【小説家】ウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)

  『ロリータ』の原作者。ロシアのサンクト・ペテルスブルグ出身で、フランス、ドイツ、アメリカと各国を転々とする。『ロリータ』は、1954年に脱稿し、アメリカの4つの出版社に持ち込んだが、 内容が内容だけに、見事に出版を断られている。 翌55年になって、 パリのオリンピア・プレスによってやっと出版され、ベストセラーとなった。

 『ロリータ』の映画化権をキューブリックが獲得した際、ナボコフは脚本のオファーを受けたが、過去に脚本で苦い経験をしているナボコフはそれを断った。だが、周りの薦めもあり結局オファーを受ける事に。ナボコフが最初に脱稿した脚本は、キューブリックから「このまま映画化すると7時間の映画になるから短くしてくれ」といわれ書き直しになり、それから半年後にやっと脚本が完成する。だが、キューブリックはちゃっかりその脚本にも手直しを加えた。

 キューブリックが脚本にクレジットされていないのは本作と『スパルタカス』だけ。『スパルタカス』はともかく、本作にクレジットしなかったのは、これだけ社会的に大問題になった小説の映画化だけに、各方面から批判を浴びるのは容易に想像されたので、脚本でクレジットされるのはナボコフだけで充分、という計算があったためだと言われている。

 公開当時は映画を褒めちぎっていたナボコフだが、後になって「いくつかの本質的な部分とは関係ない箇所(卓球台のシークエンスや浴槽でスコッチを飲むハンバート)は楽しいが、その他は痛々しい限りだ」と批判している。

 他の作品は、『青白い炎』、『アーダ』など。1899年4月23日生まれ、1977年7月2日スイスのローザンヌで死去した。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】キューブリック版『シャイニング』でオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体とは

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【関連記事】1972年1月30日、ザ・ニューヨーク・タイムス紙に掲載されたキューブリックのインタビュー

【関連記事】音楽を怖がってください。『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『アイズ・ワイド・シャット』・・・巨匠キューブリックが愛した恐怖クラシック

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』に登場する予定だった宇宙人のデザイン案を検証する

【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』と「アイドル」に親和性?『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされた女性アイドルのPVやMVのまとめ

【関連動画・関連記事】1980年10月24日、矢追純一氏によるキューブリックへのインタビューとその裏話

【関連記事】早川書房社長の早川浩氏、アーサー・C・クラークと一緒に『2001年宇宙の旅』を鑑賞した思い出を語る

【パロディ】『時計じかけのオレンジ』のルドヴィコ療法の被験者にさせられたアニメキャラのみなさまのまとめ