【関連書籍】2010年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク 著

  前作『2001年宇宙の旅』から9年後、プロジェクトの責任者だったフロイド博士は責任を追求され、閑職に追いやられていた。そんな中、木星に遺棄されたままのディスカバリー号が木星の衛生、イオに落下する事態が明らかになる。丁度その時、木星探査に出発直前だったソ連(当時)のレオーノフ号に乗らないか、とオファーがフロイドの元に来て・・・というストーリー。

 前作小説版『2001年…』より生き生きと喋り、動き廻るキャラクター(HALも含む)達や、SFのダイナミズムに溢れた本作は小説として完成度はかなり高く、一級のSFエンターテイメント作品として楽しめる。舞台が木星である事から映画版『2001年…』の続編として紹介される事が多いが、個人的には描かれた世界観は完全にクラークのものであったり、ボーマンの最期の言葉「星がいっぱいだ」が採用されている事から小説版『2001年…』の続編と考えている。

 この続編小説、当然のように映画化のオファーがキューブリックの元に届くが、キューブリックはこれを固辞、代わりにキューブリック・フォロワーの一人ピーター・ハイアムズが『2010年』として映画化し、そこそこの成功を収める。ハイアムズには「自分の映画にしてください」と好意的だったが、完成作を観たキューブリックは「あいつら全部説明してしまいやがった!説明した途端に全ての意味は失われるのに!」とご立腹だったそうだ。

 非常に明快に書かれたこの小説によって、あの映画版『2001年…』の謎に一応の回答は得られるが「それが全てではない」とも認識しておくべきだろう。本作の後、この『オデッセイシリーズ』はクラーク独自の展開を見せ『2061年宇宙の旅』そして完結編『3001年終局への旅』と続くが、キューブリックファン的には本作までで十分でないかとは思う。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【関連記事】ジム・モリソンとドアーズがシネラマドームで『2001年宇宙の旅』を観た夜

【関連商品】『2001年宇宙の旅』のHAL 9000のようなデザインのファズ・ペダル、その名も「TMA-1 Fuzz」が登場

【パロディ】『ルパン三世』TVシリーズ(セカンドシーズン)のLDのジャケットが『時計じかけのオレンジ』だった件

【原作小説】Amazon Kindleにサッカレーの小説『バリー・リンドン』が新訳で登場。しかも398円の超破格値!

【ブログ記事】キューブリック作品の映像が、隙のない完璧なものに見える理由

【パロディ】洋楽パロで有名なNHKの番組『ハッチポッチステーション』の再編集版『2001年(2004年)夢中の旅』のオープニングがやっぱり『2001年宇宙の旅』だった件

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【ロケーション】キューブリック作品が製作された撮影地一覧(概略)

【ブログ記事】『シャイニング』のオーバールックホテルの外観モデルになったティンバーラインロッジが、キューブリックに幽霊が出る217号室を変更して欲しい旨を伝える手紙