【オマージュ】『シャイニング』にインスパイアされた、もしくはオマージュしたMVのまとめ

 日本はもちろん、世界中で『シャイニング』はすでにMVの定番ネタになっています。その「シャニングオマージュMV」で管理人が探し当てたものや読者様から教えていただいたものをご紹介します。



Official髭男dism/ミックスナッツ(2022年)

 アニメ『SPY×FAMILY』の主題歌でもある、Official髭男dism『ミックスナッツ』のMV、恐怖のホテルを訪れた親子というシチュエーションからして『シャイニング』ですが、壁を突き破る横移動のドリーショット、ローアングルや広角レンズの多様、廊下の奥の影、恣意的なパンショットなど、キューブリックファンならニヤニヤできる要素が満載。最後のショーのシーンはキューブリック版ではなく、スティーブン・キング版の『シャイニング』を思い起こさせますが、全体的にはサーティー・セカンズ・トゥー・マーズの『ザ・キル』のMVを思い出してしまいました。


ミューズ/ユー・メイク・ミー・フィール・ライク・イッツ・ハロウィン(2022年)
(Muse - You Make Me Feel Like It's Halloween)

  イギリスの国民的バンドMUSE(ミューズ)の新曲『YOU MAKE ME FEEL LIKE IT'S HALLOWEEN』のMVがとっても『シャイニング』で、なおかつその他のホラー映画要素も満載。ミューズは過去にも『博士の異常な愛情』『2001年宇宙の旅』『フルメタル・ジャケット』をMVで引用していますが、ついに『シャイニング』にも手を出しましたか。こうなったらキューブリック作品コンプリートを目指して欲しいですね。


チャンミン/Maniac(2022年)
(MAX CHANGMIN - Maniac)

 「東方神起」のチャンミンによるニューソロアルバムの収録曲『Maniac』。カーペット柄やタイプライターなど、おなじみの『シャイニング』アイテムが登場しています。MVを観る限り、タイトルの「マニアック」からのインスパイアで『シャイニング』などのホラー映画が選ばれたようです。


デュア・リパ/ブレイク・マイ・ハート(2020年)
(Dua Lipa - Break My Heart)

 イギリス出身のポップスター、デュア・リパ(Dua Lipa)の新曲『ブレイク・マイ・ハート(Break My Heart )』のMVに「シャイニングカーペット」が登場しています。このデュア・リパ、日本じゃまだ無名ですが世界的には超有名なポップスターで、それはこちらの本家動画の再生回数からも伺えます。音楽的にはレディ・ガガからの流れの正統派デジタル・ダンス・ポップといった感じですが(リフはインエクセスの『Need You Tonight』かな?)、ワーナーもわざわざ日本語字幕版のMVを作るほどプッシュしています。


ケシャ『マイ・オウン・ダンス』(2020年)
(Kesha - My Own Dance)

 アメリカのポップスターでミュージシャン、ケシャの4枚目のニュー・アルバム『ハイ・ロード』収録曲、『マイ・オウン・ダンス』のMVに『シャイニング』の双子の少女が登場。変なクマの被り物も登場しますが、これも例の「クマ(犬)男」でしょうか?



adieu/よるのあと(2019年)

 adieuの曲、『よるのあと』。実はadieuとは女優の上白石萌歌さん。全体的にダークなイメージですが、なぜかバスタブに入っていたり、廊下で三輪車をこぐシーンがあったり、最後はクマのぬいぐるみまで登場(笑。歌詞を読むとそこそこに憂鬱なので、そのイメージからの引用かな?という印象です。ご本人はこの時点(2019年)では元ネタは知らなかったようす。



Rei/Connection(2019年)

 このReiというアーティト、今時珍しくブルージーなリフを弾くギタリストでちょっと驚いたのですが、調べて見ると元々はクラシックギター出身だそうです。なのになぜこんなにブルージーなのかというと、帰国子女なんですね。海外のロックに日常的に触れていればブルース志向になるのは納得です。


レッド・ヴェルヴェット/'RBB(2018年)
(Red Velvet - 'RBB (Really Bad Boy))

 レッド・ヴェルヴェットはいわゆるK-Popの女性アイドルダンスグループ。この『RBB(Really Bad Boy)』は2018年に発表になった曲で、MVのコンセプトは狼男を中心としたホラーテイスト。そのつながりで『シャイニング』の双子の少女が登場したようです。韓国でのデビューは2014年ですが、日本でのデビューは2018年ですので、これから人気が出るかも知れませんんね。


アークティック・モンキーズ/フォア・アウト・オブ・ファイブ(2018年)
(Arctic Monkeys - Four Out Of Five)

 2018年にリリースされたアークティック・モンキーズのアルバム『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』のリード・トラック。監督はアーロン・ブラウン&ベン・チャペル。ホテルの部屋や廊下、鍵などあちこちに『シャイニング』要素がみられますが、MV全体がキューブリック作品のオマージュになっています。ロケ地は『バリー・リンドン』でリンドン家の邸宅の外観として使用されたカースル・ハワード。


エイソップ・ロック/ザ・インポッシブル・キッド(フルアルバム)(2016年)
(Aesop Rock - The Impossible Kid(Full AIbum))


 ヒップホップ・アーティストのエイソップ・ロックのアルバム『The Impossible Kid』のMVが『シャイニング』をミニチュア人形で再現したものになっています。監督はストップモーション・アニメーション作家のロブ・ショー。なんと全編49分!フルアルバム配信です。ただ・・・人形のクオリティがちょっとね。



スティグ・オブ・ザ・ダンプ/キューブリック [ft. ジェスト](2015年)
(Stig Of The Dump - Kubrick [ft. Jehst])

 イギリスのヒップホップ・アーティスト、スティグ・オブ・ザ・ダンプの『キューブリック』というそのまんまのタイトルの曲が、やっぱりそのまんま「キューブリックネタ満載」のMVでした。途中でチラっと映る「Here's Johnny!」とハートマン軍曹は多分ジェストでしょうね。


ジャック・ホワイト/ウッド・ユー・ファイト・フォー・マイ・ラブ?(2014年)
(Jack White - Would You Fight For My Love?)

 元ザ・ホワイト・ストライプスのギター兼ボーカリスト、ジャック・ホワイトが2014年に発表したセカンドソロアルバム『ラザレット』から『ウッド・ユー・ファイト・フォー・マイ・ラブ?』のMV。ジャックとロイドのバーシーンにインスパイアされたものになっています。つまり「ジャックがジャックを演じてます」ってことですね。


RADWIMPS/五月の蝿(2013年)

 2016年に大ヒットした『君の名は。』のエンディングテーマ『前前前世』で大ブレイクしたRADWIMPSが2013年に発表した『五月の蝿』のMV。血のエレベーターがそのまま登場し、なるほど『シャイニング』ですね。ところで「五月の蝿」とは「五月蝿い!(うるさい!)」ということだと思うんですが・・・。どうでしょうか?


バスティル/ポンペイ(2013年)
(Bastille - Pompeii)

 バスティルというアーティストが2013年に発表した『ポンペイ』という曲。ちょっとだけですが『シャイニング』の双子の少女を思わせるシーンが登場します。「ポンペイ」とはヴェスヴィオ火山の噴火によって滅んだ街の名前ですが、その災害を思わせる歌詞と現代を覆う漠然とした「不安感」が程よくミックスされています。双子の登場シーンはちょうどその「不安」「不気味さ」を感じさせる歌詞の部分なので、それを表現するために双子を登場させたのかも知れません。


イマジン・ドラゴンズ/トップ・オブ・ザ・ワールド(2013年)
(Imagine Dragons - On Top Of The World)

 サマソニに来日経験もあるイマジン・ドラゴンズ、ワールドミュージック系オルタナという感じでしょうか。2013年に発表したシングル曲『On Top of the World』のMVです。『シャイニング』の他に『2001年宇宙の旅』やビートルズネタも。


スター&ダガー/イン・マイ・ブラッド(2013年)
(IN MY BLOOD - Star & Dagger)

 アメリカ・オースティン出身のガールズ・ブルースロックバンド、スター&ダガーの『IN MY BLOOD』。wikiにはブルース・ロックと紹介されているんですが・・・ブルースでしょうか?メンバーは女性3人(ボーカル、ギター、ベース)にサポートとして男性2人(ギター、ドラム)という構成。2010年にニューオーリンズで結成されたそうですが、正直言ってアマチュアレベルだなーという感想です。この曲は一応はブルースっぽいですけど、パワーもテクもグルーブも何もかもが足らない(笑。リリースはスタジオアルバム一枚だけだし、もう活動していない様ですからどうでもいいんですが、せっかくちょっと予算をかけてMV作ったのにもったいなかったですね。


サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ/ザ・キル(2005年)
(Thirty Seconds To Mars - The Kill (Bury Me))

 俳優でもあるジャレッド・レトが兄弟らと結成したバンド。2005年に発表されたセカンドアルバム『ア・ビューティフル・ライ』 からの曲。数あるオマージュPVの中で管理人はこれが一番好きです。監督はそのジャレッド・レト。


メイビー・トゥモロー/ステレロフォニックス(2003年)
(Stereophonics - Maybe Tomorrow)

 イギリス・・・ではなく正確にはウェールズ出身のロックバンド、ステレオフォニックスの2003年に発表された4枚目のアルバム『ユー・ガッタ・ゴー・ゼア・トゥ・カム・バック』からのシングル曲。映画『ホワイト・ライズ』の使用曲でもあります。ホテル、廊下、タイプライター、唐突に現れる少女、ロックグラス、ケリー・ジョーンズのルックスなど、全編に『シャイニング』の要素が散りばめられています。歌詞を読むと創作するにあたっての「産みの苦しみ」を歌っているようで、それが『シャイニング』におけるジャックの苦悩と合致したんでしょう。


ゴリラズ/ロック・ザ・ハウス(2001年)
(Gorillaz - Rock The House)

 いきなり双子の少年(?)の登場からローアングルでのゴーカートの追跡シーンはそのまんまですね。この曲『ロック・ザ・ハウス』は2001年に発表された、彼らのファーストアルバム『ゴリラズ』からのシングルカット曲ですが、このゴリラズとは実はブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンのソロ覆面プロジェクト。ビジュアルにアニメキャラを使い、キャラにはそれぞれ架空の設定を施し、メディアのみに存在するいわゆる「バーチャル覆面バンド」として活動していましたが、のちにこのアニメキャラをステージに投影してライブを行います。日本が誇るバーチャルアイドル、初音ミク(さん)が同様の手法を使ってライブステージを行った際には、このゴリラズとよく比較されていました。

スリップノット/スピット・イット・アウト(2000年)
(Slipknot - Spit it out)

 アメリカ・アイオワ州出身のヘビメタ・ミクスチャーバンド、スリップノットが2000年に発表したセカンドシングル。メンバーに死者がでるなど、やたらトラブルの多いバンドですが、現在も元気で活動しているようです。



マッシヴ・アタック/カマコマ(1994年)
(Massive Attack - Karmacoma)

 イギリス・ブリストル出身のユニットが1994年に発表したセカンドアルバム『プロテクション』収録曲のPV。監督はジョナサン・グレイザー。

スウェード/アニマル・ナイトレイト(1993年)
(Suede - Animal Nitrate)

 イギリスのロックバンド、スウェードが1993年に発表したデビューアルバム『スウェード』からのシングル曲『アニマル・ナイトレイト』のMVに、シャイニング・カーペットが登場しています。スウェードはそのビジュアルや歌詞から「耽美」とか「官能」とか「背徳」などの形容詞で呼ばれ、同時期の日本のバンドにも多大な影響を与えていましたが、今ではブリットポップのさきがけとして評価されているそうです。


 以上ですが、世界中ではもっとあると思います。もし何か他に情報がありましたら当ブログまでおしらせください。

情報提供:鬼太郎さま、Anonymousさま
追記・修正:2025年2月7日



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