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 故スタンリー・キューブリック監督が、1960年代に製作に着手しながらも中止となってしまった伝説の映画が、スカーレット・ヨハンソンとサム・ロックウェルの共演で現代によみがえることとなった。

 この作品は、キューブリック監督と小説家のジム・トンプソンが1950年代に脚本を執筆した「ルナティック・アット・ラージ」(原題)で、1956年のニューヨークを舞台に、精神病院から抜け出した殺人犯をめぐるストーリー。当時、映画『スパルタカス』のオファーを受けたキューブリック監督は、製作を一時中断、その後脚本が行方不明となり、映画化が頓挫してしまった。

 キューブリック監督が亡くなった1999年、義理の息子に当たるフィリップ・ホッブス氏が遺品の整理をしていた際、この脚本を見つけたそう。ホッブス氏はニューヨーク・タイムズ紙で、「見てすぐに、何の脚本かわかったんだ。スタンリーはこの映画のことを話していたからね。すごくいいアイデアだったから、脚本がどこに行ったのか不思議がっていたよ」と語っている。同紙によると、脚本の中には線路上でのカークラッシュや気味の悪い山小屋でのラブシーン、夜のカーニバルシーンなどが登場するようで、大きなスクリーンでどのようによみがえるのか、楽しみなところだ。

(引用:シネマ・トゥデイ/2010年4月16日



 『スパルタカス』前という事は、マーロン・ブランドとの共同企画『片目のジャック』から追い出された頃でしょうか。『スパルタカス』の監督に、とカーク・ダグラスからお呼びがかかるのが1959年初頭なので、この『ルナティック・アット・ラージ』の企画はその頃のものという事になりますね。脚本のジム・トンプソンはキューブリックお気に入りの小説家で、『現金…』では追加台詞を、『突撃』では共同で脚本を書いています。『突撃』以降、いくつもの企画が立ち消えになっていたので、その中の一つではないでしょうか。因に今年公開予定の『ザ・キラー・インサイド・ミー』は原作小説がジム・トンプソンで、その小説の推薦文をキューブリックが書いています。この事からもキューブリックがトンプソンを認めていた事が判りますね。

 ただ、いくら脚本にキューブリックが関わっていたとしても、『A.I.』ですらアレですから宣伝材料として名前を出されたという以上のものはないでしょうね。監督が発表になっていませんが、出来不出来は監督の力量次第の側面も大きいでしょうから、期待せずに完成を待ちましょう。

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