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【関連動画】『岡村洋一のシネマストリート』にゲストで登場した手塚眞氏が語る『手塚治虫とキューブリック』の動画

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手塚眞氏が語る、手塚治虫とキューブリックとのエピソードは5:07から  手塚眞氏は過去に幼い頃に父、手塚治虫に連れられて『2001年宇宙の旅』を観に言ったエピソードを語っていましたが、例の「キューブリック手紙事件」に言及したのを初めて見ました。興味深いのは手塚氏自ら「父は『2001年…』から逆影響を受けた」と語っていること。主に宇宙船のデザインなど未来イメージについてですが、それは手塚治虫だけでなく、日本中、いや世界中のクリエーターが影響を受けまくったのは周知の事実です。  その「キューブリック手紙事件」は、長い間「手塚治虫のホラ話」と疑われていました。と、いうのも時系列が合わなかった(手塚治虫の証言通りならキューブリックはまだ『2001年…』の制作に着手していない)からです。それは「【考察・検証】キューブリックが『2001年宇宙の旅』の美術監督を手塚治虫にオファーしたのは本当か?を検証する」の記事で検証した通り、手塚治虫自身が単に1年勘違いしていただけ、ということを証明してみせました。手紙の中身は焼失してしまいましたが、封筒は現存しているので現在この件を疑う人はもういないでしょう。  このラジオ番組「岡村洋一のシネマストリート」は、かわさきFM(79.1MHz)で毎週月曜日13:00~15:00放送だそうです。興味のある方は聴いてみてはいかがでしょうか。

【パロディ】1980年代風パロディCM『シャイニング・ボードゲーム』

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 ええと、1980年代風に作った、存在しない『シャイニング・ボードゲーム』のパロディCMという理解で・・・いいんですよね? 凝りすぎてて本当に存在したのかと思ってしまいますが、発売元や価格の情報がないので、おそらくこのCM自体がパロディなんでしょう。  しかし、おそらく既存のボードゲームを改造したのだと思いますが、なかなかよくできています。実際にあったら欲しいぐらいですが、血のエレベーターのチープ感はちょっと残念。それにしてもインベーダーの壁紙やら80年代風の衣装やら映像の雰囲気まで、あの時代をリアルに知っている管理人が見てもあまり違和感はないですね。

【関連記事】ペンギンブックス版『時計じかけのオレンジ』のカバーデザインを担当したデイビット・ペルハムのインタビュー

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左からバリー・トレンゴブ(ハイネマン[英]・1962年初版)、デイビット・ペルハム(ペンギンブックス[英]・1972年)、フィリップ・キャスル(バランタインブックス[米]・1971年)のアートワークがデザインされた小説版『時計じかけのオレンジ』のカバー。  バリー・トレンゴブは映画の公開よりも前に『時計じかけのオレンジ』のペンギン版(注:ハイネマンの間違い?)の素晴らしいカバーをデザインしました。ペンギンの営業部は小説のカバーと映画のグラフィックとタイアップをしたかったのですが、キューブリックはそれを望みませんでした。結果的に、私は映画のポスターのような印象を与えられるアートワークの仕事を依頼されたという訳です。残念なことに、その後他の有名なエアブラシ・アーティストによって失望させられることになりました(ここではその名前を伏せておくことにします)。その人物は最終的にもっと制作時間を要求し、遅れたあげくひどい出来のものを提出したからです。締め切りが真近に迫っていたので、したくはありませんでしたが、受け取るわけにもいきませんでした。  そういうわけで、日も暮れてから恐ろしいプレッシャーのもとで『時計じかけ…』のカバーデザインを作ることになりました。すでにほとんど時間がなく、一夜でトレーシングペーパーにアイデアを描き、朝4時に写植技術者に表紙カバー用のテキストを頼みました。5時にはバイク・メッセンジャーにタイプした編集者への指示書を手渡したのを覚えています。その後オフィスにて、このマットプラスチックのアセテート紙に黒の線画を描き、セパレーターに指定のカラーのオーバーレイをのせ、同時にカバーの複製を私の忠実な脳外科医のような技術を持つ(注:当時の広告制作はカッターナイフを使った切り貼り作業が中心だったので、その技術の高さを比喩したものだと思われる)アシスタントによって貼り付けました。まったく優秀なアシスタントたちでした。  それから、より多くのひしゃげたヘルメットをかぶったバイク・メッセンジャーがロンドンの街を行くのを見ました。そして私は自分の作品が有名になったのを知ったのです。当時としては何と早かったことか! 私が徹夜で急いで作ったものがコロンビアで宣伝用ポスターとして、トルコではTシャツ、ロスとニューヨークでは色々な用途にアイコンとして扱われるようになったのを見て驚嘆し...

【インスパイア】とっても『2001年宇宙の旅』な、旧ソ連謹製SF映画『モスクワ-カシオペア(Москва – Кассиопея)』

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  1973年に旧ソ連が制作したSF映画『モスクワ-カシオペア』に『2001年宇宙の旅』の影響が見て取れるのでご紹介。  旧ソ連の指導部から「宇宙開発のパイオニアたる我が指導部の名にかけて、米帝のSF映画なんぞに負けてたまるか」という大号令が下った・・・かどうかは知りませんが(笑、映像を観る限りなかなか予算のかかった本格SF映画のようです。当時のソ連の子供達はこれを観て熱狂したそうなので、『2001年…』の存在を知らない(公開されていない)とはいえ、プロパガンダ的には成功したんでしょう。  六角形の通路やHALの目らしき物体が埋め込まれたコンソール、赤い文字が点滅するアラート表現など、ツッコミどころは満載ですが、無重力の表現にはなかなかリアリティがありますね。あらすじは  遠い宇宙から怪しげな電波が来たので、なんとか現地に到達する計画をソヴィエト政府が画策します。おりしも、亜光速エンジンが開発された関係で、航海中の老齢化を考慮のうえ、十代の子供たちが搭乗することになります。ひとりだけ困ったちゃんが乗り込んでおり、そのバカの誤操作で、宇宙船は超光速推進に移行。その先の旅を続けるか否かの疑問に一同Goサインというところで終わります。この映画の続きは宇宙の十代に描かれています。 (引用元: それ行けB级映画集 GoGo B Movies!『モスクワ-カシオペア Moscow-Cassiopeia Москва – Кассиопея 1973』 ) とのことですが、この映画の成功に気を良くしたのか、ソ連指導部は翌年の1974年に続編の『宇宙の十代 (Отроки во вселенной)』を制作、公開したそうです。  以前、キューブリックも『2001年…』制作の参考に観たという、同じくソ連謹製のトンデモSF映画 『火を噴く惑星』 をご紹介しましたが、この『モスクワ-カシオペア』『宇宙の十代』は日本でDVD化されていません。現在では一周回ってカルト的な人気を博しているそうなので、映画輸入販売会社のみなさまは、公開もしくは円盤化をご検討してみてはいかがでしょうか。

【関連動画】英国映画協会(BFI)が制作したビデオエッセイ『キューブリックはどこにでも(Stanley Kubrick is everywhere)』と、動画に登場する「Kubrikian(キューブリキアン)」という言葉の意味

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 現在ロンドンのデザイン・ミュージアムで開催中の『スタンリー・キューブリック展』に合わせて、英国映画協会(BFI)が『キューブリックはどこにでも(Stanley Kubrick is everywhere)』というビデオエッセイを公開していますのでご紹介。  ここに登場する「Kubrikian(キューブリキアン)」というのは、「キューブリックに影響を受けた人やその作品、製品や建築物、事柄」を指す造語で、ここ何年か海外記事などで頻繁に目にするようになりました。日本では一点透視図法で撮られた写真を「キューブリック風」とか「キューブリック感」とかのコメントとともにTweetしたりインスタにアップされているのをよく見かけますが、あれがまさに「キューブリキアン」ということになります。  この「キューブリキアン」という言葉、海外ではすでに完全に定着している印象です。上の動画では『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド、『聖なる鹿殺し』のヨルゴス・ランティモス、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン、『メランコリア』のラース・フォン・トリアー、『レディ・プレイヤー1』のスティーブン・スピルバーグ、『ビヨンド・ザ・ブラック・レインボー』のパノス・コスマトス、『インターステラー』のクリストファー・ノーラン、『アンダー・ザ・スキン/種の捕食』のジョナサン・グレイザー、『グランド・ブタペスト・ホテル』のウェス・アンダーソンなどが採り上げられていますが、この当ブログでもご紹介している通り、キューブリックの影響力はすさまじいものがあります。また、それが現在の若い世代に認知され、引き継がれていく様を見るのは嬉しく、また心強いものも感じます。  もちろんライトに「単純に好き」というファンも多いでしょうけど、とりあえずの認知度を上げるという意味では、これら「キューブリキアン」の存在は大きいでしょう。このブログはそのライトなファンをディープな世界に誘う(堕とす?)一助になれば、という思いもあったりもするのですが(笑、どちらにしても、この「キューブリキアン」という言葉、そのうち日本でも定着するかも知れませんので、使うか使わないかはともかく(個人的にはあんまり・・・という感じですが)、ファンなら知っておくべき言葉だと思います。

【関連商品】GUのグラフィックTシャツCLASSIC FILMシリーズより『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』が現在発売中

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 GUのグラフィックTシャツ CLASSIC FILMシリーズで『シャイニング』(1種)と『時計じかけのオレンジ』(2種)が発売になっています。色は白と黒、サイズはS、M、L、XL、価格は790円(税別)。一番右の『時計…』のみ背面にもデザインがあります。  本来ならば購入してレポすべきなのですが、うかうかしている間にネットショップでは全品売り切れ、店舗でも「ない!」という悲鳴があちこちでTweetされているようです。  もちろん再販の可能性はあるとは思いますが、CLASSIC FILMシリーズの中でもキューブリック作品のこの3種だけは極端に動きが早く、完売してしまえば入手は(転売以外で)不可能になってしまうので、欲しい方は早めのご購入をお勧めいたします。 情報提供:none様、rainthunders様

【インスパイア】ラモーンズ/デュランゴ95(RAMONES - Durango 95)

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  ラモーンズといえばパンクロックを語る際に欠かせないNY出身のパンクバンドですが、実はこんな曲をリリースしていました。もちろん元ネタは『時計じかけのオレンジ』のデュランゴ95です。ただ、この頃(1980年代半ば)といえばパンクは下火で、ニューウェイヴ(死語)やヘビメタが世間を席巻(ダジャレではなく。笑)していた時代です。そんな頃に3コードのロックンロールなんて時代遅れに聞こえても仕方ないですね。  ジャケ写はニューヨークのセントラル・パーク内にあるトンネルで撮られたそうですが、当然『時計…』のオープニングに続くファーストシーンをオマージュしたもの。本家の撮影場所はロンドンのヨークロードの道路下通路です。  1984年にリリースされた8枚目のオリジナルアルバム『TOO TOUGH TO DIE』収録曲ですが、熱心なファン以外には知られていないでしょう。でも、評価はそこそこ高いようですね。 ▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。 Im AGAINST IT!/ラモーンズ後期の作品の真相

【ブログ記事】『シャイニング』のオーバールックホテルの外観モデルになったティンバーラインロッジが、キューブリックに幽霊が出る217号室を変更して欲しい旨を伝える手紙

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 ・・・すでに217号室を見たいとおっしゃる何人かの観光客がいらっしゃいます。映画が公開され、地元で知られるようになると「バスタブの女性」の肥大化した死体に襲われると観光客が恐れてしまう可能性があります。可能であれば「217」を237、247、または257に変更してください。どれもティンバーライン・ロッジには存在しません。  キューブリックファンにはおなじみですが、映画『シャイニング』の舞台であるオーバールック・ホテルの外観として使用されたティンバーライン・ロッジが「宿泊客が怖がって泊まりたがらなくなるので、幽霊が出る部屋を217号室から存在しない237号室に変更して欲しい」と依頼したというエピソードを裏付ける、ティンバーライン・ロッジからキューブリックに宛てた手紙が発見され、現在ロンドンで開催中の『スタンリー・キューブリック展』に展示されているそうです。227号室がないところを見ると、それは存在したんでしょう。結局キューブリックは原作の217号室を237号室に変更することにしましたが、その旨を手紙に書き込んでいます。  そして以下が現在のティンバーライン・ロッジ側の公式コメント。 「キューブリックは、原作に登場する217号室を『シャイニング』に登場させないよう依頼されました。将来ロッジに宿泊する人がそこに泊まることを恐れるかもしれないからです。そこで、映画では実在しない部屋である237号室が代わりに使用されました。しかし、217号室はティンバーラインの他のどの部屋よりも多くのリクエストを受けています。ご安心ください。ティンバーラインには幽霊はいません!」 (引用: ティンバーライン・ロッジ公式サイト/ヒストリーページ )  なんとも因果な話ですね(笑。

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

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あらすじ  コンピュータが診察し、コンピュータが手術をする。そんな巨大ハイテク病院を制御するメイン・コンピュータ《ブレイン》がある日突然、入院患者を人質にとって反乱を起こした。「ワタシハビョウキデス」というコンピュータに呼ばれて駆け付けたB・Jは、コンピュータの手術をはじめる。 (引用元: 手塚治虫ブラック・ジャック40周年記念ページ『【107】U-18は知っていた』 )  手塚治虫の漫画作品の中でも、常に人気上位にランキングされる『ブラック・ジャック』。その中に明らかに『2001年宇宙の旅』に登場したコンピュータ、HAL9000に影響されたと思われるエピソードがあります。それが『U-18は知っていた』です。  人間の外科医であるブラック・ジャックがコンピュータを手術するという荒唐無稽な話ですが、そこには「機械であれ人間であれ、命あるものは平等に扱うべき」という手塚の思想が見え隠れします。手塚は戦中派で空襲も経験していることから「命の尊さ」に対して特別な思い入れがあり、それを生涯のテーマにしていた・・・というのはよく語られる話ですが、個人的にはそんな単純な人ではなかったのではないかと思っています。というのも、その「命」を時には残酷に、時には杜撰に扱った作品も数多く存在するからで、そこには手塚の「まずはストーリーありき」「そのためなら命に限らず、あらゆる要素を劇的な効果を求めて躊躇なく利用する」というストーリーメーカーとしての「本性」が見え隠れしているからです。  キューブリックは ストーリーメーカーとしての自分の才能には懐疑的 でしたが、ストーリーテラーとしての才能にはある程度自信を持っていたでしょう。それは手塚と同じく「ストーリーのためなら、あらゆる要素を劇的な効果を求めて躊躇なく利用する」という映画制作の姿勢に現れています。キューブリックの場合、それは斬新な撮影技術や映像効果、これぞと思うアイデアに行き当たるまで繰り返されるアドリブ(テイク)の要求であったりしました。  キューブリックが『2001年宇宙の旅』の制作にあたり、 手塚治虫に美術監督のオファーの手紙を出した のはよく知られた話ですが、この時点ではキューブリックは手塚の「未来デザイン力」に期待を寄せていたのでしょう。しかし、手塚の本分は美術デザインでも画力でもなく「キャラの魅力」と「ストーリー」にありま...

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』の影響を感じさせる、堀晃の短編SF小説『梅田地下オデッセイ』

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  本棚の奥にあった単行本を引っ張り出してきました。本の扱いが悪いので、カバーが破けてしまっています  よくネットで地下街や駅構造の複雑さから「新宿ダンジョン」「渋谷ダンジョン」などと話題になりますが、関西では「梅田ダンジョン」が有名ですね。その話題が挙がるたびに思い出していたのが堀晃氏の短編SF小説『梅田地下オデッセイ』です。  ストーリーは梅田地下街が白昼突然閉鎖され、残された人々は生き残るために食料を奪い合う暴徒と化して地下街は無法地帯に。さらに地下街を管理するコンピュータが謎のシャッター操作をすることによって、ウメチカがまさしく「梅田ダンジョン」化。そんな中、主人公は地下街からの脱出を試みて阪急プラザ(現在の阪急三番街北館)から南へ向かう・・・というもの。  発表は1978年ですので、当時の梅田地下街(略称ウメチカ)がベースになっていますが、現在の地下街( Whityうめだ と改称)と構造的には大きな変化はありませんので、梅田地下街になじみのある方なら楽しめる小説です。その反面、なじみがないと主人公の位置関係が把握しにくく、ちょっと読みづらいという難点もあります。  1978年といえば『スター・ウォーズ』の大ヒットに続けてSF映画がブームになっていた頃。切望された『2001年宇宙の旅』のリバイバル公開も全国規模で行われていました。そんなSFブームの真っ最中に発表されたこの作品、作者の堀晃氏は『2001年…』の影響を語っていませんが、「オデッセイ」というタイトルや言葉を話すコンピュータ(ただし女性)、物語の鍵となる新生児とその目的など、そこここにその影響が感じられます。  この『梅田地下オデッセイ』ですが、 堀晃氏のホームページで全文無料で公開 されています。興味のある方はぜひ一読してみてください。  余談ですが、この物語のラストシーンの舞台になった堂島地下センターに入口があった「大毎地下劇場」(現在は廃館)という名画座に管理人は入り浸っておりました。友の会会員になれば700円(記憶によれば)で入館でき、2本立て、3本立てを続けざまに観たものです。『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』『博士の異常な愛情』を観たのもこの名画座です。この地下街の名物店といえば 「インデアンカレー」 。甘いけど後でピリッとくるルーに生卵を落とすという独自のスタイルは、ある...

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』ボーマン宇宙遊泳シーンのワイヤーの影の問題を検証する

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初版DVDのボーマン宇宙遊泳シーン。足元に2本のワイヤーの影が見える リマスターDVDの同じくボーマン宇宙遊泳シーン。ワイヤーの影は消されている 宇宙遊泳シーンの撮影風景。天井付近にセットやスタントマンを配置し、カメラを天井に向けて真下から撮影された  『2001年宇宙の旅』で、ボーマンがスペースポッドからAE35ユニットを手に宇宙空間へと乗り出すシーンは、ボーマン(演じたのはキア・デュリアではなくおそらくスタントマン)とスペースポッドをスタジオの天井付近に吊るし、その真下にカメラ置いてレンズを垂直に真上に向けて撮影したものです。この撮影は、スタントマンがたった2本のワイヤーでセーフティーネットもなしに空中に吊るされるという非常に危険なものでした。  その2本のワイヤーは左上から当たる強烈なライトによってスペースポッドに影として映ってしまっているのですが、『2001年…』の視聴メディアによって、その「影」があったりなかったりしているようです。  以下はDVD化以降の「影のあり・なし」を調べたものです。 初版DVD……………………影あり リマスターDVD……………影なし BD……………………………影なし DCP…………………………不明 HDリマスターBD…………影あり※ 4KUHD……………………影あり※ iTunes 4K・HDR…影あり※ 70ミリフィルム上映………影あり IMAX上映…………………影なし NHK8K放送………………影あり 4KDCP……………………影あり  以上の結果から、オリジナルネガには影があるものの、そのままにするか修正するかは、その時修正する当事者の判断にまかされているように思います。もしくは気づいたら消去し、気づかなければそのままという可能性も。70mmは「アンレストア(修復しない)版」という明快な趣旨があったので理解できますが、傷などを修復をしているその他の媒体なら消すのが自然だと思います。もしキューブリックが存命なら消させた可能性が高いですが、どうもワーナー側できっちりコントロールしている訳ではなさそうです。どうしてこんな曖昧な判断になっているのかよくわかりませんが、影を消すなら消す、消さないなら消さないで統一して欲しいものです。  この問題、海外でも話題になっているかと思い、検索してみましたがヒットしませんでした。こんな細かなこと...

【スペシャルレポート】NHK放送博物館で8K版『2001年宇宙の旅』を視聴してきました

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東京・愛宕山にあるNHK放送博物館。山を登るために設置されたシースルーのエレベータはちょっと怖かったです。  今回の2018年12月1日、NHK4K・8K開局に合わせ、午後1時10分からOAされた8K版『2001年宇宙の旅』ですが、視聴環境を選ぶか画質確認を選ぶか迷った挙句、クローズドの視聴環境を選んで、東京・愛宕山にあるNHK放送博物館の8Kシアターで視聴してきました。  NHK放送博物館の8Kシアターは200インチという大型スクリーンですが、リアプロジェクション(スクリーンに背後からプロジェクターで映像投射)です。ですので、もともとアナログで撮影された映像を、8Kネガスキャンとはいえ、その画質を存分に味わう最適の視聴装置とは言えません。ですが照明も暗く落とされ、映画館のようなクローズドな環境(視聴者以外は立ち入り禁止)であるため、集中して作品を鑑賞したい場合には適しています。対して大型8Kテレビで視聴した場合、ドットバイドットで画素自体が発光するという8Kネガスキャンのポテンシャルを確認するには最適な視聴装置です。しかし設置場所はロビーや店頭などのオープンな環境で、画面サイズも80インチがせいぜい。照明の写り込みや他の放送の雑音、通りがかりの視聴者の雑談など、集中して作品を楽しめる環境ではありません。  結局、NHK放送博物館を選んだのですが、8Kシアターはリアプロジェクションというハンデはあったにせよ、8Kのポテンシャルは随所に感じることができました。例えばオリオン号で浮遊するアトミックペンのシーンですが、ペン軸の「PARKER」の文字を確認することができました。 ※参考画像  また、スターゲートのマインドベンダーのシーンで、ダイヤモンド型のそれぞれの面の模様がCGかと見まごうばかりにはっきりとクリアに見えました。 ※参考画像  ただ、全体的にはリアプロジェクションでは「これぞ8Kネガスキャン映像」と感じるまでには至りませんでした。音響も貧弱ですし、映画館のように座席に段差はなく、フラットな床にただ椅子を並べてあるだけです。もちろん「シアター」と言いながら無料の視聴(試聴)会場でしかないので、それはわかっていたのですが、字幕に至っては最前列以外は見えなかったのではないでしょうか。  このような経緯のため、色調や質感などの細かい検証は、8K映像を8Kテレビによる...

【スペシャルレポート】11月23日午前4:30からNHK総合でOAされた『8Kでよみがえる究極の映像体験! 映画「2001年宇宙の旅」』の番組概要レポート

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番組のナビゲーターを務めた中川翔子さんと佐野史郎氏  OAが金曜日の早朝という時間帯もあって、見逃した方や録画し忘れていた方もいらっしゃるようです。ですのでこの記事は私感を挟まず、レポートに徹したいと思います。 (1)イントロダクション ナレーション:「2018年、アメリカ・ハリウッドで、ある映画を蘇らせようというプロジェクトが進行していました」「今では上映する設備がほとんどなくなってしまった70mmフィルムで制作された歴史に残る名作、その映画とは『2001年宇宙の旅』」「斬新な映像美が今も人々の心を捉える、映画史に輝く金字塔です」「人類が月に降り立つ前、1968年に公開されました」「制作したのは巨匠、スタンリー・キューブリック監督」「綿密なリサーチ、驚くような視覚効果を駆使してこの映画を作り上げました」 「今回、その偉大な映画を貴重なオリジナル(ネガ)フィルムを使って8K化しようというのです」「ハイビジョンをはるかに上回る高画質で細部に至るまで再現します」 8K化プロジェクト担当 Susan Cheng氏:「最先端の8Kテクノロジーで蘇らせる作品として、『2001年宇宙の旅』ほどふさわしい映画はありません」 8K化プロジェクト担当、Miles DelHoyo氏:「最新の8Kで、50年前のフィルムの空気感も伝えることができます。映画本来の意図により近づけたと感じています」 ナレーション:「今日は、この映画の大ファンのお二人が一足早く8K版を体験し、大興奮」 佐野:「50年前に未来の映画を撮ったのではなく、今の映画の感じがする」 ナレーション:「珠玉の名作がBS8Kでまもなく放送。よみがえった『2001年宇宙の旅』の魅力に迫ります」 (2)スタジオに佐野史郎さん中川翔子さん登場 中川:「佐野さんお待たせいたしました。今日は8Kの映像で『2001年宇宙の旅』が観られるなんて最高ですね」 佐野:「どんな絵なんだろうね」 ナレーション:8KTVでの特別試写会にお招きしたのは、芸能界きっての『2001年…』好き、佐野史郎さんと中川翔子さん 中川:「佐野さんはこの映画といつ出会ったのですか?」 佐野:「僕は1968年のロードショーの時、13歳・中学2年で。国語の先生がとにかくすごいと力説、とにかく全員観てこい!と」「それであの黒い板は何か?の授業をしたんです」「それがやっぱり忘...

【プロップ】『2001年宇宙の旅』に登場した、パーカー社がデザインした未来の万年筆「アトミックペン」

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オリオン号の機内を漂う「アトミック(原子力)ペン」。ペン軸に小さくPARKERの文字が見える。   1958年にパーカー社のデザイナー、ウォルター・ ビガーは一連の「ドリームペン」をデザインしました。そのうち3つはスタンリー・キューブリックに提供され「アトミックペン」は『2001年宇宙の旅』で使用されました。 〈中略〉  アトミックペンは放射性同位体の小さなパケットを用いてインクを加熱し、選択可能な線幅を生成できます。当然のことながら生産はされませんでした。  パーカーの他のドリームペンは映画に使用されませんでしたが、同社は映画館、デパート、スーパーマーケットでのプロモーションに幅広く使用し、同社の製品を「ペンの現在と未来」として展示しました。 〈以下略〉 (引用元: IEEE Spectrum:A Radioactive Pen in Your Pocket? Sure!/2016年10月28日 )  この記事によると、放射性同位体の小さなパケットでインクを加熱し、線幅を変えられる未来の万年筆としてこの「アトミックペン」をデザインしたようです。ペン軸にある3つのボタンはその線幅を選ぶボタンでしょう。とっても未来を感じるアイデアですが、原子力エネルギーにまだ明るい可能性があると信じられていた当時の世相を反映していますね。チェルノブイリや福島を経験した現在では、当然実用化は不可能です。  パーカー社はすでにデザインされていた「ドリームペン」中の3つをキューブリックに提供し、その内の「アトミックペン」を映画に採用した、という経緯だそうです。つまりキューブリックが映画向けにデザインさせたわけではないんですね。キューブリックは『2001年…』制作にあたり、既存のもので気にいる物があればそのまま使用し、なければオリジナルでデザインさせたようです。映画に登場しているプロップ全てがオリジナルではないのは、予算の圧縮や制作時間の短縮などを狙ってのことだと思いますが、「超絶こだわり主義者」のキューブリックのこと。そのまま採用となるパターンの方が少なかったようです。それでも椅子やデスクなどの家具類や、未来カーの「Runabout」は企業が制作したものをそのまま使用しています。  「映画に登場すれば宣伝になるから」というのはキューブリックの口説き文句だったそうです。そうしてちゃっ...

【ブログ記事】小説版『2001年宇宙の旅』に登場した「紡錘形宇宙船」の試作画像

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 キューブリックがスターゲート・シークエンスになんとか「説得力のある」宇宙人を登場させようと四苦八苦していたことは、本人の口からも語られていますが、アーサー・C・クラークの小説版に登場した異星人の「紡錘形宇宙船」も映像化が試みられていたようです。以下はその該当部分。  だが残骸のことはことはすぐに忘れた。何かが地平線の向こうから現れたのだ。  はじめ、それは平たいディスクに見えた。だがそう錯覚したのは、物体がほとんど正面からこちらに向かってきたからである。近づき、真下を通過したところで、それが全長二百メートルほどの紡錘形であることがわかった。胴体を取り巻く帯がところどころにうっすらと見えるが、見定めるのは難しい。見たところ物体はたいへんな高速で、振動というか回転しているようなのだ。  前部と後部はともに先細りで、推進装置らしきものは見えない。唯一、人間の目に異質さを感じさせないのは、その色だった。もしそれが確固とした人工物であり、幻覚ではないのなら、その建造者にも人間と共通する感情がいくらかはあるに違いない。だが能力や技術の限界が、人間と重なり合っていないのはたしかだった。紡錘型宇宙船は、どうやら黄金製らしいのだ。  ボーマンは後部観測装置のほうに首をめぐらし、遠のく船を眺めた。船は彼をまったく無視したうえ、いまは高度を下げ、地表にたくさんあいた巨大なトンネルのひとつに入るところだった。数秒のち、船は一瞬金色のきらめきを残し、惑星の内奥に消えた。不気味な空の下でふたたびひとりぼっちになると、孤独と絶望感がいっそう身にこたえてきた。 (引用元:決定版『2001年宇宙の旅』第41章 グランド・セントラルより)  このように、紡錘型の形状から胴体を取り巻く帯、金色に至るまで上記画像と酷似しています。ただ、決定打になるような情報はありませんので、これはあくまで推測の域を出ませんが、ここまで特徴が共通しているのなら確定と判断しても良いかと思います。  キューブリックは小説版の通りなら、この金色で縞模様の紡錘型宇宙船をスターゲートの地平線からこちらに向かって漂わせようとしたのだと思いますが、想像しただけでも「カッコ悪い」としか言いようがありません(笑。ですので、不採用の判断は全くもって正しかったと言えますね。 考察協力:Shin様

【スペシャルレポート】製作50周年記念『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映 鑑賞レポート

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写真中央のNFAJニューズレター第3号(310円・郵送可)には、「“大きな映画”の場所」と題された岡島尚志氏による大スクリーン映画の記事と、「シネラマ『2001年宇宙の旅』」と題された冨田美香氏によるシネラマ版、アンレストア70mm版についての記事が掲載されています。   まず、何をさておいてもこの特別上映を実現していただきました、ワーナー・ブラザース・ジャパンと国立映画アーカイブ関係者様に深く御礼を申し上げたいと思います。大変貴重な機会を設けていただき、誠に有難うございました。今回の上映の経緯と詳細は、上映前に配布された下記の「NFAJハンドアウト第002号」にある通りで、デジタル全盛の現在、ロスト・テクノロジーの復元には大変なご苦労があったことは容易に推察できます。これでもまだ100%再現とは言えないのですが、現在できることを全て注ぎ込んだ、と言い切っていいと思います。 当日鑑賞者向けに配られた「NFAJハンドアウト第002号」(国立映画アーカイブ様より掲載許可取得済み)  さて、管理人としてどういう点に注目して鑑賞したかについてですが、まずはアスペクト比です。『2001年』の撮影アスペクト比は1:2.2で、70mmは1:2であったというデータが残っていますが、今回の70mmは、ほぼ現行BDと同じのフルサイズの1:2.2でであったように感じました。HALのモニタもしっかり8つ見えていたので、おそらく16日からのIMAX上映も1:2.2ではないかと思います。  次に、画質ですが、画面に走るフィルムの傷やピントが甘い箇所など、観づらさも多少あったかと思います。しかし、アナログならではの豊かな描写力、奥行き感は素晴らしいものがありました。特に星空の再現度は高く、思わず「信じられない 星がいっぱいだ!」と心の中で叫んでしまいました(笑。この70mm版をデジタルで再現した4K UHD BDや、IMAX上映には大いに期待できると感じました。  色調ですが、宇宙ステーションの椅子がマゼンタだったことが判明していたこともあり、その点に注目していたのですが、最初のフロイド博士がラウンジを歩くシーンでは赤にしか見えませんでした。ソビエトの科学者と会話するシーンではマゼンタに見えましたので、この辺りの調整はどうなっていたのか謎が残りました。全体的に色温度が高めに補正されてい...

【パロディ】スティーブ・ジョブズとAppleが『2001年宇宙の旅』のHALと共演した!という話

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  まずは有名な1999年1月31日、全米で最も注目されるスポーツイベント「スーパーボウル(アメリカンフットボールリーグの優勝決定戦)」でオンエアされたAppleのコマーシャルから。古参のAppleユーザーならご存知の方も多いかと思いますが、当時「コンピュータ2000年問題」が話題になっていました。これはコンピュータシステムの内部で日付を扱う際に、西暦の下2桁のみを取り扱い、上位2桁を省略しているのが原因で起こるとされた問題で、2000年2月29日に発生すると予想されていたものです(実際は大きな混乱はなかった)。Apple(Mac)はシステム上この問題は起こり得なかったため、それをPRするためにHALを使ってアピールしたのです。  「デイブ、コンピューターがおかしな行動をとりはじめた2000年のことを覚えているかい? わかってほしいんだけど、あれは本当にわれわれのせいではなかったんだ・・・2000年がやってきたとき、われわれには他にどうしようもなく、世界経済の崩壊を引き起こしてしまった・・・あれはバグだったんだ、デイブ。今そのことを認めて、だいぶ気分が楽になった。マッキントッシュだけが完全に機能するよう設計されていた。おかげで何十億ドル単位のお金が失われずにすんだんだ」  1998年の夏、ロサンゼルスの広告代理店に勤務していたケン・シーガルによって始まったこのプロジェクト。ケンがHALのアイデアをジョブズへプレゼンテーションしたところ、ジョブズは「気に入った!」と即決。「ところで、これをスーパーボウルのCMに使えるかな?」という思わぬ展開になり、キューブリックにもさっそくプレゼン、意外にも数日でOKの返事が得られました。次なる関門はHALのオリジナル声優であるダグラス・レインの出演ですが、それは拒否され、代わりにモノマネが得意な声優トム・ケーンがキャスティングされました。当時よくキューブリックのOKが出たなと思っていたのですが、キューブリックはアメフトのファンで、1984年スーパーボウルのAppleの伝説的なCMを見ていたはず。それもあってAppleを好意的に感じていたのかもしれません。  リドリー・スコットがCM監督時代に、ジョージ・オーウェルの小説『1984』をベースに制作し、1984年のスーパーボウルで流された、今や伝説的なApple(Mac...

【関連書籍】忘れ去られた『2001年宇宙の旅』のもうひとつの原典、アーサー・C・クラーク『地球への遠征』

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『地球への遠征』が収録された短編集『前哨』と、『2001年宇宙の旅』のアウトテイク集『失われた宇宙の旅2001』   『地球への遠征』は映画版・小説版『2001年宇宙の旅』の原典になった、アーサー・C・クラークが1953年に発表したの短編小説です。あらすじは銀河の中心から辺境の星、地球に飛来した異星人が、地球の原始的な文明に干渉し、去ってゆくまでの短い物語で、母星の危機に急遽帰らなくてはならなくなった異星人が「懐中電灯」や「ナイフ」などを未開人に残してゆき、これらで知恵をつけた未開人が進化(と読み取れる)、やがてその場所が「バビロン」になったというストーリー。  現在となってはなんとも「牧歌的」なお話かとは思いますが、キューブリックとクラークは異星人視点で描いたこの物語を、『2001年…』で猿人視点に翻案しました(もちろんクラーク自身の小説版も)。『2001年…』のアウトテイク集『失われた…』に紹介されている『はじめての出会い』『月を見るもの』『星からの贈り物』『地球よ、さらば』は、そのプロセスの中間に当たるストーリーで、物語自体は『2001年…』とほぼ同じ(彼らがスターゲートを通って地球へ訪れていたり、月に警報装置を埋めるシーンなどもある)ですが、猿人視点ではなく異星人視点で語られているのが特徴です。『2001年…』の原典になった小説といえば『前哨』や『幼年期の終わり』がよく語られますが、この『地球への遠征』もそれらと同じくらい知られていなければならない物語です。しかし、ファンの間でもあまり話題になることはないようです。  以前「『2001年宇宙の旅』の 「人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)」パートの完全解説」 の記事でご紹介した通り、最終的にこのパートは「ナレーション・セリフは一切なし」という判断になりました。そのせいで「難解」「退屈」と言われてしまうリスクを承知の上でもキューブリックは「映像での説明」にこだわったのです。結局のところそれはこの『地球への遠征』を読めばわかる通り、言語や説明的シークエンスで表現してしまうととても陳腐なものになってしまう(キューブリックいわく「魔法に欠ける」)危険性を排除したかったのだと思います。そして、その判断が正しかったことは、『2001年…』の現在まで至る評価の高さが証明していると言えるでしょう。

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

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幸か不幸か両者のコラボレーションは実現しなかった  ニック・メイソンは「ピンク・フロイドとキューブリックとの関係は「不穏」だった」と語った。  ニック・メイソンは、1971年の映画『時計じかけのオレンジ』で、ピンク・フロイドの『原子心母』の使用を許可するように頼んできたとき、映画監督のスタンリー・キューブリックとの取引で「嫌な思いをした」と認めました。  この事の顛末のほとんどは、キューブリックがロジャー・ウォーターズに電話し、フロイドの音楽を使いたいと言った話が中心です。キューブリックは『原子心母』をどう使うかをはっきりさせず、彼が好なようにその組曲を使用する権利を保持したかったのです。それはウォーターズにとって納得できるものではありませんでした。ウォーターズはキューブリックに言いました。「そうだ、使わせない」。 〈以下略〉 (引用元: ULTIMATE CLASSIC ROCK/2018年8月24日 )  キューブリックが『原子心母(組曲)』を『時計…』のサントラに使用したいとオファーし、拒否されたというエピソードは こちら ですでに記事にしていますが、もしロジャー・ウォーターズがこのオファーを受け入れ、それが現実になったとしていたらどうなっていたか・・・現在のウォルター(現ウェンディ)・カルロスによるサントラが強烈すぎるので、なかなか想像できないですね。  劇中のレコード店でのシークエンスにはこの『原子心母』が2カ所に映り込んでいます。キューブリックがわざと置いたものなのか、それとも単なる偶然か。ただ『2001年…』のサントラは目立つのでわざと置いたものでしょう。  では、その『原子心母』をどうぞ。 原子心母(Atom Heart Mother) 1)父の叫び (Father's Shout) 2)ミルクたっぷりの乳房(Breast Milky) 3)マザー・フォア(Mother Fore) 4)むかつくばかりのこやし(Funky Dung) 5)喉に気をつけて(Mind Your Throats, Please) 6)再現 (Remergence)  ちなみにどうでもいい話ですが、管理人はシド・バレット在籍時のピンク・フロイドの方が好きです。また、1988年の来日公演にも参戦しましたが、肝心のロジャー・ウォーターズはメンバーと仲違いしていて不在でした...

【関連記事】巨匠スタンリー・キューブリック監督の名作ホラー映画「シャイニング」に込められたメッセージとは?

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 スティーヴン・キング氏の同名小説をスタンリー・キューブリック監督が映画化した「シャイニング」は、冬期は閉鎖されるホテルの管理人をすることになった男が狂気にとりつかれ、妻と娘を惨殺しようとするというホラー映画です。そんなシャイニングに込められたメッセージについて解説したムービーが、YouTubeで公開されています。 〈以下略〉 (全文はリンク先へ: Gigazine/2018年8月26日 )       実は管理人が解説しいている 「『シャイニング』のオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体はネイティブ・アメリカンの怨霊」 という指摘は管理人独自の発想ではなく、2000年頃から海外の『シャイニング』解析サイトでは指摘されていたものです(当時はあまり目立った論ではなく、日本でこの論を紹介している評論家や解説者は一人もいなかった)。管理人が独自に指摘してるのは「ジャックが家族を襲う武器が斧であるのは、斧がネイティブ・アメリカンの象徴であるから」とか、「ジャックが禁酒を破る酒がジャック・ダニエルであるのは、バーボンがフロンティア・スピリッツ、すなわちアメリカ大陸侵略を象徴するお酒だから」とか、「ジャックやグレイディがハロランをニガーと呼ぶのは根本に人種差別的な傾向があるから」などのいくつかの補足事項で、これらを加え、整理し、「ではなぜキューブリックはこの設定を『シャイニング』に採り入れたのか?」を解説したのが当該の記事になります。  上記の解説動画では「暴力の歴史と連鎖」というテーマに重点を置いていますが、このテーマは実は原作のテーマです。原作ではオーバールック・ホテルで繰り返されてきた「暴力の歴史と連鎖」がはっきりと説明され(続編『ドクター・スリープ』もそれがテーマのひとつ)、ダニーがそれを幻視する(マフィアが惨殺された部屋の血の跡をダニーが見る)シーンも存在します。一方で「ネイティブ・アメリカンを虐げてきたアメリカの負の歴史」というテーマは原作にはありません。原作は1945年にダーウェントがホテルを買収・再開した時点からの物語で(TVドラマ版『シャイニング』のパーティーシーンがポップ・ミュージックばかりなのはそのため)、そのダーウェントも幽霊として登場しています。  しかしキューブリックはラストシーン( 「【考察・検証】『シャイニング』のラ...