【関連記事】『アイズ ワイド シャット』で当初ジーグラー役にキャスティングされていたハーヴェイ・カイテルが降板した本当の理由
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Harvey Keitel(wikipedia) |
スタンリー・キューブリックの遺作となった『アイズ ワイド シャット』をめぐる神話を否定する
〈中略〉
1. 神話:ハーヴェイ・カイテルはスケジュールの都合でこの映画から去った
ハーヴェイ・カイテルは当初、トム・クルーズ演じる主人公の友人役で出演していたが、撮影の途中で彼の役が変更され、裕福で謎めいたヴィクター・ジーグラーをシドニー・ポラックが演じることが発表された。公式にはキューブリック監督はいくつかのシーンを撮り直す必要があり、カイテルは他の撮影の都合で参加できなかったため、役を変更してすべてのシーンを新たに撮影することに決めたとされている。
真実:カイテルの降板はスケジュールの都合ではなく、実はキューブリック監督自身との個人的な確執の結果だった。撮影中に俳優と監督が仲違いし、キューブリック監督は結局、彼をプロジェクトから完全に外すことになった。2016年のアンドリュー・マーとのテレビインタビューで、カイテルはキューブリックが自分を解雇したことを認め、撮影現場で監督から無礼な扱いを受けたと感じたという。
〈以下略〉
(引用:AnOther/2019年7月30日)
どうせそんなことだろうと当時から言われていて、結局はその通りだったわけですが、キューブリックの「前もってシーンを決めず、テイクを重ねながらより良いシーンを作っていく」というやり方は、時間もかかるし俳優に負担を強いるものでもあるので、カイテルのような奔放系(?)な役者とはソリが合わなさそうな感じがあります。まあ、キューブリックもその奔放さから現場で「新しい何か」が出てくることを期待してキャスティングしたのかも知れませんが、「これでどうだ!」と言わんばかりの演技をして、冷静に「もう一回」などと言われて「なんて無礼な奴め!」と険悪なムードになった・・・のかも知れませんね。
ただ、カイテルのジーグラーだとタフ過ぎてラスボス感が強すぎるような気がします。シドニー・ポラックの小物悪党感が、終始緊張感にあふれるこの作品にいい「癒し」になっているので、個人的にはポラックで良かったと思っています。