【原作小説】Amazon Kindleにサッカレーの小説『バリー・リンドン』が新訳で登場。しかも398円の超破格値!

バリー・リンドン: アイルランド落ちぶれ貴族の波乱万丈の生涯 (Amazon)

 状態にもよりますが、当時460円の角川文庫版・深町眞理子訳の小説『バリー・リンドン』が4000円程度からとプレミア化している現在、なんとAmazon Kindleに19世紀堂書店より『バリー・リンドン: アイルランド落ちぶれ貴族の波乱万丈の生涯』として登場しています。しかも読み放題のkindle unlimited加入なら無料、購入でも398円と破格の安さ!

 では、その新訳のデキはどうなのかというと、比較は以下の通り。



第1章 我が家系と家族優しき情熱の影響を受ける

情熱

 アダムの時代以来、この世で起こった災厄のほとんどには、 必ずと言っていいほど女性が関わっている。 我 がバリー家が家系として存在し始めた時(それはアダムの時代にほぼ近いほど古く、 誰もが知るように高貴で由緒ある家柄である)から、 女性たちは我が一族の運命に多大な影響を与えてきた。

 ヨーロッパ中で、 アイルランド王国のバリー・オブ・バリューグ家の名を知らぬ紳士はいないだろう。 グウィリムやドジエの記録にもこれほど有名な家名は見当たらない。 世慣れた者として、私は靴磨きの下僕同然の系図しか持たない成り上がり者たちの高貴な血統主張を心底軽蔑し、 アイルランドの王族の末裔だと吹聴する同胞たちの自慢話を嘲笑するが、 真実を述べるなら、 我が家系はこの島で最も高貴であり、おそらく全世界でもそうであった。 戦争、裏切り、 時の流れ、 祖先の浪費、 古い信仰と君主への忠誠によって、今は 取るに足らないほど縮小した我が家の所領も、かつては驚くほど広大で、アイルランドが現在よりはるかに繁栄していた時代には多くの州を包含していた。 私は紋章にアイルランド王冠を掲げたいところだが、それを称し陳腐化させている愚かな詐称者があまりにも多い。

 女性の過ちがなければ、 今頃私はその王冠を戴いていたかもしれない。 あなたは疑いの目を向けるだろう。 なぜ不可能だと言える?もしリチャード2世に膝を屈した腰抜けどもではなく、勇敢な指導者が我が同胞を率いていたなら、 彼らは自由の身となっていたかもしれない。 残忍なならず者オリバー・クロムウェルに対抗する決然たる指導者がいたなら、 我々は永遠にイギリスの軛を振り払えたはずだ。 しかし僭称者に対抗するバリー家の姿はなかった。 むしろ私の祖先シモンドバリーは、最初に名を挙げた君主と共に渡来し、 当時のマンスター王の娘を娶ったが、 その王の息子たちを戦場で情け容赦なく討ち取ったのである。

ー対して深町眞理子訳

1.わが家系と家族―代々女難をこうむること
 
 けだし、アダムの昔より、この世におけるさまざまな災いのうち、女性がその因をなしていなかったものは皆無と言ってよかろう。わが一族においても例外ではなかった(そして、わが一門 が一門としてのかたちをととのえたのは、ほぼアダムの昔にさかのぼることは間違いない わがバリー一族は、周知のごとく、それほど古く、由緒ある、高貴な血筋の一門なのだ)ーとまれ、その昔から、女性はわが一門の運命にたいし、重要なる役割を果たしてきたのである。

 およそ、ヨーロッパの紳士階級を名乗るもので、アイルランド王国はバリオーグの、バリー一族のことを耳にしたことのないものは、絶無であろう。グウィリムやドジェの名鑑にも、これ以上著名な一族の名は見いだすことができない。そして、世間というものを多少は知ってきた人間として、これまでつねにわたしが、わたしの靴を磨く従僕ほどの家柄しか持たぬ一部の僭称者が、高貴の生まれであることを主張するのを心から苦々しく思い。かつまた、アイルランド王家の出であることを証明するためなら水火をも辞さぬという多くの同国人や、ほんの豚一匹を養うにも足りぬ領地を、あたかも公爵領であるかのように吹聴する彼らの法螺話を、心からなる軽蔑をもって笑いとばすことを身上としてきたが、そのわたしにして、やはり真実にたいして目をおおうことはできない。その真実とは、すなわち、わが一族こそは、この島国において、いや、おそらくはこの広い世界において、もっとも高貴なる家柄であり、その所領は、現在でこそ、度重なる戦争のため、裏切りのため、はたまた時流に乗りそこねたため、先祖の浪費のため、古めかしい宗教と君主への忠誠のため、ことごとく試算してはて、取るにも足らぬものになっているとはいえ、 かつてアイルランドが現在よりはるかに隆盛であった時代には、それはきわめて厖大なものであ り、幾多の州を擁していたという事実である。 なろうことならわたしは、家紋にアイルランド王家の王冠を冠したいぐらいだが、あいにく世間には、その栄誉を僭称する愚か者どもが大勢いて、 勝手にそれを家紋にし、ひいてはその価値を引きさげてしまっているのである。

 そもそも、あるひとりの女性の過ちがなかったなら、いまごろわたしの頭上にはその冠が輝いていたかもしれないのだ。ほう、驚いておられるようだ。 では問うが、そうであってはならない理由がどこにあろう?もしも、リチャード二世王の前に膝を屈した腰抜けどものかわりに、わが同胞を率いて戦う勇猛なる族長がひとりでもあったなら、彼らは自由民のままでいられたかもしれない。もしも、果敢なる指導者がひとりでもいて、かのオリヴァー・クロムウェルなどという奸悪なる佞人に立ち向かっていたなら、われわれは永久にイングランド人どもを厄介払いできたに相違ない。だが悲しいかな、この簒奪者に立ち向かうバリーは、野にひとりもいなかった。 それどころか、わが先祖たるシモン・ド・バリーこそは、前述の専制君主とともにこの国に渡ってき、当時のマンスター王の娘と結婚したあげくに、一方では戦いの野において、義父の息子たちを情け容赦なく殺戮した張本人なのである。



 うーん、機械翻訳を多少手直ししただけの感じの文章でやたら読みづらい。しかも修飾語を省いているせいでニュアンスが全く伝わらない。さらに文章が横組みなので小説を読むには違和感がある。この比較から言えることは、おそらくAIを使っているだろう自動翻訳は、現状では事実関係を伝える記事や無味乾燥な学術論文などには有効かもしれないが、文学作品にはまったく向いていないということになります。

 正直、いくら破格値だとはいえ、このkindle版『バリー・リンドン』を全編読み通す自信は私にはありません。しかも全389ページにこの長編が収まるのか疑問(深町版は500ページほどある)。まあそれは読解力の低い私自身の問題なのかもしれませんので、リンク先にあるサンプルを全文読んでいただいてから購入の有無の判断していただきたいと思います。

情報提供:Gakiさま

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