【インスパイア】まるで『2001年宇宙の旅』の白い部屋。ナショナルのニューメディア対応テレビ「α2000」のテレビCMと沢田研二


 おそらく1983年~1984年くらいにOAされていたCMです。見ての通り『2001年宇宙の旅』の白い部屋にインスパイアされたものなんですが、沢田研二が年を取るのではなく若返るのというのがいいですね。まあ、そんなことより「沢田研二って誰?」「ナショナルって何??」「ニューメディアって???」ということから説明しないといけないのかも知れません。

 沢田研二は当時一世を風靡した歌手兼俳優(GSグループ、タイガースの元ボーカルだったという認識は管理人の世代にはないです)、ナショナルは現パナソニック、というのはご存知の方も多いかと思いますが、ニューメディアって何だったっけ・・・とググってしまうほど忘却の彼方でした(笑。で、説明いたしますと、この頃からテレビはパソコンのモニタとして代用されるようになり、テレビ映像だけではなくテキストやCGイラストなどを表示したいと言うニーズが高まっていた時代でした。ただ、当時の技術ではテレビをパソコンの映像出力として使うと滲んでしまい見辛かったので、それに対応するために、テキストなど見やすくRGBの機能をアップさせたものを「ニューメディア対応」と謳っていたのです。とは言っても、現在の液晶モニタとは比べるべくもなくお粗末なものでしたが、それでも当時は画期的な機能でした。テレビ時代からパソコン時代へと移る黎明期の過渡期的商品だと言えるでしょう。

 そのニューメディアの中にはパソコン映像出力の他に、キャプテンシステムというものがありました。専用端末をテレビに接続、情報回線は電話のアナログ回線を使うという現在のインターネットの元祖のようなものです。ただし個人宅に普及するには至らず、役所や郵便局、電電公社(!)などの公共施設にひっそりと置かれていた記憶があります。パソコンが一般企業に普及し始めるのが1980年代後半、NECのPC98シリーズがワープロとして使われ始め出してからです。映像出力をテレビで代用するのではなく、専用のパソコンモニタが普及するのも同じ頃。一般家庭へのパソコンの普及はWindows95の1996年以降になります(それまではマニアのものだった)。そう考えるとキューブリックが1984年にIBM XTを導入(詳しくはこちら)したのはかなり早かったと言えますね。

 このTVCMは、商品名の「α2000」からの『2001年…』の引用という安易な発想ですが、1980年代から見た未来がどういうイメージだったかを知るにはいい資料です。現実の2000年になるとこのテレビは完全に時代遅れで既に廃棄処分対象だったはずですが(ブラウン管の寿命は10年と言われていた)、『2001年…』はあいかわらず未来イメージとして、現在も引用され続けている「現役作品」だと考えると、その凄さを感じずにはいられませんね。

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