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【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』と「アイドル」に親和性?『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされた女性アイドルのPVやMVのまとめ

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平手友梨奈『かけがえのない世界』のMVではこんな「過激な引用」も。ご本人が自覚しているか否かはわかりませんが・・・。  映画『時計じかけのオレンジ』は、破壊的で攻撃的、性衝動などの過激な描写、管理社会とそのアンチテーゼというメッセージ性で、古今東西の数多くのアーティストにインスパイアを与え、オマージュを捧げられ、パロディにされてきました。それは映画の世界だけにとどまらず、アートやファッション、小説や絵画、さらにマンガやアニメなどのサブカル分野まで及んでいます。  特に音楽シーンに与えた影響は大きく、ロック、パンク、ニューウェイブ、ハードロック、ヘビーメタル、スラッシュメタル、ヒップホップなど、いわゆる「不良系」の音楽にはよく引用されています。またその延長線上で、露骨なセクシャリズムや挑発・扇情をパブリック・イメージにした女性アーティスト、例えばマドンナ、リアーナ、レディガガ、かつてティーンのアイドルだったカイリー・ミノーグまでその影響は見て取れます。  ところが近年、「清純」「純潔」「処女性」を旨とする日本の女性アイドルが『時計じかけのオレンジ』をモチーフに採り入れる、ということが散見されるようになりました。言うまでもないことですが、これらアイドルの清廉・清純な世界観と、『時計じかけのオレンジ』の世界観は真逆、対極と言っていいと思います。それはもちろん仕掛ける側の「狙い」であることは明白なのですが、まさかそんな挑戦的な方法論が用いられることなど全く予想していなかったので、いささか驚いています。(ただ単に制作側の「好み」だけなのかもしれませんが・・・笑)  この記事ではそんな日本の女性アイドルが『時計じかけのオレンジ』をモチーフに採用したPVやMVを、時系列でご紹介いたします。 チャオ・ベッラ・チンクエッティ『何度も 何度も…』(2017年)  女性アイドルグループ、チャオ・ベッラ・チンクエッティの2017年12月発売の配信限定シングル『何度も 何度も…』の衣装とMVの世界観が、『時計…』を彷彿とさせるものになっています。残念ながら2018年8月をもって活動停止を決定、解散しました。 欅坂46『Student Dance(Short Ver.)』(2018年)  2018年8月発売のシングル『アンビバレント』のカップリング曲。歌詞を読むと「学校という管理社会に閉じ込め...

【オマージュ】元欅坂46の平手友梨奈が『時計じかけのオレンジ』のTシャツを着て激しく踊る、『かけがえのない世界』のMVが公開

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  なぜ『時計じかけのオレンジ』のTシャツなのかはわかりませんが、結構激しいダンスを見せてくれています。欅坂46時代の曲 『Student Dance』のMV も『時計じかけのオレンジ』がモチーフになっていたので、歌詞の意味や平手さんのキャラクター的に『時計…』の世界観を意識しているのかもしれませんね。時計やオレンジジュースが登場したり、意味深にロリポップを舐めているのもそのせいかも?(『時計…』ではもちろんアレの暗喩)  でも、アコギ(モーリス?)を爆破するのはやめて!・・・と、ギター弾きの私はとりあえず言っておきます(笑。

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

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『アイズ ワイド シャット』で「機会損失」ばかりしているトム・クルーズ。 Eyes Wide Shut(IMDb)  サイレント映画やハリウッドのお色気コメディなど、映画のベストセックスシーンをランキングで紹介 〈中略〉 34. アイズ ワイド シャット(1999年) 監督:スタンリー・キューブリック ベッドでの共演:大勢の裸のエキストラ どんな映画か:マンハッタンの裕福な医師(トム・クルーズ)は、自分の妻(ニコール・キッドマン)がかつて船乗りに誘惑されたことがあると知り、満たされない性の旅に出る物語。スタンリー・キューブリックの遺作でもある。 セックスシーン:セックスをテーマにした映画にしては、それほど多くのセックスは盛り込まれていない。むしろ、ニューヨークの夜を舞台にした主人公の旅は、壮大な「機会損失」の旅となっている。 それはともかく、モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPAA)がこの作品をNC-17(17歳未満入場禁止映画)指定にしたのは、やはりセックスが多過ぎたからだと思われる。それに対してワーナー・ブラザースの解決策は、象徴的な乱交シーンの多くを、CGIエフェクトでシルエットにして隠してしまうことだった。キューブリックが墓に入ってからまだ数カ月しかたっていなかったが、中で怒っていたに違いない。 どこが画期的か:監督の同意を得ずにセックスシーンをデジタルで変更する、非常に危うい前例となった。さらに良くないことにその後、映画制作者がそうしたことに同意してしまうこともあった。『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』(2011年)でのレスリー・マンのCG生成された胸を覚えているだろうか。そもそも、この映画のことを忘れているかもしれないが。 〈以下略〉 (全文はリンク先へ: Time Out Tokyo/2021年12月13日 )  イギリスの「ぴあ」と呼ばれた『Time Out』誌の日本版『Time Out Tokyo』が、「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」という記事を掲載していたのでご紹介。  官能的だから「最高」なのか、規制を避けた性表現のアイデアが「最高」なのか、「最高」の定義があいまいで、あまり役に立たないランキングですが、この手のランキングでは定番な作品から意外な作品、知られていないマイナーな作品や、えっ?手塚治虫まで?...

【ブログ記事】日本テレビ『行列のできる相談所』 「日本人が好きな映画100!」で『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』がランクイン

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 日本テレビで12月19日(日)に放送された番組『行列のできる相談所』「日本人が好きな映画100」において、55位に『2001年宇宙の旅』、24位に『時計じかけのオレンジ』にランクインしました。このランキングは「ぴあ」「フィルマークス」「みんなのランキング」「COCO」の4つの映画評価サイトを元に番組が独自に集計したもの。なので、ある程度客観性は担保されている(視聴率欲しさに露骨な操作はされていない)と思っていいでしょう。  公開年や「難解」と言われがちなキューブリック作品にとってこれは驚異的です。映画ファンの間ではよく名前が挙がるオーソン・ウェルズもチャップリンもヒッチコックも小津安二郎もランクインしていません。しかも「日本人が好きな映画」だということを考えれば、キューブリックのこの2作品は、ある程度一般的な知名度と評価を獲得していると言えると思います。  ちなみにトップ100は以下の通り。基本的には洋画中心ですが、アニメ作品やマーベル作品、ディズニー系が意外に少ない。あれだけ騒がれている韓国勢も少数派。エンタメ系作品が大多数を占めていますが社会派系作品もチラホラ。金曜ロードショーとのコラボなので金ロー系が厚遇されている気がしますがそこはご愛嬌でしょう(笑。  番組公式紹介ページは こちら 。 ショーシャンクの空に バック・トゥ・ザ・フューチャー ダークナイト レオン インセプション ゴッドファーザー ライフ・イズ・ビューティフル 天空の城ラピュタ ニュー・シネマ・パラダイス ターミネーター2 最強のふたり パルプ・フィクション フォレスト・ガンプ/一期一会 インターステラー プラダを着た悪魔 スタンド・バイ・ミー バタフライ・エフェクト タイタニック トイ・ストーリー3 きっと、うまくいく レ・ミゼラブル マトリックス アベンジャーズ/エンドゲーム 時計じかけのオレンジ スティング シザーハンズ ユージュアル・サスペクツ 風の谷のナウシカ もののけ姫 グラン・トリノ ボヘミアン・ラプソディ ロード・オブ・ザ・リング 羊たちの沈黙 ファイト・クラブ グレイテスト・ショーマン パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち キック・アス となりのトトロ セブン この世界の片隅に ローマの休日 スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望 おくりびと リメンバー・ミー...

【考察・検証】アルトゥル・シュニッツラーの原作小説『夢小説』と『アイズ ワイド シャット』を比較して、ラストシーンの意味を考察・検証する

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顔色一つ変えず「ファック」と言い放つアリス(ニコール・キッドマン)  ●小説『ドリーム・ノヴェル(夢小説)』版 場所:夫婦の寝室 ・・・遂に―彼は彼女の横に身を伸ばして―彼女の上に屈みこみ、今はそこにも朝が現れてくるように思われる大きな明るい眼をつけた彼女の動かない顔を見ながら、懐疑的ではあるが同時に希望に満ちた 口調で、「僕たちはどうすればいいだろうか。アルベルティーネ」と問いかけた。  彼女は微笑した。そして、ちょっとためらってから、「すべての冒険―現実の冒険も夢の冒険も無事に切り抜けたことを運命に感謝すること、だと思いますわ」と答えた。 「無事に切り抜けたと云うが、全く確かだと思うかい」と彼は尋ねた。 「確かだと思いますわ。一夜の現実は、いえ、人間の一生の現実でさえ、現実であると同時に また人間の心の奥底の真実を意味するということにはならないような気がしますもの。」 「そして、どんな夢も」と云いながら彼はかすかな溜息をついた。「完全にただの夢だけというようなものではないね。」  彼女は彼の頭を両手に挟んで、やさしく自分の胸に寝かせた。「これで、わたしたちはすっかり目が覚めましたわね」と彼女は云った―「このさき長く。」  永久に、と彼は云い添えようとしたが、彼がその言葉を云い終らないうちに、彼女は彼の唇に指を一本充てがって、ひとり言でも云うように、「さきのことは尋ねないこと」と囁いた。  そこで、彼らは二人とも黙って、どちらもすこしまどろみながら、夢は見ないで、近く寄り添って横になっていたが―やがて、毎朝の例で七時に寝室の戸がノックされる。街路から聞き慣れたざわめきが伝わってくる。窓掛の隙間から勝ち誇った陽の光がさしこんでくる。隣室から子供の明るい笑い声が聞こえ、新しい一日がはじまるのであった。 (出典:『アイズ ワイド シャット』角川文庫) ●映画『アイズ ワイド シャット』版 場所:おもちゃ屋 「アリス・・・僕たちどうする?」 「どうする?・・・」 「どうって分からない」 「多分・・・きっとわたしたち、感謝すべきなのよ」 「何とか無事にやり過ごすことができた・・・危険な冒険を・・・」 「それが事実であれ、たとえ夢であれよ」 「本当に、そう思うかい?」 「本当に?」 「わたし・・・わたしに分かるのはひと夜の事なんて、まして生涯のどんな事だって、真実かど...

【インスパイア】『Tattooed in Reverse』のMVで、マリリン・マンソンが『時計じかけのオレンジ』のドルーグのファッションで登場

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  マリリン・マンソンが2017年にリリースしたアルバム『Heaven Upside Down』収録曲、『Tattooed in Reverse』のMVで、マンソンがドルーグのファッションで登場しているのでご紹介。  マリリン・マンソンといえば反キリスト主義者とか、悪魔崇拝者とか、性的虐待とか、性的人身売買とかなにかとお騒がせな印象がありますが、何と言っても1999年に起こったコロンバイン高校銃乱射事件での、犯人の高校生に与えた影響がよく取りざたされます。音楽的にはハードロック、インダストリアル・メタル、オルタナティヴ・ロックということですが、この曲もなかなかヘヴィで背徳的です。  実は、このMVで車椅子を押している看護婦を演じているのはコートニー・ラブで、マッドな女医はリサ・マリー・プレスリーなんだそう。ニルヴァーナとプレスリー・・・いかにもなキャスティングですね。

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』は、なぜクリスマスシーズンの物語なのか?を検証する

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『アイズ ワイド シャット』はクリスマスシーズンのニューヨークが舞台ですが、「クリスマス映画」と呼ぶにはちょっと問題があります。(家族じゃ観れないし)  キューブリックの遺作となってしまった『アイズ ワイド シャット』は、街がイルミネーションで彩られるクリスマスシーズン(12月)のニューヨークが舞台になっています。アルトゥル・シュニッツラーの原作小説『夢小説』では、カーニバルシーズン(2月)のウイーンが舞台です。つまりキューブリックは物語の季節を2月から12月に変更しているのです。原作では仮面舞踏会や春の訪れ(希望)を感じさせる終わり方など、この2月という時期にはそれなりに意味があるのですが、ではなぜキューブリックは原作者の意図(暗喩)を無視してまで、舞台をクリスマスシーズンに変更したのでしょうか? それには以下の大きな2つの理由が考えられます。 (1)クリスマスのイルミネーションが物語の妖しい雰囲気にぴったりだと考えたから  文字で映像を想像させる小説とは異なり、映画は映像そのものを見せてしまうメディアです。2月といのは春の直前、一番寒さの厳しい時期です。ビジュアル的にはかなり「寒々しく」しないと季節感は伝わらないでしょう。そうなるとかなり陰鬱な雰囲気の映画になってしまいます。『夢小説』は陰鬱な物語ではなく、妖しく官能的な物語です。その季節には凍てつく厳寒の2月より、クリスマスのイルミネーションが妖しく輝く、魅惑的な12月の方がふさわしいと判断したのではないでしょうか。 (2)夜のシーンが多い作品で、イルミネーションという自然な光源を数多く配置できるから  キューブリックは映像のためなら、原作改変を厭わない監督です(例:『シャイニング』における動くトピアリーの不採用と、生垣迷路の採用)。夜のシーンが多いこの小説の映像化に当たって、問題なのは光源の確保です。単純に俳優にライトを当てればいいとは考えない(詳細は こちら )キューブリックは、フィルムが感光するだけの光源をなるべく多くシーン内に、しかも自然な形で設置したかったのではないでしょうか。そうなると夜の街を照らすクリスマスイルミネーションは、まさにうってつけということになります。もちろんセットに設置したイルミネーションだけでは光量が足らないでしょうから、自然な形で補助的に照明を当てていたと思います。キューブリック...

【オマージュ】King Gnu(キング・ヌー)の新曲『一途』のMVがとっても『2001年宇宙の旅』だった件

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 現在邦ロックのトップランナーと言えるアーティスト、King Gnu(キング・ヌー)の新曲『一途』のMVがとっても『2001年宇宙の旅』だったのでご紹介。  シンプルだけどガツンとしたリフと疾走感あふれる楽曲に、 『2001年宇宙の旅』のスターゲート・シークエンス がハマっていますね。リーダーの常田大希氏は以前インタビューで --- 『AKIRA』や『攻殻機動隊』以外に強く影響を受けた映像作品は何でしょうか? (スタンリー・)キューブリックの作品ですかね。どの作品も良いですが、一番好きなのは『2001年宇宙の旅』かも。でも、キューブリックの作品から直接的に影響を受けているというよりは、キューブリック本人の作品を作るときの姿勢や、マインドセット的なものを尊敬しています。 (引用元: OR NOT|ARTIST INTERVIEW Vol.01 |Interview with Daiki Tsuneta ) と応えていますので、いつかはやってみたかったんでしょう。  この『一途』は12月24日より劇場公開の『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌となっています。その予告編はこちら。 情報提供:Ken・Houndさま

【ブログ記事】1991年10月4日にやっと発売された『時計じかけのオレンジ』のビデオソフトについてと、それまでは非合法な方法で非合法なブツとともに摂取されていたという「裏事情」

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肌色のボカシで修正された『時計じかけのオレンジ』の修正版ビデオソフト  当時多くのキューブリックファンが待ち望んだ『時計じかけのオレンジ』のビデオ化ですが、日本でそれが実現したのは1991年10月4日でした。価格は16,000円(税抜)。安い買い物ではなかったですが、発売開始と同時に買いに走ったファンも多かったと思います。訳は当時キューブリックの信頼を得ていた原田眞人氏が担当。ただ、残念ながら当時の社会情勢から無修正というわけにはいかず、肌色のボカシと一部モザイク処理がされていました。そして1997年になって、やっとニューマスターの「無修正版」が発売になり、これ以降DVD、BD、UHDまでこのフォーマットで定着しています。  当時の「性表現事情」を知らないとなかなか理解できないのですが、 wikiの「ヘアヌード」 の項目によると1991年頃に事実上の「ヘア(陰毛)解禁」となりましたが、それが社会的に認知され、定着するのはインターネットの普及が始まった1995年頃だそうです。これは管理人の記憶とも一致しますね。ですので1997年に無修正版がリリースされたというのはごく自然な流れだと言えると思います。  劇場で『時計じかけのオレンジ』が公開されたのは1972年4月29日、リバイバル公開が1979年8月11日。その後名画座などで公開(管理人は1985年頃に大阪の大毎地下劇場で鑑賞)されましたが、その機会を逃すと観賞できませんでした。アメリカではビデオソフト(もちろん無修正)が1980年に発売になっていますので、それを輸入するという方法もあったのですが、当時、無修正は税関で没収の対象でした。ですので、ケースは別の映画で中のテープは『時計…』という方法で税関逃れをする、ということもあったそうです。  それから、これはあまり褒められた話ではないのですが、事実として申し上げますと(もう時効だと思いますので)、当時一部の若者の間で『時計…』はドラッグ(主にマリファナ)を摂取しながら観る映画という認識がありました(同様の映画にピンクフロイドの『ザ・ウォール』、ビートルズの『イエローサブマリン』など)。管理人が実際にその現場を知っているか否かはご想像にお任せいたしますが、入手が難しかった海賊版『時計…』は特にその対象になりやすく、「アレが手に入ったから今度あそこで鑑賞会があるみたいよ」...

【関連記事】マイナビニュース会員による「宇宙が舞台のおすすめ映画20選」のアンケート結果が驚きの順位

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2001: A Space Odyssey(IMDb) 宇宙が舞台のおすすめ映画20選 - ラストフロンティアでのロマンが満載 民間の有人飛行も行われるようになったものの、まだまだ宇宙には解き明かされない謎が多く残されています。最後のフロンティアとして、宇宙は古くから多くの人々を魅了してきました。 そんな魅力的な舞台である宇宙は、映画のテーマにも最適。宇宙を舞台にした映画は数多く制作されています。そのジャンルも、スペースオペラから人間ドラマ、アクション、ホラー、コメディと多岐にわたり、名作も多数存在しています。 今回は、マイナビニュース会員の男女516名にアンケートを実施し、おすすめの宇宙をテーマにした映画について聞いてみました。 Q.あなたが人におすすめしたいと思った宇宙をテーマとした映画はありますか? 『はい』(62.8%) 『いいえ』(37.2%) 調査の結果、約3分の2にあたる63%近くの人がおすすめしたい宇宙映画があると回答しました。さらに、おすすめの宇宙映画を教えてもらったところランキングは以下の通りになりました。 〈中略〉 5位『2001年宇宙の旅』  スタンリー・キューブリックによる、華麗なる映像で描かれた宇宙叙事詩。猿人の進化から、人類の宇宙への旅、人工知能の暴走、木星でのモノリスとの邂逅などが先鋭的な映像で描かれる。まさにSF映画の金字塔という呼び名にふさわしい一作。 出演/ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダニエル・リクター 監督/スタンリー・キューブリック 公開年/1968年 ・「AIの暴走がこれからの世界では実際に起こりそうな感じがして、一種の警告のような感じがする」(66歳男性/その他/その他・専業主婦等) ・「未来を想像してわくわくした」(59歳男性/輸送用機器(自動車含む)/営業関連) ・「スケールやテーマが壮大」(57歳男性/その他/その他・専業主婦等) 〈以下略〉 (引用: マイナビニュース/2021年11月22日 )  うーん、なかなかオールドSFな順位でちょっとした驚きです。マイナビニュースとは就活・転職サイト「マイナビ」が運営するニュースサービスですが、回答しているのは「就活中」ではなく「転職中」の層が多いんでしょうね。回答例を見ると中年~シニア層ばかりです。おそらくこの結果はサイト運営者も予...

【パロディ】洋楽パロで有名なNHKの番組『ハッチポッチステーション』の再編集版『2001年(2004年)夢中の旅』のオープニングがやっぱり『2001年宇宙の旅』だった件

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 ある方面では非常に有名な、NHKの子供向け番組『ハッチポッチステーション』。動画説明文によると、2001年の元旦に放送された再編集版が2004年に再放送されたものだそうです。だから2004年という中途半端な数字なのに『2001年宇宙の旅』のパロディがオープニングなんですね。  2018年に公開され、大ヒットしたクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の影響もあってか、この『ハッチポッチステーション』の洋楽パロ(GUEENの『犬のおまわりさん』)が再び脚光を浴びたのも記憶に新しいですが、そもそもこの再編集版自体が「エド・サリバン・ショー」のパロディだし、「ヒッチコック劇場」も飛び出すわで完全にお子さまなんか相手にしていません(笑。  この番組で八面六臂の大活躍を見せているグッチ裕三さんですが、ギターはちゃんと弾けないようです(が、それっぽく頑張っています)。ですが、そういう点は差し引いても「童謡×洋楽」のマッシュアップは現在聴いても完成度が高い。個人的には前述した『犬のおまわりさん』もそうですが『あのこはだレイラ』『母さんのうた』『いっしゅうかん』、この動画にはありませんが『おうまの親子』あたりが好み。でも、『山口さんちのツトムくん』(What's going on→いつが都合いいの?)の衝撃度には及ばないかも。世界No.1クラスの大名曲をこんな風にしてしまう大暴挙なんて、いったい誰が思いついたのでしょう?(笑。それらパロディの密度に比べると、オープニングの『2001年…』のパロディはストレートすぎてイマイチですね。まあ、どちらにしても当時のお子さまはポカーンだったと思います。

【関連記事】史上最年少アカデミー賞女優テータム・オニールの人生を壊した父と薬と性暴力【毒家族に生まれて】

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『ペーパームーン』で共演したライアン&テータム・オニール  ーわずか10歳でオスカー像を手にしたハリウッドの天才子役は父の嫉妬と薬物に狂わされた  子役として華々しい経歴を持つ人物が、その後落ちぶれていく例は枚挙に暇がない。ハリウッドにおけるもっと有名な「堕ちた子役」といえば、テータム・オニールを置いて他にいない。10歳にしてオスカー像を手にした天才少女が、両親の堕落した生活と薬物、そしてレイプによって滅茶苦茶にされ、40年かけメンタルヘルスを取り戻した物語。 〈以下略〉 (引用元: ELLE/2021年10月15日 )  「テータム・オニールの人生を壊した父」とは、『バリー・リンドン』で主役を演じたライアン・オニールのことです。この記事ではいかにそのライアンが人格破綻者だったかを赤裸々に記述していますが、「毒家族シリーズ」と銘打たれているように、「毒親は継承されてしまう可能性がある」という観点からも非常に興味深い記事です。  キューブリックファンにとってライアン・オニールは「キューブリックのこだわりに振り回された俳優の一人」という認識ぐらいしかなく、長引く撮影に「娘のテータムが病気なんだ、帰らせてくれ」と懇願したという話から、てっきり良き父親なのだとばっかり思っていました。ところがこの記事はそのイメージを完全に覆すものです。まあ、素行が悪そうな雰囲気はキューブリックのドキュメンタリーに登場した際になんとなくは感じていましたが、ここまで酷いという認識はありませんでした。  ハリウッドがいかにドラッグと暴力にまみれているか、もしくはそれらがすぐ手の届くところにある場所なのか、ということを知識として知っていてもなかなか実感は沸かないものです。これを読むとキューブリックが映画製作に集中したいがためにハリウッドから距離を置き、イギリスに住み続けたというのもよく理解できます。それからもうひとつ、キューブリックは自作の主演俳優とは作品完成後も何らかの交流(電話が主だった)があるのが常(たとえトラブルになったとしても)だったのですが、ライアン・オニールとは一切そういう話がありませんでした。こんなに悪評まみれなら、キューブリックはそれを知っていたでしょうから、ライアンを避けるのは当然ですし、ライアンも薬と女に溺れるあまり、キューブリックと交流しようという考えなど微塵もなかっ...

【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』の主要特殊撮影スタッフ、コン・ペダーソンの功績とその後

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『2001年宇宙の旅』BDの特典映像『“2001年”の神話』でのコン・ペダーソン 『2001年宇宙の旅』で作業中のコン・ペダーソン  キューブリックがアカデミーに特殊視覚効果賞をノミネートする際、アカデミーに「1つの部門にエントリーは3人まで」と言われ、代表者である自分の名前を提出、いざ受賞が決まるとダグラス・トランブルが不満の意を表明した、というのはよく知られたエピソードです。そのキューブリックは、特殊効果で重要な役割を果たしたスタッフは4人で、その順番はウォーリー・ヴィーヴァーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン、トム・ハワードとしてエンドクレジットに入れました。この順番にペダーソンはトランブルの元上司だったので、部下に、しかもぺーぺーの若造に追い抜かれた形になるのは屈辱感を覚えたかもしれません。現にペダーソンは現場で実力と影響力を増すトランブルに対して、嫉妬ともとれる「言いがかり」をつけています。ですがその後、トランブルの功績の大きさを認める発言をしているので、ある程度「わだかまり」は解消されたのでしょう。(詳細は書籍 『2001:キューブリック・クラーク』 で)。  ペダーソンは1964年のニューヨーク世界博覧会のために制作された、シネラマ短編映画『To the Moon and Beyond』の特殊効果を担当し、キューブリックに引き抜かれて部下のダグラス・トランブル(トランブルは押し掛け女房的にイギリスに渡った)と共に『2001年…』に参加しました。担当は模型制作やスターゲート用のイラスト制作などでしたが、模型撮影を含む全ての特撮部門の管理責任者を任され、複雑な特殊撮影工程を完璧に管理するという、どちらかというとそちらの面での功績が大きかったようです。その後映画界からCM界に転身し、1971年にロバート・エイブルと共同で「ロバート・エイブル&アソシエーツ(RA&A)社」を設立、CG(コンピューター・グラフィックス)を大胆に導入した全く新しい映像表現で、CM界に一大センセーションを巻き起こします。そのCG表現(を模したアナログ的な手法も含め)のルーツは『2001年…』であったこと、そしてその現場で管理責任者をしていたペダーソンの経験がなければ、なし得なかったであろうことは間違いありません。それは以下の動画『ロバート・エイブルの世界』を観ても一目...

【考察・検証】キューブリックはなぜ『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンの撮影で、人工光を使用しないことにこだわったのか?を検証する

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Barry Lyndon(IMDb)  『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンは一切人工光(照明装置)使わず、すべて蝋燭の光だけで撮影したことはよく知られていて、よく語られます。ですが、実際は当時存在しなかった高輝度の蝋燭を特注で作らせたり、レフ版をつかって室内全体に光をいきわたさせたりと、多少「ズル」をしたことはあまり知られていません。単純に撮影の手間だけを考えればこれらは補助光を使えば済む問題ですし、実際蝋燭のシーン以外、例えば昼間の室内のシーンでは照明を使用しています(詳細は こちら )。  ではなぜキューブリックは、「ズル」をしてしまえば18世紀の夜の室内の「完全再現」ではなくなるとわかっていながら、蝋燭の光だけで撮影することにこだわったのでしょうか?それは以下の2つの理由が考えられます。 (1)人工光が存在しない時代が舞台であれば、それを「再現」する照明であるべきだと考えていたから。  『バリー・リンドン』が製作されていた時代、具体的には1970年代半ばに至っても「アメリカンナイト」(夜のシーンを昼間に撮影し、NDフィルターをかけて夜に見せかける)で撮影された映画が一般的でした。自然光(に見えるライティングで撮影する)主義者であるキューブリックは、その「嘘臭さ」「不自然さ」を嫌っていて、映画業界に一石を投じるつもりでこの「蝋燭光だけでの撮影」にこだわったのです。それは 「【関連記事】『エル・ノルテ 約束の地』の監督、グレゴリー・ナヴァが語った「キューブリックと働いた日々」」 記事でのグレゴリー・ナバ監督の証言が全てです。キューブリックは「いいかげん嘘くさくて不自然な照明はやめるべきだ」と業界にメッセージを発信したかったのです。 (2)「蝋燭光だけで撮影された作品」というキャッチコピーで観客の関心を惹きつけ、興行成績に寄与できると考えたから。  これはキューブリック本人がそう語ったソースはありませんので、管理人個人の推察になります。『バリー…』が興行的に苦戦することは、ナポレオン映画『ワーテルロー』の失敗から折り込み済みでした。だからこそ宣伝効果を狙ってオスカーを欲しがったのだし、この「蝋燭光だけで撮影」という触れ込みもその宣伝効果を狙ったであろうことは十分考えられます。キューブリックの思惑は見事に的中し、この「蝋燭光だけで撮影」というのは当時盛んに宣伝され、話...

【関連動画】『時計じかけのオレンジ』公開50周年&4K UHDリリース記念 マルコム・マクダウェルのインタビューで語られた、アンソニー・バージェスの小説版最終章の「真実」

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Well,I was interested to know what you thought about that, actually, because famously, Anthony Burgess loathed a little bit that Stanley Kubrick excised to that final redemptive chapter. Oh, bullshit. That's not what I was going to say. How did you feel about it but being true? Don't true. Let me just put this straight.Right.Burgess told me.I said, what about this chapter, which Kubrick said to me, don't read. Of course I read it.And it's ridiculous. You know, it was asked for by. I think the English publisher, not the American, and I may be wrong that so it's either the English or the American publisher said, oh my god, we can't finish here in a.You know, when he says I was cured, all right, we better make him, you know, a normal person. So. Right. So he whipped off you guys. Look, I can't I can't publish this unless you put this. Give me something. So Burgess just whipped it off.He didn't like it's not part of the book.And that's not the bo...

【関連記事】『エル・ノルテ 約束の地』の監督、グレゴリー・ナヴァが語った「キューブリックと働いた日々」

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Full Metal Jacket(IMDb) Gregory Nava(IMDb) 〈前略〉 -『アイズ ワイド シャット』のスペイン語字幕を作ったというのは本当ですか? いいえ、『フルメタル・ジャケット』のスペイン語字幕を作成しました。  クリス・ジェンキンスという素晴らしいミキサーと一緒にトッド-AO社でミキシングをしていたんです。ミックスをしている最中に、トッド-AO社の秘書が突然電話に出て「スタンリー・キューブリックからグレゴリー・ナバに電話です」と言ったんです。私は「冗談だろ?」と思いました。クリスは「冗談はやめてくれよ」と言いました。秘書は「いや、本当に彼です」と言いました。それでミックスを止めて電話に出ました。それは本当にスタンリー・キューブリックでした。彼は電話をかけるアシスタントを持たず、自分で直接電話をかけていました。  話をしてみると、彼は、映画が完成した後、自分の映画の海外版をすべて自分で監督していたそうです。彼は自分の仕事にとてもこだわりがあり、何でもやりたがる人でした。彼は、外国版の翻訳者を使うことが好きではなく、さまざまな国の映画制作者や作家と一緒に仕事をするのが好きだと言っていました。彼は、スペインのスペイン語とラテンアメリカのスペイン語の違いを理解しており、ラテンアメリカ版『フルメタル・ジャケット』では、ラテンアメリカのスペイン語を理解している脚本家や監督と仕事をしたいと考えていました。彼は『エル・ノルテ』の大ファンでした。彼はそれを気に入っていました。  それで『フルメタル・ジャケット』のラテン・アメリカのスペイン語に翻訳するために、一緒に働かないかと誘われて、スタンリー・キューブリックと一緒に仕事をすることになったのです。彼は、すべての単語とそのニュアンスにまで気を配るのです。そうしているうちに、メキシコのスペイン語とアルゼンチンのスペイン語には、違いがあることを知ったのです。  彼は私に電話をかけてきて、5時間も彼と電話をしていたんですよ。彼はとても熱心でした。やがて、とてもいい友達になって、『フルメタル・ジャケット』の字幕のことだけでなく、いろいろなことを話すようになりました。面白いことに、パンデミックの最中にガレージを漁っていたら、一緒に作業した字幕が全部出てきたんです。膨大な量の仕事でした。ですが私たちは、映画製作やカ...

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その2:カメラ、照明、ズーム、トラッキングショット、蝋燭の光のみでの撮影について]

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酔いつぶれた将校の役で出演しているジョン・オルコット(左) ( 「その1」 より) ーアメリカン・シネマトグラファー誌:このカメラ(アリフレックス35BL)の印象を教えてください。 ジョン・オルコット:素晴らしいカメラだと思います。私にとってはカメラマンのためのカメラですが、それは主に光学システムが非常に優れているからです。光学システムの中には、他のシステムよりもはるかに誇張されたトンネル効果(映像の周辺暗く中心部が明るい映像)が得られるものがあります。先日、映画館にいるような気分になれるという理由で、長いトンネル効果を好む人物に出会ったことがあります。個人的には実際の映像で隅々まで見える方が好きですね。それができるのはアリフレックス35BLだけだと思います。このカメラのもう一つの特徴は、文字通り指先で絞りのコントロールができることです。一般的なカメラよりもはるかに大きな目盛りがついているので、細かく調整することができます。この機能は、スタンリー・キューブリックと仕事をするときには特に重要です。彼は、太陽が沈もうが沈むまいが撮影を続けたがります。『バリー・リンドン』では、バリーが幼い息子に馬を買い与えるシーンで、太陽が出たり入ったりしていました。これに対応しなければなりません。太陽が入ってきたからカットする、というような古い考え方はもう通用しません。 アリフレックス35BLで撮影するキューブリック ーその代わり、撮影中に絞りの開き具合を変えて乗り切ろうとするわけですね?  そう、だからこそアリフレックス35BLにはメリットがあるのです。絞りの調整が他のカメラよりも細かいので、実際に撮影しながら光の変化に対応できるのです。一般的なレンズでは、1つの絞り値と次の絞り値の間に大きな距離はありません。アリフレックス35BLのレンズでも実際にはそうではありませんが、外側のギア機構がスケールを大きくしているため、より正確な調整が可能になっています。1/4インチの動きが1インチの動きになるようなものです。 ー本作でのズームレンズの使用については?  ああ、そうですね。かなり使いました。アンジェニューの10対1ズームをアリフレックス35BLで使用し、エド・ディジュリオのシネマ・プロダクツ社製「ジョイスティック」ズームコントロールを併用しましたが、素晴らしいものでした。これは非常に重...

【関連記事】『バリー・リンドン』のサントラにも参加した、2021年10月11日に逝去したアイルランドの民族音楽バンド「ザ・チーフタンズ」のリーダー、パディ・モローニのインタビュー

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クイン大尉とノラのダンスシーンに使用された『パイパーズ・マゴット・ジグ』 【インタビュー】ストーンズと共演、キューブリック映画にも参加!生ける伝説、ザ・チーフタンズの偉大な歴史を辿る 〈前略〉 ──それが今では、日本を含めて世界中の人びとが熱心にアイリッシュ・ミュージックを聴いていますね。またロックやポップスにも、ケルト音楽のテイストを感じさせるものは少なくありません。これはまさに、ジャンルを超えて世界中のミュージシャンと共演してきたチーフタンズの功績なのでは?  たしかにこの半世紀で、状況はかなり変わったよね。1つには、僕らはラッキーだったと思う。人柄も才能も備えたメンバーと巡り会えたし、トラッド畑以外のミュージシャンも僕らのアンサンブルに興味を持ってくれた。60年代後半にはローリング・ストーンズのミック・ジャガーがアルバムを他のメンバーに薦めてくれたし。  ジョン・ピールというBBCの名物DJは、ザ・チーフタンズの曲をビートルズやストーンズと同じ扱いでかけてくれたんだ。あと、これもやっぱり1975年だけど、スタンリー・キューブリック監督の映画『バリー・リンドン』に参加したのも大きかったな。僕らの曲が劇中で大々的に使用され、作品はオスカーで4部門を受賞した。そうやって世界の多くの人が、アイルランド伝統音楽の素晴らしさや懐かしさを知ってくれたんだ。 〈以下略〉 (引用元: Quetic/2017年10月12日 )  2021年10月11日、アイルランドの民族音楽バンド「ザ・チーフタンズ」のリーダーであり、唯一のオリジナル在籍メンバー、パディ・モローニが逝去いたしました。そのパディの来日時のインタビューがありましたのでご紹介。  ザ・チーフタンズは『バリー・リンドン』のサウンドトラックに『愛のテーマ』『パイパーズ・マゴット・ジグ』『海の乙女』の3曲を提供しています。結果、アカデミー賞歌曲賞を受賞(受賞者はレナード・ローゼンマン)するのですが、そのことが「ザ・チーフタンズにとって大きかった」と語ってくれているのはとても嬉しいですね。  故人のご冥福をお祈りいたします。

【関連商品】『2001年宇宙の旅』のHAL 9000のようなデザインのファズ・ペダル、その名も「TMA-1 Fuzz」が登場

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  映画『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』のファンにはたまらない名前とルックスの「TMA-1 Fuzz」は、4ステージ仕様のトランジスター・ファズ。2ステージ目と3ステージ目に歪み用のダイオードを2種類搭載し、トグル・スイッチの切り替えによって、バリエーション豊かなファズ・サウンドが得られるのが特徴です。3ポジションのトグル・スイッチは、上方向でゲルマニウム・ダイオード、下方向でシリコン・ダイオードが有効になり、真ん中はバイパスという仕様。このスイッチが2つ備わっているので(2ステージと3ステージ)、3×3で9通りの組み合わせを選択できることになります。加えて上部の3つノブでは、ボリューム、トーン、ゲインを調整することが可能。歪み量に応じて点灯する赤色のランプも備わっています。  「TMA-1 Fuzz」の販売価格は199ドルで、出荷は2021年12月初旬を予定しているとのこと。さらなる詳細は、Acorn AmplifiersのWebサイトをご覧ください。 (引用: ICON/2021年10月16日 )  まず「ファズ」とは何か?ということなのですが、エレキギターはアコースティック・ギターとは異なり、単体では音を出すことができません。ですのでシールドと呼ばれるコードでギターアンプに繋げて音を出すのですが、アンプは基本的には音を増幅する装置です(話をわかりやすくするためにそう説明させてください。汗)。では「バリバリ」という歪んだ音や「ワーン」というエコーなどの音色はどうするかというと、ギターとアンプの間に「エフェクター」という小型の装置を挟み(かませると言います)、その装置についているノブやスイッチを調節して音を「作る」のです。で、そのエフェクターにはいくつか種類があり、その中でも音をバリバリと歪ませる役割を持つものを「歪(ひず)み系」と言い、その歪みの程度によって大きく3種類に分かれます。軽い歪みの「オーバードライブ」、そこそこ歪む「ディストーション」、がっつり歪む「ファズ」。つまりこの「TMA-1」はギターの音をがっつり歪ませるファズの新製品、ということになります(ついてこれていますでしょうか・・・汗)。ファズ使いで有名なギタリストといえば何と言ってもジミ・ヘンドリクス。ジミヘンの動画をご覧いただければ、ファズの音がどんな...

【考察・検証】原作? ノベライズ? 小説版? アーサー・C・クラークの小説『2001年宇宙の旅』の立ち位置を正しく理解する

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左から『宇宙のオデッセイ2001』と題された初版。映画と同タイトルの再発版。全面改訂・新訳の決定版   アーサー・C・クラークが映画公開後の1968年7月に発表した小説『2001年宇宙の旅』について、「原作」と呼ぶべきなのか、「ノベライズ」と呼ぶべきなのか・・・。一時期ファンの間で問題になったこの話題も、現在では「小説版」と呼ぶことで一定のコンセンサスを得ています。それは後年映画の製作経緯がはっきりしたからですが、このことをご存知のない方は、いまだに「原作」「ノベライズ」と呼ぶことがあるように見受けられます。ですので、その製作経緯を以下に記して、その誤解を解きたいと思います。  まずはアーサー・C・クラークによる『2001年宇宙の旅』制作秘話『失われた宇宙の旅2001』からの引用から。  わたしのほうは1964年時点では、漠然と意識しているに過ぎなかったが、スタンリーは百も承知だった。彼はこう提案した。シナリオという骨折り仕事にかかるまえに、想像力を自由にはばたかせ、まず長編小説を書いてストーリーをふくらませようじゃか。〈中略〉というわけで理論上は小説がまず書かれ(片方の目はスクリーンを気にしつつ)シナリオはそれを元につくられることになった。  このように当初はクラークが小説を書き、完成させ、それを元に映画のシナリオを作る予定でした。この通りに作業が進んだのならクラークの小説は「原作」となりますが、実際はそう簡単ではありませんでした。キューブリックは1964年12月25日、一旦完成した(この時点ではボーマンがスターゲートに到着したところまで)小説『星の彼方への旅(仮題)』を、1965年2月の記者発表の後にボツにし、ストーリーの練り直しを命じたのです。その結果、  じっさいには、ことははるかに複雑化した。(映画製作の)終わりごろには小説とシナリオは同時進行となり、フィードバックは相互に行われた。小説の初期の稿にもとづいてシナリオができ、それをもとに撮ったラッシュ(フィルム)を見て、最終稿を手直しするといったようなことを各所でくりかえした。(以上『失われた宇宙の旅2001』より) ということになりました。ただ、小説は1966年の夏にはほぼ完成していたらしく、クラークはキューブリックに出版許可のサインを求めるのですが、キューブリックはこれを固辞。これはおそらく小説...

【関連記事】SCREEN読者が選ぶ『私の好きなSF映画』はコレだ!【アンケート結果発表】『2001年宇宙の旅』は何位?

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IMDb - 2001: A Space Odyssey(IMDb) SCREEN読者が選ぶ『私の好きなSF映画』はコレだ!【アンケート結果発表】  SCREEN9月号で募集した『あなたの好きなSF映画は?』の読者アンケート結果をここに発表!まさに王道というべき大ヒットSF作品が並びました。もし未見という人がいたら、これだけは見ておくべきラインナップです! 『スター・ウォーズ』シリーズ(1977~2019) 『E.T.』(1982) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985 ~ 1990) 『ターミネーター』シリーズ(1984~2019) 『レディ・プレイヤー1』(2018) 『ブレードランナー』(1982) 『2001年宇宙の旅』(1968) 『インターステラー』(2015) 『エイリアン』シリーズ(1979 ~ 2017) 『スター・トレック』シリーズ(1979 ~2016) 〈以下略〉 (引用元: SCREEN ONLINE/2021年10月12日 )  いわゆるエンタメ系SF映画(シリーズ)ばかりが並んだという印象ですね。評論家筋やSFマニアに評価の高い『ブレードランナー』『インターステラー』の順位が低いのは読者層を反映してのことでしょうか? そんなエンタメ系SF映画の中で『2001年宇宙の旅』が7位に入るというのは画期的だと思います。このことからも昨今の「キューブリック・リバイバル」の影響の大きさを感じさせます。クリストファー・ノーランなど若い世代の監督によるリスペクト、アパレル展開による若い世代への浸透などが原因として考えられますが、もちろん最大の要因は作品のパワーが落ちていないこと。クラークは「(当時の宇宙開発競争によって)10年くらいは時代遅れや爆笑ものにならない作品」と語っていましたが、なんのなんの実に50年以上も現役!しかもここに挙がったトップテン作品の「全てが何らかの影響を受けている」んですから、実にとんでもない作品です。  おそらく『2001年宇宙の旅』は、これからも新しい世代のクリエーターを(視聴機会さえあれば)刺激し続けるでしょう。順位など超越したまさに「原点にして頂点」と言える作品だと思います。

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

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ロサンゼルスに開館した「アカデミー映画博物館」  『ミッドサマー』のフラワードレスやジブリ特別展も!オープン目前のアカデミー・ミュージアム、映画史を彩る展示物を徹底レポート  現地時間9月30日、映画の都ロサンゼルスに、満を侍してアカデミー・ミュージアムが開館した。開館に先立ち報道機関向けに開催されたプレスデーでは、『ピッチ・パーフェクト』(12)のアナ・ケンドリックが司会を務め、トム・ハンクスや『パラサイト 半地下の家族』(19)のプロデューサーであるミキ・リー、アカデミー・ミュージアム館長のビル・クレイマーらが開館会見を行った。 〈以下略〉 (引用元: MOVIE WALKER Press/2021年10月1日 )  少し前の記事ですが、『2001年宇宙の旅』アリエス1B宇宙船の撮影モデルと、月面用宇宙服の展示風景画像が見れますのでご紹介。  管理人がこのミュージアムのことを知ったのは この記事 からですが、過去にはこんな(下記参照)パロディ広告もアカデミーはやっているんですよね。だから、いいかげんキューブリックに名誉賞的なものを以下略。

【考察・検証】キューブリックがマルチアスペクトでの収録を指示した『博士の異常な愛情』クライテリオン版LDと、「核爆弾ロデオ」シーンのマユツバな話

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ヨーロッパビスタでの表示。劇場公開時はこのアスペクト比だった スタンダードでの表示。このアスペクト比で表示されれば、左右カットで再生(放映)されるリスクはない 当該のクライテリオン版レーザーディスク(LD)   キューブリックがワイドのマスクをNGにし、マルチアスペクトでの表示を指示した『博士の異常な愛情』クライテリオン版LDの詳細がありましたのでご紹介(引用元は こちら )。発売は1992年6月24日です。   『博士の異常な愛情』のwiki には この処置で破棄された効果の最たるものは、核爆弾と共にコング少佐が落下して行く場面でビスタサイズの背景に対し1:1.33で撮影された爆弾と少佐がはみ出し、光学合成で人為的に作られたフィクション、あるいはジョークを強く意識させる点である。 とあります。これは「通説」であり、キューブリック本人がそう発言したわけではありません。キューブリックは「1.33:1(正確には1.37)および1.66:1のマルチアスペクトで映像を表示しろ」と指示しただけです。  この件に関しては こちらの記事 で検証した通り、キューブリックが危惧したのは当時のブラウン管テレビ、すなわちスタンダードサイズでの再生時に、ワイド映像の左右カットで再生されてしまうのを恐れていたからではないかと考えます。この頃(1994年)のキューブリックはTVオンエアやビデオ化を睨んで「撮影はスタンダード、劇場上映は上下マスクのワイド(アメリカンビスタ)」というフォーマットで映画製作をしていました。この『博士の異常な愛情』もそれに準じ、スタンダードの映像でビデオ化しておけば、ワイド映像の左右カットで視聴される危険性がないと考えたのではないかと思います。wikiにある指摘、「光学合成で人為的に作られたフィクション、あるいはジョークを強く意識させる点である」は、TVで視聴している時ならともかく、ワイド(この時代はヨーロッパビスタ)で劇場上映された際にはそうなりません。もしキューブリックが通説通り「ジョーク」としてこのシーンを作ったのなら、劇場でもスタンダードで上映しろという指示があるはずです。しかしそういった事実はありません。この点からもこの「通説」は破綻していると私は考えます。ですので、こんな説得力のかけらもない「通説」は誤解を生むので、wikiから削除していただきたい...

【プロップ】『時計じかけのオレンジ』に登場したヌードテーブルの初期案やヌード自動販売機の画像

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 画像は全て『フルメタル・ジャケット』25周年記念BDにパッケージされていたドキュメンタリー、『STANLEY KUBRICK'S BOXES』からのキャプチャになります。  キューブリックはアレン・ジョーンズにデザインを断られた後(詳細は こちら )、リズ・ムーアにこのヌードマネキンの制作を託すのですが、当初はかなりリアル寄りだったことがこれでわかります。ポーズも採用されたものと異なりますね。キューブリックはここまで完成していても「ボツ」にしてしまったのですが、その理由は想像ですがやはり厳しいレイティングを嫌ってのことだったと思います。是が非でもX指定を免れたかったキューブリックは、より穏当な、マネキンに近いデザインを目指したのではないでしょうか。  それは、ヌード自動販売機のスイッチに採用された「陰茎型スイッチ」にも見て取れます。当初のデザインは これ と これ でした(リアルなので閲覧注意)。まあ、ここまで気を使っても結局はX指定だったわけですが、公開をいったん中断してまで再編集し、後に念願のR指定を勝ち取るわけですから(詳細は ここ で)、キューブリックってやっぱり執念深いと言うか諦めが悪いと言うか(笑。でもその「諦めの悪さ」が今に語り継がれる数々の名作を遺した一因でもあるので、ファンは文句言っちゃいけませんよね。 『時計じかけのオレンジ』に登場した「コロバ・ミルクバー」 コロバ・ミルクバーに置かれていた麻薬入りミルク自動販売機「ルーシー」

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その1:ロケーション撮影、フィルター、照明、ネガフィルムについて]

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ポラを確認するジョン・オルコットと、ファインダーを覗くキューブリック スタンリー・キューブリック『バリー・リンドン』の撮影について (1976年のインタビュー) 〈前略〉 ーアメリカン・シネマトグラファー誌:スタンリー・キューブリックとは3本の映画で仕事をしていますね。『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』そして今回の『バリー・リンドン』です。その関係について教えてください。 ジョン・オルコット:私たちは非常に親密な関係にあり、その関係は『2001年宇宙の旅』から始まりました。私はジェフリー・アンスワースのアシスタントをしていましたが、ジェフリーが最初の半年で辞めてしまったので、私が引き継ぐことになりました。つまり、スタンリー・キューブリックが私に有名になるきっかけを与えてくれたのです。私たちの仕事の関係が緊密なのは、撮影に対する考え方がまったく同じだからです。本当に見解の一致した撮影をしています。 ー『バリー・リンドン』の事前計画段階ではどうでしたか?  例えば蝋燭の明かりのように、写真的なアプローチや効果の可能性を試すことが多かったです。実は『2001年…』の後にスタンリーが『ナポレオン』の撮影を計画していたときにも、蝋燭の明かりだけで撮影しようという話があったのですが、その頃は必要になる高感度レンズを持っていませんでした。また『バリー・リンドン』の撮影準備では、オランダの巨匠たちの絵画に見られる照明効果を研究しましたが、少し平面的な印象を受けたので、横からの照明を足すことにしました。 ー『時計じかけのオレンジ』と『バリー・リンドン』両作品をキューブリックの元で撮影しましたが、この2つの作品の撮影スタイルは明らかに異なっています。この2つの撮影を比較して、そのスタイルの違いをどのように表現しますか?  『時計じかけのオレンジ』では、より暗く、よりドラマチックなタイプの撮影が行われていました。この作品は1980年代(※1990年代の間違い?)という先進的な時代を舞台にした現代的な物語ですが、実際にはその時代が特定されているわけではありません。その時代では、非常に冷たく、荒々しい撮影のスタイルを必要としました。一方、『バリー・リンドン』は『時計じかけのオレンジ』に比べて絵画的で、光と影の表現がよりソフトで繊細なものになっています。私の考えでは、『バリー・リン...