【サウンドトラック】オリジナル・モーションピクチャー・サウンドトラック『2001年宇宙の旅』(Original Motion Picture Soundtrack 2001:A Space Odyssey)※ターナー盤
- Overture: Atmospheres (Ernest Bour) (2:51) 序曲 アトモスフェール |Gyorgy Ligeti / Sudwesfunk Orchestra
- Main Title: Also Sprach Zarathustra (Thus Spake Zarathustra) (1:43) メイン・タイトル:ツァラトゥストラはかく語りき|Richard Strauss / Herbert Von Karajan, Vienna Philharmonic Orchestra
- Requiem For Soprano, Mezzo Soprano, Two Mixed Choirs & Orchestra (6:33) レクイエム|Gyorgy Ligeti / Francis Travis, Bavarian Radio Symphony Orchestra
- The Blue Danube (Excerpt) (5:43) 美しく青きドナウ(抜粋)|Johann Strauss II / Herbert Von Karajan, Berlin Philharmonic Orchestra
- Lux Aeterna (2:56) ルクス・エテルナ(聖体拝領唱)|Gyorgy Ligeti / Clytus Gottwold, Stuttgart Schola Cantorum
- Gayane Ballet Suite (Adagio) (5:17) 舞踏組曲「ガイーヌ」~アダージョ|Aram Khachaturian / Gennadi Rezhdestvensky, Leningrad Philharmonic Orchestra
- Jupiter And Beyond / Mixed (15:15) 木星、無限の彼方:レクイエム/アトモスフェール/アヴァンチュール|Gyorgy Ligeti / Internationale Musikinstitut Darmstardt, Bavarian Radio Symphony Orchestra, Sudwesfunk Orchestra
- Also Sprach Zarathustra (Thus Spake Zarathrustra) (1:43) ツァラトゥストラはかく語りき|Richard Strauss / Herbert Von Karajan, Vienna Philharmonic Orchestra
- The Blue Danube (Reprise) (8:20) 美しく青きドナウ(リプライズ)|Johann Strauss II / Herbert Von Karajan, Berlin Philharmonic Orchestra
- Also Sprach Zarathustra (Thus Spake Zarathrustra) (1:43) ツァラトゥストラはかく語りき|Richard Strauss / Ernest Bour, Sudwesfunk Orchestra
- Lux Aeterna (6:02) ルクス・エテルナ(聖体拝領唱)|Gyorgy Ligeti / Clytus Gottwold, Stuttgart Schola Cantorum
- Adventures (Unaltered) (10:57) アヴァンチュール|Gyorgy Ligeti / Internationale Musikinstitut Darmstardt
- Hal 9000 (9:41) HAL9000の反乱 (ダイアローグ)
『2001年…』は、クラークを始め、多くの優秀なスタッフが結集して創った壮大な「思弁映画」で、決してキューブリックの独善でなかった事は、多くの資料で伺うことができる。しかし、こと音楽については、キューブリックはかたくなにこの「セミ・クラッシック」の選曲を曲げなかった。
キューブリックは当初、ラッシュフィルムにこれら既製曲を選曲し、とりあえずのサウンドトラックとして使用していた。その後正式に『スパルタカス』で一緒に仕事をした、アレックス・ノースにサウンドトラックの製作を依頼し、ノースはそれを完成させ、録音までしたのだが、結局これを使用せず、ラッシュにつけていた音楽をそのまま採用することにしたのだ。(その件でノースは訴訟を起こそうまでしている)
今日観てみると、どの曲を取ってみても、あまりにもそのシークエンスにぴったりで、今なら何の違和感もなく聴くことができるのだが、'68年当時、SF映画にクラッシックを使うなどという事は到底考えられられなかった。リヒャルト・シュトラウスが高々と進化を謳い上げる「ツァラツゥストラはかく語りき」、青いドナウならぬ「青い地球」の周りで宇宙船がワルツを踊る「美しき青きドナウ」、モノリスの登場を不気味に告げるリゲティの前衛音楽…。『2001年…』の成功は、この大胆な試みの成功も大きな要因であったことは間違いないだろう。
キューブリックはこれ以降、既製の音楽を好んで使うようになるのだが、その理由について「編集時に色んなアイデアを試すことができるから」と答えている。なるほど、編集が大好きなキューブリックらしい。
それまで専門の作曲家が書くスコアを、シーンを盛り上げるために使うものでしかなかったサウンドトラックを、編集や映像とシンクロさせたり、特定のシークエンスで特定の曲を使い、シーンの意味を強調するという方法論は、多くの映画監督や映像作家に影響を与え、今ではキューブリック演出の代名詞にもなっている。
尚、オリジナルMGM盤</a>も中古市場等で入手可能だが、レーベルの関係からか『ツァラトゥストラはかく語りき』がカール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏が収録されているので注意が必要(映画で使用されたのは、このCDに収録されたカラヤン指揮、ウィーン交響楽団のもの)。このCDにはボーナストラックとしてエルネスト・ブール指揮、南西ドイツ放送交響楽団のバージョンが収録されているが、本来ならばMGM盤に収録されたベーム指揮版を収録すべきなのだが、なぜか「パブリック・ドメイン」として誤魔化されてしまっている。
そういう問題はあるにせよ、写真満載の見開きジャケットが欲しい、部屋に飾りたいなどのニーズがない限り、このリイシューCDをまず第一にお勧めしたい。