【関連動画】ヴァル・キルマーが直接キューブリックに手渡すために渡英までした『フルメタル・ジャケット』のオーディションビデオ


動画は削除されました。上記はドキュメンタリー『VAL』の予告編で、件のオーディションビデオが登場しています。

  ヴァル・キルマーといえば一般的には『トップガン』のアイスマン役ですが、個人的には『ドアーズ』のジム・モリソン役が印象深いですね(ちなみにドアーズファンにはこの映画はすこぶる評判が悪いが、ヴァルのそっくりさん演技は評価されている)。そのヴァルがキューブリックに渡した『フルメタル・ジャケット』のオーディション・ビデオがありましたのでご紹介。ソースはヴァルの自伝的ドキュメンタリー『VAL』からです。

 このオーディションテープはおそらく1985年くらいに撮影されたものだと思いますが、ヴァルはこのビデオをキューブリックに直接渡したくてロンドンに飛んだそうです。動画では「直接渡した」となっていますが、キューブリックは秘密主義者で、製作中は直接の関係者以外は会いたがらないことから、本人ではなく、本人に近い関係者に渡した可能性もあります。そのくらいヴァルが『フルメタル…』での役を渇望していたのは、最初のシーンでネズミの耳をつけていることからも伺えます。原作では(映画でも)ネズミ(ミッキーマウス)=海兵隊員ですからね。

 結局ヴァルは採用されず、代わりに『トップガン』に出演し名声を得ることになるのですが、その『トップガン』のオファーを断ったマシュー・モディーンが、『フルメタル…』主役のジョーカーを演じることになりました。結果だけ見ればオーライということになりますが、このようにキューブリック作品に出たいと考える俳優はゴマンといたのです。たとえ大量のテイクと長期間に及ぶ撮影、自分のアイデアをその一滴まで搾り取られるとわかっていてもです。キューブリックの俳優に対する扱いが酷いと揶揄するばかりで、その意図を正しく伝えないのは、それを知らない単なる無知なのか、もしくは知っていても刺激的な見出しでアクセス稼ぎをしたい低質な迷惑YouTuberか、その迷惑YouTuberレベルの自称映画評論家か解説者だと思っていただければ良いかと思います。まったくもって「迷惑」な話ですね。

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