【関連作品】『未知への飛行〜フェイル・セイフ』

  ついにDVD化なりましたね、冷戦時代の隠れた名作『未知への飛行』。衝撃的なラスト・シーンは今日観返しても全く色褪せてなく、第一級のポリティカル・フィクションとして楽しめます。愚直だけど緊迫感溢れる演出を、最近のハリウッド映画はこの映画からもっと学んで欲しいものです。

 詳しいストーリー等はリンク先で確認して頂くとして、やっぱり気になるのは『博士…』との関係。どうやら当時、両映画の原作の間で盗作騒ぎがあったらしく、キュー側が訴えられてしまったそうです。でも、裁判はキュー側が勝訴。この話題性に目をつけたコロンビアが映画化権を獲得し、(『博士…』もコロンビア)両方ともヒットさせてしまいました。

 監督はシドニー・ルメット。実直な演出では定評ありますね。主演はヘンリー・フォンダ。大統領を静かに熱演してました。一時代を築いた名優で、ジェーン・フォンダやピーター・フォンダのお父さんです。一方の『博士…』といえば、監督がキューで脚本がテリー・サザーン、そして主演がピーター・セラーズとなるわけで、どこまで行っても好対照のこの2作品、続けて観るのも一興かも。

 キューブリックは『博士の異常な愛情』から『2001年宇宙の旅』、『時計じかけのオレンジ』で巨匠の名を欲しいままにしたけど、ルメットは『オリエント急行殺人事件』、『狼たちの午後』『評決』で「名監督なんだけど地味」。ならばと、コメディー・タッチの『ファミリー・ビジネス』を撮ったりしてるんですが、やっぱり評価は「悪くないんだけど地味」。

 まあ、平気で地球を破滅させるぐらいの肝っ玉がないと巨匠にはなれないという事でしょうか?

TOP 10 POSTS(WEEK)

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』は、なぜクリスマスシーズンの物語なのか?を検証する

【関連動画】『2001年宇宙の旅』の未公開シーンとセット画像を集めた動画と、クラビウス基地で登場したハンディカメラをニコンがデザインしたという説明の信憑性について

【オマージュ】King Gnu(キング・ヌー)の新曲『一途』のMVがとっても『2001年宇宙の旅』だった件

【ブログ記事】NHK『映像の世紀~バタフライエフェクト~映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突』で紹介されたプロパガンダ映画『ユダヤ人ジュース』とキューブリックとの「接点」

【インスパイア】とっても『2001年宇宙の旅』な、旧ソ連謹製SF映画『モスクワ-カシオペア(Москва – Кассиопея)』

【パロディ】映画版『バービー』の予告編がまるっきり『2001年宇宙の旅』でどう反応して良いのやら(汗

【関連記事】映画ファンが「こんな世界絶対嫌だ…」と絶望する!オススメの「ディストピア映画」10選

【関連書籍】忘れ去られた『2001年宇宙の旅』のもうひとつの原典、アーサー・C・クラーク『地球への遠征』

【オマージュ】MV全編がまるっきり『時計じかけのオレンジ』な、コットンマウス・キングス『Stomp』のMV

【パロディ】まるっきり『時計じかけのオレンジ』のアレックスのファッションをしたマーク・パンサーが登場するglobeの『genesis of next』