル、その名も「TMA-1 Fuzz」が登場

【パロディ】『ルパン三世』TVシリーズ(セカンドシーズン)のLDのジャケットが『時計じかけのオレンジ』だった件

【原作小説】Amazon Kindleにサッカレーの小説『バリー・リンドン』が新訳で登場。しかも398円の超破格値!

【ブログ記事】キューブリック作品の映像が、隙のない完璧なものに見える理由

【パロディ】洋楽パロで有名なNHKの番組『ハッチポッチステーション』の再編集版『2001年(2004年)夢中の旅』のオープニングがやっぱり『2001年宇宙の旅』だった件

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【ロケーション】キューブリック作品が製作された撮影地一覧(概略)

【ブログ記事】『シャイニング』のオーバールックホテルの外観モデルになったティンバーラインロッジが、キューブリックに幽霊が出る217号室を変更して欲しい旨を伝える手紙