【小説家】アンソニー・バージェス(Anthony Burgess)
『時計じかけのオレンジ』の原作者で小説家。『時計…』(1963)は、バージェスが脳腫瘍で余命1年と診断されたため(結局誤診だった)『ひとつの解答への権利』(1961)、『ある国の悪魔』(1962)、『見込みのない種子』(1963)と同時期に短期間で書かれた小説のひとつ。第二次世界大戦中のロンドンで妻がアメリカの脱走兵にレイプされるという事件が起こり、その苦しみ抱えつつ脱稿した。後にバージェスはこの小説を「アル中状態で書いたクズ本」と酷評している。1917年2月15日イギリス・マンチェスター出身、1993年11月22日死去。
本来の小説版は最終章の第21章で、アレックスが暴力に魅力を感じなくなっている自分に気が付き、成長したと自覚するところで終わっている。ところがアメリカの編集者は第21章が追加されたいない原稿をそのまま印刷してしまった。(現在は第21章で終わっている修正版を出版済)、そのアメリカ版を読んだキューブリックはそれに気付かず、気付いた後になっても「これまでの調子と合わないから」と採用しなかった。小説家の思い入れには全く組みしないキューブリックらしいエピソードだ。