【インスパイア】とっても『時計じかけのオレンジ』な『ドッキリ・ボーイ/窓拭き大騒動』の予告編と、両作に出演しているモデル兼女優カチャ・ワイエスについて
メガネをかけた緑のワンピースの女性が『時計じかけのオレンジ』のラストシーンでアレックスの「お相手」だったカチャ・ワイエス
フラッシュカットにスーパーインポーズを混ぜ込む手法はまさしく『時計じかけのオレンジ』の予告編を彷彿とさせますが、『時計…』の予告編を制作したのはキューブリックではなくパブロ・フェロというアーティストです。パブロ・フェロは元々グラフィックデザイナー兼CM制作者で、広告畑の人でした。それをキューブリックが『博士の異常な愛情』の予告編とタイトルシークエンスの制作に起用し、それがきっかけで映画界で活躍するようになったのです。
さて、この1974年公開の『ドッキリ・ボーイ/窓拭き大騒動』という作品。チェリー・ボーイが積極的な女の子と繰り広げるドタバタエロラブコメ映画は、日本でも1980年代あたりに『パンツの穴』『童貞物語』、TVドラマでは『毎度おさわがせします』などブームになっていましたが(中二病全開の『台風クラブ』という傑作もありましたね)、現在の「青春ラブコメ」には露骨な性描写はほとんどなく、清々しくもピュアな物語ばかりになってしまいました。そのピュアピュアで育った世代が『時計…』の性描写を観て「過激」と反応してしまうのは分からないでもないのですが、1970年代に台頭した「性の解放」運動からのソフトコアポルノや性のめざめ映画、そしてこの青春エロコメディ映画への流れを知っておかないと、『時計…』だけが突出して性描写が過激だったとの誤解を生んでしまいます。つまり1970~1980年代だとこの程度は「当たり前」だったのです。もちろん2000年代に入ってからの現実社会における性犯罪の深刻化などがあり、規制が強化されたことが背景にあるのは間違いないですし、それを云々するつもりもありませんが、『時計…』の性描写に過剰に反応してしまい、その深刻で辛辣なメッセージを読み取ることができない、となってしまうのであれば、とても残念だと言わざるを得ないでしょう。
ところでこの映画、実は『時計…』のラストシーン「完璧になおったね」でアレックスの「お相手」だったカチャ・ワイエス(Katya Wyeth)が出演しています(緑のワンピースの女性)。このワイエスはモデルでもあって、雑誌にも頻繁に登場していたようです。キューブリックは、エロシーンにはヌードに慣れているモデルを起用するのが常でしたが、ハマー・フィルムのホラー映画『ドラキュラ血のしたたり』ではピーター・カッシングと共演しています。TVシリーズでは『空飛ぶモンティ・パイソン』や、『スペース1999』の『植民地衛星エントラの悪夢』にも出演。これらのことから当時のエロ・妖艶担当女優の一人だったのだと思いますが、『時計…』のラストシーンでは別カットもあったのに、削除されてしまったことをご本人はどう思っていいたんでしょう?インタビューなどが見つかればまた記事にしたいと思います。
情報提供:チーリーさま