【サウンドトラック】2001年~デストロイド・ヴァージョン~オリジナル・スコア(Alex North's 2001: The Legendary Original Score)
- Main Title (1:37)|メイン・タイトル
- The Foraging (3:44)|人類創生
- Eat Meat And The Kill (3:27)|進化
- The Bluff (3:01)|黒い壁
- Night Terrors (2:02)|ナイト・テラーズ
- The Dawn Of Man (3:14)|人類の夜明け
- Space Station Docking (2:22)|スペース・ステーション・ドッキング
- Trip To The Moon (3:21)|トリップ・トゥ・ザ・ムーン
- Moon Rocket Bus (5:01)|ムーン・ロケット・バス
- Space Talk (3:30)|スペース・トーク
- Interior Orion (1:26)|オリオン号の内部
- Main Theme (2:31)|メイン・テーマ
作曲:アレックス・ノース演奏:ジェリー・ゴールドスミス
1からしてどことなく『ツァラトゥストラ…』を連想してしまい微妙な印象。『採餌』と題された2は猿人が草を食むシーンだろうか、ただストリングスは正直合っていない気がする。3、4は猿人の争いをイメージして打楽器系でまとめているが、どことなく『猿の惑星』のように聴こえるのは指揮がジェリー・ゴールドスミス。5の『夜の恐怖』はモノリス出現前の夜の静寂という印象。しかしあの強烈なリゲティを聴いてしまうとやはり物足りない。6は『人類の夜明け』のテーマだが通俗的な映画音楽の範疇でしかない、という印象は拭えない。
ここから舞台は宇宙へ。7は著しくクオリティが低い。シンセサイザーのない時代に宇宙のイメージを曲にする苦労が手に取るように分かる。8も同様。このシークエンスにあえて全く宇宙と結びつかない『ドナウ』をかぶせたキューブリックのセンスはやはりすごい。9の女性のスキャットなど、採用曲の『ルクス・エテルナ』の影響が見て取れるが、無重力感や浮遊感は感じられない。10も一生懸命「曲」にしようとして失敗している。もっと効果音的な発想であるべきだろう。11はオリオン号でのシークエンス用だろうが、宇宙のイメージは全く湧かない。12は『メインタイトル』だそうだが、これではハリウッドの歴史大作映画だ。
『2001年…』は実際に使用された楽曲のインパクトが強すぎるので、その分割り引いて評価しなければならないが、ノースはノースなりにキューブリックの期待に応えようと必死で(実際疲労で倒れてしまった)作曲したという点は痛い程伝わってくる。ただ、キューブリックの望む世界観とはかなり違っているのも確か。これはノースの作曲能力が低いというより、方向性の違いだろう。
実際にこの楽曲が採用されたとして映画を想像してみよう。多分そんなに悪くないと感じるのではないだろうか。しかし現在のように『2001年…』の音楽が伝説的に語られる事はなかったように思う。ノースは職業映画音楽家として器用すぎた。しかしキューブリックが求めていたのはその「器用さ」ではなかった事は現在の『2001年…』の姿がまさしくそれを証明している。