【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』が『アイズ・ワイド・シャット』でない理由
通常洋画の日本語版タイトルを決定する際、そのまま英文タイトルをカタカナで表記する場合は『スター・ウォーズ』の用に「・(ナカグロ)」を入れるのが慣例となっています。しかし『アイズ…』は『アイズ ワイド シャット』と単語の間に半角アキを入れろとの指示がキューブリックサイドから日本のワーナーに向けてあったそうです。その理由は「アイズ・ワイド・シャット」と各々文節として区切るのではなく、「アイズ ワイド シャット」という一文として扱いたかったのではないかと想像しています。つまり「アイズ ワイド オープン」という慣用句のもじりである事を念頭にした措置という事です。
文節を区切れば「目を・大きく(広く)・閉じる」になり、慣用句「目を見開く(Eyes Wide Open)」をもじった一文「目を見閉じて」とはずいぶんと印象が違います。トリッキーで不思議な違和感があり、そして少しドキっとするのは断然後者ですね。
結論:『アイズ・ワイド・シャット』を拒否し『アイズ ワイド シャット』とした理由は、『Eyes Wide Shut』を各文節単位ではなく、一文として認識して欲しかったためだと思われる。慣用句「Eyes Wide Open(目を見開く)」をもじったものであるという意図も明確にしたかかったのではないだろうか。
つまり『アイズ…』を論評する際、この「目を見閉じて」という一文の意味をどう捉えるかが重要になってきます。元の「Eyes Wide Open」には「ほら、目を見開いてしっかり見なさいよ!」という注意喚起のニュアンスも含んでいます。そういう意味からも『アイズ ワイド シャット』はキューブリックの「ほら、しっかり見ているか?お前はちゃんと見ているつもりでもなんにも見えていないじゃないか!」という注意喚起、つまり警鐘のような気がしてなりません。
まあ、単に英単語の間にナカグロを入れるという日本の風変わりな慣習に、キューブリックが「合理的な理由がない」と却下しただけ、という可能性も捨てきれないですけどね(汗。