【関連記事】リドリー・スコット「『2001年宇宙の旅』以降、SFは死んだ」

Ridley Scott(IMDb)

  2007年のベネチア国際映画祭で、彼の代表作であるノワール・スリラー映画「ブレードランナー」の特別上映会でのスピーチで、 「エイリアン」の伝説的監督、リドリー・スコット卿は、SFというジャンルは西部劇と同じ道を辿り、すでに死んでいると考えている、と発表した。

 スコットは、デイリー・ギャラクシーの私たちと同様に、映画『マトリックス』『インデペンデンス・デイ』 『宇宙戦争』といった大作の派手な特殊効果は興行収入では売れるかもしれないが、スタンリー・キューブリック監督の1968年の忘れがたい大作『2001年宇宙の旅』に勝るものはないと考えている。この映画は、公開当時と同じくらい新鮮で(そしておそらくより現代的でもある)、今日でもなお健在だ。

〈中略〉

 「独創的なものは何もありません。私たちはこれまで全てを見てきました。そこに行き、やり遂げてきました」とスコットは言った。

 アメリカとソ連の「宇宙開発競争」が最高潮に達した時期に制作された『2001年宇宙の旅』は、悪意あるコンピューターと日常的な宇宙旅行が蔓延する世界を予見していました。キューブリックは細部にまでこだわり、宇宙船の設計にはNASAの専門家を起用しました。

 リドリー卿は、『2001年宇宙の旅』は照明、特殊効果、そして雰囲気の使い方において「最高傑作」だと述べ、それ以降のSF映画はすべてこの作品を模倣、あるいは参考にしてきたと付け加えた。「現代のSF映画は特殊効果への過度の依存と、ストーリー展開の弱さが見られます」と彼は述べた。

〈以下略〉

(引用:THE DAILY GALAXY/2009年7月10日



 かなり古い記事ですが、リドリー・スコットが刺激的なことを言っていたのでご紹介。この発言は2007年のベネチア国際映画祭のものですが、2025年現在、この発言を覆すほどの傑作SF映画が誕生したかと言えば・・・やはりそうとは思えません。リドリーが言うように「特殊効果への過度の依存と、ストーリー展開の弱さ」の問題は解決していないように見受けられます。もちろんそれなりの「良作」は頭の中にいくつか浮かびますが、それらが『2001年…』に並ぶ、もしくは超えるものなのかと問われば・・・やはりイエスとは言えないと思います。無論そんな現状をわれわれ映画ファン・SFファンは喜んでいるわけではないので、せめて『2001年…』の地位を脅かすくらいの傑出したSF映画(アニメでも)出現を待ち望んで止みません。

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