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引退した学者兼ジャーナリストが、古典ホラー映画の悪名高い写真に写っていた男性を特定した。
これは『シャイニング』のラストシーンに重ねて使用されたとされるオリジナル写真です。1921年2月14日、ロンドン、ケンジントンのロイヤル・パレス・ホテル、エンプレス・ルームで開催されたバレンタインデー・ダンスと社交ダンスの大会に出席する観客たちを捉えています。手前中央で両腕を大きく広げているのは、南アフリカ出身の社交ダンス教師、サントス・カザーニ(通称ジョン・ゴールマン)です。(Morey/Topical Press Agency/Hulton Archive/Getty Images)
それはホラー映画の歴史に刻まれた瞬間です。
スタンリー・キューブリック監督の1980年のホラー映画の傑作『シャイニング』で、 カメラはオーバールック・ホテルの廊下に掛けられた白黒写真にズームインする。写真には1921年7月4日の日付が記されている。中央には、ジャック・ニコルソン演じるジャック・トランスが、パーティー参加者の群衆の中で微笑んでいる。
しかし、この写真はエキストラを使って撮影されたものではありません。1920年代の実際の写真で、ニコルソンの顔が誰かの顔に重ねられていました。一体誰の顔だったのでしょうか?
〈以下略〉
(引用:CBC Radio/2025年4月10日)
『シャイニング』のラストシーンに登場した、ジャック・ニコルソンが写り込んだ古い集合写真は映画のために撮影されたのではなく、既存の古い写真にニコルソンの写真を合成(切り貼りしてその境目をエアブラシで補修)したことは以前この記事でお伝えした通りです。そして今回、ついにその「古い写真」の詳細がわかったということでそれは記事にある通りです。
意外だったのが映画の設定年と実際に撮られた年が1921年と一致していたこと。数年のズレはあっても仕方ないだろうと考えていたのですが、どうやらその年のバレンタインデーのパーティーか、独立記念日のパーティーかの違いしかなかったようです。これはラッキーでしたね。
キューブリックは原作小説の「呪われたホテルが焼け落ちる」というラストを早々に「陳腐だ」と廃棄し、代替案をいろいろと考えていたようですが、その一つに病院シーンの後に単にホテルの健在を示すショットに字幕スーパーを流して終わる、というものがあります(詳細はこちら)。他にも新しくやってきた管理人家族に幽霊となったトランス一家が現れる、というものもあったそうですが、結局現在の形に落ち着きました。もちろんキューブリックはこれがベストの選択だと思ったわけですが、このラストシーンをめぐっては様々な解釈が乱立しており(私の解釈はこちら)、それはそれでキューブリックの思惑は当たったのだろう(「人間は謎を好む」)と思います。
とにかく、これでやっと謎の一つが解明されたことになります。やれやれですが・・・笑。