【関連記事】トム・クルーズ、『アイズ ワイド シャット』の役にニコール・キッドマンを「推薦した」と語る。「彼女は素晴らしい女優だ」


クルーズとキッドマンは2001年に離婚するまで11年間結婚生活を送っていた。

 トム・クルーズは、離婚から25年近く経った今でも、元妻のニコール・キッドマンを高く評価している。

 Sight and Sound(The Independent経由) との最近のインタビューで、俳優は1999年の映画『アイズ ワイド シャット』を振り返り、スタンリー・キューブリック監督のエロティック・スリラーで、ドクター・ビル・ハーフォードの相手役としてアリス・ハーフォード役にキッドマンを推薦したと語った。

 「彼の家まで(ヘリで)飛んで、裏庭に着陸したんだ。前日に脚本を読んで、一日中それについて話した。彼の作品は全部知っていたんだ」と彼は回想する。「それから、彼と私はお互いを知るようになった。そうしているうちに、ニコールに(アリスの)役を演じてはどうかと提案したんだ。だって、彼女は素晴らしい女優だからね」

 クルーズはこの映画に特に熱心で、撮影が予想よりずっと長引いたにもかかわらず、キューブリックに「(映画を作るために)何が起ころうとも、我々はやるつもりだ」と語った。

〈中略〉

 「この映画はとても面白かったので、自分もそういう経験をしてみたかったんだ」と『ミッション:インポッシブル』のスターは振り返る。「映画を作るときは、実際に手がける前に綿密な調査をし、出演者たちとじっくり時間をかけて話し合う。そうすることで、彼らが何を求めているのか、そして彼らが私のことを理解してくれるかを理解し、どうすれば一緒に特別な作品を作ることができるのかを理解できるからだ」

 キッドマンは以前、一部の視聴者がスクリーン上の二人の関係と現実の関係を比較したため、クルーズと『アイズ ワイド シャット』で共演したことで、当時の二人の結婚生活について「否定的な感情」が生じたかどうかについて言及していた。

「それは人々が思い描いていた物語には当てはまるけれど、私は絶対にそうは思っていませんでした」と彼女は2020年にニューヨーク・タイムズ紙に語った。「私たちはそういったことを乗り越えて幸せな結婚生活を送っていました」

〈以下略〉

The Hollywood Reporter/2025年5月11日



 実はそのトムのキャスティングもワーナー側からの提案でした。最初ハリウッドスターを起用することを渋っていた(『シャイニング』でのジャック・ニコルソンのわがまま放題に嫌気がさしていた)キューブリックですが、「トムはそんな奴じゃない」との声に押されて実際に会い、好印象を得たためオファーしたのです。そして、今度はそのトムから「アリス役に妻のニコールはどう?」と提案され、またもやキューブリックは渋ります。理由はわかりませんが、スキャンダルやマスコミ騒ぎで映画製作を邪魔されることを極端に嫌うキューブリックが、「ハリウッド二大スター(しかも実際に夫婦)共演!」というマスコミの絶好のエサになることを警戒した、というのは十分に考えられる動機です。

 しかし、ニコールの演技を調べ、キューブリックはニコールのキャスティングを了承します。それどころかニコールには非常に好印象を持ったようで、「もう一度(ワンテイク)なんて言う女優は君が初めてだよ」と語ったそうです。どうしてキューブリックはそんなことを言ったのか?それはこちらのニコールのインタビューで語られています。これこそが本来あるべき映画製作の現場の姿であり、演技の本質だと私は思います。

 一方のトムですが、ニコールを推薦した理由は記事にある通り「彼女は素晴らしい女優」というのもあるかと思いますが、キューブリック作品を全部観ていて、しかも大ファンだったトムにとっては映画史に名を残す(決して大げさではない)絶好のチャンスであったであろうし、それによって長期間拘束されるのも覚悟の上。であれば、同作出演なら当時ラブラブだったニコールと一緒に居られる、オフには子供たちとも遊べるという「計算」もあったのではないかと推察します。

 その後はどうであれ、この頃(1990年代の後半)はトムとニコールにとって幸せな時期であったことは二人は度々語っているし、それは間違いないのだろうと思います。まあ、そもそもトムは結婚に向いているタイプとは思えませんしね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【関連記事】芸術の領域へと達する映画を仕上げた、撮影監督によるワンシーン60選

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【関連記事】『アイズ・ワイド・シャット』限定スペシャルプレミア試写会 トム・クルーズ&ニコール・キッドマン舞台挨拶レポート

【パロディ】『ルパン三世』TVシリーズ(セカンドシーズン)のLDのジャケットが『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【関連記事】『エル・ノルテ 約束の地』の監督、グレゴリー・ナヴァが語った「キューブリックと働いた日々」

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【ブログ記事】キューブリック作品の映像が、隙のない完璧なものに見える理由

【原作小説】Amazon Kindleにサッカレーの小説『バリー・リンドン』が新訳で登場。しかも398円の超破格値!

【関連記事】『ロリータ』の暗部。主演の少女女優の処女を奪ったプロデューサーのジェームズ・B・ハリスとその後のスー・リオンの人生