【関連記事】「時計じかけのオレンジ」ミュージカル化が決定 刊行50年を記念

 スタンリー・キューブリック監督による映画化で知られるアンソニー・バージェスの小説「時計じかけのオレンジ」が、バージェス自身が制作した台本と音楽を用いて舞台化されることになった。

 1962年に発表された長編小説「時計じかけのオレンジ」は、2012年に刊行から50年を迎える。ミュージカルは、それを記念して英マンチェスターのアンソニー・バージェス財団で行われるイベント「CALL FOR PAPERS: Fifty Years of Clockwork Orange」(12年6月28日~7月1日)の一環として上演される。

 バージェスは、71年のキューブリック版が世に出てから10年以上経ったころに、「時計じかけのオレンジ」の舞台化に着手。同財団のアンドリュー・ビスウェルは、「改めてこの物語に対する自らの所有権を主張するため」だったと明かしている。

 バージェスが執筆した台本は90年、英ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによって舞台化されたが、音楽はバージェスが作曲したものではなく、U2のボノとエッジが作った楽曲に差し替えられた。バージェスは93年に死去。今回のミュージカル版で、初めて原作者が作った「時計じかけのオレンジ」の音楽が披露されることになる。ビスウェルによれば、楽曲は映画版とは異なり「ウエスト・サイド物語」風の陽気ささえ感じさせるものだという。

(引用:映画.com ニュース/2011年7月22日



 U2のボノとエッジが作った微妙な曲はここで聴けますが、次は「ウエスト・サイド物語」風ですか・・・。バージェスがいくらキューブリック版の『時計…』を払拭しようとしても逆効果なような気がするんですが。日本でも今年、小栗旬の主演で舞台化されたそうですが、衣装はそんまんまキューブリック版でしたね。どちらにしても「舞台」という限られた装置の中で描くには不向きな物語なのは明白です。原作か映画を知っているという人でないと理解不能でしょう。

 しかし、どれよりも一番残忍で悪辣なのは小説版のアレックスだという事実を、バージェスはどう説明するんでしょうか?小説のアレックスは店に強盗で押し入り、浮浪者や学者をリンチにし、対立グループは病院送り、車で人を跳ね飛ばし、作家夫婦を半身不随&レイプし、猫おばさんを殺害し、挙げ句の果てに刑務所ではホモを殴り殺す・・・。なのに今更舞台化し、その楽曲は「ウエスト・サイド物語」風? 意味が分かりませんね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【ブログ記事】1999年3月7日スタンリー・キューブリック監督の逝去に当たり、当ブログ(当時個人ホームページ)に寄せられたファンの追悼メッセージ集

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】『フルメタル・ジャケット』の幻のシーン「生首サッカー」は真実か?を検証する

【TV放映情報】NHK BSプレミアムシネマで2月26日(水)午前0:05より『フルメタル・ジャケット』オンエア決定

【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2019年11月22日更新)

【関連記事】『2001年宇宙の旅』1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。その先見性に驚く

【上映情報】「午前十時の映画祭15」で『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』上映決定!!

【ブログ記事】11人の映画監督がスタンリー・キューブリックを語る

【インタビュー】『バリー・リンドン』の撮影監督だったジョン・オルコットのインタビュー[その1:ロケーション撮影、フィルター、照明、ネガフィルムについて]

【考察・検証】「フィクション」を「ドキュメント」するカメラマンの眼