【インスパイア】手塚治虫の『時計仕掛けのりんご』
以前、ここで手塚とキューブリックのつながりを紹介したのだが、手塚はこんな作品も発表している。もちろん元ネタは『時計じかけのオレンジ』。ただしキューブリックの映画版ではなくアンソニー・バージェスの小説版だ。なにしろこの短編が発表されたのは1969年4月。キューブリックの『時計…』の製作発表が1970年3月、公開は1971年の12月だった事実を考えると当然手塚はキューブリックの映画版を観ていないどころか、キューブリックが映画化を決定する以前にこの作品を描いたことになる。
当時手塚は小説は読んでなく、小説の紹介記事を元にこの短編を執筆したそうだ。そのため内容は小説とは全く関係なく、完成度が低くオチもいまいち。だが偶然とはいえ、キューブリックと手塚がほぼ同じタイミングでこの小説に興味を示したという事実に、なにがしかの因縁めいたものを感じずにはいられない。