『ロリータ』に登場した、ロリータを裏で操る怪しげな男。放送作家という事だがその正体ははっきりしない。ハンバートは、「キルティ殺しで有罪」(Guilty of Killing Quilty)となってしまうんだけど、「キルティ」という変なネーミングは、このシャレから来ているんでしょう。キルティを演じたピーター・セラーズの妙な存在感が忘れられない。
まずは当時ちょっと話題になった、イケア・シンガポールのハロウィンCMから。シャワーカーテンから覗く人影、転がるボール、カーペットで三輪車のタイヤの音が変わる、REDRUG、All work and no sleep makes life dull.(仕事ばかりで睡眠不足だと人生は退屈になる)、ダイニングテーブルには骸骨に模したマネキン、237の数字、流れてくるジャズスタンダード、落ちているバット、散らばる缶、ベッドの上のクマのぬいぐるみは犬男のつもりでしょうか?かなり再現度は高く、凝っていますね。オチは・・・まあ、こんなものでしょう(笑。シンガポールのイケアは夜の11時まで営業しているそうですが、そんな夜中にあんなだだっ広いイケアには行きたくないですね。 次はオーストラリアの映画雑誌、『FILM INK』のCM。・・・なんのヒネリもないですね(苦笑。 次にイギリスのDIY会社『B&Q』のCM。日本だったらDIYの会社なのに「ドアを壊す」という演出にはまずOKが出ないでしょうね。でもウェンディ役の女優さんはちょっとシェリーに似ています。 次に『Premire Inn』のCM。イギリスのホテルチェーンのようですが、これもドアを壊すって・・・。強盗をイメージさせますので日本じゃまずあり得ません。 次は全米乳飲料加工業者連盟が展開する『Got Milk? キャンペーン』のCMです。もうここまでくると単に広告代理店が『シャイニング』のパロディをやりたかっただけのような気がしてきます。 次はアメリカのビール会社、グレインベルト・ビールのCM。まあビール会社ですからね、こうなる展開は予想できますが、オチの奥さんの笑顔が怖過ぎ(笑。小説『シャイニング』の着想元になった『ジョン・レノンの『インスタント・カーマ』で、エンドロールももちろんパロディ。ここまで徹底してもらえればかなり楽しめます。 そして最後は有名どころでマイクロソフトの検索サービス『Bing』のCM。さすがマイクロソフトだけあってお金はかかってそうですね。でも、言いたい事はわかるのですが『シャイニング』のパロディである必然性は全くないような。 とまあ、こんな感じですが、動画サイトにアップされているだけでこれだけあるので、全世界中では一体いくつあるんでしょうか?さすがに「全部載せるとなると膨大なリスト...
『地球への遠征』が収録された短編集『前哨』と、『2001年宇宙の旅』のアウトテイク集『失われた宇宙の旅2001』 『地球への遠征』は映画版・小説版『2001年宇宙の旅』の原典になった、アーサー・C・クラークが1953年に発表したの短編小説です。あらすじは銀河の中心から辺境の星、地球に飛来した異星人が、地球の原始的な文明に干渉し、去ってゆくまでの短い物語で、母星の危機に急遽帰らなくてはならなくなった異星人が「懐中電灯」や「ナイフ」などを未開人に残してゆき、これらで知恵をつけた未開人が進化(と読み取れる)、やがてその場所が「バビロン」になったというストーリー。 現在となってはなんとも「牧歌的」なお話かとは思いますが、キューブリックとクラークは異星人視点で描いたこの物語を、『2001年…』で猿人視点に翻案しました(もちろんクラーク自身の小説版も)。『2001年…』のアウトテイク集『失われた…』に紹介されている『はじめての出会い』『月を見るもの』『星からの贈り物』『地球よ、さらば』は、そのプロセスの中間に当たるストーリーで、物語自体は『2001年…』とほぼ同じ(彼らがスターゲートを通って地球へ訪れていたり、月に警報装置を埋めるシーンなどもある)ですが、猿人視点ではなく異星人視点で語られているのが特徴です。『2001年…』の原典になった小説といえば『前哨』や『幼年期の終わり』がよく語られますが、この『地球への遠征』もそれらと同じくらい知られていなければならない物語です。しかし、ファンの間でもあまり話題になることはないようです。 以前「『2001年宇宙の旅』の 「人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)」パートの完全解説」 の記事でご紹介した通り、最終的にこのパートは「ナレーション・セリフは一切なし」という判断になりました。そのせいで「難解」「退屈」と言われてしまうリスクを承知の上でもキューブリックは「映像での説明」にこだわったのです。結局のところそれはこの『地球への遠征』を読めばわかる通り、言語や説明的シークエンスで表現してしまうととても陳腐なものになってしまう(キューブリックいわく「魔法に欠ける」)危険性を排除したかったのだと思います。そして、その判断が正しかったことは、『2001年…』の現在まで至る評価の高さが証明していると言えるでしょう。