【DVD/BD】キューブリック作品の初発売DVD(デジタルリマスター前)は所有しておくべきか?
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| 後に続々とリリースされるDVDボックスセットの第一弾(Amazon)。発売当時は画質が悪いと不評だった。 |
キューブリック作品のソフト化はVHS(ビデオテープ)からLD(レーザーディスク)の時代を経て(他にも色々ありましたがそれは省略して)、1990年代の終わり頃からDVD化がスタートしました。このボックスセットは1999年9月9日に発売されたもので、初DVDボックスセットとして所有している方も多いかと思います。
収録作品は『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』の4枚組。よく知られているようにこのDVDはアスペクト比がスタンダート収録ですが、残念ながらデジタルリマスター前なので、画質は粒状感が目立ちます(下記参照)。あと『シャイニング』はなぜか北米版(143分)のロングバージョンが収録されています。そしてこれが一番重要なのですが、音声がキューブリックの意図したモノラル収録なんですね。ですので、その意味では貴重な盤と言えると思います。
これ以降、デジタルリマスター版、リマスター版、BD、4K UHDと高画質・高音質化が進んでいくのですが、それはキューブリックの伺い知らないところでされていることです。もちろん今更そんなことを言っても詮ないだけですが、一般のファンならともかく、キューブリック原理主義者なら撮影時のアス比(スタンダートやヨーロッパビスタ)でモノラル収録の初DVDは一通り所有してもいいかも知れませんね。
ちなみにキューブリックは上映は『バリー・リンドン』までヨーロッパビスタ、『シャイニング』以降はアメリカンビスタを想定して撮影しています。ですので『シャイニング』以降が16:9収録なのは問題ないのですが、『バリー…』はヨーロッパビスタ想定なので、16:9で視聴する場合は左右に黒帯(ピラーボックス)が必要になります。ですが、現行のBDはそうなっていません。クライテリオン版のBDはヨーロッパビスタでリリースされていますので、将来予想される4K UHDでのリリースの際には、ぜひともヨーロッパビスタでリリースをお願いしますよワーナーさん!
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| 初DVD版(左)とデジタルリマスター版DVD(右)の画質の違い。アスペクト比はどちらもスタンダード。 |
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| スタンダート・モノラル収録、北米版(143分)の初DVD版(左)とスタンダート・デジタルレストア&デジタルリマスター、5.1chサラウンド収録、コンチネンタル版(119分)のデジタルリマスター版DVD(右) |


