【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』とイギリスのSFテレビシリーズ『謎の円盤UFO』との意外な共通点

 エド・ビショップが演じた『2001年宇宙の旅』のアリエス1B宇宙船船長(左)と『謎の円盤UFO』のストレイカー最高司令官(右)

 『2001年宇宙の旅』と『謎の円盤UFO』は制作時期が近く、同じボアハムウッドにあったMGMスタジオを使って制作(17話以降はパインウッドスタジオに移転)されたこともあって、共通点がいくつかあります。まず出演俳優ですが、有名なところで、『2001年宇宙の旅』でアリエス1B宇宙船船長を演じたエド・ビショップは、『謎の円盤UFO』ではストレイカー最高司令官役で出演しています。

 また、そのアリエス1B宇宙船でフロイド博士に機内食を運んでいたスチュワーデスを演じていたエドウィナ・キャロルは、『謎の円盤UFO』第一話『宇宙人捕虜第1号』で宇宙人に襲われ行方不明になった黄色のワンピースの女性、レイラ・カーリンを演じています。

レイラ・カーリンエドウィナ・キャロルが演じたアリエス1B宇宙船のスチュワーデス(左)と行方不明になったレイラ・カーリン(右)

 これはIMDbに記載がないので確定情報とは言えないのですが、ディスカバリー号で眠ったままHALに殺されたハンター博士は、スカイダイバーのエンジニア、ジョン・マスターズ中尉を演じたジョン・ケリーではないか?という情報もあるそうです。

ハンター『2001年…』のハンター(左)と『UFO』のジョン・マスターズ中尉(右)

冷凍睡眠装置から出てくる俳優。確かにケリーに似ています

 そのスカイダイバーの船内で使用されているイスが、ムーンバスの操縦席のイスの流用であるとの情報も。比較すると肘掛はありませんが確かに似てますね。

ムーンバスのイス(左)とスカイダイバーのイス(右)

 第13話『UFO月面破壊作戦』(イギリスでは第15話『Flight Path』)に、『2001年宇宙の旅』の「ハムハムハム・・・」で有名なサンドイッチをいれていたケースが登場しています。ただ、入っていたのはサンドイッチではなくバズーカ砲の砲弾です。このサンドイッチケース、イタリアのGIO STYLE社製の「Frigo Portatile」というクーラボックスで既製品だそうです。既製品なので『謎の円盤UFO』では別にそれを使った可能性がありますが、同じスタジオで制作されていたという事実がある限り、情報提供してくださった元・空想科学少年さんがおっしゃる通り「スタッフが倉庫かどこかから引っ張り出してきたのでしょう」という意見に賛成です。

『2001年…』のサンドイッチケース(左)と『UFO』の砲弾ケース(右)。情報提供:元・空想科学少年さま

 『謎の円盤UFO』(原題『UFO』)は1970年9月16日~1973年3月15日までイギリスで放送されていた全26話のSFテレビシリーズです。日本では1970年10月3日から1971年3月27日まで日本テレビ系列局で放送されました。本作の撮影は1969年4月に開始され、『2001年…』が撮影されたボアハムウッドのMGM英国スタジオを拠点に制作されました。1969年の終わりにスタジオが閉鎖される前にこれらのスタジオで17話までが撮影され、1970年6月にはパインウッドスタジオで制作が再開、残りの9話が撮影されたそうです。『2001年…』の撮影終了は1968年3月頃とされていますので、ちょうどその一年後に撮影が開始されたことになります。この頃にはまだMGMの倉庫にたっぷりと『2001年…』のプロップが残されていたはずだし、両作に共通して働いていたスタッフや俳優も多くMGMにいたはず。ですので、こういったことが起こるのだと思います。

 ところで全くの余談ですが、よく言われる『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングが『時計じかけのオレンジ』の予告編の影響ではないか?という話ですが、庵野監督はこのインタビューでキューブリックよりも『謎の円盤UFO』の影響の大きさを語っています。それは以下のオープニングを見ても一目瞭然だと私は思います。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』は、なぜクリスマスシーズンの物語なのか?を検証する

【関連動画】『2001年宇宙の旅』の未公開シーンとセット画像を集めた動画と、クラビウス基地で登場したハンディカメラをニコンがデザインしたという説明の信憑性について

【オマージュ】King Gnu(キング・ヌー)の新曲『一途』のMVがとっても『2001年宇宙の旅』だった件

【ブログ記事】NHK『映像の世紀~バタフライエフェクト~映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突』で紹介されたプロパガンダ映画『ユダヤ人ジュース』とキューブリックとの「接点」

【インスパイア】とっても『2001年宇宙の旅』な、旧ソ連謹製SF映画『モスクワ-カシオペア(Москва – Кассиопея)』

【パロディ】映画版『バービー』の予告編がまるっきり『2001年宇宙の旅』でどう反応して良いのやら(汗

【関連記事】映画ファンが「こんな世界絶対嫌だ…」と絶望する!オススメの「ディストピア映画」10選

【関連書籍】忘れ去られた『2001年宇宙の旅』のもうひとつの原典、アーサー・C・クラーク『地球への遠征』

【オマージュ】MV全編がまるっきり『時計じかけのオレンジ』な、コットンマウス・キングス『Stomp』のMV

【パロディ】まるっきり『時計じかけのオレンジ』のアレックスのファッションをしたマーク・パンサーが登場するglobeの『genesis of next』