【スペシャルレポート】Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下で『アイズ ワイド シャット』35mm上映を鑑賞してきました


 2023年10月7日、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下で『アイズ ワイド シャット』35mm上映を鑑賞してきました。作品についての考察は他の記事に譲るとして、この「35mm上映」という企画の是非について考えたいと思います。

 まず、上映側の事情として、35mm(フィルム)上映には専門の技術が必要であり、技術者の育成、技術の継承という意味からもこういった定期的な上映が必要であるということは理解しています。ですが視聴者側として、現在デジタルでより鮮明な映像で視聴できる環境があるにもかかわらず、フィルム上映をあえて鑑賞する意義はあまりないな、というのが正直な感想です。

 もちろんキューブリック存命時のフィルムをそのまま視聴できるというのは滅多にない機会ですし、それはそれなりに堪能させていただきました。ですが、私が個人的にDCP上映との差を感じるのは「音響」についてです。それは映像以上に決定的な差として存在しています。やはり没入感が違うんですね。フィルム世代の私でさえそう思うのですから、デジタル世代にとってはそれ以上でしょう。これではフィルム作品の良さを次世代に伝える際、大きなハンデになりかねません。

 当ブログでもフィルム作品のDCP化で音響の貧弱さを何度か指摘していますが、映像はスキャナの高性能化でどうにかなっても、音響については現在の多チャンネル、デジタル音響にいったん慣れてしまったら、なかなかそれを「味」として認識しづらいものがあります。フィルムの粒状感は「味」と言えるんですけどね。

 この記事を映画関係者がご覧になっているかどうかわかりませんが、デジタルスキャンの高精細化はこのぐらいにして、フィルム作品の劣悪なサウンドトラックをデジタル時代にふさわしいクリアで迫力ある音響にリマスタリングできる技術の確立を、切にお願いしたいですね。

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