投稿

【関連動画】キューブリックのルック社時代の写真集『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』の紹介動画

イメージ
動画は全ページ紹介していますので、ネタバレを回避したい方は視聴をご遠慮ください(音量注意)  キューブリックのルック社時代の写真集 『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』 を入手しましたので紹介動画を作りました。かなりのボリュームと重さなので、届いた時は驚きました。内容はキューブリックのルック社時代の取材写真と、その掲載ページが時系列で紹介されていて、キューブリックの「ポートフォリオ」を見ているような、そんな一冊になっています。  ここに採り上げられているのは主なものだけで、キューブリックはルック社在籍時に残っているだけで15,000枚もの写真を撮影しています。その全ては ニューヨーク市立博物館の検索ページで「Stanley Kubrick」と検索すれば見ることができる のですが、あまりにも多いのでダイジェストとはいえ、写真集として見ることができるのはありがたいですね。  2005年に刊行された 『スタンリー・キューブリック ドラマ&影:写真1945‐1950』 はかなりアート寄りな切り口でしたが、今回は「報道カメラマン」としてのスタンスでまとめられています。当時のキューブリックの実像としてはこちらの方が正しいので、個人的には本書の方をおすすめしたいです。『ドラマ&影』も悪くはないのですが、ちょっと大上段に構えすぎのような気がしますので。  ひとつ気がかりなのはネット全盛の現代で、「ルック」という報道写真誌がどこまで理解されているか、という点です。日本では「グラフ誌」と呼ばれ、アサヒグラフや毎日グラフといった雑誌が出版されていましたが、今世紀に入ってすでに廃刊になっています。当然雑誌なので、売らんがためのセンセーショナリズムやヤラセ、仕込み、恣意的な編集などの「演出」はあって当然ですし、「報道」と言いながら戦前・戦中にはプロパガンダに利用されていました。そういうメディアであったことをよく理解した上で、キューブリックが撮った(撮らされた)これら写真の数々を鑑賞すべきでしょう。  キューブリック本人もこれらの写真を「アート」だとは1ミリも考えていなかったはずです。そんな「制限」の中でもキューブリックらしい視点や切り口、構図やライティングは散見されます。日本で言えば高校在学中(16歳)から高校卒業時(...

【インスパイア】キューブリック的なカメラワークが頻出するアークティック・モンキーズのMV『Four Out Of Five』

イメージ
アークティック・モンキーズ、新作より「Four Out Of Five」のMVを公開  約5年ぶりの新作『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』をリリースしたばかりのアークティック・モンキーズが、アルバムからのリード・トラック「Four Out Of Five」のMVを公開した。  監督を務めたアーロン・ブラウン&ベン・チャペルは、2013年の前作『AM』に収録された「R U Mine?」や、「Why’d You Only Call Me When You’re High?」も手がけたコンビで、撮影は英ヨークシャーにて敢行。既にファンの間では、スタンリー・キューブリックの世界観を思わせると話題になっている。 〈以下略〉 (引用元: Rolling Stone/2018年5月14日 )  キューブリックが好んで使用したカメラワークといえば「横移動・前後移動のドリーショット」「ローポジションのステディカム」「広角レンズによる手持ち撮影」「ゆっくり、もしくは素早いズームイン・ズームアウト」などですが、このMVにはそのほとんどが使われています。しかも「一点透視でシンメトリーな構図」や「一瞬のインサートカット」まで登場。車の運転シーンのチープなリア・プロジェクションは『時計…』への、鍵のアップや二人の女の子は『シャイニング』へのオマージュでしょう。さらにロケ地は『バリー・リンドン』でリンドン家の邸宅の外観として使用されたカースル・ハワード。これで馬まで登場するとなると、もう確信犯としか言いようがありませんね。

【関連動画】『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹を演じたR・リー・アーメイへの追悼動画『THE GUNNY』

イメージ
 2018年4月15日、74歳で亡くなった「ハートマン軍曹」「ザ・ガニー(軍曹)」ことR・リー・アーメイへの追悼動画がアップされていましたのでご紹介。  アーメイが演じた『フルメタル…』のハートマン軍曹は、ドリル・インストラクター(教練指導官)像を象徴するものとして、これからも永遠に語り継がれることでしょう。 だが肝に銘じておけ。 海兵は死ぬ。死ぬために我々は存在する。 だが海兵は永遠である。 つまり ― 貴様らも永遠である!! The Gunny, R.I.P.

【パロディ】『ファインディング・ニモ』に登場するサメのブルースが『シャイニング』のジャック・トランスだった件

イメージ
  この記事 を見るまで、全く気づきませんでした(汗。所有している吹き替え版DVDを確認しましたが、確かに「ブルース様のお出ましだ!」と言っていますね。つまり訳者は元ネタを意識して訳したことになります。原語で聞けば一発で気がついたんでしょうけど、吹き替え版だとちょっとわかりづらいですね。当然ながら『ファインディング・ニモ』はピクサー映画で、監督の一人は・・・そう、 リー・アンクリッチ 。いや、彼は『シャイニング』好きすぎでしょう!

【パロディ】『シャイニング』のパロディCMまとめ

イメージ
 まずは当時ちょっと話題になった、イケア・シンガポールのハロウィンCMから。シャワーカーテンから覗く人影、転がるボール、カーペットで三輪車のタイヤの音が変わる、REDRUG、All work and no sleep makes life dull.(仕事ばかりで睡眠不足だと人生は退屈になる)、ダイニングテーブルには骸骨に模したマネキン、237の数字、流れてくるジャズスタンダード、落ちているバット、散らばる缶、ベッドの上のクマのぬいぐるみは犬男のつもりでしょうか?かなり再現度は高く、凝っていますね。オチは・・・まあ、こんなものでしょう(笑。シンガポールのイケアは夜の11時まで営業しているそうですが、そんな夜中にあんなだだっ広いイケアには行きたくないですね。  次はオーストラリアの映画雑誌、『FILM INK』のCM。・・・なんのヒネリもないですね(苦笑。  次にイギリスのDIY会社『B&Q』のCM。日本だったらDIYの会社なのに「ドアを壊す」という演出にはまずOKが出ないでしょうね。でもウェンディ役の女優さんはちょっとシェリーに似ています。  次に『Premire Inn』のCM。イギリスのホテルチェーンのようですが、これもドアを壊すって・・・。強盗をイメージさせますので日本じゃまずあり得ません。  次は全米乳飲料加工業者連盟が展開する『Got Milk? キャンペーン』のCMです。もうここまでくると単に広告代理店が『シャイニング』のパロディをやりたかっただけのような気がしてきます。  次はアメリカのビール会社、グレインベルト・ビールのCM。まあビール会社ですからね、こうなる展開は予想できますが、オチの奥さんの笑顔が怖過ぎ(笑。小説『シャイニング』の着想元になった『ジョン・レノンの『インスタント・カーマ』で、エンドロールももちろんパロディ。ここまで徹底してもらえればかなり楽しめます。  そして最後は有名どころでマイクロソフトの検索サービス『Bing』のCM。さすがマイクロソフトだけあってお金はかかってそうですね。でも、言いたい事はわかるのですが『シャイニング』のパロディである必然性は全くないような。  とまあ、こんな感じですが、動画サイトにアップされているだけでこれだけあるので、全世界中では一体いくつあるんでしょうか?さすがに「全部載せるとなると膨大なリスト...

【考察・検証】『シャイニング』のラストシーンの意味を考察する

イメージ
 『シャイニング』は、1921年のアメリカ独立記念日のパーティーの写真に写り込むジャック・トランスの写真のズーム・アップで終わります。BGMはアル・ボウリー・アンド・ヒズ・バンドの『真夜中、星々と君と』。まずはこういった要素を書き出して、さらにそれをどう解釈するか私論を立ててみました。なお、これは以前 この記事 で考察した「オーバールックホテルに巣食っている悪霊の正体は、かつてここを聖地としたネイティブ・アメリカンの怨霊」という論に基づいていますので、その点はご了承ください。 (1)写真の日付についての考察[その1]  1921年のアメリカというのは禁酒法の時代で、一般的には飲酒は禁じられていたという印象がありますが、実はこの禁酒法はとんでもないザル法で、禁酒といいながら一般市民も法律の目をかいくぐってお酒を飲んでいました。それは結局マフィアの資金源となってマフィアの懐を潤し、アルコールに課税できなくなった政府の財政を逼迫させ、マフィアの跋扈によって治安が悪化するという悪い事づくしの悪法でした。  そんな時代に『オーバールック・ホテル』で開かれたこのパーティー。俗世間から隔絶されたその環境から推察するに、そこに集う人々は上流階級、各界の有名人、政治家、そしてマフィアが秘密に開いた「飲酒ができる」パーティーであったと想像できます。それは「お酒が飲めるぞ!」とジャック・トランスが満面の笑みで写っている事からも推察できます。 (2)写真の日付についての考察[その2]  7月4日はアメリカ人にとって一番重要な日です。すなわち独立記念日です。しかしそれは大西洋を渡ってきた白人たちにとってであり、元からアメリカ大陸に住んでいたネイティブ・アメリカンにとっては「侵略確定記念日」、すなわち屈服・屈辱の日でしかありません。 (3)BGMについて  アル・ボウリー・アンド・ヒズ・バンドの『真夜中、星々と君と』という曲ですが、この曲のリリースは1934年2月16日ですので写真の日付とは時系列が合致しません。この事実からこのBGMは物語の舞台である1980年のオーバールック・ホテルで演奏されていると考えなければなりません。すなわち、ウェンディたちが去ったホテルのゴールドルームで、幽霊たちが演奏しているのです。音楽にエコーをかけているのはそのためだと思われます。音楽の後に続くパーティーのノイ...

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

イメージ
 オープニングに続けてのハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーンの全セリフと、その邦訳です。訳は映画監督の原田眞人氏、出典は『フルメタル・ジャケット』DVD版字幕から採録しました。リズミカルで含蓄・示唆に富んだ麗しき罵倒語の数々をお楽しみください(笑。 <HARTMAN> I am Gunnery Sergeant Hartman, your Senior Drill Instructor. From now on, you will speak only when spoken to,  and the first and last words out of your filthy sewers will be "Sir!" Do you maggots understand that? 訓練教官のハートマン先任(ガナリー)軍曹である 話し掛けられた時以外口を開くな 口でクソたれる前と後に“サー”と言え 分かったか ウジ虫ども <RECRUITS> Sir, yes, sir! <HARTMAN> Bullshit! I can't hear you. Sound off like you got a pair. ふざけるな!大声出せ! タマ落としたか! <RECRUITS> Sir, yes, sir! <HARTMAN> If you ladies leave my island, if you survive recruit training, you will be a weapon, you will be a minister of death, praying for war. But until that day you are pukes! You're the lowest form of life on Earth. You are not even human fucking beings! You are nothing but unorganized grabasstic pieces of amphibian shit! 貴様ら雌豚が おれの訓練に生き残れたら 各人が兵器となる 戦争に祈りをささげる死の司祭だ その日まではウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ  貴様らは人間ではない 両生動物のクソをか...

【関連動画】元ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズによる『2001年宇宙の旅』の続編『2010年』の『ツァラトゥストラはかく語りき』

イメージ
 元ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズが映画『2010年』のためにアレンジした『ツァラトゥストラはかく語りき』のディスコバージョンです。  当時、この曲を聴いた時の正直な感想は「なんじゃこりゃ」でしたが、今聴いてもやっぱり「なんじゃこりゃ」ですね。本編では荘厳なクラッシックバージョンが使われているので、この曲はサントラのみの収録になります。公開年の1984年といえばメンバーのソロ活動が本格化し、ポリスは活動停止だなんだでゴタゴタしていた頃。スティングはソロ活動で大成功を納めましたが、他のメンバーはどうだったんでしょうね。 wikiで調べると 映画関係で多少は活躍したようです。再結成も幾度かあったよう。  この頃、SF映画のサントラをロック・ミュージシャンが担当するというのが流行していて、(『フラッシュ・ゴードン』とか『ターミネーター2』とか『デューン/砂の惑星』とか・・・)その影響も大きかったかも知れません。個人的にはアンディ・サマーズのクールなニューウェイブ的ギターではなく、ピンクフロイドのデイブ・ギルモアの伸びやかでブルージーなギターが合っているのでは?と思ったりしています。

【インスパイア】ブリトニー・スピアーズ ft. ティナーシェ/スランバー・パーティー(Britney Spears - Slumber Party ft. Tinashe)

イメージ
 ブリトニー・スピアーズが2016年に発表した『スランバー・パーティー』という曲が『アイズ ワイド シャット』っぽいという情報があったので観てみたのですが・・・仮面をしていないだけで確かに似ていますね。「スランバー」とは「パジャマ」という意味ですが、どう見ても「下着」(笑。こういったエロい深夜パーティーのPVには『アイズ…』が格好のモチーフなんでしょう。 以前こんな曲 もありましたしね。

【関連記事】クリストファー・ノーランがスタンリー・キューブリックに聞いてみたい質問とは?

イメージ
Christopher Nolan(IMDb)   アカデミー賞のノミネート発表を間近に控え、70ミリプリント版「ダンケルク」が全米50館のIMAX劇場で再上映されるにあたり、同作でメガホンをとったクリストファー・ノーラン監督がプロモーションのため米MTVのポッドキャスト「Happy Sad Confused」に出演。自ら大ファンだと常々公言している巨匠スタンリー・キューブリックにまつわる質問に、ノーランらしい興味深い回答が飛び出した。 〈中略〉 「確かキューブリック監督は、スコアリング作業を終える前に亡くなったんだよね。彼が思い描いていた通りの映画に仕上げようと、スタジオが最善を尽くしたことは評価するけど、僕自身の経験から、スコアリングが最後にくる工程だと知っているだけに、惜しくてならない。本当に些細で表面的な、技術的あらに過ぎないとはいえ、キューブリック監督が生きていれば、もっと完璧な映画に仕上げてくれたはずだと思うからね」と理由を説明したノーラン監督。さらに、「最初に見た時は、正直期待はずれだと感じたし、あまり好きな作品ではなかった」と明かした上で、その後何度か繰り返し見るうち、「真に偉大な傑作」だと確信するようになったと語った。 (引用元: 映画.com/2018年1月2日 )  『アイズ…』公開をリアルタイムで経験した方はよくご存知ですが、キューブリックの死後、『アイズ…』が勝手に編集されるという噂が流れた際、即座にトム・クルーズが「フィルムは誰にも触らせない」と非難声明を出したことを覚えているはず。このように疑うべくも無く『アイズ…』は「厳密には未完成(逝去後、残されたスタッフの手によって完成させた)」なのですが、こだわり主義者の権化たるキューブリックの面目躍如のなせる技(笑 なのか、未完成にもかかわらず、あまりにも完成度が高いためにそのことを忘れがちです。  このノーランのインタビューはその事実を改めて思い出させてくれますが、本人が不在である以上、これ以上はどうしょうもないわけで、それを云々するのは詮ないだけですが、このコメントにはノーランのキューブリックに対する「思い入れの深さ」が伺えて興味深いです。それに 「最初に見た時は、正直期待はずれだと感じたし、あまり好きな作品ではなかった」「その後何度か繰り返し見るうち、「真に偉大な傑作」だと確信す...

【ブログ記事】キューブリックとハリスが登場する、セブン・アーツが制作した『博士の異常な愛情』の広告

イメージ
落書きがありますが、誰が書いたのか、どういう意味があるのかは不明です  「キューブリック、ハリス、そしてセブン・アーツ」というキャッチコピーで『ロリータ』の次作、『博士…』を制作中であることを告知する広告です。  セブン・アーツ・プロダクションズとは現在のワーナー・ブラザーズになります。同社は『ロリータ』に資金提供しましたが、無事に資金回収することができたのでキューブリックとハリスを信頼し、『博士…』にも再度資金提供したのでしょう。ところがこの直後キューブリックとハリスはコンビを解消、ハリス自身も映画監督を目指すことになります。ハリスは『博士…』をブラックコメディに改変することに反対(現在は「一番好きなキューブリック作品」とインタビューで応えている)し、監督業もしたがったので、それもあって友好的にコンビ解消となりました。  『突撃』の頃までの扱い順は「ハリス、キューブリック」だったのが、『スパルタカス』『ロリータ』を経て「キューブリック、ハリス」になっているのは興味深いですね。それだけキューブリックの知名度が上がった、ということは、資金集めにハリスの力を借りなくてもよくなったということを意味するので、コンビ解消も必然の流れだったのでしょうね。

【インスパイア】チャオ ベッラ チンクエッティ『何度も 何度も…』

イメージ
  チャオベッラチンクエッティってどう区切るの?と思ったのですが「チャオ・ベッラ・チンクエッティ」だそうです。いわゆる女性アイドルグループで、あの「モーニング娘。」で有名なハロプロ出身だそうですが、これ以上語るとドルヲタでもなんでもない管理人のボロがでそうなので、あとは各自でお調べください(笑。  その最新シングル『何度も 何度も…』の衣装とPV(最近はMV=ミュージック・ビデオと言うそうですが、管理人の世代はPV=プロモーション・ビデオです)が・・・はい、もう何も言いません。「キューブリックの影響力云々」もどうでもいいです。「見たまんま」ですね、文字通り。「デジタルシングル」ってなんぞや? と思ったのですが、要するにiTunesなどのネット配信のみということらしいです。  ご本人たちがどこまで自覚しているかはわかりませんが、制作サイドで好きな人がいるんでしょうね。 ジャケ写もこの通り ですので、もうやりたい放題(笑。「お前だってPVの監督任されたらやるだろ?」と訊かれれば「ええ、やりますとも!」としか応えようがありませんので、あまり偉そうなことは言えませんが、これをきっかけにご本人たちやファンの間に『時計…』の認知が広まれば嬉しいですね。

【家族】キューブリックの2番目の妻、ルース・ソボトカは1958年3月にニューヨーク・シティー・バレエ団の一員として来日していた

イメージ
『非情の罠』のバレエシーン。踊っているのは当時キューブリックの妻だったルース・ソボトカ。このバレエを実際に日本で観た人がいる、というのは実に羨ましい限りだ   「バレエ・アーカイブ」というサイト で「ルース・ソボトカ」検索するとよると1958年3月17日~3月30日までは新宿コマ劇場、4月1日~6日までは産経ホールで公演したようです。キューブリックとルースは1955年1月11日に結婚しましたが、1956年10月頃には夫婦関係はかなり怪しい状況になっていました。その後キューブリックはハリスと共にドイツに渡り、『突撃』の制作に取りかかります。それは1957年の春頃まで続き、『突撃』の初公開はベルリンでこの年の6月です。この時点でキューブリックは既にクリスティアーヌと出会っていますので、二人の離婚はもはや決定的です。どちらにしても1958年3月にバレエ団の一員として来日するためには、準備やリハーサルなどを考えると少なくとも1957年の後半にはキューブリックの帰りを待っていたハリウッドを離れ、ニューヨークに戻らなければなりません。この来日公演の記録に旧姓の「ソボトカ」で掲載されているところを見ると、離婚は1957年ということで間違いないと思われます。  つまりルースとクリスティアーヌは入れ替わる形でルースはハリウッドからニューヨークへ、クリスティアーヌはドイツからハリウッドへ移ったことになります。果たして二人の間で直接の対決はあったのでしょうか? ルースもキューブリックも逝去してしまっている現在、それを証言できるのはクリスティアーヌだけですが、この件に関して何かを語ることは今後もないでしょう。なぜならルースはナチスドイツに故郷のウィーンを追われ、ニューヨークに逃げて来たユダヤ人、クリスティアーヌはそのナチスドイツの宣伝大臣だったゲッペルスのお抱え監督、ファイト・ハーランを叔父に持つナチスに近い立場のドイツ人だからです。そして、完全に真逆の立場である二人の女性の間に挟まれたのが、生まれも育ちもニューヨークのユダヤ系アメリカ人であるキューブリック。なんとも皮肉な運命の巡り合わせとしか言いようがないですね。 追記:ルース・ソボトカ来日に件に関して何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、当サイトにおしらせください。

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号に酷似した宇宙船が登場する日本のアニメ『キャプテン・フューチャー』

イメージ
OPとEDは『ルパン』でおなじみの大野雄二氏。大野節が炸裂しています  おっさんホイホイというなかれ(笑。NHKのレギュラーアニメとして初めて放映された『未来少年コナン』(監督はあの宮崎駿)の後番組として始まったこのアニメ。原作はエドモンド・ハミルトンの「スペオペ」(スペース・オペラの略、死語ですね。笑)小説。日本でもファンを獲得していて、そのアニメ化となれば否が応でも期待は高まるもの。しかし肝心のコメット号が『2001年…』のディスカバリー号と『スター・ウォーズ』のXウィングを足して2で割ったようなデザインでがっかりした思い出が・・・(笑。作画の悪さも合間って、途中から視聴放棄した思い出があります。『コナン』の傑作ぶりが相対的に本作の評価を下げている要因になっているかもしれませんね。   wiki によるとオンエアは1978年11月7日から1979年12月18日だったんですね。当時は『宇宙戦艦ヤマト』から『機動戦士ガンダム』への過渡期。雨後の筍のごとくSFアニメが量産されていた時代です。しかもこの頃は良質なものも多かったので現在ではすっかり「知る人ぞ知る」アニメになってしまいました。  そんなこんなで2016年、突然 Blu-ray BOXが全2巻で発売 されたそうです。東映アニメーションの 公式チャンネルで1話を無料で視聴 できますので、興味のある方はどうぞ。

【ブログ記事】『2001年宇宙の旅』で猿人「月を見るもの」を演じたダン・リクターは、1970年代始め、ジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻と共同生活を送っていた

イメージ
ジョンの写真を撮るダン・リクター。後ろにはヨーコの姿も  『2001年宇宙の旅』で猿人「月を見るもの」を演じたダンは、猿人のシーンの撮影終了後も異星人を演じるために撮影所に留まっていましたが、キューブリックがそれを断念した後は俳優仲間や音楽関係者と共に、ジョン・レノンが購入した南イングランドのアスコットにある「ティッテンハースト・パーク」に移住しました。要するにダンはジョンとヨーコの「取り巻き」の一人だったのです。そして1971年にダンは撮影監督として プライベート・フィルム『イマジン』 (1988年に公開されたドキュメンタリー映画『イマジン』ではない)の制作に参加(出演もしている)。ジョンとヨーコは1971年8月までここに住み、その後ニューヨークに引っ越しました。ダンは1973年に二人と別れたそうです。  ジョン・レノンは「『2001年…』毎週見てるよ!」と語ったそうですが、まあそれはおそらく冗談だったのだと思います。ですが、猿人を演じたリクターがすぐそばにいたことを考えれば、ダンの解説付きで何回かは観ていたのかも知れません。ジョンが映像制作にも多大な関心を寄せていた事実から、『2001年…』がジョンの「イマジン」を刺激したのは容易に「イマジン」できますが、直接的な影響はあまり感じられません。まあ、『2001年…』は当時のヒップなアーティストがこぞって観ていたわけですから、ジョンもその中の一人、という程度の認識で良いと思います。

【ブログ記事】『ロリータ』のラストシーンに登場した女性の肖像画の画家、ジョージ・ロムニーのロリコン人生

イメージ
George Romney - Mrs. Bryan Cooke (Frances Puleston, 1765–1818)  『ロリータ』のラストシーンで撃ち抜かれた女性の肖像画はジョージ・ロムニー作『ブライアン・コーク夫人(フランシス・プルストン)』でした。そしてこの画家、ジョージ・ロムニーもまた、一人の少女「エマ」に魅せられ、狂わされた中年男性だったのです。  wikiによると  ロムニーは生活の糧である肖像画とは別に文学的な主題を持った作品を手掛ける事も渇望していた。1782年4月、友人のチャールズ・グレヴィル卿が肖像画を依頼するために新しい愛人をロムニーのもとに連れてきた。彼女こそ彼に多大な芸術的霊感を与えてくれる女神とも言える存在となる、エマ・ハート(後のエマ・ハミルトン)であった。当時エマ・ハートは17歳、ロムニーは47歳であった。グレヴィルは商業的思惑で依頼したのであるが、芸術家としてのロムニーにとっても得難い邂逅だった。エマは肉体的存在感とプロのモデルにも匹敵する表現力と天性の魔性を兼ね備えていた。ロムニーは肖像画家としての日常の仕事と両立させる事が困難になるほど、エマに取り憑かれた。  彼はエマの肖像画を様々なポーズで60作以上描いた。それらは現実的な肖像、寓話・神話・宗教的イメージの具現化と多岐にわたった。エマは1782年4月から1786年3月まで約180回ロムニーの前でポーズをとった。多くは文学的な主題における劇的なヒロイン、魔女キルケーに始まり、メデイア、バッカスの巫女、テティスなどに扮した。1886年にエマ・ハートはナポリに向かいウィリアム・ダグラス・ハミルトン卿の愛人となった。1891年にハミルトン卿と正式に結婚するためイングランドに帰国し、6月から9月にかけて34回ロムニーのモデルを務めた。結婚式の日にただ一度「ハミルトン夫人」としてロムニーの前に座った。その後エマはナポリに戻り、二度とロムニーと再会する事は無かった。 (引用元: wikipedia「ジョージ・ロムニー」 )  と、ハンバートと瓜二つな入れ込みっぷりと失恋っぷりに驚きますが、ハミルトン夫人となったエマはその後、ハミルトンと親交のあったイギリス海軍の英雄、ネルソン提督と愛人関係に。すでに高齢だったハミルトンはこの事実を受け入れ、ネルソン提督との友情を保っていたそうです。...

【インスパイア】ガンズ・アンド・ローゼズ/ウェルカム・トゥー・ザ・ジャングル(Guns N' Roses - Welcome To The Jungle)

イメージ
 言わずと知れたガンズ・アンド・ローゼズ(ガンズ)の1987年の大ヒットナンバー。 海外の記事に 「キューブリックにインスパイアされたPV」と紹介されていて、「あれっ?そんなシーンあったっけ?」と思ったのですが、3分28秒からのブリッジの部分が『時計じかけのオレンジ』のルドビコ療法のシーンにそっくり、ということだそうです。当時さんざんこのPVを見ましたが、なぜかそんな風に感じたことはありませんでした。理由は多分デヴィッド・ボウイ主演の1976年公開の映画『地球に落ちて来た男』の拷問シーンを連想していたからだと思います。でも、元を辿ればこれも『時計…』に行き着くので、「インスパイアされたものにインスパイアされた」ってことになるんでしょうね。

【考察・検証】キューブリックの字幕や吹替に対するスタンスを検証する

イメージ
セリフや声優のキャスティングなど様々な意見はあるかと思いますが、管理人個人としてはリリースしてくれたことに価値があると思っていますので、評価は避けたいと思います。  幻とされていた『フルメタル・ジャケット』の日本語吹替版BDがリリースされ、話題になっています。『フルメタル…』の日本公開は1988年3月ですが、ちょうどその頃のキューブリックのインタビューがありましたので、ここに一部抜粋して引用してみたいと思います。  (外国語版は)できる限り最高のメンバーに依頼する。ダビング(吹替)版なら、最高のライター、最高の監督に、最高の俳優。スペイン語版でカルロス・サウラに頼んだこともあるよ。スーパーインポーズ(字幕)版、私はこの方が良いのだが、ダビング(吹替)版主体の国が多いのが現状だ。興行者が主張するから仕方なく作ってはいるが。スーパーインポーズ(字幕)版では、英語の話せる優秀な翻訳者に頼むのが第一。今、ドイツ語版では優秀な翻訳者がいる。ジャーナリストだが。日本ではスーパー主体だね。 〈中略〉  なにしろ日本語のシンタグム(構文法)は、我々(欧米人)には普通じゃない。 (引用元: イメージフォーラム1988年6月号/スタンリー・キューブリック・ロングインタビュー )  以上のように、キューブリックは外国語版にもチェックを怠らなかったのですが、ポイントは2つ。 (1)キューブリックは吹替版より字幕版を好んでいた (2)字幕であれ、吹き替えであれ優秀な翻訳者にオファーする となるでしょう。 (1)は吹替が当たり前のアメリカ生まれ、アメリカ育ちのキューブリックにしては意外な感じもしますが、それだけセリフに込めた意味を重要視していたのでしょう。 (2)は、コントロールフリーク(原田氏談)のキューブリックらしいこだわりで、自分が認めた優秀な人材であれば専門の翻訳家でなく、映画監督でもジャーナリストでも構わない、ということでしょう。つまり専門家の「 誤訳の女王 」はキューブリックのお眼鏡には叶わなかったんですね。  キューブリックの人材登用の特徴は、優秀であれば専門外の人材でも積極的に採用する点です。役者でさえ素人(『2001年…』の地上管制官、『シャイニング』のバスルームの美女、『フルメタル…』の少女狙撃兵など)を採用するくらいです。脚本も専門の脚本家に頼まず、小説家(もしくは小...

【関連動画】かつて吉祥寺に存在した『時計じかけのオレンジ』のコロバ・ミルクバーに似たバー、『MILK BAR』の動画

イメージ
  数年前(2015年頃?)惜しくも閉店してしまった『時計じかけのオレンジ』のコロバ・ミルクバーに似たバー、『MILK BAR』ですが、その店内を撮影した動画がYouTubeにアップされていましたのでご紹介。  管理人も何度か店を訪れたことがありますが、吉祥寺は居住地から遠かったので常連になるほど頻繁に店には通えませんでした。マスターともちょこっとお話しした程度ですし、このブログのことも特に話題にしていません。でも懐かしいです。トイレの便器が小さかった(子供用?)のが面白く、それが特に印象に残っています。それとカウンターに照明が仕込んであって、ちょっと『シャイニング』のバーっぽいな、と思ったこともありました。  映画やロック、サブカル好きは「将来は店をやりたい!」と思ったりするのが定番の「夢」だったりするのですが、昔に比べて版権管理がシビアになっていますので、勝手に音楽や映像を流して・・・なんてことはできなくなっているようです。でも、こんなバーが再び出現すればぜひ訪れてみたいですね。えっ?お前がやれって?? うーん、やるんだったら徹底的にこだわりたいので、ワーナーさんに話を通して、ってことになるでしょう。そうなると一介の素人にとってはやっぱり「夢」でしょうねぇ。

【関連動画】超レア! キューブリックのPC指南役、アラン・ボーカーが撮影したキューブリックのプライベートビデオ2本

イメージ
 アラン・ボーカー氏は、キューブリックがPC(IBM XT)を導入した際に助言をしたIT技術者で、以前 この記事 でも貴重な写真とともにご紹介していましたが、なんとその時のビデオが残っていたらしく、この度YouTubeにアップされていました。撮影時期は1983年年末から1984年初めにかけて、場所はハートフォードシャーの自宅の仕事部屋で、『フルメタル・ジャケット』のプリプロダクションが始まっている頃です。1本目ではその頃一般家庭にも普及が始まったビデオカメラ(ソニーのベータマックス)がロケハンなどに使えないか、2本目では映画予算の計算にPC(IBM XT)が使えないか検討している様子が映し出されています。1本目に映っている男性はプロデューサーでキューブリックの義弟、ヤン・ハーランで、2本目にはデスクの上で横になるキューブリックの愛猫も登場しています。  キューブリックの服装が同じなので近い日に撮影されたものだと思いますが、日時は明確ではないようです。キューブリック独特の落ち着いた、深みのある声を思う存分聞くことができますので、もうこれで偽物インチキ動画(アポロがどうのこうの)を真に受ける人は一人もいなくなるでしょうね。