【関連動画】宇宙飛行士がベルクロの靴を履いて宇宙ステーションを歩く『2001年宇宙の旅』のワンシーンを再現


  国際宇宙ステーション司令官サマンサ・クリストフォレッティは、映画『2001年宇宙の旅』の象徴的なシーンを再現したコスプレで、ベルクロの靴を履いて登場しました。

(引用:動画説明文)




 『2001年宇宙の旅』の製作・公開時にはアポロ計画が進行中であり、そのアポロ宇宙船も、月着陸船も、内部は狭くてただ座っていることぐらいしかできなかったため、人間が無重力空間でどういう動きをするのか、また、どういう動作が効率的なのはわかっていませんでした。

 それがわかるのは1970年代に始まったアポロ残債消化計画(と言ったら言い過ぎ?)の「スカイラブ計画」からで、サターンロケットの胴体部分を宇宙ステーション(実際は巨大な人工衛星)に流用、その広い内部で活動する宇宙飛行士の姿が撮影されてからでした。

 以上のような経緯から、『2001年…』で予想されていた無重力空間においてベロクロ(グリップシューズ)を使った徒歩によるによる移動より、単に空間を泳ぐ(壁などを蹴って浮遊する)方が効率的とわかり、この動画でも最後の方でその方法で移動しています。つまり「キューブリックやスタッフ、関係者は未来予測を間違ってしまった」んですね。

 『2001年…』は未来予測の正確さもよく話題に登りますが実際は間違いも多くあり、あまり過剰に賛美するのは危険だと思います。ですが、このように現役の宇宙飛行士が時間とお金をかけ、わざわざ映画のワンシーンを再現してくれるほどのリスペクトを集めているという点において、たとえ間違いがあったとしても、やはり「偉大な作品」という評価は揺るぎないと思いますね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

【関連記事】撮影監督ギルバート・テイラーが『博士の異常な愛情』の撮影秘話を語る

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【オマージュ】キューブリックの孫、KUBRICKの『MANNEQUIN』のMVがとっても『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

【インスパイア?】「白いモノリス」らしき物体が登場するピンク・フロイド『ようこそマシーンへ(Welcome to the Machine)』の公式MV