【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その1:ロケーション撮影、フィルター、照明、ネガフィルムについて]

ポラを確認するジョン・オルコットと、ファインダーを覗くキューブリック スタンリー・キューブリック『バリー・リンドン』の撮影について (1976年のインタビュー) 〈前略〉 ーアメリカン・シネマトグラファー誌:スタンリー・キューブリックとは3本の映画で仕事をしていますね。『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』そして今回の『バリー・リンドン』です。その関係について教えてください。 ジョン・オルコット:私たちは非常に親密な関係にあり、その関係は『2001年宇宙の旅』から始まりました。私はジェフリー・アンスワースのアシスタントをしていましたが、ジェフリーが最初の半年で辞めてしまったので、私が引き継ぐことになりました。つまり、スタンリー・キューブリックが私に有名になるきっかけを与えてくれたのです。私たちの仕事の関係が緊密なのは、撮影に対する考え方がまったく同じだからです。本当に見解の一致した撮影をしています。 ー『バリー・リンドン』の事前計画段階ではどうでしたか? 例えば蝋燭の明かりのように、写真的なアプローチや効果の可能性を試すことが多かったです。実は『2001年…』の後にスタンリーが『ナポレオン』の撮影を計画していたときにも、蝋燭の明かりだけで撮影しようという話があったのですが、その頃は必要になる高感度レンズを持っていませんでした。また『バリー・リンドン』の撮影準備では、オランダの巨匠たちの絵画に見られる照明効果を研究しましたが、少し平面的な印象を受けたので、横からの照明を足すことにしました。 ー『時計じかけのオレンジ』と『バリー・リンドン』両作品をキューブリックの元で撮影しましたが、この2つの作品の撮影スタイルは明らかに異なっています。この2つの撮影を比較して、そのスタイルの違いをどのように表現しますか? 『時計じかけのオレンジ』では、より暗く、よりドラマチックなタイプの撮影が行われていました。この作品は1980年代(※1990年代の間違い?)という先進的な時代を舞台にした現代的な物語ですが、実際にはその時代が特定されているわけではありません。その時代では、非常に冷たく、荒々しい撮影のスタイルを必要としました。一方、『バリー・リンドン』は『時計じかけのオレンジ』に比べて絵画的で、光と影の表現がよりソフトで繊細なものになっています。私の考えでは、『バリー・リン...