【サウンドトラック】ミュージック・フロム・ザ・モーションピクチャー アイズ ワイド シャット(Music From The Motion Picture Soundtrack Eyes Wide Shut)

  1. Musica Ricercata, II (Mesto, Rigido E Cerimoni Ale) (4:17) ムシカ・リセルカタ2|Gyorgy Ligeti / Dominic Harlan
  2. Waltz 2 From Jazz Suite (3:41) ワルツ2|Dmitry Shostakovich / Royal Concertgebouw Orchestra
  3. Baby Did A Bad Bad Thing (2:54) バッド・バッド・シング (ニュー・ヴァージョン)|Chris Isaak / Chris Isaak
  4. When I Fall In Love (3:00) ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ |Edward Heyman, Victor Young / The Victor Silvester Orchestra
  5. I Got It Bad (And That Ain't Good) (3:11) アイ・ガット・イット・バッド|Duke Ellington, Paul Francis Webster / Oscar Peterson Trio
  6. Naval Officer (4:51) ナヴァル・オフィサー|Jocelyn Pook / Jocelyn Pook
  7. The Dream (4:57) ザ・ドリーム|Jocelyn Pook / Jocelyn Pook
  8. Masked Ball (3:42) マスケッド・ボール|Jocelyn Pook / Jocelyn Pook
  9. Migrations (3:44) ミグレーション|Harvey Brough, Jocelyn Pook / The Jocelyn Pook Ensemble
  10. If I Had You (7:01) イフ・アイ・ハッド・ユー|Jimmy Campbell, Reginald Connelly, Ted Shapiro / Roy Gerson
  11. Strangers In The Night (2:31) ストレンジャー・イン・ザ・ナイト|Bert Kaempfert, Charlie Singleton, Eddie / SnyderPeter Hughes Orchestra
  12. Blame It On My Youth (6:17) ブレイム・イット・オン・マイ・ユース|Edward Heyman, Oscar Levant / Brad Mehldau
  13. Grey Clouds (3:19) グレイ・クラウズ|Franz Liszt / Dominic Harlan
  14. Musica Ricercata, II (Mesto, Rigido E Cerimon Iale) Reprise (4:17) ムシカ・リセルカタ2 (リプライズ)|Gyorgy Ligeti / Dominic Harlan



 映画の冒頭、黒いタイトルバックにショスタコヴィッチの「ワルツ2」が流れ、やがて物語が始まるのだが、それはクルーズがコンポのスイッチを切ると、突然止んでしまう。そんなちょっとしたトリックで、キューブリックはいきなり観客を罠にかける。まるでスクリーンの中と外の境界をあいまいにしようかとしているかのようだ。

 クルーズとキッドマンの愛撫のシーンには、クリス・アイザックのブルース「バッド・バッド・シング」が流れる。「君は悪いことをしたから、泣きたい気分さ」という歌詞は、これから起こる不倫騒動への、ちょっとした序曲なのだろう。

 この映画で多くのオリジナル曲を提供しているのは、ジョセリン・プークというバイオリニスト兼作曲家で、ピーター・ガブリエルやニック・ケイヴといったミュージシャンと仕事をしてきた人だそうだ。その、どこかしらプログレチックでアングラな雰囲気の音楽は、例の乱交パーティーの怪しい儀式の音楽などで使用されている。

 そして、この映画でもっとも印象に残る曲と言えば、なんと言ってもジェルジー・リゲティ作曲、ドミニク・ハーラン(ヤン・ハーランの息子)のピアノによる「ムシカ・リセルカタII」だろう。単純なピアノ曲なのだが、不安定なメロディ・ラインとG音が、クルーズに審判を下すかのように鳴り響き渡っている。リゲティーの曲は『2001年…』や『シャイニング』でも使用されていて、キューブリックお気に入りの作曲家の一人だ。

 フランク・シナトラで有名な「ストレンジャー・イン・ザ・ナイト」は、乱交パーティーで使用されている。まさにストレンジャーがインザナイトな状況で。こういった皮肉に満ちた曲の使い方はキューブリックならではだ。

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